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尾道市向島町の里海を眺めて

瀬戸内海(尾道・向島)で見られる海の生物等をご紹介

オニオコゼ

2013-05-20 21:19:46 | 日記
しばらく忙しくしておりまして、更新が途絶えていました。

先週末にWeb水槽の方にコメントが寄せられていた様で、
そのコメントに返答するような内容でまとめました。


今水槽に展示しているのはオニオコゼ(Inimicus japonicus)です。
(魚類にはあまり詳しくありませんので、間違っていたらすみません)
英名はDevil Stingerだそうです。個体名は巌(いわお)とつけています。
右目の下に赤いほくろのような模様があるのがチャームポイントです。
餌はキビナゴなどを細かく切ったものを冷凍して、適時解凍して与えています。

Webで放映しているのは水槽の半分未満となっています。
画面外にある程度は動くためのスペースが確保されています。
水槽全体が映るようにすると、せっかくの強面が小さく見えにくくなって面白みが半減するため、
あえてカメラを寄せるようにしています。時折オコゼが画面外に泳いでログアウトしますが、
そのうち画面の中に戻ってきます。気長にお待ちください。



普段は泥の中に潜んで頭上を通過する小魚などを食べています。
そのため目や口は上向きについており、胸鰭は海底を移動したり泥を掘れるような
形に変化しています。基本的にあまり泳ぎ回らず、じっと獲物を待ち伏せるタイプです。

同居人(?)として、サラサエビ、イソスジエビモドキ、キクメイシモドキ、ケヤリムシ等が入っています。
当初は切身の餌を食べなかったので、生きた小魚やエビなどを入れておりました。
現在いるエビ達はその生き残りです。
エビ達はオニオコゼと絶妙な距離感を保っており、オコゼが切身を食べるようになったためか、
襲われなくなってかれこれ半年がたちます。
なお、Web水槽に入れてあるタコツボを半分に切ったものはエビの住処として入れてあります。
オニオコゼはほとんどタコツボに入らず、寝るときは砂の中に潜ります。


サラサエビ。腹側に緑色の卵を持っています。

イソスジエビモドキ(?)

オニオコゼは割と病気にかかりにくいらしく、飼い始めて10カ月になりますが、
特にトラブルになりません。水も10~14日に一度換えるだけで大丈夫です。
一緒に入れているケヤリムシやキクメイシモドキが水をきれいにしているようです。
ただし背びれに毒がありますので、水替えの時には要注意です。


オニオコゼの毒針(背びれ)

一見すると強面ですが、中々愛嬌のある顔つきです。
動くのも胸鰭を使ってジリジリと歩くため、ゆっくり観賞するにはいい魚だと思います。
学生たちの「食べたい」という主張から頑張って守った甲斐がありました。
オニオコゼは高級魚として人気で、我々の住んでいる尾道では煮つけや刺身のほか、
丸ごとから揚げにして食べられています。から揚げが入った定食は一食5,000円ぐらいしますので、
私のような庶民にはおいそれと食べられない料理です。
お隣の福山大学で養殖プロジェクトが行われており、そちらが大成功を収めてくれれば
美味しいオコゼのから揚げをもっと気軽に味わうことができるかもしれません。


Ustream設定の調整

2013-02-01 22:22:03 | 日記
Ustreamで近辺の生物を放映している水槽ですが、年明けごろから最近放映がコマ落ちしたり途切れたりします。
仕方がないのでFMEの設定を変え、画質を少し落として安定化を図りました。
frame rateを20から15に、bit rateを800から200まで落として、
auto ajustもdown qualityにチェックを入れ、input側のpreviewをなくしました。
audio関係は全て切ってあります。
この状態で時折ラグやコマ落ちが発生するものの、とりあえず途切れることはなさそうです。
しばらくこの設定で様子見です。

Ustreamで時折コメントを頂くのですが、残念ながら返事はあまりできません。
簡単な質問(種名など)には答えられるのですが、感想などの主観が入るようなコメントは控えています。
個人的なアカウントではないため、様々な制限があるのはやむを得ないところです。
まれにある日本語・英語圏以外からのコメントが読めないときは頭を抱えた末、スルーしています。
とりあえず真っ暗で見えないよと言われていては困るので、時差を考慮して放映時間をUTCでも表示するようにしました。



実はこの水槽で約2年ほど愛嬌を振りまいていたキュウセンが今月永眠しました。
腹部に腫瘍ができ、内臓を圧迫しているためか口が閉じないようになり、衰弱してしまったためです。
遺体は海に帰しました。人馴れしていただけに大変残念です。水槽がさびしくなってしまいました。




アカモク

2013-01-29 19:38:36 | 日記
今月初めにアカモク(Sargassum horneri)の採集に学生さんが来所されました。
寒い中、ウェットスーツで小一時間潜っての作業です。



私は寒いので万が一異変が起きた場合に備えて陸上で待機と監視。
私では近縁種やら雑種やらの見分けがつかないので、かえって足手まといです。
作業が終わり次第、ウェットを着たまますぐに車で運んでシャワー室にご案内。
作業者の安全を確保することと、健康を損ねないよう配慮することが一番のお仕事です。

アカモクは褐藻綱ヒバマタ目ホンダワラ科に属する海藻で、北日本の主に日本海側でよく食されるそうです。
美味しいらしいので食べてみたいと思いましたが、採集拠点を荒らすわけにもいかないので我慢。





付近の近縁種も少し採集されていたので、写真を撮って後学のために備えておきます。


近縁種のシダモク(Sargassum filicinum)。
気胞の形が球形または楕円形でアカモクより短い。雌雄同株(アカモクは雌雄異株)
シダモクは食用にしないらしい。アカモクとの雑種も存在する?




ノコギリモク(Sargassum serratifolium
非食用。アカモクやシダモクよりも固い。向島南東部での優占種?


学生さんは体を温めて仕分け作業をした後、バイクに乗って帰途につきました。
寒がりで九州人のおっさんにはまねできません。あれが若さか・・・。

年賀状用にチンアナゴを撮影

2013-01-01 00:00:01 | 日記
あけましておめでとうございます。
今年も気の向くままに適当に写真をアップしていきたいと思います。

ヘビ年ということで、年賀状用にウミヘビの写真が欲しくなり、宮島水族館に行ってきました。
残念ながらウミヘビの展示が見当たらず、替わりにチンアナゴ(Heteroconger hassi)を撮影してきました。
分類上ヘビではありませんが、可愛らしいのでいいかと妥協しました。
ただ、カメラを仕事場に置き忘れてきてしまい、仕方なくスマホで撮影。
腕が悪いうえに細かい調整がきかないため、まともな写真がさっぱり撮れません。



ちなみに私個人でもっているウミヘビの写真は下の写真だけです。
沖縄での採集作業中にいきなり目の前に現れ、飛びのいた後にとりあえず一枚撮りました。
目の前にヘビの頭が見えて動転したため、ウミヘビを中心に入れることすらできていません。
砂を掘りながら作業していたので、餌がいるとでも勘違いしたのでしょうか。

人気の全くないシーズンオフのマイナーなビーチで一人で作業していたので、
噛まれてショック症状でも起こしたら、おそらく助かりません。
可能な限りフィールドワークは複数で行うべきなのですが、予算も人員もないのです・・・。
この写真からの分類は難しいのですが、イイジマウミヘビあたりでしょうか?



今年も死なないように仕事をしていきたいと思います。

珍魚すくい

2012-11-08 21:53:30 | 日記
11月4日に広島大学大学祭の企画「珍魚すくい」を行いました。
要は金魚すくいの海水魚版で、竹原ステーションのIさんとの共同企画です。
入れた魚はメバル、ヨロイメバル、カサゴ、マダイ、ウマズラハギ、スズキ、ニジギンポ、イソギンポ、
ヒイラギ、アミメハギ、タツノオトシゴ、ヨウジウオ、ナメクジウオ、サラサエビ等々です。
同時に、海の生き物に直接触ることができるタッチプールを用意しました。
そちらには、マダコ、ハボウキガイ、ヒザラガイ、イボニシ、アカニシ、クマノコガイ、イシダタミガイ、
ウコンハネガイ、ムラサキウニ、バフンウニ、サンショウウニ、イトマキヒトデ、トゲモミジガイ、
マナマコ、フジナマコ等々を入れました。

マダコは前日の理学研究科のタッチプールにも使用していたのですが、その際にだいぶイジメられていました。
かなり弱っている様子だったので、当日早朝の6時から準備して潜って採集しました。
夜明けの様子がきれいだったので、ちょっと撮影。







首尾よくマダコをゲットしたので、そのまま西条キャンパスへ。
その日は300名近くのお客さんに海の生き物に触れ合う機会を提供することができました。


メイン企画の珍魚すくい。


大きなお友達も童心に帰るひと時です。


タッチプールではやはりタコとナマコが人気でした。朝早く潜った甲斐がありました。


200枚用意していたポイや、景品のガラス玉、乾燥ウミホタルもほぼなくなりました。
子供相手の企画とはいえ、ヨウジウオの英名を知っていたり、展示している生物の和名をすらすら言える子
もいたりして、中々に侮れません。
また来年も企画・展示したいと思います。ご来場ありがとうございました。
展示した生物のほとんどは当日のうちに海に帰し、一部は水槽で飼育して養生しております。

本企画を採用していただきました技術センターの皆様、並びに採集に協力してくださった竹原ステーションの皆様に
改めて感謝を申し上げます。