スギノアカネトラカミキリ(以下、アカネ)の生態について、今回は第3章「交尾と産卵」について。
枯れ枝から脱出した成虫は、5~6時間の間に交尾を行うとされています。
交尾は日中の明るい時間に行われ、10時から14時の間が最も盛んだと言われています。
ところで、マツ枯れで有名な「マツノマダラカミキリ」は、脱出後、マツの新葉を食べないと体が成熟せず、交尾・産卵ができません。
しかし、アカネは枯れ枝から脱出して、すぐに交尾することが可能です。
周りにエサがなくても、繁殖・交尾が出来ることが、人工林という単純な林層の中でも被害が拡大していく1つの要因だと思います。
交尾が終わったメスは、約1週間後くらいから産卵を始め、約1ヶ月~1ヶ月半の生存期間の間に、2~3日の間隔で産卵を行います。
メス1匹の平均産卵数25個程度。
餌となる花粉を食べにきたアカネの抱卵数は、この平均産卵数よりも低いと言われているので、訪花と産卵を繰り返していると思われます。
産卵場所は枯れてから2~3年以降の枯れ枝が対象なので、枯れて間もない枯れ枝には産卵しません。
枯れ枝ならどこでもいいというわけではなく、枯れ枝の粗皮がめくれている裏側、粗皮の裂け目、二次枝の付け根などが産卵場所になります。
←中途半端に残した枝にも産卵することがあるため、枝は樹幹に沿って除去すること。
あと、あまり太い枯れ枝や直径5ミリ以下の細い枝に産卵することは非常に少なく、直径15ミリ前後の枯れ枝に産卵が集中します。
1箇所の産卵数は、普通1~2個くらいですが、稀に5~6個も産む場合があるとのこと。
今回のポイントは、2~3年以降の枯れ枝に産卵するというところです。
つまり、枯れて間もない枯れ枝には産卵しないので、下枝が枯れ始めた時期を目安に枝打ちを行えば、アカネの被害を未然に防止できると考えられます。