おもしろニュース拾遺

 BC級ニュースが織り成す可笑しくも愛しい『人間喜劇』。おもしろうてやがて悲しき・・・

ネッシー保護を熱心に議論:1985年英政府

2006-01-10 00:17:53 | 動物・ロボット・植物
 笑い物にするなんてとんでもない。まさしく大人の対応だ。成熟した政府だけがこういう対応が出来る。
 1985年のことだが、英国政府はある種「想定外」の事態で鳩首協議を開いていた。ネッシーがハンターに狙われたらどうするのか。守る法律がないのでは? そこで「外務省とスコットランド省の当局者が協議。新たな法整備は行わず、八一年に制定の野生生物・田園地方保護法で、ネッシーをわなで捕らえたり撃ったりする行為を禁止できると結論づけた。」(西日本新聞1月9日)。

 元記事は「サンデー・タイムズ」紙の"Yes Minister, we'll save Nessie from the poachers"と題する記事だが、ネッシー保護について同じ年のもう一つのエピソードを紹介している。
 ストックホルムの英大使館にスウェーデンの高官から照会があった。「我が国でも貴国のネッシーのような未発見動物がいる。その保護についてだが貴国はいかなる法的措置をされいるのか」。これは考えたことがなかった。「笑わないで考えてね」と英大使館は本国に秘密公電を送った。本国と大使館の間で何度か公電の交換が行われて、結論は「スコットランド当局は絶滅の危機に瀕している生物の保護に関して法的権限を与えられております」という返事だった。

 確かにネッシーはその時「絶滅の危機に瀕して」いたのだ。なぜなら1993年11月にネッシーは突如として姿を消したからだ。我々が子供の頃から何百回となく見せられているネッシーの写真(上、撮影は1933年)は、トリック写真であると撮影者の関係者が今際の際に告白したからだ。おもちゃを改造したものを池に浮かばせて撮影しただけの素人作品。そう言えばそれなら波の大きさと「ネッシー」が適応する。
 撮影者とこの告白した「関係者」は撮影は4月1日でしたと伝えることでジョークと分かってもらえると思っていたのだが、案に相違してマジで大騒ぎになってしまったためとうとう言い出せなくなってしまったのだ。
 もちろんまだまだ「ネッシー実在派」は頑張ってはいるが、日本で言えば「朱鷺」のオリを淋しく眺めている飼育係のような立場になってしまったことは否めない。


 日本なら「ツチノコ」の保護をどうしてますと環境庁が聞かれたらいかに答えるかという問題だ。あるいは溺れた河童の救助法の講習会の話をするような。

 「サンデー・タイムズ」は上記のネッシー捏造を暴くスクープを掲載した新聞でもある。今回は情報公開法で入手した機密文書で政府のネッシー対策を暴いた。なぜ秘密にしていたのか。冷戦時代だったから、「こんな間抜けな議論をしていることがソ連に知れたら、彼らはネッシーを”軍事利用”する」と心配したのでないか。「密猟者がネッシーを爆破して殺したら大変。罰する法律はあるのか。」と政府高官が真剣に議論できた時代が懐かしい。


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