花魁(4)
ありんす:
アリンスの廓言葉;
廓言葉が生まれたのは、いかなる遠国から来た女でも、この詞を使うときは、鄙(ひな)のなまりが抜けて、古くから居慣れた遊女と同じように聞こえるからであるといっている。この語源は島原とされている。「その盃これへささんせ、一つのまんしな、きさんしたか、はよういなんし云々」。吉原で廓言葉が行なわれるようになったのは、宝暦(1751-64)ごろからであるという。遊女屋によっても、廓言葉が違っている場合がある。なお、廓言葉は主として大見世で用いられたもので、中見世、小見世では用いられなかったという説もある。天保を過ぎると、一般には用いられなくなったという。
里訛り;
「さうざいます」--さようでございます
「なんざんす」--何でござります
「おつせん」--ござりません
「おす」--ござります
「さっしておくんなんし」 「わっちといへば、かたつき」「つかわす」--
こうしてつかわす、ああしてつかわすという所に用いる
「これこれ」--万事物をしてこれこれでおすなぞ云
「きいしたきいした」--来た来たという事
「出しきって」--げびぞうを出しきって、うぬぼれを出しきって、なぞいう所に用いる。すべて出しきって、おこしきって、うらみきってなぞ云
「しのびをこめる」--ひそかにという言葉にあたる
「じれつたふす」--ようすともに、じれっとうござります。ようござりますという略語。おすを又おのじを略した言葉。
「ざんす」--ようざんす、わるうざんすなぞという所に用。
「三味せんばん」--毎夜見世の三味線をあづかる、新造をいう。
「きつひぶしやれやうだ」「わっちゃアいや」「どうともなんし」--はぐらかす言葉なり
「いいむしだつけね」「つれへのう」「なにざんすか」--なんでござんすかという事。てのじとごのじを略していう。
「きれい」--通り言也
「おたのしみ」--上に同じ
「きちげへじみた」--上に同じ
「なんとでもおいいなんし」--なぶられる時いう言葉
「ちょっとみな」--ほめられる時じらす言
「いいあめだつけね」--居続けの客をなぶる言葉
「こんなこんな」--是れ是れという事。人を呼ぶときに用いる
「はなしが有るよ」--話のないときも用いる
「あきれけへるよ」--言葉の内に是を多く云
「こんたアの」--茶屋の男などを指していう。こなさんという事
「ぼちぼち」--もてた事也
「ちゃきちゃき」--ふられた事也
「おまへさん」「にくさしひ」
「ほんだすかへ」--人の話をする挨拶にいちいち是をいう
「だんす」--はばかりだんすなぞという所に用。
「わたくし」「あのひとさん」--名の知れぬ客をさしていう。
「きふう」--きいたふうという事。
「きさんじなもんだね」--いけねへんもんだね、しゃれたもんだね、なぞと云う所に用。
「ひねる」--おもむきの有る事をさして云。
里訛りのある言葉は、遊女だけが遣うので、女芸者にせよ、遣手婆にもせよ、遊女以外の者は一切使用しない。それも長屋という最低級の遊女は使用しない。
♪♪米汁呑忘憂♪♪
ありんす:
アリンスの廓言葉;
廓言葉が生まれたのは、いかなる遠国から来た女でも、この詞を使うときは、鄙(ひな)のなまりが抜けて、古くから居慣れた遊女と同じように聞こえるからであるといっている。この語源は島原とされている。「その盃これへささんせ、一つのまんしな、きさんしたか、はよういなんし云々」。吉原で廓言葉が行なわれるようになったのは、宝暦(1751-64)ごろからであるという。遊女屋によっても、廓言葉が違っている場合がある。なお、廓言葉は主として大見世で用いられたもので、中見世、小見世では用いられなかったという説もある。天保を過ぎると、一般には用いられなくなったという。
里訛り;
「さうざいます」--さようでございます
「なんざんす」--何でござります
「おつせん」--ござりません
「おす」--ござります
「さっしておくんなんし」 「わっちといへば、かたつき」「つかわす」--
こうしてつかわす、ああしてつかわすという所に用いる
「これこれ」--万事物をしてこれこれでおすなぞ云
「きいしたきいした」--来た来たという事
「出しきって」--げびぞうを出しきって、うぬぼれを出しきって、なぞいう所に用いる。すべて出しきって、おこしきって、うらみきってなぞ云
「しのびをこめる」--ひそかにという言葉にあたる
「じれつたふす」--ようすともに、じれっとうござります。ようござりますという略語。おすを又おのじを略した言葉。
「ざんす」--ようざんす、わるうざんすなぞという所に用。
「三味せんばん」--毎夜見世の三味線をあづかる、新造をいう。
「きつひぶしやれやうだ」「わっちゃアいや」「どうともなんし」--はぐらかす言葉なり
「いいむしだつけね」「つれへのう」「なにざんすか」--なんでござんすかという事。てのじとごのじを略していう。
「きれい」--通り言也
「おたのしみ」--上に同じ
「きちげへじみた」--上に同じ
「なんとでもおいいなんし」--なぶられる時いう言葉
「ちょっとみな」--ほめられる時じらす言
「いいあめだつけね」--居続けの客をなぶる言葉
「こんなこんな」--是れ是れという事。人を呼ぶときに用いる
「はなしが有るよ」--話のないときも用いる
「あきれけへるよ」--言葉の内に是を多く云
「こんたアの」--茶屋の男などを指していう。こなさんという事
「ぼちぼち」--もてた事也
「ちゃきちゃき」--ふられた事也
「おまへさん」「にくさしひ」
「ほんだすかへ」--人の話をする挨拶にいちいち是をいう
「だんす」--はばかりだんすなぞという所に用。
「わたくし」「あのひとさん」--名の知れぬ客をさしていう。
「きふう」--きいたふうという事。
「きさんじなもんだね」--いけねへんもんだね、しゃれたもんだね、なぞと云う所に用。
「ひねる」--おもむきの有る事をさして云。
里訛りのある言葉は、遊女だけが遣うので、女芸者にせよ、遣手婆にもせよ、遊女以外の者は一切使用しない。それも長屋という最低級の遊女は使用しない。
♪♪米汁呑忘憂♪♪