笑った!めったに笑わないはずのサーシャが笑った。
今年もジュニアグランプリ・シリーズの季節がやってきた。
第1戦となるジュニア・グランプリ・オーストラリア大会で優勝したのは「サーシャ」の愛称を持つロシアのアレクサンドラ・トゥルソワ選手。
史上最年少の13歳64日での優勝は、リプニツカヤの13歳103日を更新する記録(*1)とのこと。総合得点の197.69点も(JGPFとWJCを除く)JGPシリーズで最も高い得点(*2)だ。ザギトワやグバノワを上回っている!
(Gettyimages.co.jp Sorry for not embedding the image.)
写真は左からグリャコワ(166cm)、トゥルソワ(148cm)、滝野莉子(145cm)
「引率の女性コーチと子供たち」と言う人もいるが、全て選手。一番年上は滝野莉子選手。
順位 | 名前 | 年齢 | 所属 | 得点 | SP | FS |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | アレクサンドラ・トゥルソワ | 13 | ロシア | 197.69 | 1 | 1 |
2 | アナスタシア・グリャコワ | 14 | ロシア | 181.43 | 2 | 2 |
3 | 滝野莉子 | 15 | 日本 | 174.16 | 3 | 3 |
4 | 松岡あかり | 13 | 日本 | 168.05 | 4 | 4 |
5 | ケイトリン・ニューエン | 13 | 米国 | 161.42 | 6 | 5 |
6 | ティン・ツゥイ(クイ) | 14 | 米国 | 150.95 | 5 | 7 |
上記の選手は全員がJGP初出場のようだ。
大会結果サイト
ショート・プログラム
SP: / 3F(r)+3Lo 3Lz(r) 2A
サーシャもザギトワなどと同様に3+3Loジャンプを跳ぶ選手。さらにエテリ組の掟に従いジャンプはすべて後半に跳び、クリムキンイーグルから両手上げの3Lzを跳ぶ恐ろしい子。難しい繋ぎから2A、バレージャンプなども披露。緊張していたのか粗い滑りに見えたが、案の定PCSはグリャコワに軍配が上がった。
トゥルソワ SP 65.57(TES 39.46 + PCS 26.11)
グリャコワ SP 63.47(TES 36.90 + PCS 26.57)
ザギトワ '16年JGP#1 SP 68.88 (TES 40.80 + PCS 27.27)
キレイなキレイなプロトコル。エテリ組の掟に従いスピンは全てレベル4。少しGOEの加点は少ないか?
「FSの前にコアラを見て気分転換してきたよ。」 by サーシャ
フリー・スケーティング
FS: 4S(UR) / 3Lz(r)+3Lo 3F(r)+2T+2T 3Lz(r)+3T(r) 3F(r) 3S 2A
コールされてから演技開始位置に着くまでにカメラを意識したサーシャ。安藤美姫以来(?)の4Sにチャレンジしたが、転倒はしないものの惜しくも回転不足だった。それでも6.73点を獲得。6つのジャンプを後半に跳ぶ恐ろしい構成。ステップこんなだったっけ!? 再びクリムキンイーグルを披露。グレイヘンガウスの曲の編集と振付は秀逸か。FSではPCSもグリャコワ選手を上回り、TESは圧倒した。
トゥルソワ FS 132.12 (TES 75.62 PCS 56.50)
グリャコワ FS 117.96 (TES 63.05 PCS 55.91)
ザギトワ '16年JGP#1 FS 126.30 (TES 68.88 PCS 57.42)
4Sを除くと、これまたキレイなプロトコル。
素人目にはそれほどスピンがうまい選手には見えないが、要件を満たし、スピンは全てレベル4。さらにSPでレベル3だったステップもFSではただ一人レベル4を獲得。
昨年秋の段階で既に3-3連続ジャンプ2つ(3Lz+3T+2T, 3Lz+3T)を跳んでいたが、今年の2月に3Lz+3Loを、4月に4Sとクリムキンイーグルをマスターしたようだ。
3Aは昨年11月にエキシビションで披露したが、こちらはまだ習得中なのだろう。エテリ組の選手はアクセルは苦手なのかもしれない。
同門のシェルバコワやタラカノワのほうがステップ、スケーティングは優れているとの評判だが、トゥルソワも格段の進歩があったと思う。
第2戦で4Sをクリーンに跳んでほしい。
かなり笑顔が多くなり、アニメのキャラクターのティッシュケースを持ち歩いていることとあわせて日本でも人気が上昇するかもしれない。
今や本家を超えるほどタノを連発するグリャコワのジャンプ、今回は腰痛明け?とのことで奥儀3Aは見れなかった。滝野莉子のスケーティングは宮原知子を連想させるスケーティングに見えるが、少し3Lz!が課題点か。こちらもローカル大会でチャレンジした3Aは見送ったようだ。松岡あかりのFSは回転不足が3つあったが、スピン、特にラストの高速回転のレイバックスピンは圧巻だった。松岡さんは樋口新葉に続く数少ない関東勢の選手なので今後の成長を期待したい。
JGPにデビューするジュニア選手の活躍を予想するのはなかなか難しいが、昨年のザギトワ、今年のトゥルソワと、活躍を期待した選手が、いずれも第1戦にエントリーされ、予想以上の結果を残している。
今季の衣装はSPが黒、FSが青。衣装の背中と長い髪をまとめたお団子髪がきれいだ。
昨季のFSは赤い(朱色の)衣装を着ていたので「赤い彗星」と名付けたが、今季は何と名付けよう?
JGP開始直前に作られたサーシャのインスタグラムのアカウント。サーシャが最初に投稿した写真にコメントを書いた3人のうちの一人となり、さらに「サーシャ、頑張れ」のメッセ―ジを最初に書いたファンとなった。
(*1)こちらによる
(*2)JGPのベストスコア('16/'17, '15/'16, '14/'15, '13/'14)