
シューマッハ、地元ドイツで完勝で3連勝!!
ここのところモータースポーツ関係の記事がなかなか書けていなかったのですが、ミハエル・シューマッハが地元ドイツで勝利し、アメリカGPから3連勝を果たしライバル、アロンソとの差を一気に11点まで縮めました。
今までのアロンソの勢いからすると、11点差があればシュマッハに優勝されたとしても自身が2位に入ることで2点づつしか差を詰めさせなかったのですが、この3戦でシューマッハが10・10・10とポイントを重ねているところに、4・8・4と明らかに序盤~中盤の勢いが無くなってきています。
理由は様々だと思いますが、今回のドイツGPに関してはまったくドライビングに切れがなく、戦略(チームオーダー含む)を駆使してなんとか4ポイントもぎ取ったといった感じでした。
多少の苛立ちとか焦りはあるにしても、ドライバーの技量そのものは疑いようがないだけに、主にマシンによる差が大きいと思われます。しかし、序盤~中盤であれだけ完璧だったルノーのマシンに何が起こっているのか?若しくはフェラーリのマシンが急速に力を付けてきたのか?
どちらのチームも新型シャシーへの変更など大掛かりな改良はしていないはずなので、(こまかい改良はそれこそ1レース毎に行われているでしょうが)考えられる一番の要素はタイヤということになります。
タイヤはルノーがミシュラン、フェラーリが日本のブリヂストンを選択していて、昨年はミシュランタイヤにアドバンテージがあったようですが、ブリヂストンも契約チームを増やし今期に掛ける意気込みは並々ならぬものがあるはずです。
というのも、レギュレーションにより来年からタイヤのワンメイク化が決定しており、その入札にミシュラン及び他のタイヤメーカーが参加する見込みのないことから、来期からはGPが行われる毎にブリヂストンの勝利記録が伸びていく訳ですが、イメージ的にもレース屋の心情的にも何とか今年実力でミシュランを打ち破っておきたいと思っているはずだからです。
それがタイヤ戦争のような形で、より柔らかくグリップの良いタイヤと耐久性という相反する要求のせめぎ合いで両メーカーは各GPに今まで以上に攻めた作りのタイヤを持ち込んでいるはずで、ここ数レースはブリヂストンの持ち込んだタイヤにアドバンテージがあったという事でしょう。
そのことは、フェラーリだけではなくトヨタの躍進にもつながっていると思われます。残念ながらウイリアムズをはじめとした他のブリヂストンユーザーは、それ以前の問題によりリザルトを残していませんが、ドイツではウェバーが上位を快走するなどやはりタイヤアドバンテージは今ブリヂストンが握っていると思われます。
そして、ルノー不振のもう一つの理由として考えられるのが、マス・ダンパーという昨年からルノーが積極的に採用しているシステムがフランスGP以降、レギュレーション違反に該当するとの決定をFIAが下したとの事です。
マス・ダンパーとは、通常のサスペンションとは別に重量物をダンパーを介してマシンのどこか(重量バランスの良いところ)に設置して、マシンの挙動を安定させようといった装置で、車が走行中路面から受ける衝撃や、ダウンフォース、ブレーキングや加速の際のノーズの沈み込みや浮き上がり、コーナリング中のロールなどはサスペンションという懸架装置にて吸収されている訳ですが、パッシブ(受身)的な反応のためどうしても機能するのにわずかなタイムロスが生じ、マシンはその間沈み込んだり傾いたりしている訳です。
現在のレーシングカー特にF1は空力によるダウンフォースをいかに安定して発生させるかでアドバンテージが得られるので、マシンが傾いたり沈んだりしている時間が長いと、その分研究施設で得られた最適の空力が得られなくなってしまいます。これを改善したのが既に禁止されてしまっていますが、アクティブ(積極的)・サスペンションという物で、センサーによるマシンの挙動変化を感知し、サスペンションを伸縮されることにより車体と路面との距離、前後のバランスを一定に保ち常にデータ通りの空力を得る事を目的とした装置でした。
また、余談ですがストレートでは車高を上げコーナーでは下げるなどをして常にマシンにとって最適の状態を保っていたといいます。
今回のマス・ダンパーも機構こそ違うとはいえ、車両の状態を一定に保つという目的は同じだったはずで、ルノーのマシンが昨年からどのサーキットでもすぐれた特性を発揮していたのには、基本設計の優秀さもさることながら、このマス・ダンパーに負うところも大きかったのかもしれません。
では何故、今回禁止になったかというと、以前からF1では空力装置が可動する事をレギュレーションで禁止しています。ですので、F1のウイングは飛行機のウイングのようにタラップが可動するなどして空力特性を変化させるといったことができません。以前には柔らかい素材を使って(といってもフニャフニャではないですが)、空気抵抗によるウイングのたわみまで計算に入れて設計されていたマシンがありましたが、それも摘発されて禁止されています。
という訳で、マス・ダンパーというマシンに内蔵された一見空力とは関係なさそうに思われるパーツがその設計思想(空力を安定させる)から空力装置とみなされ、それがダンパーによって重量物が可動する事によってマシンの振動を相殺するという可動する空力装置とみなさたということです。
但し、ルノー側からはメカニカルグリップ(タイヤとサスペンションの機構によるグリップ)を補う装置で空力装置では無いという声明が出され、急遽ドイツGPのオーガナザーからは使用OKの許可が下りたらしいのですが、後々になってFIAによるリザルト抹消などを恐れてルノーはこのマス・ダンパーを使用しなかったとのことです。
当然、F1の世界では他チームの開発した物でも有効と判断されればそくコピーされ使われてしますし、トップチームであれば有効かどうかのテストは必ずやっているはずです。現在はルノーだけではなく複数チームが採用しているらしいですが、基本的な空力が優れているルノーがその装置の最大の恩恵を受けられるマシンなのかもしてません。逆に言えば過去の攻めすぎた空力マシンのように、常に安定した状況でないとその力を発揮できず、大変乗りにくいマシンしなってしまうのかも知れません。
マス・ダンパーの存在が注目される前から、シューマッハの連勝は始まってしたので、直接的な原因ではないのかも知れませんが、マス・ダンパーを使わなかった今回のドイツGPでのルノーの戦闘力は、フェラーリどころかマクラーレン、ホンダ、トヨタなどといった中堅チームと互角程度に見えてしまったこともあり、ルノーのマシンアドバンテージは完全に無くなってしまったのかも知れません。
マシンの信頼性は高いため、アロンソは今年一度のリタイアも無く、全戦でポイントを獲得しているのですが、1位か悪くても2位といった序盤の勢いは完全に無くなってしまっていて、逆にシューマッハはリタイアが一度あるものの、優勝数でも5勝を数え、今一番勢いに乗っているため、一時は絶望的とも思えた21ポイントの差が、どう転ぶかだれも分からない11ポイント差になりました。
残り6戦、カギを握るのはまず両者ともマシントラブルやアクシデントでリタイアしない事、必ず相手より上のリザルトでフィニッシュする事、できればチームメイトやライコネンなどの有力ドライバーが相手が取るべきポイントをさらう事などが大変重要になってくるはずです。
できれば、チャンピオン争いがつまらない事であっさり決まってしまう事なく、今年で最後になってしまうかも知れない鈴鹿サーキットでの日本GPまで争っていて欲しいと願います。
また、シーズンも半ばを過ぎ、次々と来年に向けた発表がされていますね。トヨタは現在のトゥルーリと3年契約を発表し、契約の残っているラルフと共に来年もトヨタをドライブする事が決まり、またトヨタは現在のミッドランドからウイリアムズにエンジンの供給先を変更する事となりました。ウイリアムスは元々地力のあるチームなだけに来年は更に活躍する可能性が出てきました。
ウイリアムズにエンジンをとられた格好になったミッドランドは多分今年ウイリアムズが使用しているコスワースエンジンを積むことになるのでしょうが、エンジンだけ良い物を積んでいてもパッケージとして完成していなければスピードを発揮できない事を自身のチームやスーパーアグリが証明してしまっているため、まずは優れたシャシーを作る事のできるチームになる事が先決でそれには案外コスワースエンジンはベストチョイスかも知れません。
またスーパーアグリもようやくドイツGPで新車SA06を投入する事になったのですが、日進月歩のF1の世界でようやくテールエンダーとしてまともにレースに参加できることになっただけなので、今年の残りのレースでまずはSA06を熟成させ、来年は頭から戦えるチームになって欲しいものです。
真夏の2連戦として、今週末にはハンガリーGPが開催されるので、ここでのルノー、フェラーリのパフォーマンスが今後のチャンピオンシップの流れを大きく変えることになると思います。
低速のミッキーマウスサーキットの典型であるハンガリーは思わぬ伏兵の台頭も予想されますが、マス・ダンパー騒動の行方、ルノーのマシンの戦闘力が非常に楽しみです。
最後にブリヂストンタイヤGP100勝おめでとうございました!!
かつて末端の末端ではありますが、ブリヂストンタイヤの販売に係わっており、自身も熱烈なブリヂストンユーザーだったのでうれしい限りです
ここのところモータースポーツ関係の記事がなかなか書けていなかったのですが、ミハエル・シューマッハが地元ドイツで勝利し、アメリカGPから3連勝を果たしライバル、アロンソとの差を一気に11点まで縮めました。
今までのアロンソの勢いからすると、11点差があればシュマッハに優勝されたとしても自身が2位に入ることで2点づつしか差を詰めさせなかったのですが、この3戦でシューマッハが10・10・10とポイントを重ねているところに、4・8・4と明らかに序盤~中盤の勢いが無くなってきています。
理由は様々だと思いますが、今回のドイツGPに関してはまったくドライビングに切れがなく、戦略(チームオーダー含む)を駆使してなんとか4ポイントもぎ取ったといった感じでした。
多少の苛立ちとか焦りはあるにしても、ドライバーの技量そのものは疑いようがないだけに、主にマシンによる差が大きいと思われます。しかし、序盤~中盤であれだけ完璧だったルノーのマシンに何が起こっているのか?若しくはフェラーリのマシンが急速に力を付けてきたのか?
どちらのチームも新型シャシーへの変更など大掛かりな改良はしていないはずなので、(こまかい改良はそれこそ1レース毎に行われているでしょうが)考えられる一番の要素はタイヤということになります。
タイヤはルノーがミシュラン、フェラーリが日本のブリヂストンを選択していて、昨年はミシュランタイヤにアドバンテージがあったようですが、ブリヂストンも契約チームを増やし今期に掛ける意気込みは並々ならぬものがあるはずです。
というのも、レギュレーションにより来年からタイヤのワンメイク化が決定しており、その入札にミシュラン及び他のタイヤメーカーが参加する見込みのないことから、来期からはGPが行われる毎にブリヂストンの勝利記録が伸びていく訳ですが、イメージ的にもレース屋の心情的にも何とか今年実力でミシュランを打ち破っておきたいと思っているはずだからです。
それがタイヤ戦争のような形で、より柔らかくグリップの良いタイヤと耐久性という相反する要求のせめぎ合いで両メーカーは各GPに今まで以上に攻めた作りのタイヤを持ち込んでいるはずで、ここ数レースはブリヂストンの持ち込んだタイヤにアドバンテージがあったという事でしょう。
そのことは、フェラーリだけではなくトヨタの躍進にもつながっていると思われます。残念ながらウイリアムズをはじめとした他のブリヂストンユーザーは、それ以前の問題によりリザルトを残していませんが、ドイツではウェバーが上位を快走するなどやはりタイヤアドバンテージは今ブリヂストンが握っていると思われます。
そして、ルノー不振のもう一つの理由として考えられるのが、マス・ダンパーという昨年からルノーが積極的に採用しているシステムがフランスGP以降、レギュレーション違反に該当するとの決定をFIAが下したとの事です。
マス・ダンパーとは、通常のサスペンションとは別に重量物をダンパーを介してマシンのどこか(重量バランスの良いところ)に設置して、マシンの挙動を安定させようといった装置で、車が走行中路面から受ける衝撃や、ダウンフォース、ブレーキングや加速の際のノーズの沈み込みや浮き上がり、コーナリング中のロールなどはサスペンションという懸架装置にて吸収されている訳ですが、パッシブ(受身)的な反応のためどうしても機能するのにわずかなタイムロスが生じ、マシンはその間沈み込んだり傾いたりしている訳です。
現在のレーシングカー特にF1は空力によるダウンフォースをいかに安定して発生させるかでアドバンテージが得られるので、マシンが傾いたり沈んだりしている時間が長いと、その分研究施設で得られた最適の空力が得られなくなってしまいます。これを改善したのが既に禁止されてしまっていますが、アクティブ(積極的)・サスペンションという物で、センサーによるマシンの挙動変化を感知し、サスペンションを伸縮されることにより車体と路面との距離、前後のバランスを一定に保ち常にデータ通りの空力を得る事を目的とした装置でした。
また、余談ですがストレートでは車高を上げコーナーでは下げるなどをして常にマシンにとって最適の状態を保っていたといいます。
今回のマス・ダンパーも機構こそ違うとはいえ、車両の状態を一定に保つという目的は同じだったはずで、ルノーのマシンが昨年からどのサーキットでもすぐれた特性を発揮していたのには、基本設計の優秀さもさることながら、このマス・ダンパーに負うところも大きかったのかもしれません。
では何故、今回禁止になったかというと、以前からF1では空力装置が可動する事をレギュレーションで禁止しています。ですので、F1のウイングは飛行機のウイングのようにタラップが可動するなどして空力特性を変化させるといったことができません。以前には柔らかい素材を使って(といってもフニャフニャではないですが)、空気抵抗によるウイングのたわみまで計算に入れて設計されていたマシンがありましたが、それも摘発されて禁止されています。
という訳で、マス・ダンパーというマシンに内蔵された一見空力とは関係なさそうに思われるパーツがその設計思想(空力を安定させる)から空力装置とみなされ、それがダンパーによって重量物が可動する事によってマシンの振動を相殺するという可動する空力装置とみなさたということです。
但し、ルノー側からはメカニカルグリップ(タイヤとサスペンションの機構によるグリップ)を補う装置で空力装置では無いという声明が出され、急遽ドイツGPのオーガナザーからは使用OKの許可が下りたらしいのですが、後々になってFIAによるリザルト抹消などを恐れてルノーはこのマス・ダンパーを使用しなかったとのことです。
当然、F1の世界では他チームの開発した物でも有効と判断されればそくコピーされ使われてしますし、トップチームであれば有効かどうかのテストは必ずやっているはずです。現在はルノーだけではなく複数チームが採用しているらしいですが、基本的な空力が優れているルノーがその装置の最大の恩恵を受けられるマシンなのかもしてません。逆に言えば過去の攻めすぎた空力マシンのように、常に安定した状況でないとその力を発揮できず、大変乗りにくいマシンしなってしまうのかも知れません。
マス・ダンパーの存在が注目される前から、シューマッハの連勝は始まってしたので、直接的な原因ではないのかも知れませんが、マス・ダンパーを使わなかった今回のドイツGPでのルノーの戦闘力は、フェラーリどころかマクラーレン、ホンダ、トヨタなどといった中堅チームと互角程度に見えてしまったこともあり、ルノーのマシンアドバンテージは完全に無くなってしまったのかも知れません。
マシンの信頼性は高いため、アロンソは今年一度のリタイアも無く、全戦でポイントを獲得しているのですが、1位か悪くても2位といった序盤の勢いは完全に無くなってしまっていて、逆にシューマッハはリタイアが一度あるものの、優勝数でも5勝を数え、今一番勢いに乗っているため、一時は絶望的とも思えた21ポイントの差が、どう転ぶかだれも分からない11ポイント差になりました。
残り6戦、カギを握るのはまず両者ともマシントラブルやアクシデントでリタイアしない事、必ず相手より上のリザルトでフィニッシュする事、できればチームメイトやライコネンなどの有力ドライバーが相手が取るべきポイントをさらう事などが大変重要になってくるはずです。
できれば、チャンピオン争いがつまらない事であっさり決まってしまう事なく、今年で最後になってしまうかも知れない鈴鹿サーキットでの日本GPまで争っていて欲しいと願います。
また、シーズンも半ばを過ぎ、次々と来年に向けた発表がされていますね。トヨタは現在のトゥルーリと3年契約を発表し、契約の残っているラルフと共に来年もトヨタをドライブする事が決まり、またトヨタは現在のミッドランドからウイリアムズにエンジンの供給先を変更する事となりました。ウイリアムスは元々地力のあるチームなだけに来年は更に活躍する可能性が出てきました。
ウイリアムズにエンジンをとられた格好になったミッドランドは多分今年ウイリアムズが使用しているコスワースエンジンを積むことになるのでしょうが、エンジンだけ良い物を積んでいてもパッケージとして完成していなければスピードを発揮できない事を自身のチームやスーパーアグリが証明してしまっているため、まずは優れたシャシーを作る事のできるチームになる事が先決でそれには案外コスワースエンジンはベストチョイスかも知れません。
またスーパーアグリもようやくドイツGPで新車SA06を投入する事になったのですが、日進月歩のF1の世界でようやくテールエンダーとしてまともにレースに参加できることになっただけなので、今年の残りのレースでまずはSA06を熟成させ、来年は頭から戦えるチームになって欲しいものです。
真夏の2連戦として、今週末にはハンガリーGPが開催されるので、ここでのルノー、フェラーリのパフォーマンスが今後のチャンピオンシップの流れを大きく変えることになると思います。
低速のミッキーマウスサーキットの典型であるハンガリーは思わぬ伏兵の台頭も予想されますが、マス・ダンパー騒動の行方、ルノーのマシンの戦闘力が非常に楽しみです。
最後にブリヂストンタイヤGP100勝おめでとうございました!!
かつて末端の末端ではありますが、ブリヂストンタイヤの販売に係わっており、自身も熱烈なブリヂストンユーザーだったのでうれしい限りです
