私は幼い頃から自然と神の存在を信じていた。
きっと今は亡きおじいちゃんの影響が大きかったのだと思う。
おじいちゃんと過ごした幼い頃の日々を、私は今も憶えている。
お寺の住職だったおじいちゃんは、私が疑問に思うことは何でも答えてくれた。
なぜ、お庭には首のないお地蔵さんがいるの? と聞けば
おじいちゃんが山で修行をしているとき、連れて帰ってくれと言うから
おぶって連れて帰ってきたんだよ。 と答える。
だからその頃は首のないお地蔵さんも喋るんだと普通に思っていた。
体が一つで顔が二つある小さい白蛇や不思議なものをみても
おじいちゃんだけは私の見たものを否定しなかった。
私が本当に神の存在を確信したのは
多分幼稚園の頃だったと思う。
初めて我が家に神棚を入れた時のことだ。
皆が目をつぶってお祈りをしているとき、神棚の扉が自然と開いたのだ。
母に扉が開いたよ、と言うと
そうね、神様が来てくれたんだね。と、答えた。
そのとき、やっぱり神様は本当にいるんだ! と思ったことを今もしっかりと憶えている。
その後、物心ついて恐怖心というものを覚えてしまった私は
人には感じないものから怖い思いや、イヤな思いをたくさんし、
最終的に中学の頃、おじいちゃんから自分が持っていた仏像に神様の魂入れをしてもらって
怖い思いから心の平安を取り戻した。
今思えば不思議なもので、それが私と神様の本当の意味での出会いだったのでないだろうか。
怒った姿を見たことのない清らかなおじいちゃん。
私と神様を出逢わせてくれたおじいちゃん。
中学に入る頃からおじいちゃんとまったく会話をしなくなってしまった私。
今ならたくさん聞きたいことがあるのに・・・