○挿絵俳句712a・秋立つや・鎌田透次726a・2025-08-07(木)
○「秋立つや供花の芳香咽かえる」(『転生』2025)(鎌田透次726a)
○季語(秋立つ・初秋)(「透次の自作俳句カード」より引用)
the first day of autumn
the bouquet I gave you
smells good / Touji
【作句メモ】:「供花(くげ)」は花を開き思う存分香りを撒く。令和七年「秋立つ日」は嗅覚からはじまる。
○方法俳句712・感情の物質化3・春日石疼01・2025-08-06(水)
○「夕焼や哀しみの端持たさるる」(『天球儀』2019)(春日石疼01)
○季語(夕焼・晩夏)(「→朔出版」より引用)
【鑑賞】:この不明なるものは「糸」か「紐」か「縄」か。ともかく、もう片方の端を持つ人がいる。
○春日石疼(かすがせきとう)
○好きな一句「滴りや宇宙膨張して止まず」(『天球儀』2019)02
○季語(滴り・三夏)(引用同上)
【Profile】:1954年生まれ。福島県。1998年から俳句を始め、2012年福島県文学賞正賞受賞。「小熊座」同人、福島「翅の会」代表世話人。
○特集俳句712・金属俳句6鎌・本宮哲郎03・2025-08-05(火)
○「研ぎあげし鎌を炎暑の土に置く」(本宮哲郎03)
○季語(炎暑・晩夏)
【鑑賞】:金属俳句第6弾は「鎌」。鎌は炎暑の土でねかされて使われる時間を静かに待っている。
○五体俳句712・耳26・守谷茂泰01・2025-08-04(月)
○「海遠き日の青胡桃耳に当つ」(守谷茂泰01)
○季語(青胡桃・晩夏)(「透次の俳句分類カード」より引用)
【鑑賞】:木に成っている青胡桃が気になっている。真下まで近づくとこつんと一つが耳に触れた。「海遠き日」は場所と時間を併せ持った言葉であろう。
○守谷茂泰(もりやしげやす)
○好きな一句「折れそうな西陽が標本箱のなか」(「豆の木」)02
○季語(西陽・晩夏)
【Profile】:1965年静岡県出身東京都在住。俳句の他に童話、短歌などを書く。1993年「海程」に入会。95年海程新人賞。現在、「海程」「豈」同人。合同句集「燿」「海程新鋭集」「21世紀俳句ガイダンス」など。平成13年第19回現代俳句新人賞受賞。
○次元俳句712・奥3空間・丸谷三砂01・2025-08-03(日)
○「篁の奥に灯のあり夏料理」(『初葉』2022)(丸谷三砂01)
○季語(夏料理・三夏)(「→閑中俳句日記(別館)-関悦史-」より引用
【鑑賞】:「篁(たかむら)」とは「竹藪」のこと。竹藪の奥にちらちらと料理屋の灯りが揺れて見える。さて、どんな夏料理をたのもうか。
○丸谷三砂(まるたにみさ)
○好きな一句「ひともとの巨樹をめぐれる踊かな」(『初葉』2022)02
○季語(踊・初秋)(引用同上)
【Profile】:1948年生まれ。「天為」「パピルス」同人。
○次元俳句711・丈1空間・瀧川重子01・2025-08-02(土)
○「雪加飛ぶ草の丈より空となり」(瀧川重子01)
○季語(雪加・三夏)(「『俳人年鑑』2004年版(北溟社)」より引用)
【鑑賞】:「雪加(せっか)」とは夏の鳥。どの高さからが空なのか。思い切って断定してしまおうではないか。草の丈以上であると。
○瀧川重子(たきがわしげこ)
○好きな一句「山並の美しき里なり古代蓮」02
○季語(古代蓮・晩夏)(「『俳句年鑑』2017年版(角川書店)」より引用)
【Profile】:1942年長野県出身。2011年岡谷市にて「あづさ」代表。師系:上田五千石、江ほむら、矢崎良子。「ランブル」(上田日差子主宰)同人。
○挿絵俳句711b・野にひとつ・鎌田透次725b・2025-08-01(金)
○「野にひとつ人形殖えて草いきれ」(『転生』2025)(鎌田透次725b)
○季語(草いきれ・晩夏)(「透次の自作俳句カード」より引用)
one more doll will be
added in the plains
in smell of grass / Touji
【作句メモ】:野に殖えるものは人の形 誰かが愛した人の形 誰かが捨てた人の形
○特集俳句711・金属俳句5鐘・黛執04・2025-07-31(木)
○「釣鐘の闇を真上に蟻地獄」(『春の村』2016)(黛執04)
○季語(蟻地獄・三夏)(「角川俳句201703」より引用)
【鑑賞】:鳴りをひそめた釣鐘はただ暗闇を抱擁しているだけである。その釣鐘の真下にある蟻地獄。
○挿絵俳句711a・さびしさは・鎌田透次725a・2025-07-30(水)
○「さびしさは日輪草の群るるほど」(『転生』2025)(鎌田透次725a)
○季語(日輪草・晩夏)(「透次の自作俳句カード」より引用)
loneliness is growing
sunflowers bloom
in clusters / Touji
【作句メモ】:「日輪草」とは「向日葵」の別名で子季語であるという。向日葵は座間市の花となっている。東北へのドライブの途中で何度も向日葵畑を目撃したね。
○色彩俳句711・藍7・今西栄太郎01・2025-07-29(火)
○「北の旅海藍色に夏盛り」(今西栄太郎01)
○季語(夏盛り・晩夏)(「映画(小説)・砂の器」より引用)
【鑑賞】:「北の旅」は「北への旅」。日本海側を何度も何度も北上した。沖の藍の色の濃さが極まれば夏も盛りである。
○今西栄太郎(いまにしえいたろう)(1922-2006)
○好きな一句「水晒し青葉をうつし色さだか」02
○季語(青葉・三夏)(「映画(小説)・砂の器」より引用)
【Profile】:映画(小説)「砂の器」の登場人物。警視庁刑事部捜査第一課第三係警部補。生年・没年は役に扮した丹波哲郎のもの。捜査の為の羽後亀田から東京への帰り、羽越線の羽後本荘で乗り換えた急行「鳥海」の食堂車にて今西の俳句を警視庁西蒲田警察署刑事課捜査第一係吉村弘(森田健作扮する)が読んだ場面。