U魂(ウコン)

◆『U.W.F』最強伝説を追い求める
36歳 おやじブログ

やれんのか! 2007 観戦記

2008-01-02 | コラム 闘議

迷った挙句、田村のいない方”やれんのか!”へ向かう。
真新しい首都高 外環状を経由して新都心IC。以前は、
ほぼ2ヶ月間隔で通った埼玉スーパーアリーナ。便利に
なった分だけ、「今更…」と恨めしい気分にさえなる。
そんな、久しぶりな光景に浸り、駐車場へ入庫する。先に
開催されていたハッスル関係者と駐車場で遭遇し挨拶。
その方の妹さんがバイトしている露店で”やれんのか!汁”
を馳走になる。看板には「喰えんのか!」と書いてあり、
食の安全が厳しく言及された年に、なんと横柄な売り文句
だろう…と笑。場内はハッスル繋がりでアリーナ仕様。
従来より小規模だが平等にどの席種からも観戦し易く、
リングを包み込む配列で個人的には、こちらの方が好み。
座席に着くと周囲には多くの知人、友人が来場していた。
ハッスルとのWヘッダー組も多く、連れの女性が疲れて
寝てしまっている姿が目立つ。現地リポを頼まれた3人への
メールを作成していると目の前をM-1グローバル代表の
モンテ・コックス氏が通り過ぎる。少なからず2008年の
大連立のキーマンは、この巨漢のオッサン。開幕時間が
近づくにつれ、待たされたファンのボルテージは加速する。
そして、「それは一夜限りの…」至宝の佐藤&立木Vにて開幕。
恒例の高田太鼓演舞で会場はアゲアゲになり、褌なし本部長の
出て来いやぁ~では無く、「かかって来いやぁ!」で出場
選手紹介。秋山には恐ろしい程のブーイング。対照的に青木と
ヒョードルには、一頃のサクやシウバを彷彿させる大歓声が
上がる。その歓声に跳関十段は、感極まり顔を覆い隠し涙。
やっぱり、この熱はHERO’Sの会場には無い。

第1試合
ローマン・ゼンツォフ×マイク・ルソー○

戦前、オープニングとしてはパンチに欠ける
カードと思えたが、初見だったルソーのスキルが
高く、巨漢に似合わず器用であり流れるような
フィニッシュで感心させられる。

第2試合
○川尻達也×ルイス・アゼレード

川尻の見事なビルドアップされた肉体に期待が膨らむも
フィニッシュを焦って強引になり過ぎ、明らかな空回り。
噛み合った様な、噛み合わなかった様な、キレの無い
勿体無い、微妙な試合となる。川尻にとって長すぎた空白が
裏目に出たか?彼の実力はこんなものでは無い。

第3試合
○瀧本誠×ムリーロ・ブスタマンチ

ブス先生のネチッコイ攻めに1Rは防戦一方の瀧本、
2Rに起死回生の右ストレートから左フックをヒット!
ブス先生の腰が砕けるも、タッキーが仕留め切れず判定に
ダウン分だけ有利な瀧本が勝利。
『総合格闘技を舐めてました』発言から丸3年、彼の格闘技
人生は結果とカードに恵まれず暗中模索の日々だった。
それでも挑み続け、ブスタマンチを敗るほどの地力を持つ
”白き天才”の「戦極」での活躍に期待。

第4試合
○石田光洋×ギルバート・メレンデス

この階級で台頭と言えば、カルバンと青木、そして、メレンデス。
次いで川尻、その後ろに石田だと思っていた。しかし、空白の
時間に程よい静養とスキルアップをした石田は、メレンデスの
多彩な攻めを尽く潰す”巧み”ぶり。マットに叩きつけられれば、
即座にやり返す心意気。メレンデスを後、一歩の所まで追い
込んで時間切れ。だけど、エエ試合やった。総合格闘技って
選手も技術も進化している事を象徴する試合。

第5試合
○三崎和雄×秋山成勲

問題のクリームが盛り込まれた過激映像で”ヒール”秋山を煽る。
ブーイング飛交う場内に出でた秋山は表情ひとつ変えず。しかし、
秋山の座礼でさえ、場内を逆撫でする演出のひとつに見えて
しまう空気が漂う。一方の三崎和雄は、己の奥底から湧き出るもの、
押し寄せるものを必死に抑えるかの様に、飛び跳ねながら
入場する。運命のゴング、隣席の知人の彼女が「これは?
K-1?」と錯覚を起こしてしまう程、スタンドオンリーな
展開に。序盤に秋山の見事なワン・ツーがヒットし三崎は意識を
刈り取られフラッシュダウン、秋山は続けてパウンドで追撃するも、
三崎が無意識?に防御姿勢を取り、耐え凌いで再びスタンド戦へ。
終盤、ジリジリと三崎が地味な揺さ振りをかけ始める。
スイッチング、フェイント、そして、虚をつくボディーブローが
決まり、続け様に一手前と同モーションの左フックを今度は顎へ
ヒットさせる。堪らず尻餅をついた秋山はこの日、初めて表情が
変化し、慌てて立ち上がろうとした次の瞬間、三崎の蹴り上げた
足の甲が秋山の顔面にメリ込み勝負アリ!!最後の光景は”バキ”
の板垣恵介氏の描写そのもので圧巻。三崎和雄の大逆転で決した後、
リングの上も外も一気に臨界点へと達し、”埼玉メトロダウン”で
大爆発。雄叫びを上げ、奇声を発し、見ず知らずの者同士が抱擁し
合ったり、ハイタッチしたり、異様な熱気に包まれる。己の勝利に
舞い上がった三崎は、朦朧とする秋山を呼び寄せ肩に手を置いて
”あの件”を叱責すると同時に、魂が伝わったと激励する。でも、
最後の座礼に見えない土下座は必要ない。
『4点ポジからのサッカーボールキックは反則では?』とあるが、
あれは”倒れ際の追い討ち”ではなく、”起き上がり際の攻撃”
だと見えた。帰宅後、VTRを繰り返し見てみたが、試合中の
流れを考慮すればギリギリ”セーフ”の範疇だった。もし、
ジャッジに不服があったのなら、秋山サイドはあの時、その場で
抗議するべきだった。リング内は多くの者が決戦の余韻に
浸っていて、その時間も充分にあった。事実、一番近くの
コーナーで立ち会っていた彼らセコンド陣も、即座に合否を
”断定”できない程、微妙なアクションだった。
後になってから抗議するのもいいが、秋山本人は敵地ながら
最初から最後まで威風堂々と己を貫き闘い抜いた。そんな、
勇姿を目の当たりにした観客からは、秋山の退場時に惜しみない
拍手と歓声が送られた。秋山は、ただ無残に散った訳ではない。
格闘家として生きるという”魂”を怒号の飛び交う中、言い訳
せず一人、刻んだのだ。その誉れ高き行動に、後付けで外野が
モノを言っては濁すだけ。



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