統領

手配をしていたチケットを受け取りに行った時の話を

十年以上も前に後楽園ホールのボクシング観戦で
隣に座って以来、友達になった某関係のその人を
僕は「統領」と呼んでいる。統領はＵＷＦファンであり、
田村潔司ファンだ。
この日、統領が語りだした。

「大の男がチマチマよ、女と同じように小さい道具
（携帯電話）でよ、文字なんか打ってる世の中でよ、
アイツ（田村潔司）のよ、頑なに拘った生き様をよ、
試合見て理解できる若けぇ～のが一人でもいれば
イイなぁ～（笑）オマエも思わねぇ～か？」

「頑固って譲れないって事だからよ、皆、”偏屈”と
ゴッチャにしてるが、違うんだよ。それを分からずに
イジメやがる。アイツ（田村潔司）は”親分”が掲げた
”代紋”を言い訳せずに人生賭けて必死に守ってる
立派なヤツだ。今の若いヤツらにも田村みたいに
辛抱して貫く気構えが欲しいやなぁ～。」

「田村、ありゃサムライだからよ。刀を腰に差した侍だ。
桜庭も嫌いじゃねぇが、調子者で美学を感じねぇ。
技量とかは関係ねぇ。芯が強いってことが、本当に
その男の強さを示しているんだ。」

正直、話を聞いて頷きながら泣きそうになった。

満腹だと言っているのに自分が好きなエビフライを
無理矢理に勧めてくれながら統領は
「誰と行くんだい？コレか？」と人より短い小指を
立てて聞くので
「大阪から友人２人が仕事も家族も放り出して
応援に駆けつけるんだ。」と伝えると
「オマエはいいダチがいるなぁ～。」と金歯を見せて
大笑いし、チケット代金は要らないと受け取りを
拒んだので、「タダより高いモンは無いから。」と
無理に手渡すと
「オマエも頑固者やったね（笑）ワシ、足し算苦手で
端数は数えれん。簡単な数字にしてくれ」と結局、
値引いてくれた。同席していた統領の直属の部下は
首を傾げていた。

田村潔司を好きで良かった。
色んな人と通じ合える。
統領も当日、会場に来ていますが、”Ｕ”志の
集合写真には若干…不向きなお顔立ちですし
統領一人で趣旨が変わってしまうので…呼びません。
いや、呼べません。