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尾道市向島町の里海を眺めて

瀬戸内海(尾道・向島)で見られる海の生物等をご紹介

マツダ財団 科学わくわくプロジェクトジュニア科学塾 第3回講座

2012-08-15 20:05:12 | 日記
8月4日、5日に広島大学・マツダ財団 科学わくわくプロジェクト
ジュニア科学塾第3回講座が行われ、講師として参加しました。

初日は台風11号の影響で海が大荒れとなり、船舶を出せるかが難しい状況でしたが、
出港時刻にはなんとか多少波が収まりましたので、三原市沖の細ノ洲に出かけて生物採集を行いました。
スケジュールの都合上、干潮に合わせにくい上に波浪と高潮も重なり、余り採集には適さない条件でした。
とはいえ、干潮時にだけ現れる砂地に参加者は喜んでいたようです。
私も採集をサポートしたかったのですが、船のエンジンの調子が悪かった上に接舷に適さない場所に船を着けざるを得ず、
船のそばを離れることができませんでした。





そして生物を持ち帰って分類し、夜はウミホタルの観察などを行いました。


採集した生物の一つ。ブドウガイ(Haloa japonica


ウミホタル(Valgura hilgendorfii)の発光

二日目は事前にこちらで採集しておいたムラサキウニを使って産卵・発生実験です。
(写真は撮り損ねました・・・)
そして昼前に船を陸に揚げようと思っていたのですが、波が高く上架できる状態ではありませんでした。
幸い、翌日から別の実習が始まる予定だったため、後日にその参加者に手伝ってもらい無事引き揚げました。
関係者の皆様お疲れ様でした。

採集した生物の一部はこちらの水槽に入れ、Webで様子を放映中です。
(ヨウジウオ、メバル、イソギンポ、ハオコゼ、テッポウエビ等)
http://www.ustream.tv/channel/%E5%90%91%E5%B3%B6%E6%B0%B4%E6%97%8F%E9%A4%A8

下江府島探検

2012-07-04 20:21:41 | 日記
7月2日に近所の小学校による下江府島探検がありました。
毎年この時期に地元の向島漁協の全面的な協力のもとに、筏を作って約1km離れた下江府島に渡ります。
自分たちで魚を取って火を起こしたりする体験学習を行い、周辺の環境も調べたりします。
この総合学習に、理科教育充実のため講師依頼を受けて参加しましたので、その様子をご紹介。

まずは校長先生のあいさつ。この日は梅雨の合間でしたが、いいタイミングで晴れ間がありました。



そして向島漁協組合長さんの挨拶。
向島漁協さんは長年この活動を全面的に支えておられ、一番のサポーターです。



結団式のあと、船にお神酒をささげて出港。
出航時間などは潮の流れに乗るように事前に計算されています。





海上保安庁もサポートしています。
万が一の時の対応はもちろん、周辺海域に危険な走行をする船舶が侵入しないように見張っています。
我々大学の船舶もたまに暴走する船舶や水上バイクに絡まれることがあって困ることがありますが、
そういった危険を未然に防いでくれることは、大きな安心になります。



およそ45分ほど漕いで下江府島に到着。





テント設営後、午前中は各自のグループ活動に分かれます。
そのうちの一つの釣り体験のサポートを行いました。
自分の竿も持ってきてはいたのですが、子供たちの仕掛けを整える時間が多く、
私自身は釣る暇はほとんどありませんでした。ツレナカッタノデハアリマセン。
昨年より釣果は良く、キュウセン、マダイ、シロギスなどが多く釣れました。



昼食は地元のTさんの指導で起こした火を使ってカレーや焼き魚を堪能。
漁協よりタイやヒラメの差し入れもありました。
Tさんはカヤックで筏の漕ぎ方を指導したり、魚のさばき方を教えたりと大忙しです。



午後は島を一周しながら海洋生物の採集と説明の時間で、ようやく本番。
釣りが楽しかったらしく、時間がおしていたので島を半周にとどめました。
系統樹を見せて海洋生物の多様性を学習し、毒のある生物などの注意から始め、
様々な貝をひろったり、ウニを割って口の部分をみたり、アメフラシの紫汁を出させたり、
ウミエラの骨軸の感触を実際に触って確認したりと、できることは盛りだくさん。
他にも子供たちが見つけてくる生き物の名前や生態を教えるのでてんてこ舞い。
そのため、残念ながら写真を撮る暇はありませんでした。

来たときは満潮でしたが、帰るときは干潮です。
筏を皆で抱えて3m下の海面に浮かべ、元の漁港に向けて出発。
帰りはみなくたびれてしまい辛そうな顔をしていましたが、大人は手伝うことはできません。
行きの倍ほどの時間がかかってしまいますが、全員無事到着。
解散式の後に保護者の皆さんと一緒に家路につきました。
この経験が、いい思い出と共に将来の何かに繋がることを祈っています。


近隣の小学校による磯歩き

2012-06-26 19:26:09 | 日記
少し前ですが、6/4と6/18に近隣の小学校からの依頼による磯歩きガイドを行いました。
この活動も今年で3年目。こういった活動は御上の考える高等教育拠点の実績として認め難いそうですが、
私個人としては、将来の専門教育のための入口作りであり、子供のうちに海の生き物を通じて視野を広げてもらい、
生涯にわたって人としての心を豊かにするための大事な機会だと思っています。
また、地元に対する感謝を表す場でもあると考えていますので、要望があるうちは続けたいものです。

まずはガイダンス。
海に出て怪我の無いように様々な注意を行います。



出発前にもう一度装備を確認。
帽子、手袋などの安全にかかわるものはくどいほど確認することにしています。



実際の磯歩きの様子。
浜にある岩をひっくり返して、その裏にいる生物などもよく観察してもらいます。



タイドプール(潮だまり)でエビや小魚などを採集。



地元の方のお話を聞く機会などもあったりします。
(プライバシー保護のため画像処理をしてあります)



取ってきた生き物は持ち帰って名前や特徴などを教えた後、放流します。
今年は例年より採集に偏りがあり、生物の面白さを十分に伝えきれていない気がするので、
次回の秋までに対策を考えて、海の奥深さを感じてもらえるようにしたいと思います。

今年は残念ながら持って帰って飼育することはないそうです。
夏休みの間の世話など、いろいろと問題があるようです。
学校での飼育が難しいとしても、各個人で夏休みの自由研究に海の生き物を選んで色々調べたり、
家庭で飼育にチャレンジしてもらえたらいいなと願っています。

アカエイの毒針

2012-06-15 19:19:53 | 日記
先週採集したアカエイはお亡くなりになりました・・・。
最初からあった背部の傷が原因のようです。
餌のアサリの値段の心配は杞憂に終わりました。

これで刺される心配もなくなったので、心置きなく撮影できました。
(毒はしばらく残りますので、死んでいても注意が必要です)
まず毒針の位置を特定。尾部の真ん中の部分にあります。
下の写真で尾部を3つに分けていますが、真ん中の部位です。



この部分を少し拡大。大体毒針は3cm程でした。
背側の部分に上向きについています。



毒針を顕微鏡で拡大してみると、「かえし」が毒針全体についているのがわかります。
この「かえし」があるため、刺さっても抜けにくく、かすっただけでも出血します。
中々えげつない構造です。
死亡後しばらく放っておいたため、残念ながら毒腺の位置はわかりませんでした。



エイはこの毒針がついた尾を振るようにして威嚇・攻撃してきます。
非常に硬く鋭利な針ですので、長靴やウェットスーツ程度は簡単に貫通します。
とにかく近づかないことです。

*もし刺されたら!
まず毒針を抜き、患部を水または湯で洗い流し、患部の毒を皮膚から押し出すようにします。
毒はタンパク質が主成分らしく、熱で失活するそうです。
痛みがひどいときには50度程度の熱湯につけると痛みが和らぐそうです。
とにかく、できるだけ早く病院で治療を受けてください。

アカエイ

2012-06-08 18:50:01 | 日記
先日アマモ場に採集に出ていると、フヨフヨとアカエイが泳いでいたので
持っていたタモ網で捕まえました(注 尾びれに毒針があるので真似しないでください)。


魚類の分類はさっぱりなのですが、吻の部分や尾部の形状からアカエイ(Dasyatis akajei)と分類しました。


毒針の部分を時間があるときに撮影してみたいと思います。
今週は何かと忙しかったため、来週落ち着いてから時間を取りたいところです。
前もってエイの動きなどをシミュレーションして、刺されないように用心します。