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中国の廃棄物輸入制限「未選別古紙 輸入禁止」の動きは? 日本の古紙輸出への影響は?

2018年07月31日 20時41分37秒 | 紙・古紙関連

古紙再生促進センターの「古紙需給統計」では、、、
生産量、消費量、回収量、輸出量と別立てのグラフなので、、単純に対比できるグラフにした~


中国の廃棄物輸入制限、、
この先、日本の古紙輸出への影響はどうでてくるか?
※中国の「海外ごみ」の輸入禁止政策、日本では「資源」も「資源ごみ」等と呼ぶ自治体が多いので混乱するのだが、、、今回の中国の規制は、品質の悪いごみ化した廃プラスチックや古紙の輸入規制である。もちろん、それら規制の対象になるかならないかのグレーゾーンの製品を自主的に輸出ストップをしているのは日本の商社の判断もあるが、、、、


2017年、
日本の古紙回収量は合計 21,047,273 トン、
そのうち、輸出された古紙は 3,733,964トン(回収量の18%を輸出)
中国向け古紙輸出は 2,440,240トン(輸出量の65%)
そして、規制対象となる古紙はどれくらいか、、、

気になるので、
昨日、古紙再生促進センター訪問、いろいろ聞いてきた~

行政からの問い合わせも多いようだ、、
間違えるといけないので、説明資料からそのまま転載

中国の固体廃棄物(再生資源)の輸入制限について(要点)

1.環境保護対策、固体廃棄物の回収・利用向上に向けて
① 2017年7月中国国務院より「海外ごみ」の輸入禁止、固体廃棄物輸入管理制度改革実施案を関係先に通知
 ・2019年末までに国内で代替可能な固体廃棄物の段階的輸入停止
 ・2020年末までに2015年比国内の固体廃棄物回収利用増1億トン(2.46億トン→3.5億トン)
  等

② 固体廃棄物の輸入制限の動き
 ・2017年12月より4種類24品目の(未選別古紙、生活由来廃プラ、金属くず、廃棄紡績品)の輸入禁止
    *未選別古紙とは日本の古紙の場合、いわゆる禁忌品を含む“雑がみ”が該当
 ・3月より輸入固体廃棄物の規制混入物比強(古紙:混入比率1.5%→0.5%
 ・4月に18年末(16品目)、19年末(16品目)の輸入禁止品目(古紙はなし)を追加発表
 ・6月に国務院は“2020年末までに固体廃棄物の輸入0を目指す”との方針を発表
 ・7月に生態環境部は「中国人民共和国固体廃棄物汚染防止法(修正案草案)」のパブリックコメントを募集(募集期限8/18)
    *固体廃棄物の全面輸入禁止に繋がる法律とみられている
    *施行は2020年もしくは前倒し

③ 輸入管理体制強化や国内の固体廃棄物回収のための諸施策の推進
 ・中央政府による輸入ライセンス発行管理(QTRベース、環境対策(大手)優先?等)
    *7月始め現在製紙メーカーへの古紙ライセンス発行は16次 1,345万t(’17年輸入量26百万t弱)
 ・政府の認可機関による100%船積前検査、輸入通関の厳格な検査
 ・輸入港の制限(18港)
  等

④ 工場に対する環境規制
 ・水質汚濁・大気汚染の防止、廃棄物の適正処理等
     *東莞市では石炭の使用を制限(’17/18.8百万t→’18/10百万t→’20/3百万t)
        市内の板紙16工場は’18年末までに石炭ボイラーからガスボイラーに転換指示
 ・輸入固体廃棄物利用企業への立入検査の強化 
  等 
 
2.古紙輸入について
 

3.日本の古紙輸出
 

(下線及び黄色マーカーは渡辺加筆)

 
古紙再生促進センターの説明から、

中国は輸入廃棄物の禁止のみならず、自国内の再生資源の回収率向上を目指している。また、国内の資源廃棄物利用工場の環境規制も強化して、環境政策に本気で取り組んでいることがよくわかった。では、今後、日本の古紙はどうなるのかということは、予測や断言されることなく、淡々と、現状の、古紙輸出の実績からみえてくる範囲での説明を受けた。そして、繰り返し「中長期的にみていかないと~」ということであったので、、、

勝手な解釈になるかもしれないが、
●中国の環境規制による影響は、これまで中国向けの輸出であったいわゆる“雑がみ”や“雑誌”のたぐいの120万トンがどうなるかが最大のネックとなる。また、中国向けに、品質のよい段ボール古紙、新聞古紙、上質古紙の輸出が増えつつある。(他の東南アジアへの輸出量も増えつつある。)それ故、国内の良質古紙が不足気味となる。古紙利用率が若干伸び悩んでいる。どちらにしても、国内の雑がみなどの再利用を進めないことには、今後、だぶつく可能性もある

また、自治体の「雑がみ」回収が広がりを見せている中、、これまで、日本の古紙は、世界的にみても「品質がよい」ということが売り物であったはずなので、未選別古紙として規制の対象にならないためには、初心に戻って禁忌品を入れないように古紙回収を広めていくしかない。

いろんな話しを総合すると、この先、国内古紙がだぶつく心配はないとは言い切れないので、中長期的にみていかないと、予断を許さないということだろうと、、、



当日の説明資料や「古紙品種別輸出先別輸出実績」からグラフを作成

2.古紙輸入について
① 2017年中国の古紙輸入実績及び規制内容

2017年12月末より未選別古紙(銘柄:その他の4,910千トンが対象)を輸入禁止
  日本の古紙は1,168千トンが輸入禁止の対象(日本の古紙回収量21百万トンの5.5%)
・2018年3月より輸入古紙の品質基準を強化し、規制混入率の比率を1.5%→0.5%に強化
・輸入量の半分を占める米国品は5月以降、他地域より厳しい制限が課せられている

 

② 対策実施後の2018年1月~3月中国の古紙輸入実績)

未選別古紙の輸入はストップ
・4月以降は合計量のみ公表
 1~5月 累計輸入量は598万t(前年比48%)
   1月/124万t(55%)、2月/127万t(52%)、3月/142万t(46%)、4月/119万t(52%)、5月/86万t(35%)

 

3.日本の古紙輸出
① 2017年の古紙輸出実績

中国の輸入禁止の対象は“雑誌古紙”と“その他(雑がみ等)”古紙
“雑誌古紙”と“その他”は中国向けが主体

 

② 中国対策後の2018年1月~6月古紙輸出実績)

*合計の輸出量は前年比87%。ただし、4月以降輸出量は急激に増加し、国内メーカーの入荷は低調(4月/95%、5月/111%、6月/120%)
*背景は中国向けの増加。1~6月累計で前年比65%なるも、4月/91%、5月/116%、6月/132%と大幅にアップ。特に段ボール古紙と新聞古紙が顕著。
*中国向けの古紙は良品質の古紙を輸出

 

古紙再生促進センターでは、
その他、いろんな話を聞いてきた~
・最近の脱プラスチックの動きから、紙製容器増加に伴うリサイクル対応は?
・紙製容器包装の「食品に接触することを意図した紙・板紙の自主基準」、紙・板紙製品の安全確保に関して
・容リ法の紙製容器包装のこと、マークのこと、
・紙ひもや新聞販売店の新聞回収袋に関してなど、←古紙へのプラごみ混入防止で紙ひもの普及を
・また、LIMEX ライメックスのこともいろいろ、
脱プラスチック絡みで、日本人のビスフェノールS摂取量と尿中濃度が世界でダントツということで、ビスフェノールAの代替物質として使用されているビスフェノールSも環境ホルモンであったという笑うに笑えない話し。レシートなど感熱紙は古紙の禁忌品ではあるが、地域によっては回収品目にもなっているので、一緒に古紙回収することで、トイレットペーパーなどにもビスフェノールSが移行するのではないかなど、、、

ビスフェノールSに関しては、「DAYS JAPAN (デイズ ジャパン) 2018年7月号 (体をむしばむ危険なプラスチック) 」には、「その理由として疑われているのは「ごみの焼却」で、日本国内のごみ焼却場の数は圧倒的に多く、、、」等という記載もあったので、、また別ページで~

とりあえず~

 


 

グラフは古紙再生促進センター「古紙品種別輸出先別輸出実績」から作成

 ●日本の古紙輸出量 主要国別(2017年)

 

●日本の古紙輸出量 品種別(2017年)

 

●日本の古紙輸出、主要国別

2018年1月~6月
韓国、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、インドの対前年同期比はかなり増えている~


●日本の古紙輸出、品種別別

2018年1月~6月
品質のよい「新聞古紙」は対前年同期比 128.9%と伸びている~

 

 




関連(本ブログ)
<2017年古紙需給統計(確定版)古紙再生促進センター> 紙の生産・消費と古紙の回収・利用等の統計資料 2018年07月20日

 
2017年 紙・板紙の生産量合計は26,511,878トン
 紙生産量は14,580,517トン(対前年比 99.1%)
 板紙は11,931,361トン(対前年比 103.1%) ←段ボールは増えている

2017年 古紙の利用率、回収率は前年度よりも下落
 古紙の消費量は17,113,702トンで利用率は64.1%(2016年64.2%)
 古紙の回収量は21,047,273トンで回収率は80.9%(2016年81.3%)

2017年の古紙概況、
 古紙回収量:21,047,273トン(2016年21,233,289トン)
 古紙輸出量: 3,733,954トン ←2017年は約17.7%が輸出
 (2016年古紙輸出量4,137,944トン←約19.5%輸出) 

●紙・板紙の生産量推移(1991年~2017年)

 (資料:紙・印刷・プラスチック・ゴム製品統計年報、経済産業省生産動態統計年報)



●古紙・パルプの消費推移(1991年~2017年)


(資料:紙・印刷・プラスチック・ゴム製品統計年報、経済産業省生産動態統計年報)


●古紙回収率・利用率の推移(1991年~2017年


(資料:紙・印刷・プラスチック・ゴム製品統計年報、経済産業省生産動態統計年報・月報、財務省貿易統計)


●紙・板紙の輸出・輸入推移(1991年~2017年

段ボール原紙などの輸出が増えている

(資料:財務省貿易統計)


●古紙の輸出・輸入推移(1989年~2017年


(資料:財務省貿易統計)



古紙回収率等の計算式

製紙メーカー払出実績=紙+板紙 合計(A)
紙・板紙輸入(B)
紙・板紙輸出(C)
紙・板紙国内消費量=(A)+(B)-(C)=(D)
古紙輸入量(E)
古紙輸出量(F)
古紙入荷実績(G)
古紙パルプ入荷実績(G')
古紙回収量=(G)+(G')-(E)+(F)=(H)
古紙回収率=(H)/(D)(%)


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