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ひねって・焼いて・陶

陶芸の様々な技法、釉薬、お会いした陶芸家の方々の話等々、私が陶芸で学んだこと、発見したことなどを綴ります。

ワイヤーカットで作るティーポットハンドルと注ぎ口

2019年09月17日 | 制作現場

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ティーポットのハンドルはタタラを元に作っている。画像左側が厚みの変化したタタラを作る傾斜台。手前が浅くなっている。出来たタタラを右側の台(ハンドルの平面形状)に載せ、直角が出せるワイヤーで外周をカットする。その後、更に台形断面にワイヤーカットする。その後ハンドルに布を掛け、ワイヤーカットで出来たシャープエッジを指先で擦って滑らかに丸める。

 

 

でき上がったハンドルを曲げ型(スタイロフォームをニクロム線でカットしたもの)にはめ込み生乾きさせた上で本体に取り付ける。

 

注ぎ口は直方体の粘土の塊からテンプレートをガイドにしてワイヤーカットして作る。以前のティーポットでは轆轤で作った円筒形の注ぎ口だったが、今度のデザインには合わないので角張った形状にした。ワイヤーでの成形は轆轤成形では出来ない形状が可能となるのがメリット。

 

大まかに直方体を作った後、左の台に乗せ、弓でカットしてきれいな直方体を作る。右はその直方体を注ぎ口の形状にカットする為のテンプレート。番号順に直方体に貼り付けてカットする。②は穴くり抜き用のテンプレートで、ここで使うのは小さいヌンチャク型のワイヤー。 

 

ちなみに、今までに作ったワイヤーカットツール。陶芸用具の発達しているアメリカではこの手の市販品もあるが作る手間はしれている。ステンレスワイヤーはホームセンターで売っている一番細い0.36mmを主に使っている。

 

 

 

 

 


ティーポットのツマミ

2019年09月10日 | 制作現場

新しいデザインのポット用のツマミ。複雑な形状なので、納得のいく形に中々まとまらない。修正に修正を重ねてようやく出来た原型から石膏型を取る。この原型には工業用クレイを使っている。陶芸用の原型は一般的には石膏で作るものだが、工業用クレイは肉を盛る修正が容易なのが特長。もちろん削るのも容易で、また、型取りする時に離型剤が要らないのも便利。

このツマミ、つまんだ時に丸い凹面が指先にシッカリとフィットするのでつまむ事が快感。またお茶を注ぐ時にこの上面を親指で押さえるのだが、それも安心感を感じさせる。轆轤で作る一般的な球状のツマミに比べて作る手間は掛かるが使い心地は良いと自負している。

以下はツマミの成形手順。

・左右の型に各々粘土をはめ込む。

・合わせ面(中心の平面)からはみ出た粘土をワイヤーで削り取る。

・貼り合わせる粘土面にドベを塗る。

・左右の型を合わせて粘土を接着する。

・上面に盛り上がった粘土を締めて、上面用の型で成形する。

 

 


シュラックニスを塗った粘土の原型

2019年06月09日 | 制作現場

石膏型用の原型は石膏で作るのが一般的だが、粘土でもいけるのではないかと思いやってみた。粘土を使う理由は、石膏の場合削り過ぎた時に盛るのが面倒なので作りながら形を検討し難いからだ。その点、粘土は修正が容易。原型作りには粘土があまり使われないようだが、その理由は繰り返して使い難いためかも知れない。しかし、成形した粘土原型にシュラックニスを塗って表面を硬くし、耐水性を持たせれば良いのではと考えた。実際にやってみたところ、かなり上手く行った。粘土は完璧に乾かさなくてもある程度乾けばニスは塗布出来る。塗布してしまえば乾燥し難くなるのでそれ以上収縮する事は無い。念のため原型にカリ石鹸を塗ったが、離型は石膏以上に良い感じがした。短所をあげると、生の粘土は石膏よりも強度が低いので、あまり細長かったり極薄の形には不向きかも知れない。私は普段原型には石膏の代わりにインダストリアルクレイを使っているが、準備や後片付けの手間を含めるとこのやり方もメリットがあると思う。

このやり方、自分が発見したつもりになっているが、案外既にやっている人は多いのかもしれない。

 

シュラックニスを塗った磁器土の原型

 

完成した型で成型したポットのツマミ。


焼き過ぎの素焼

2018年11月13日 | 制作現場

展示会を前にしてとんでもない失敗をした。素焼をしている窯をふと見たら、あろう事か940度になっている。あわててスイッチを切って表示パネルをよく見たらプログラム番号が本焼きの番号になっているではないか。何というミス!土が焼き締まって釉薬が付かないかも知れないと心穏やかでない。窯が冷めてから恐る恐る扉を開けてみたら、土の色は普段の素焼と変わらない。とりあえず最悪の事態ではなさそうだ。素焼した中に寸法を間違ったポットの蓋があったので早速試し掛けしてみる。以前素焼した欠片にも釉掛けして虫眼鏡で厚みを比較してみると、ほんの僅か940度の方が薄いかもという程度の差しか無かった。やれやれ助かった。慣れから来る不注意、気を付けよう。


ランプ制作中

2018年05月30日 | 制作現場

ランプを逆さまにして透し彫りのディテールを仕上げているところ。この手ロクロはこうした仕事に合わせて好きな位置で固定できるようにしてあります。ロクロの側面に付いているエポキシパテの突起に、重しに接着した木のブロックの凹みが噛み合います。この丸い鉄の重しは、その昔自動車の線図を描く時に使っていた道具。色々なものをちょっと固定するのに結構役立ってます。