ビスケットのあれこれ

ビジュアル言語ビスケット(Viscuit)に関するあれこれを書いてゆきます.

コンピュータで何をやりたい?

2014-02-24 20:34:50 | 1
ビスケットのワークショップの最後に尺取り虫がボールを蹴る例とか,風邪が感染する例を見せて終わります.これを見せたとき,「エーどうしてそれを早く教えてくれなかったの」と言われることがあります.その時の,僕の内心は「ざまーみろ」なんです.

尺取り虫がボールを蹴るというのは,それまでビスケットで教えて来たことよりちょっと難しいものです.それまではメガネの左右にそれぞれ1つずつしか部品を入れてきませんでした.ボールを蹴るというのは,部品を二つずついれます.言われてみれば成る程なことですが,これを自力で気づくというのはそう簡単ではありません.ところが,「これからこの虫がボールを蹴る,というのを作ります」と言ったとたん,「ああー」といってやり方を思いつく子が何人もいるのです.その後は,その子たちが言う「左側に虫とボールを入れて」に従って僕が作り動き出します.

重要なことは「XXをやってみたい」と思うことなんです.その思いさえあれば,そのやり方を自分で考えだすことはそんなに難しくありません.「もっと早くに知っていれば」という面白い機能を色々と教えてあげるのではなくて,「何かやってみたいことは無いの?案外簡単にできるかもよ」なんです.

なので,僕は機能を全部教えてしまうワークショップは嫌いです.一番面白いのは,何も知らないときに,試行錯誤することですから.教えてしまうと,そのわくわくしながら実験する面白さを奪ってしまいます.推理小説で最初に犯人を言っちゃうみたいなものです.

で,このコンピュータの入門だけでなく,この先ずっと,こういう姿勢でコンピュータと向き合ってもらいたい.そういうメッセージが込められているのです.