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酒と音楽とPC

血は酒で出来ている(某声優談)。他の趣味はPC組み立てるのと音楽聴くのしかない。

TEAC NT-505

2020-09-26 23:38:57 | オーディオ
以前にTEACの旭化成AK4499チップ使用ネットワークプレイヤーを待っていると書いた。だがよくよく考えるとTEACの上位ブランドEsotericのネットワークプレイヤーやUSB-DACのチップが未だにAK4497。そしてEsotericの高級品は既製品のDACチップを使わずに自前のディスクリートDAC使用になっている。つまり、今後早急にAK4499を使ったTEACのUSB-DAC、ネットワークプレイヤーが発売される見込みは薄い。Esotericの使った技術を流用して廉価機を作るというのがTEACの方針だからだ。出るとしても早くて数年後だ。そういうことで今更ながらNT-505を買うことに決定

3年も前の製品で今となっては型落ちチップであるAK4497の機種を今更買うのは正直気が進まない。しかしながら、手頃な値段でOpenHome、Roon対応、XLR接続、ボリュームつきという必要条件を満たす機種は国内にはこれしかない。欧米製品はほとんどがただのネットワーク・トランスポートなのでDACとプリアンプを別に単体購入せざるを得ず、コストが嵩む。中華は日本同様にネットワークプレイヤーの需要が市場にないらしく、安物ばかり。Sonica DACのようにオマケでネットワーク機能がついているDACはあるが、こちとらメインがPCではなくネットワークなので敬遠。ちなみに日本でもこの手のネットワーク機能を持つDAC、CDプレイヤーがボチボチ出始めてきた。個人的には余計な機能は要らないのでシンプルなネットワーク・プレイヤーが良い。余計な機能の分値段も上乗せされているわけだし。

一瞬Luminでも買ってDACだけ中華ヘッドフォンアンプ兼用複合機(これならボリュームもつく)で間に合わせようかという気の迷いが生じたが、それでも安く見積もって30万コース(ケーブル等を含めて)なので潔く諦めた。それでもボリュームが不安である。この手の製品でボリュームにコストが掛けられるわけがない。TEACはAP-505という単体パワーアンプを発売し、かなり売り上げた。ならばReferenceシリーズで小型プリアンプを発売するのが筋ではないだろうか。AP-505使用者のみならず、貧弱なボリュームのUSB-DAC使用者、AX-505使用者あたりにも喜ばれるように思うのだが。HDMIを受けられるようになっていたらなお良い。テレビを有機ELに買い替えた後、幾つか映画を見た結果、音が悪かったら画面が大きくなっても全然楽しくないことを実感した。今はTVから直接光ケーブルでDRA-100に繋げているが、ネットワークプレイヤーかプリアンプがHDMI対応していたらいいのにと思わずにいられない。光ケーブル、同軸は遠からずレガシー規格として消え去るだろう。音質的にあまり有利とは言えないが、利便性でHDMI、USB、DPに統一されてしまうのは時代の流れだ。高級品は今後もBNC端子をつけるのだろうが、オーディオ市場の縮小でなかなか手の届かないお値段になるだろう。ここ数年で国産オーディオの価格はモデルチェンジの度に激しく高騰している。需要がなくて市場が小さくなっているのになんとか食い扶持を稼ごうとどんどん値上げするわけだから余計に売れなくなる悪循環に陥ってるようにしか見えない。量産効果がなくなって開発費も縮小されているから製品のクオリティやコスパは逆にどんどん下がっている。国産メーカーが富裕層向けのアキュフェーズ、TAD、Esotericあたりだけになっても驚かない。一般向けのTEAC、Denon、Maranzは頑張っているがいつまでもつか。Yamahaは先日とんでもないレベルの値上げを行った。今後YamahaとPanasonic(オーディオ部門)は富裕層向けにシフトしていくのだろう。

前置きが長くなってしまったが、9月のAmazon連休セールでNT-505を注文。もう生産縮小モードらしく、逸品館ほか数社しか出品がない。しかたがないので逸品館Amazon店で注文。だが、猛烈に後悔することになる。送られてきたものをみたら梱包がAmazon仕様だったのだ・・・。これは悲しすぎる。専門店で買ったのにどうして梱包がAmazon仕様なのか。Amazonの倉庫から出たからに決まっているが、そんなの買う前からわかるわけがない。非常に落胆した。私は今回はポイント期待でセールを利用したのでしかたがないが、今後逸品館で買う場合は本家ネット通販で買おうと誓った。まあ、日本のオーディオ、家電はメーカーの包装自体が堅牢なので中身は問題ないだろう。


中身は例によって中華みたいな内容物(笑)。もうちょっと色気があってもよいのではないだろうか。ペラペラの解説書、保証書と素っ気ないビニールに包まれた本体。リモコンも中華チックだなぁ。これまた例によって電源ケーブルが貧弱。当然交換が必要なレベルである。

早速繋いでみる。NT-505の入力端子は非常に充実している。多くしすぎて音質に問題が出ているとの指摘もあるほどだ。USB-DACとしても使用可能。USB-DACとしては価格がほぼ同じであるUD-505には及ばないのだろうが。ネットワークプレイヤーとしてはPCMが32bit / 384kHz、DSDで5.5MHz止まり。それ以上の音源はネットワークでは受けられないのでUSB-DACとしてのみの利用となる。USB-DACとしてはPCMが32bit / 768kHzまで、DSDが22.5MHz(DSD512)まで対応。その他、光が2、USBが2、同軸が2個入力できる。ただし、それぞれ1個の端子は前面に配置されているのでケーブルがゴチャゴチャするのが嫌いな人には事実上1個の端子しかない。筐体の大きさを考えたらこれは仕方がない。TEACが売りにしているクロックジェネレーター向けのBNC端子もある。逆に出力端子は非常にシンプルでRCAとXLRが1系統づつ。RCAとXLRは排他利用である。

なお、Bluetoothはあるが、通常の無線LAN機能はない。つまり、有線接続が前提のネットワークプレイヤーである。この点がDRA-100とは大きく異る。y有線特化のお陰でDRA-100と違ってネットワーク接続に苦労することはない。

電源ケーブルは音光堂の塩田電線を流用し、XLRケーブルは新たにBelden8870を音光堂から購入した。使い道がなくなったZonotoneのRCAケーブルも一応接続。映画の音声がTV付属のスピーカーだと途轍もなくつまらない事を実感したのでTVから光ケーブルで音声を入力。

早速ポチッとなっと思ったのだが、使い方が分からん(笑)。この機器はリモコンから直感的に操作できない。まず、初期設定の仕方がわからない。仕方なく解説書を紐解いたが、これがまた不親切極まりないと来ている。ネットワークプレイヤーは2台目なのでこの解説書でも何とかなったものの、初心者だとこの解説書から初期設定を行うのはかなりハードルが高い。何がどうしてどうなるが非常に分かりづらい解説書。音量設定を可変にしておかないと大変なことになるのでその設定を探すのだがなかなか設定できない。リモコンのエンターキーを押したらメニュー項目を決定、上下キーで数値や可変、不可変等のパラメーターを設定し、その後エンターキーを再び押したら決定のようなのだが設定がうまく行ったのかどうかわかりにくいリモコンがあるのに本体のダイヤルを回す人なんてほぼいないだろう。設定のやり方はリモコンと本体で分けて書いたほうがわかりやすいのではないだろうか。

XLR出力に設定したが音が出ない(笑)。故障かと思ったが、単にAP-505側の設定を切り替えていなかっただけだった(AP-505もXLRとRCAは排他)。XLR接続はHOT2か、HOT3かなんて問題もあるのだが、取り敢えずは無視(笑)

見ての通り、AP-505とは同じ筐体である。

両者の違いはインシュレーターにある。水平になっていない場所でも振動しないように新たに開発された可動式3点支持インシュレーターを採用しているAP-505に対して古いNT-505は従来どおりの固定4点支持インシュレーター。水平な場所に設置するなら古いNT-505のやり方でも問題ないだろう。

見せて貰おうか、XLR接続特化の実力とやらを

音質

一聴してわかるクリアな音質である。もともとAP-505は非常にクリアな音質であるが、更に一枚ヴェールが剥がれた感じのクリアさになる。さすがにDRA-100とは格が違う。投入されたコストを考えたら違っていて当然なのだが。NT-505だけでDRA-100の2倍、AP-505を含めれば4倍に相当するのだから(メーカー希望価格ではなく実売価格で算出)。

非常に繊細な部分まで聴き取ることができるようになったが、それを聴き取ろうとボリュームを上げているとトゥッティで大音量が炸裂する。贅沢な悩みではあるが。

アップコンバートやデジタルフィルタも多彩。PCM音源をDSD512にアップコンバートも出来る。ただし、DSDはイジれる部分が少ない関係上、デジタルフィルタがほぼ無効になってしまう。DSDにコンバートしたり、デジタルフィルタをかけると音は繊細になるが地ならしされた音になって躍動感が失われる。どちらを重視すべきかは個人の好みと聴いている音楽の種類によって決まるだろうから試行錯誤した方が良さそうだ。

NT-505とAP-505の組み合わせは少し古いけど良い録音という音源に効果を発揮する。カーペンターズのマスカレードに感激。今となってはあざとすぎる、ダサい、男に媚び媚びなんて言われてしまうカレン・カーペンターの歌声だが、良い音で聴いた場合はやはり素晴らしい。当時売れまくったのも納得の歌声だ。DRA-100ではふーん程度で流していた音源だからNT-505、AP-505の組み合わせでようやく実力を発揮できたということだろう。古い録音の粗をまともに出してしまうDRA-100と比較してこの組み合わせは古い音源もなかなか上手く聴かせる。サイモン&ガーファンクル、レイ・チャールズ、フランク・シナトラあたりも良かった。古いアイドルもの、ポップス、演歌、アニソン等でも効果を発揮できそうだ。ヴォーカル全般がDRA-100とは桁が違うレベルで良くなっている。

ジャズは古いルイ・アームストロングのトランペットをDRA-100よりはずっとよく聴かせるが・・・。やっぱり黒くならない。一番肝心なものが何か抜けているのだ。スウィング、ビ・バップ、ハード・バップ、フリー時代の黒人ジャズをメインに聴くならやはりデジタル・アンプは避けたほうが良いかもしれない。この時代のジャズしか聴かないという人はやはりアナログプレイヤー、アナログアンプの組み合わせが良いと思う。フュージョン、ECM、ウィンダム・ヒル、ハード・バップでも70年代後半以降のものであれば非常によく鳴らす。新しいものであればブラック・ミュージックでも全然問題ない。白人のジャズだとスウィング時代はともかく、50年代でもなかなか行けるのだが。

プログレッシヴ・ロック、ブルース・ロックあたりは普通のポップス同様、なかなか良く鳴らす。DRA-100よりかなり守備範囲が広い感じだ。この分野でもDRA-100は録音の古さ、粗さをモロに出していた。NT-505では古くてもしっかり録れているものは素性の良さを出してくる。Yes、Gentle Giantあたりは非常に改善された。ただし、DRA-100ではとても良かったマイク・オールドフィールドはあまり改善されず。DRA-100は音楽のフォーカスがピッタリ合った場合、実力以上のものを引き出す傾向があった。そういう音源ではあまり改善されたとは言えず、ものによってはDRA-100の方が良い場合もある。

クラシックではヴァイオリンなどの弦楽器が改善。室内楽はなかなか。これはAP-505+DRA-100の組み合わせでも良かった。ピアノ、管楽器も非常に良い響きだ。問題はやはりオーケストラ。DRA-100をNT-505に代えてもAP-505の音の立ち上がりが良すぎる問題は解決しなかった。全体的に非常に解像度が高くクリアなので決して悪くないのだが、やはり煩いと感じる時がある。オペラはヴォーカルが良くなったので改善した。歌手がソロを取るときは非常に良い感じ。ただし、オーケストラ部分はやはり不満が残った。合唱曲も良い。ただし、これもオーケストラが活躍するマーラーの8番やシェーンベルクのグレの歌のような曲では不満が残る。

XLR接続とRCA接続

TEACが505シリーズはXLR接続特化と言っているのだからXLR接続するのが筋である。だが、やっぱり両方試してみたい。

やってみたらなかなか興味深い結果に。単純にXLR接続が良いとは言い切れないのだ。躍動感ではRCA接続に軍配が上がった。裏を返せばRCA接続の方が粗いということもできる。だが、ハード・ロックやジャズ、一部ライヴ録音ではこの荒々しい躍動感が大人しいXLR接続より魅力的に感じる。XLR接続は最初からデジタル・フィルタが掛かっている感じなのである。クラシックならそれで良い場合が多いだろうが、他の音楽では音源によって切り替えたい。しかし、AP-505がラックに入っていると簡単に切り替えることが出来ない。切り替えスイッチは筐体の裏側にあるのだ。とても残念である。音質重視で極力役割を減らしたシンプルなパワー・アンプなのだから仕方がないのだが。

操作性

OpenHome対応機種はプレイリスト関連の読み込み方法が異なるとかでサクサク動く。OpenHome未対応機器で疑似OpenHome環境を作るBubleUPnP Serverはここは真似できないので便利にはなっても操作自体は速くならない。NT-505はDRA-100とは桁違いに速いと言っていい。直結しているUSB-DACには及ばないが、回転する分タイム・ラグがあるCDプレイヤーより速いのではないだろうか。ネットワークに切り替えた瞬間に待ち時間が少しあるが、一旦繋がった後はストレスのないスピード感になる。DRA-100でよくあるグルグルをほとんど見なくて良くなったのは嬉しい(接続がうまく行かない場合ビジー状態になったWindowsとよく似たグルグルマークが出る)。ちなみにNT-505はグルグルマークではなくReadyという表示である。

アプリ

専用アプリのHD Streamerはとにかく使いづらい。見た目は良いのだが、見た目重視で合理的なUIの配置になっていない。このアプリを作った人は本当に使ってみたのか?と問いたい。どうせ外人なので質問などできないが。RoonやBubleuPnPがパッと見不細工なのはちゃんと理由があるのだ。画面の小さいスマホアプリで使い勝手よりデザインを優先させるととても使いづらいものになる。特に何もかも隠したり、指で簡単に触れないぐらい細かく画面を区切ってしまうHD Streamerみたいなアプリは最悪だ。NT-505は一応統一規格(?)であるOpenHome(実態はまともな統一規格が出来ないのに業を煮やしたLinnが公開しているとはいえ、勝手にやってた規格に他社が追従しただけ)対応なので他の良いアプリがいくらでも使える。故にHD Streamerをスマホに入れてコントロールアプリとして使う人はまずいないと思う。PCからUSB-DACとして使用し、ASIOを効かせるPCアプリとしてなら使う人がいるかな?ASIOの動作は保証されるのだろうし。ただし、私はゴメンだ。

長くなったのでRoonコアやUSB-DACとしての使用感はまた別項にしたい。

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2 コメント

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Unknown (通りすがりの者)
2021-09-12 11:23:09
はじめまして。
わたしもAP-505を使用していて、HDMIを受け入れるプリアンプやDACはないものだろうかとネットを徘徊していてこちらにたどり着きました。
AKMの工場火災の余波で、結局NT(UDも)505はESS9038Q2MにDACチップを変更するようです。
505-Xと名称変更されるようですが、チップ変更に伴う回路変更にとどまるようで、残念ながらHDMIを受け入れるようにはならないようです(インシュレーターは変更になるようですが)。
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Unknown (ディック九州)
2021-09-12 12:40:27
はじめまして。
旭化成は火事が多いですね。もう何回目ですか。
みんなESSになっちゃったら面白くなくなりますね。
それ以前に原料不足で工場の稼働率が恐ろしく下がっているようなのでまた値上げですかね。
UD-701の発売が遅れに遅れているのもきっと部品調達が出来ないからなのでしょう。
コロナで中国の港が更に封鎖になったらどうなることやら。
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