尾道市向島町の里海を眺めて

瀬戸内海(尾道・向島)で見られる海の生物等をご紹介

近隣の小学校による磯歩き

2012-06-26 19:26:09 | 日記
少し前ですが、6/4と6/18に近隣の小学校からの依頼による磯歩きガイドを行いました。
この活動も今年で3年目。こういった活動は御上の考える高等教育拠点の実績として認め難いそうですが、
私個人としては、将来の専門教育のための入口作りであり、子供のうちに海の生き物を通じて視野を広げてもらい、
生涯にわたって人としての心を豊かにするための大事な機会だと思っています。
また、地元に対する感謝を表す場でもあると考えていますので、要望があるうちは続けたいものです。

まずはガイダンス。
海に出て怪我の無いように様々な注意を行います。



出発前にもう一度装備を確認。
帽子、手袋などの安全にかかわるものはくどいほど確認することにしています。



実際の磯歩きの様子。
浜にある岩をひっくり返して、その裏にいる生物などもよく観察してもらいます。



タイドプール(潮だまり)でエビや小魚などを採集。



地元の方のお話を聞く機会などもあったりします。
(プライバシー保護のため画像処理をしてあります)



取ってきた生き物は持ち帰って名前や特徴などを教えた後、放流します。
今年は例年より採集に偏りがあり、生物の面白さを十分に伝えきれていない気がするので、
次回の秋までに対策を考えて、海の奥深さを感じてもらえるようにしたいと思います。

今年は残念ながら持って帰って飼育することはないそうです。
夏休みの間の世話など、いろいろと問題があるようです。
学校での飼育が難しいとしても、各個人で夏休みの自由研究に海の生き物を選んで色々調べたり、
家庭で飼育にチャレンジしてもらえたらいいなと願っています。

アカエイの毒針

2012-06-15 19:19:53 | 日記
先週採集したアカエイはお亡くなりになりました・・・。
最初からあった背部の傷が原因のようです。
餌のアサリの値段の心配は杞憂に終わりました。

これで刺される心配もなくなったので、心置きなく撮影できました。
(毒はしばらく残りますので、死んでいても注意が必要です)
まず毒針の位置を特定。尾部の真ん中の部分にあります。
下の写真で尾部を3つに分けていますが、真ん中の部位です。



この部分を少し拡大。大体毒針は3cm程でした。
背側の部分に上向きについています。



毒針を顕微鏡で拡大してみると、「かえし」が毒針全体についているのがわかります。
この「かえし」があるため、刺さっても抜けにくく、かすっただけでも出血します。
中々えげつない構造です。
死亡後しばらく放っておいたため、残念ながら毒腺の位置はわかりませんでした。



エイはこの毒針がついた尾を振るようにして威嚇・攻撃してきます。
非常に硬く鋭利な針ですので、長靴やウェットスーツ程度は簡単に貫通します。
とにかく近づかないことです。

*もし刺されたら!
まず毒針を抜き、患部を水または湯で洗い流し、患部の毒を皮膚から押し出すようにします。
毒はタンパク質が主成分らしく、熱で失活するそうです。
痛みがひどいときには50度程度の熱湯につけると痛みが和らぐそうです。
とにかく、できるだけ早く病院で治療を受けてください。

アカエイ

2012-06-08 18:50:01 | 日記
先日アマモ場に採集に出ていると、フヨフヨとアカエイが泳いでいたので
持っていたタモ網で捕まえました(注 尾びれに毒針があるので真似しないでください)。


魚類の分類はさっぱりなのですが、吻の部分や尾部の形状からアカエイ(Dasyatis akajei)と分類しました。


毒針の部分を時間があるときに撮影してみたいと思います。
今週は何かと忙しかったため、来週落ち着いてから時間を取りたいところです。
前もってエイの動きなどをシミュレーションして、刺されないように用心します。

ウミサボテンの工芸作品

2012-06-01 19:02:03 | 日記
昨年、三原市のOさんという方が染物の意匠にウミサボテンを使いたい、
ついてはその実物を見てみたいと来所されました。
それならばと自由に写真を撮っていただき、私の持つ写真も数点差し上げました。

先日そのOさんが来所され、無事に作品が出来上がって展示会にも出品しましたとのニュースを頂きました。
その作品がこちら。



青と藍のコントラストが実に綺麗です。
日暮れ時にウミサボテンを水中から見上げると、実際にこの色合いに見えることもあります。
触手の数も一致していて、よく観察されておられました。

実は写真だけでなく、この意匠からTシャツも作っておられました。
表と裏で若干デザインが異なるところが粋です。
この世界に一つのTシャツを寄贈して下さるとのありがたい申し出があり、
驚くとともに大変うれしく思いました。
そこで、染物のデザインに役立ちそうな私蔵の珪藻図鑑と交換しました。
頂いたシャツは所内に展示したり、何かの展示イベントの際に使おうと思います。
Oさん、大変ありがとうございました。次の展示会には是非伺わせていただきます。