ひねって・焼いて・陶

陶芸の様々な技法、釉薬、お会いした陶芸家の方々の話等々、私が陶芸で学んだこと、発見したことなどを綴ります。

加藤喜代司さんの峰陶房

2013年04月01日 | 陶芸家

信楽の峰陶房に加藤喜代司さんを訪問しました。きっかけは、東京ドームで開催されたテーブルウエアフェスティバルの信楽焼き特別展示の中に加藤さんの作品があり、良いなと思ったからです。
加藤さんは炭化窯変に力を入れておられて、中でもしっとりとした淡いマットブルーの釉が特徴です。炭化で焼いた焼き物は、概ね黒く煤けた感じで、見た目もいかにも炭化しているという感じがしますが、加藤さんの場合は焼いている間は酸化焼成で、冷却時のみ還元で炭化にするというやり方をされている。これで鉄分の多い土はほぼ炭のように暗い灰色になり、釉薬はしっとりとした色合いになるようです。このブルーは銅を使っているのだけれど、その反応は微妙なので不良率も高いとのこと。この色調にたどり着くまでには何年もかかったとおっしゃっていた。この他にもいくつか別の技法の作品も見せて頂いたが、どれもスッキリとしてバランスの取れた形をしています。

加藤さんの生家は信楽焼きの窯元で、次男ではあったけれど他の職業に付くということは考えられずこの道にそにまま入られた。京都で修行され、その影響もあって薄作りの作品が多いのですとおっしゃっていた。窯元の出身ではあるけれど伝統工芸のカラーはそれほど無く、素直で端正であることが加藤さんの持ち味だと感じました。