歌猫Blog跡地

漫画「鋼の錬金術師」と荒川弘について語るブログ。更新終了しました。

ガンガン感想その6

2010年05月09日 | ◆小ネタとか突っ込みとかつぶやきとか
先月号のガンガン感想その6。これで最後です。
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あるブログの感想で「スカーの口角が上がっている。彼の笑みを見ることがあるなんて」という記事を読んで、ああ!って思った。
そうだ、彼は笑わないキャラ。ギャグ4コマでさえ、笑わないキャラだった。
それがかすかに微笑んでいる。
仲間とともに挑んだ錬成の成功に安心した。でもそれ以上に、彼は、兄の研究の成果が間違っていなかったことが、嬉しかったんだ。誇らしかったんだ。


「なに そういうこともあるさ」このイズミの台詞が、いいよねえ・・・しみじみ。
彼女にしか言えない台詞だと思うし、この台詞を思いつく荒川弘先生の、懐の広さを感じます。うん、北海道の大地だ。
イズミはずっとオブザーバー。物語を決める人ではなく、決定権を持つ者に意見を言う人。
5人の人柱ん中で一番、さまざまな運命の外側にいる人。エルリックファミリーもマスタングも、この日をターニングポイントに、大きく人生が変わる。
でも彼女は、元の肉屋の女房に戻っていくだけの人。
その人が、こんなにも普通にこの戦いの真っ只中にいて、こんなにも彼女にしか言えない台詞を、言う。
鋼のキャラに、数合わせの添え物は誰一人としていない。
「負けるんじゃないよ エド!!」「はい!!」の台詞もいい!エドの表情もいい!


マスタングの「君はまだ戦えるか?」
うわ!私、マスタングをみくびってたかも。彼のターンはVSエンヴィー、そしてブラッドレイに胸を張って答える、あの美しい顔だと思っていた。
あとは戦いの後に、為政者としてブラッドレイを越えていくんだと。
違うんだ。彼もまた、なおもバトルに参加するんだ。
うわー!少年漫画だ!やっぱり鋼は少年漫画だ!!


グリードとランファン。
「グリードだよ」「ついてきちまったのかお前」あくまでも、女は女として扱うグリード。こいつ、ぜったいモテるぜ。クソ格好いい。
「腹が立つ・・・」グリードは前世と今と、二度、ラースと相対し、勝てなかった。彼にとって一方的にライバルだっただろうラース・ブラッドレイ。
彼が、他の者の手によって倒れた今、グリードはもうラースを倒せない。悲しみより、ついに手が届かなかった悔しさ、無念が、グリードの心を占めているだろう。

そしてグリードの中で、リンもまた、ブラッドレイを見ている。お前は真の王ではない、真の王などどこにもいない、そう問答した相手は、一人の戦士として死んだ。
賢者の石を抱き超常の力を手にしても、死には逆らえない。錬金術師ではないリンもまた、この日、世界を理解した。
けれどとリンならきっと、だが俺はああはならない、と思うだろう。反発こそが若さだ。リン、次の登場を待ってるよ。


「人間からは賢者の石ができ 賢者の石からは人造人間ができる」「では人造人間からは何ができる?」
ああ、なつかしいフレーズだ、って思った。

05年2月記事。13巻収録話の頃。
そこからずっと考えて、「父と息子と家族」
「神は、ある」にたどり着いたんだっけ。19巻の頃だ。

「フラスコの中の小人」は、たぶん、偶然にも真理の扉の中のうねうねが、切り取られてこっちに来ちゃった存在。あるいはうねうねの人の手によるニセモノ。
なぜ、私は全知なのに、全能ではないのか?なぜ、馬鹿な人間の創作物として、私の存在はあるのだ?フラスコの中の黒マリモの、それが、動機。
だから彼は人間を超えた存在になりたかった。「神」に。
けれどそれは神サマになることではないのに。神=世界=真理=人間に、全の中の一に、なりたいだけのくせに。早く気付けこのバカ。早く気付かせてやれ、ホーエンハイム。

このホーエンハイムの台詞を読み返してて、この気持ちなんだろう?って考えて、思い出した。
これ、たぶん正しいって思ってる解答が、黒板に書き出されるのを待ってる気持ち。少し緊張してて、少し自信あって、少し不安な。
今までもいっぱい外してるから、うわ、この模範解答は思いつかなかった・・・!ってなるかもしれないけど、そうしたら綺麗にノートに書き写すんだ。先生が黒板に書いた解答が絶対だから。
そして合ってたら、うん、合ってた、ってノートの右端に小さく○をつけるんだ。

懐かしくなって自分の過去記事読み返してたら、こんなアホ記事みつけた。
>あのミニチュアパンダが終盤で超シリアスにお父様と対峙しちゃったら別の漫画になっちゃうよどうしよう

・・・予想当たった!?てかこれ冗談っすよ?!
うーん。ありえないことはありえない・・・。


プライドのまとっていた賢者の石は、エドが吸収したんだと思う。
エドはホーエンハイムと同じになったのかしら。右腕が壊れても賢者の石を使えばモーション無しで錬成できるのかしら。あの場面からどうやって逆転するのかしら。賢者の石は戦いに使っても自分のためには使わないとしたら残った石はどうするのかしら。自身を賢者の石にでき、他の賢者の石を取り込むこともできるなら、ホーエンハイムの賢者の石も解放できちゃうのじゃないかしら。
アルを取り戻したエドは、やっぱり、泣くのかしら。
それとも思いっきり明るく笑うのかしら。
どうかどうか、一人でも多く、幸せになってくれますように。



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3 コメント

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Unknown (りんご)
2010-05-12 07:47:09
いつもコメントに丁寧な返事をありがとうございます!今日ガンガン発売ですね。それから、6月にFAの切手が出るそうです!
ガンガンもあと2回で連載終了ですが、ハガレン終わったら私、「これから私は、何にすがって生きていけばいいのよ…!」…とまああいかわらずハガレン脳な毎日を送っていますが、この間初めてハガレン以外の少年漫画を読みました。(基本少年漫画はハガレン以外読みません。)ご存知ONE-PIECE。GWに1~20巻一気読みしました。それで、比べてみて初めて見つけた(気づいた?)ことなんですが、ハガレンって「結構セリフや動きがあるのに主人公と話したことがない」という人多いですよね。例えばレベッカやグラマン中将です。これは「主人公の知り合いの知り合い」に位置するキャラですが、この人達がいるおかげで「主人公」も「主人公の知り合い」も「主人公の知り合いの知り合い」も、それぞれの時間があって、ドラマがあって、みんな考えながら生きてるんだって、思えるんだと思います。ハガレンのキャラってなんでこんなに生きてるんだろって思って、その謎が解けた気がして一人で納得してました。
それから、ハガレンの名ゼリフには必ず説得力があると思います。大人は戦争を経験し、エドは人体錬成で一度死を覚悟しています。それらを踏まえたうえでセリフを言うから、感情移入できるし、作品に引き込まれるんですね。「お前は仲間を何だと思ってんだーーー!!!」と、ルフィが怒って叫ぶシーンがありましたが、同じ内容言ってても20巻82話のリンとは大違いです。説得力がちがいますよ。まあ、漫画にはそれぞれの良さがありますから、比べちゃダメなのは承知のうえです。
おーすんごく長くなりました。失礼しました。歌猫さん、これからも応援してます!
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Unknown (りんご)
2010-05-12 15:57:43
最新の記事読みました。歌猫さん朝5時でコンビニに走ったんですか?すごいです!
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コメントありがとうございます。 (歌猫)
2010-05-15 06:55:00
りんご様こんにちは!
FA切手が出たら、ボンズとガンガンにファンレターを送ろう♪なんて思っていますv うん、記念に持っているより使いたい。一人で喜ぶより思いを直接伝えたいのですv
ハガレンもワンピも、主人公登場の以前にも物語があって、主人公よりずっと強い大人たちがいっぱいいる、ってとこ、似てますよね!
学園物とかは、少年・少女漫画の別無く、主人公とその周囲で話しが進むけど、冒険物は主人公にとって未知の世界があって、そこに読者と一緒に分け入っていく・・・って感じがします。それで、ワンピもハガレンも、キャラが計算を超えてるんですよね!少年漫画だとふつう、まず主人公を熱血か情けない系か決めて、その主人公を引き立てるために、周囲に冷静とか天才とかボケ役を配置して、ヒロインは可愛いのと大人っぽいのと・・・っていう、お約束の配役を置くじゃないですか。あ、少年漫画は読まないんでしたっけ。そしたら少女漫画ならまず主人公のコンプレックスを決めて、姉御肌の理解者と主人公とは別のコンプレックスを抱くライバルを置いて・・・って、そういう約束事がありますよね。お約束は物語に入っていきやすくするために必要なんだと思うけど、その枠内で話が進むとありきたりで退屈になっちゃう。
それが、ハガレンはじめ名作といわれる漫画は、キャラがどんどん枠からはみ出して、それぞれのポリシーで動いちゃうの。
そして大人キャラがイイ漫画は、作者が子供心と大人視点の両方を持ってるんで、より物語に深みが出る、そんな風に思います。
>それぞれの時間があって、ドラマがあって、みんな考えながら生きてるんだって、
そう!そうなんですよ!!もう、りんご様が発見したとおりです!!!
その発見っていうか、納得が、すごい嬉しいですよねー!
ガンガン。はい、近所のコンビニは朝一番の配送トラックにその日の雑誌が乗ってくるんで、それ狙って行きます(笑)
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