
これから住民説明会を始める直前、昼下がりの会場前にて、主催する関係者同士でのつかの間の談笑。クルマなどの人工的な騒音もなく閑かなさま、微温的な気配。今日は快晴である。
「暖かくなりましたね」
「そうですね、もう早咲きの桜は咲いてますもの」
「この陽気では鶯が鳴きそうですね」
「そうです、もう直ぐですよ。いやもう、ここの住宅地は山に囲まれて自然度が高いですよ」
「そういえば、このあいだ庭に目白が来ていましたよ」
実は、ここには迷惑で獰猛なヒヨドリのほかに、きりりとして端正な容姿の四十雀も、自然界にありえない配色の体の色、頭から背の羽は黒っぽく翼には白斑があり、腹部には橙色のスッキリしたジョウビタキもいるのだ。下っていくと住宅の後背地は谷津田になっていて、運が良よければカワセミがたまにシャープな飛翔を見せてくれる。
現地見学会も終わって、自宅へ戻るとテレビでは気象庁が例年より六日早い東京地方の桜の開花宣言を報じていた。
これからはまるで計ったように、一瀉千里に若葉萌えいづる、百花繚乱、青葉繁れる、めくるめく季節が来る。良くも悪くも自然の摂理にはさからえない。






