のほほんブログ

今日も今日とて、変わり映えしない日々。
ボケ防止と備忘録にブログをやってます。

読んだ本「破船」

2024年03月22日 | 

やる事がないので、また本を読んでいました。
また、古い本です。先日借りてきていました。

貧しい浜辺のその村では冬になると暗夜に浜で塩焼き(海水を炊いて塩を作る)をする。
塩は村で消費するためだが、他に目的があった。

何故、夜になのか・・

それは時化で難破の危険にさらされた船の者たちが
塩焼きの火を見て人家のある浜と思い、船を岸に近づけるのだが、
そこは岩礁が入り組んでいるので、たちまち船底を砕かれてしまう。

船には食物や嗜好品、道具や繊維類が積まれているのが常で、
村人たちはそれを奪い、村人の暮らしを十分に潤した。

かくて、村人たちは海の荒れる季節になると
塩焼きの炎で船を引き寄せることを始めたのだ。
破船の積荷がない年が続くと、身売りをしなければ家族を飢死をさせることになる。
村人たちは破船を「お船様」と呼び、その到来を願う祭事も行った。
しかし、これは立派な犯罪で、おかみに知れたら重罪だ。

村ぐるみで犯罪を犯しているのだが、
秘密が漏れることにビクビクしながらも、生きる為には止められない。

破船は「福」をもたらしてくれるが、
場合によっては「災厄」が降りかかる危険もある。疫病だ。

廻船問屋の船が破船し、相当な恵みがあった翌年、
流れ着いた老朽化した船には何人もの死骸が転がっており、
皆、赤いものを身につけていた。
赤い衣など、とても手にすることのない村人は
それを引き剝がして幼い女児と女たちに分け与えられた。

その死人たちが天然痘にかかって死んだ者たちとも知らず・・

その後、村には恐ろしい疫病が蔓延すると言う・・話でした。
吉村作品ということで、全くのフィクションではないだろう。

 

吉村昭作品で「熊嵐」というのがある。
読んでみたいような、読まない方がいいような、、、

 


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