受賞

とあるクライアントから賞を頂いた。

４月３日、突然、パーティーの招待状が届いたので、
「欠席」と返送したら、相手先のＣＥＯから、とても
丁重な電話を頂き、「主賓なので出席して頂かないと
困ります。」と言われ、意味が理解できなかったので、
もう一度、招待状をよく見ると、”最優秀賞”と記されて
いた。なんじゃ？？と慌てて、クライアントの総務部に
問い合わせると、２年に一度、会社へ貢献した社員と
部署を式典にて表彰しており、同様に外部ブレーンも
表彰の対象となっていて、今回は僕が受賞した。と
言われ、同時にスピーチを頼まれた。愕然となるも
１ヶ月も猶予があるので、公の場が苦手な僕は、
この時、この案件を記憶から抹消した。連休最終日に、
翌日が受賞式である事を思い出し、焦って本屋に
出向き、スピーチ集なんかを立ち読み。だけど、この手
の本は、結婚式以外のテーマだと役立ちそうにないと
分かるだけだった。

社会人として真面目にやるか？
大阪人として笑いを取りに行くか？

大いに悩むも、大雑把な性格が災いして、フランクな
感じで御礼を申し上げるだけでいいや！と腹を括って
就寝する。翌朝、都内某所のホテルに到着すると、ホテル
担当者とクライアントの総務の人が出迎えてくれ、控え室に
通された時点で、自分の想像を遥かに超えた規模の祭事
だと理解するも時既ニ遅シ。確認すると、列席者は１９０人
も居て、司会もプロの人で…一気に消えたくなった。
普段、一緒に仕事をしているクライアントの担当者たちは、
冷やかし半分で僕の様子を見に来ては、尋常じゃない
プレッシャーを与え、笑いながら出て行く。開催が迫る中、
必死に与えられた５分間スピーチの時間を埋めるべく、
ネタを書き綴るも、焦って上手く進まない。その内、ＣＥＯが
現れ世間話が始まり、タイムアウト。会場内で一番、上座の
円卓に案内されて、ああ南無参。

表彰が進み、ついに協力会社部門が来た。優秀賞の３名が
呼ばれ、最後に僕が呼ばれた。ＣＥＯと握手して記念品と
盾を受け取り、壇上中央へ向かうと、３８０個の目線に、頭が
真っ白となる。全く、スポットを浴びた事ない人生を歩んできた
故に、極度の緊張で喉がカラカラになり、いきなり水を飲んで
しまった。一息ついてから、

「長い間、営業職に従事しておりますが、お客様から頂戴
するのは、お金とクレームだけだと思っておりました。今日、
初めて感謝の気持ちを、しかも形にして頂き光栄に存じます。
しかし、こんな会社は悪い会社です。今までも、必死に対応
してまいりましたが、良く考えれば、より一層の努力をせねば、
もう、許されない状況に追い込まれてしまった。某船場○○
よりもやり口が巧妙です。でも、本当に有難う御座いました。
今後も粉骨砕身、御社の為に尽くして参りたいと存じます。」

思った以上にウケたので良かった。ＣＥＯも大喜びで握手を
求めてきた。ところが退場しようとした時、記念の盾を壇上に
忘れてしまい、司会者が「盾は使い回しでは、ありませんから、
どうぞ、お持ちになって下さい。」と蛇足で場内の爆笑を取り、
「これがプロや！」と言いたげに、僕を見て”どや顔”　
ッチ、なんやねん。