凛と生きる

凛とした女性と出会った。

最近では、殆ど見当たらない程、素敵な女性だった。

幼稚な男が増えたお陰で、女性に可愛さ、セクシーさ
を求める時代。それを”流行り”と錯覚した女性側も
鵜呑みにして従っている。今の”可愛さ”とは、幼さ、雑さ、
”セクシーさ”とは、緩さでしかない。男の都合で上手く、
すり替えられた表現に踊らされている。確かに、皆、
オシャレで洗練されているが、品格や人格といった
内面の洗練を感じ取れない。言葉遣いが乱れ、行動が
男性的で女性らしいエレガントさは、昔より損なわれて
いる気がする。ところが、その女性は違った。
凛とした光を放っていた。
身形、表情、姿勢、言動、全てが端然としていた。
けれど、近寄り難い威圧的な空気を放つ訳では無く、
親しみを感じる振る舞いをしつつ、隙の無い人だった。

殆ど話せていないが、そんな彼女の何気ない一言、
「東京では孤独を感じる」が印象深かった。寂然の中の
葛藤を素直に口にした彼女、”ぶっちゃけ”と体裁より、
全てを曝け出す事が良しとされる風潮の中、愁いの自己
と向き合い日々、慎ましく、気高くあろうとしている様子が
感じられ、その折り目正しき生き方から、内面が浮き上がり、
彼女の人格となって、全身に漂っているのだろうと妙に
納得できた。勿論、形成途中の若者であり、至らぬ部分が
彼女にもあるかもしれないが、それを考慮しても余りある
多くの日本人女性が失った”しとやかな気品”を彼女は
携えていた。それは、昨日今日で身に付くモノでは無い。
自分に妹や娘がいたなら、彼女をお手本にしなさいと
伝えている。１０歳以上も年下の女性の典雅さに魅了
されるなど、夢にも思わなかったが、彼女は、遠い昔に
憧れた年上の女性を連想させる。凛とした人だった。

まぁ、僕は端で見とれるだけの傍観者ですが。