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ひねって・焼いて・陶

陶芸の様々な技法、釉薬、お会いした陶芸家の方々の話等々、私が陶芸で学んだこと、発見したことなどを綴ります。

二人展最後の窯入れ

2015年03月06日 | 制作現場
搬入まであと3日と迫りながらぎりぎり最後の窯入れ。鏡を使いがんばって隙間を詰めたが3点入らず、あきらめる。『後はよろしく』、と祈って火を入れた。初めての自分たちの展示会となると制作以外にコマゴマした準備がたくさんある。今日、「ノリタケの森」で見て来た展示も参考に、これから展示用の品々の準備に取り掛かり、とにかく間に合わせなくては・・・。

ティーポットの制作

2014年08月16日 | 制作現場
2作目のポット。1作目は面取りした形状でやたらと作り難かった。やはりある程度作り易さも考慮しなければいけないと反省。そこで、今度は作り易いデザインにしたのだが、当初、半円形の取っ手にしたら手が滑って持ち難かったので、持ちやすい形状に修正したのがこのデザイン。機能性とデザイン性の両立が目標。
作家が作るポットで、蓋のつまみがないデザインが結構よくあるのだが、実際に使ってみると蓋のふちを掴むのはそこそこ不安定な感じがする。それはそれで一つの方向なのだけれど、自分が納得行くデザインとしては機能を重視してシッカリとしたつまみのある形にした。さらに、そのつまみの一部をお茶を注ぐ時に親指で蓋を押さえるための形にした。これはちょっとしたアイデアなのだが、この工夫ははるか昔にバウハウスのワルター・グロピウスがデザインしたローゼンタールのポットに既にある、と以前S先輩に指摘された。やはりバウハウスは凄い。モダンデザインは1940年頃には既にピークにあったんじゃないかと思ってしまう。
このポットの成形で苦労したのは蓋の受けの部分のロクロ成形。本やネットで様々なプロのやり方を参考にしたが、とてもデリケートな作業だ。それから、注ぎ口と本体との継ぎ目の仕上げもかなり神経を使う。ここは技を磨かなければいけない。

掛け花生け

2014年02月17日 | 制作現場
制作中の掛け花生け。タタラをくるりくるりと二ひねりして後ろで繋ぎ、底を付け、取り付け金具用の穴を開けて完成。僕のデザインにしてはめずらしく作りやすい。準備したのは、タタラ用のテンプレートと開口部分のすきまをチェックするゲージだけ。今までの作品の中で最も制作工程が単純な割には形の面白さがあると思っている。かみさんも「面白いのが出来たね。」と言ってくれたので気を良くしてる。

このデザイン、以前美濃陶磁器フェスティバルで見たベルギーのANN VAN HOEYさんのタタラ作りの作品に触発されている所もある。単純なものを少し加工することで思いがけず生まれる不思議な形、とでも言えば良いのか。これを元に更に色々な展開ができそうな気がする。



この作品、座りが悪いので塩ビパイプを切ったものにタオルを敷いて乾かした。

陶のLEDランプ

2013年12月24日 | 制作現場
来年1月の締め切りに向けての制作。以前作ったLEDランプをベースにディテールを色々改良している。そのために成型用の型をおおかた作り直した。

外型は石膏で、これで一番大きなタタラを成型する。タタラを組立てる時は型に乗せたまま垂直に立てるので、タタラがずれたり外れない様にゴムひもとプラスチックの板でタタラと石膏をくくり付けてある。タタラを型から外して組み立てると、手で持った時に重みでタタラが変形しやすいのでこうなった。

内型の上部は発泡材で、タタラを組立てた後に開口部から取り出す為に5つに分割してある。これが、何故かいくら考えても5つ以下では取り出せない。この発泡材、以前は水色のスタイロフォームを使っていたのだが、ホームセンターで何時の間にかベージュの製品に切り替わっていた。以前より少し密度が低く、水色の方が扱い易かったのに残念。

組立てと仕上げで丸二日かかった。形が出来上がったら、最初は乾燥を遅らせるために新聞紙で包んで丸1日は置いておく。

蚊遣り器

2013年09月02日 | 制作現場
蚊取り線香立てを考えている内に夏も終わりそうになってしまった。でも夏はまた来て、蚊もまたやって来る、と気を取り直して紹介します。
基本形は縦型で考えることにした。線香の取り付け方に、水平に置いた金属棒に線香の中心に近い所を縦に引っ掛けるものが多いので、これを実際に試してみる。すると線香が燃えて行くにつれて重量のバランスが変わり線香は少しづつ回転してしまう。その結果金属棒の位置は線香の中心よりも外側に移動し、最後にはかなりの量が残ったまま燃え尽きてしまうことが判った。これでは不完全燃焼だ。そこで線香が燃えている間に回転しない取り付けを考えた。そして器を持ち運びし易いように取っ手を付けることにもした。これが第一号で先ずは即席模型を作ってみた。
しかし、しばらくすると我ながら見た目がいまいちではないかと思うようになり、また線香の取り付けが結構やりづらいことも判った。更に、もしこれが倒れたら線香が外れるかも知れないという危険性も頭をよぎり始める。



そこで第二号を考え始めた。今度の取付は、線香の中心に開けてある細いスリットを利用することにした。ここを利用すると線香はそう簡単には外れない。しかしこのスリットはかなり細いので相当に薄い板でないと差し込めない。試してみると差し込み易いのは0.5mm以下だった。色々な材料を検討した結果、0.9mmのステンレス線をU字型に曲げ、その先の方を金槌できれいに叩き潰して0.5mm位にする。これで薄くてシッカリした取り付け部が出来る。後は、焼成後に土に開けた穴にそれを差し込んで接着する。

本体は灰を受ける部分を小さめにすることで線香を取り付け易くし、また低重心にもなった。基本形のリングは安定性を考えて幅広にしたので取手部分に装飾の透かし彫りを入れることにした。一個めは四角のパターンにし、二個目は夏の夜にちなんで月の満ち欠けの図柄を考えた。



タタラを組み合わせた比較的シンプルな作りになったが、作業を少しでも簡単かつ手早くするために、スタイロフォーム型や、型から粘土を外す為の台、リングに側壁を付けるための落とし込み部分を切り取るための治具、型紙などを準備した。こうした準備をしておくと数を作れるし、作品のクオリティも上がるというものだ。ちなみに、こうした作品専用の道具類はジップロックのバッグに入れて保管している。


土はあまり深く考えずに白の中目で制作した。しかし、素焼きが出来ていざ釉薬を決める段でどうするか悩みに悩んでしまう。やはり、土と釉薬の組み合わせは初めから考えておかないと、と反省。ここはあまり引き出しが多くないのだ。結局、いま開発途中の黄瀬戸っぽい釉薬を使うことにする。色味が狙い通りに出るかどうかが心気がかり。