尾道市向島町の里海を眺めて

瀬戸内海(尾道・向島)で見られる海の生物等をご紹介

ネコジタウミウシ

2011-04-27 18:30:28 | 生物
先週採集した後に撮影だけして、ほったらかしにしていたウミウシ達。
明日こそはホルマリン固定しなければなりません。
その後の樹脂包埋も、そろそろ時間を取って条件検討をしなければと思いつつも、
諸々の仕事も山積みで悩ましいところです。

ヤマトウミウシ
この個体はきれいなレモン色をしていますが、
大体はもっと地味な薄茶色に近い色合いです。



ネコジタウミウシ(たぶん)
あまり同定には自信がありません。
背部の黄色いラインでこの種名に落としました。

地味な外見と奇妙な名前。
岩と同化するにはちょうどいいのでしょう。
ネコジタというにふさわしい感触。ちょっぴりザラザラとしています。
表面に粘液を出しているせいで、本当の猫の舌よりは柔らかい手触りです。
熱さに弱いからネコジタというのかもしれませんが、
ウミウシという動物そのものが熱に強いものでもありません。
たぶん感触からの命名だと思います。



ヒカリウミウシ
3対の突起が上向きに並んでおり、この先端に発光瘤とよばれるものがあります。
軽く発光瘤辺りをつまんで光らせてみたのですが、光は弱く一瞬でした。
気のせいか?と思えるぐらいに弱い光なので、写真には撮れそうにありません。残念。



エダウミウシの交接
ウミウシ類は雌雄同体です。
したがって配偶子をお互いに交換する必要があります。
体の右側面に交接器がありますので、お互いに右側面を近づけています。
この写真の中央に見えるのがそれです。

水槽のトラブルとエダウミウシの発光

2011-04-22 12:44:35 | 生物
Web水槽の配信設定に手間取りつつ、他の水槽を手入れしていたら大惨事。
展示用に磯採集しているときにミルクイガイ(通称ミルガイ)らしきものを拾い、
後で時間があるときに写真を撮って同定しようと思い、ひとまず大水槽に、ぽい。

翌朝、餌をやろうと見てみると水槽がミルク色になり、辺りに漂う腐敗臭!

慌てて腐敗物の除去、敷砂洗浄、海水交換を行いました。
原因はおそらく海水温。
天然海水(15.5℃)と飼育用海水(22℃)の差が大きすぎたようで・・・。
1匹の生き物が死ぬと周りを道連れにします。そう、たった半日でも・・・。
様々な生物の混成部隊は、ちょっとした不注意で全滅と隣り合わせです。
幸い、水槽内の他の生物たちは即死は免れました。
現在経過観察中。


新聞社からのウミウシの同定(種名を判別すること)依頼を終わらせた後に、
ふと昨年断念したエダウミウシの発光を思い出しました。
前回は突いてもなかなか光らず、あまりいじめたら死にそうだと遠慮していたところ、
寿命が来たのかお亡くなりになってしまいました。
先日4匹程採集してきていたので、それを使ってトライ。



水中で胴部を軽く突いた程度では光らず、水から出して掌の上で背中の部分にある
樹状の突起をこすると案外明るく光ります。
光は青色で、光り方は点滅するような感じに見えました。

エダウミウシ発光(Bioluminescence of Kaloplocamus ramosus )

この発光を撮影しようとしたものの、三脚をWeb水槽に使っているのでどうしても手振れが・・・。
しかも暗室なのでエダウミウシが動いても全く見えずに何度も撮り直し。
ひとまず動画を撮影しておいて、あとで静止画は取り直すことにしました。
相変わらず写真を撮るのがうまくなりません。とりあえず週末に三脚を買わないと。
予算はないので、いつも通り自腹。

余談。
エダウミウシの種小名はramosusですが、この単語だけでYoutube内で検索すると、
サッカーのラモス監督の選手時代の動画がズラリと出てきます。
生物発光というネタだけに、ラモス監督がフサフサでよかったと安堵しました。

飼育水槽Web配信テスト開始

2011-04-20 18:20:05 | 生物

向島近海で採集された海洋生物を、より身近に感じていただけるよう、
飼育水槽にwebカメラを取り付け、Youstreamで鑑賞できるようにしました。


Mukaishima Aqualium
http://www.ustream.tv/channel/%E5%90%91%E5%B3%B6%E6%B0%B4%E6%97%8F%E9%A4%A8
現在試験運用中ですので、画質などは今後改善していく予定です。~
展示スケジュールは以下の通りです。
~
照明時間 7:00~22:00~
餌やり  8:30~10:00の間~
     17:00~20:00の間~
展示物  常設大水槽の様子を配信。不定期に小水槽に切り替え~

エダウミウシ産卵

2011-04-14 19:18:12 | 生物
週初めに採集していたエダウミウシが産卵しました。




薔薇の花を形作るように、中心から外側へと粘液と卵を練って壁面につけていきます。
自然界では岩や転石にくっつけています。
ウミウシ類は雌雄同体で、交接の様子もユニークです。
もうしばらくすると大型でわかりやすいアメフラシのシーズンになるので、
その時にまた様々なシーンをご紹介します。



二つ卵塊を作っていたので、一つはそのまま培養して後日に顕微鏡で撮影。
もう一つはきれいに飼育容器から卵塊を削ぎ取り、形を整えてからホルマリンで固定。
後程樹脂包埋して、いつでも見れるように標本化する予定です。


水槽の立ち上げと山火事(向島高見山)

2011-04-13 18:50:17 | 日記
ホームページの方で向島近海で採集した生物をネットでライブ配信する計画を立てており、
そのために必要な水槽の準備と、玄関に展示してある一部の水槽を二階の部屋に動かしました。

とはいえ、肝心の展示する生物は今はあまりいません。
飼育方法の確立された市販されている生物ではないので、あまり長く持たないか、
早々に海に帰してしまっていて、玄関に十数種類いるだけです。
新しく買った水槽や濾過装置等はしばらく海水になじませる必要もありますので、
しばらくはこのままです。小型の水槽に4,5種類入れて、テスト配信するかもしれません。

採集しようにも、瀬戸内海では4月下旬から5月まで、見栄えのよさそうな磯の生物はあまり出てきません。
私自身もウェットスーツしか持っていないので、よほどのことがない限りは水温が上がってからの採集活動になります。
採集活動を始めたら、週替わりくらいで様々な生物を入れた水槽の様子を配信する予定です。
それまでは手持ちの画像を出したり、水槽の立ち上げの様子などで時間稼ぎ。


昨日買ってきたサンゴ砂を海水で洗っていると、至近距離からヘリの音が何度も聞こえてきます。
ずいぶん長いこと続くので、様子を見てみると・・・

山火事でした。



向島で最も高い高見山に続く道のあたりで火事が起きたらしく、消防ヘリが目の前の海から採水し、
現場で放水していました。3分に1度の頻度で頭上を越えて採水するため、ヘリの音が繰り返し聞こえたようです。
たった1機で数十回往復した乗組員に敬意を表して、活動の様子をご紹介。





拡大写真の左後方に見えるのは似骨ノ礁の標識。
風のある日でしたが、素早い対応のおかげで幸い無事に鎮火したようです。
消火活動にあたった方々お疲れ様でした。ありがとうございます。