河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

80 / 日記

2023年09月03日 | よもやま話

同じ町内に住んでいた古老から聞いた地域の歴史の話を残すためにブログを始めたのだが、記事の多くが日々の雑感になってしまった。
だから、「日記」のつもりでブログを続けている。
とはいえ、人に読んでもらうために書いているのだから敬体(です・ます調)で書くべきなのかもしれない。
なのだが、日記を敬体で書くのは不自然なので常体(だ・である調)で書いている。
内容によって文体を変えればよいのだが邪魔くさい。
敬体にすると、偉そうにタメ語をつかってと思われることもないのですが、文末が単調になってしまい、だらだらとした感じを与えてしまうからです。
その点、常体はてきぱきとして歯切れがよく、読みやすい。
もちろん、断定的で威圧的な面はあるが。

そもそも、外国語には敬語がないのだから、常体も敬体もないはずだ。
英語の「What are you doing? 」は、「あなたは何をしているのですか」でも、「お前は何をしているのだ」でも、「われ何してけっかんねん」でもよい。
その時の状況や、身内・友人・他人の水平関係と、部下・上司・客などの上下関係で判断して訳すしかない。
逆に言えば、「どないだす、もうかったはりますか」も、「どないだ、もうかってまっか」も、どちらも「What do you think? Are you making money?」なのだ。
日本語はまことに難解な言語である。

明治時代になって、外国と対等に付き合えるようになると、難解な日本語を改めようとする国語国字問題が起こる。
・日本語をやめて外国語をとりいれる。〔「日本語廃止論」〕
・日本語をかな文字で書くようにする。〔かな文字論〕
・日本語をローマ字で書くようにする。〔ローマ字論〕
・日本語をあたらしい国字で書くようにする。〔新国字論〕
当然、これらには敬語や常体・敬体の改革も付随してくる。
NHKの朝ドラ『らんまん』で、万太郎の敵役の田邊教授が森有礼と画策したのが三つ目のローマ字運動である。

同じ時代、ローマ字で日記を書いていた人がいる。
石川啄木である。
ローマ字運動に賛同していたからではない(以下『ローマ字日記』より)。
naze kono Nikki wo Rômaji de kaku koto ni sitaka ? Naze da ? Yo wa Sai wo aisiteru ; aisiteru kara koso kono Nikki wo yomase taku nai no da.
【日本語表記】なぜこの日記をローマ字で書くことにしたか? なぜだ? 予は妻を愛してる。愛してるからこそこの日記を読ませたくないのだ。(1909年4月7日)
『ローマ字日記』石川啄木
秘密の日記だけに、日記の中には官能小説さながらの表現がある。
敬体で書かれていると読まそうとする意思が見えてウソっぽくなるが、常体だと真実味が出てくる。
 友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 花を買ひ来て妻としたしむ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする