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【2013年9月5日】 京都シネマ
いずれもフランスを舞台にした映画で、「実話に基づいた映画」という点と、「介護がかかわり、気難しい主人と介護人の話」というと、最近見た『最強のふたり』を思い出す。
『最強のふたり』は男性同士で、頸椎損傷の大富豪と貧民街に住む黒人の男、今度のは女性同士で、やはり大資産家で過去の遺物を背負った老女とエストニアから仕事を求めて初めてパリにやってきた主婦の話である。
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『最強のふたり』は、どちらかというと娯楽映画という範疇で楽しく見たが、『クロワッサンで朝食を』は、人の《弱さ》や《孤独さ》と、それと立ち向かう人間の《強さ》とを織りなす人間模様を、見せてくれたような気がする。同時に、パリの街の魅力も垣間見ることができた。
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ジャンヌ・モローが演じる《気むずかしい》独居の女主人は、何度も介護人を交代させている。(この点も「頸椎損傷」の大富豪と同じだ)その老女が、はるばるエストニアから出てきた新しい介護人を拒絶する場面で、出された朝食を理由にするところがある。一度目は、『朝食には、クロワッサンと紅茶だけしかとらない。』と言って。二度目はちゃんと「クロワッサン」と紅茶を出したのだが、『プラスチックを食べさせるのか。』と怒鳴られ、『スーパーで買ってくるような《そんな偽物》は食べられない』、と。
この台詞には《納得》できるような体験が自分にはあった。
以前(7~8年前の事だったか)、パリに家族で4泊7日の安旅行をしたとき、オペラ座の近くのアパートメントの1室のような宿を取った時のことである。
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【凱旋門から通りを見下ろす】
連日、地下鉄の乗って『ベルサイユ宮殿』やら『エッフェル塔』やら『モンマルトルの丘』に繰り出し、遠くは『モンサンミッシェル』にまで出かけたのだが、節約のため2回のレストランでの外食を除いて、スーパーやらファーストフード店で食べ物を買い、狭いホテルの部屋で胃袋を満たした。
メトロから宿への帰り道に近くのバールのようなパン屋のような店で『クロワッサン』を買って食べてみたときのことである。
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【クロワッサンを買った宿近くの店】
めちゃくちゃ美味しいのである。菓子パンのたぐいで言うと『クロワッサン』しか食べない妻がいたく感激していたことを思い出す。確かに、あの味は、日本の普通のパン屋の品物では味わえない物だった。
その後、2回ほどその店に立ち寄り、日本語と英語の通じない、そこのアルバイトらしき青年と顔なじみになった。(ただし、向こうは素知らぬ顔を通していたから、変な《日本人》くらいに思っていたのだろうか?)
パリは芸術と文化の美しい街である。
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【ノートルダム寺院屋上からの眺め】
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【夜のオペラ座】
『エッフェル塔』は周囲の道路や景観も含め、『東京タワー』と比べものにならないくらい美しい。凱旋門から見た放射状に伸びたシャンゼリゼ通りや街並みのきれいだったこと。
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【パリの町並みに映るエッフェル塔の影
遠くには「モンマルトル」を望む】
『サクレクール寺院』やその周辺の景色は『ユトリロ』の絵を思い起こす。中には入れなかったが『オペラ座』も立派な建物だ。たった1回の訪問ではパリの魅力をつかみきることはできないが、何度でも生きたいところである。
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【サクレクール寺院】
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【ムーランルージュ】
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【モンマルトルの雑貨屋】
昔、東京を訪れた外国人が、「東京は世界最大の田舎だ。」といったのを思い出すが、パリを見たらなるほどと思った。
同時にパリは、アメリカと同様、人種の《るつぼ》である。黒人もほんとに多い。その中に、様々な文化と価値観を持ったヨーロッパ人も沢山いる。そこで生活していくにはいろいろな軋轢もあると思う。
この映画は、パリのそうした2つの側面をうまく組み合わせ、楽しく見せてくれる。
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【モンサンミッシェル遠景】
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『クロワッサンで朝食を』-公式サイト