歌猫Blog跡地

漫画「鋼の錬金術師」と荒川弘について語るブログ。更新終了しました。

鋼批評

2009年05月26日 | ◆小ネタとか突っ込みとかつぶやきとか
「鋼の錬金術師」の批評を読むのが好きだ。
誉めているのはもちろん、けなしているのも面白い。だって、ムラムラと反論したくなるから(笑)

よくある批判。
「鋼は確かに面白い。けれどそこまで絶賛される内容とは思えない。」
その通りだ。
でも、詰めが甘いよ。では、なぜ、普通に面白い作品が、こんなにも賞賛されるのか、そこを考えなくちゃ。
私の答えは「大人も楽しめるから」。評論家に子どもはいない。更に「その大人が子どもに読ませたいマンガ」と感じるから。なぜ?鋼は一定の上品さを保っているから。

もうひとつ。
「人の生き死にとか言うけれど、この程度を描いた作品は他にいくらでもある」
その通りだ。
けれど、他にいくらでもと例に挙げている作品はほぼ全て、青年向けマンガでしょう?少年誌に掲載されていても、読者層は高め。
鋼はそれよりほんの少し下、12歳くらいから読める。そこに鋼の価値がある。


さて。
そんな風に、すぐ背中の毛を逆立てて喜んで戦いの姿勢を取ってしまう歌猫だが(笑)、時に、「ああ、それは正しい。確かに反論できない」と思わされる批判もある。

そのひとつ。
「イシュバールの民に、主要キャラが皆、同情的なのはどうか?ここは例えばヒューズのようなキャラに『お前がなんでそこまでイシュバール人に肩入れするのか理解できない』と言わせるべきだ。
そして後に、そのキャラがイシュバール人のために戦うようになるなら、もっと大きな感動が生まれたはずなのに」

うーわー。
全くもって、その通りだ。

荒川弘先生は、「どの登場人物にも自分の価値観を入れるようにしている」(ダ・ヴィンチインタビュー)
それが一人ひとりのキャラに、地に足のついた生命感を与えている。
「自分が嫌だな、という価値観も入れる」例えばキンブリーのような。

けれど、荒川弘が最初から持っていない価値観、たとえば「彼らは私とは違う。だからどうなっても構わない、関係無い」といったものを、キャラに入れることができない。
そしてそれは、この評論をした人、そして私たち都会人がはっきりと持っている価値観でもある。

そうだ。
だから、荒川弘は、まだ伸びることができる。
自分が嫌だなと気付くことさえ無い価値観。
それを入れて、そこから荒川弘流の解決を導くなら。
それはきっと、すごく面白いことになる!

私も、荒川弘はオバチャンが足りない、と思っている。
おばさん、ではなく、もっと下世話でだらしない、オバチャンが欲しい。女性への尊敬を捨ててそういうキャラも描いてほしい。そうしたら鋼のモブはもっと面白くなるのに!

鋼は完成度が高い。
でも、まだまだ面白くすることができる。
的を得た批評を読むと、それが明らかになる。
だから批評は面白い!!


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5 コメント

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はじめまして。 (ちゅうすけ)
2009-06-02 17:38:05
誰かハガレンの考察してないかーと探していて、たどり着きました。

ハガレンの女性はみんな、強くて美しい(見た目ではなく)ですよね。
かなり意図的に母性を出しているなと感じます。

どこまで人体錬成を極めようとも、たぶんたどり着くところは女性が子供を産む・・・それ以外に、本当の意味で人が作られることは無いってことなのかなと。
「ウィンリィは重要なキャラ」的な発言をされたことがあるそうですが、エドが全てを終わらせた後、彼のやってきたことの意味を教える役目を持っているのかも知れません。
(ウィンリィが子供を取り上げる時に、「怖い」と震えていたことも、複線になっているのかも。)

そう考えると敵ボスが「お母さん」ではなく「お父さん」であることにも意味があるんだなーとか、勘ぐってしまいます。

実は14巻までしかまだ読めていないので、すでに矛盾があるかもです^^;
というか、なんか記事と関係ないコメントになってしまいました・・・すみません。
(ちょっと興奮気味で書いてしまったので・・・)

更新楽しみにしています!
では。
返信する
コメではおひさしぶりです (聖部 翔)
2009-06-02 19:52:35
>「イシュバールの民に、主要キャラが皆、同情的なのはどうか?ここは例えばヒューズのようなキャラに~
コレ↑をやったのがシャンバラでのノーアとヒューズとグレイシアだったのではなかったかと。


ふと、この記事を読んで思いついた事があっての一言コメなのでレス不要ですよ~
記事自体は荒川語りに絞ってるのも百も承知ですから(笑)
返信する
コメントありがとうございます。 (歌猫)
2009-06-03 07:08:46
ちゅうすけ様こんにちは!
ようこそ!歌猫Blogは考察Blogです。ずーっと考えてますよ~(笑)
もしよろしければ、トップ記事からお気に入り記事リンクがありますので、ご覧いただけると嬉しいですv
ハガレンの女性キャラは、母性がありますが、それは「意図的」では無いように思います。荒川弘の女性観、は、なお語りたい項目です。
敵ボスが「お父様」というのは、少年成長物において乗り越えるべき相手が父性であるというセオリーにのっとっていると思うのですが(例えば荒川先生が大好きなスターウォーズとか!)、実の父ではなく、その鏡としたところに、面白さがありますよね。しかもエドは正面から彼と相対しない。…これからどうなるかは分かりませんが。
14巻ですか!「(アルだけでなく)皆の笑ってる顔が見たいよ」エドの転換点ですよね。ここからエドとアルの二人の物語でなく、皆の、群像劇の色合いが強くなってくると思います。
長い伏線が20巻でぎゅううう!と回収されていくところが快感ですよ!
ぜひ最新刊まで読んでみてください!これからも歌猫Blogをよろしくお願いいたします♪

聖部様こんにちは!
ええ、荒川語りに絞らせていただいております(笑)
シャンバラのそれは…って語りだすと止まらないので止めておく(苦笑)
そうそう、創5月号読んでますよー!呼ばれたから今記事書いてますv
返信する
判らない・・ ()
2009-08-24 00:02:28
こんにちわ。
鋼の錬金術師が大人気な事に
いまだ疑問がおき、もはや世間と隔絶された思いにトラウマ感まであるものです。

余りにも判らなくて、でも
周囲では売れていて、編集部の宣伝活動もあると思うのですが
それでも納得いかないのです。

私は、最初この作品に全く興味なかったのですが
とある関係筋から作者ご本人に会う機会がありまして
失礼だったので取りあえず5巻まで購入して読みました。
でも、やはりおもしろさが判らず、
放置していました。

そんなこんなで、今度はアニメ化するとか話しがでるので
あー売れてるのかぁ。先生頑張ってるなあ。と当時はそれでスルーしてました。

しかしその後、最アニメ化という事が決定し
アッチもコッチもハガレンハガレン。
どうでもいいのにスルーしたいのに
本屋でもネットでもレンタル屋でも携帯でも
あらゆる広告に
無理やり視界に入ってきて正直我慢できないレベルになりました。
しょうがないから、世間でそんなに噂するなら読み直してみるか・・と思い
既刊済みのものを頑張って読もうとするも、
結局精神が疲弊く、吐き気を感じながら
17巻まで読むのが今やっとなのです。

この漫画を読む時いつも感じるのですが、この内容から
醸し出される死体に似た臭いに耐えられないのです。

この作者さんは
基本歴史&戦争大好きな人(ご本人に会って話しさせてもらいましたので)でして
そのせいか
戦時中の(勿論国民皆兵後の)死体の腐臭が身体にこびついているのを感じてしまうのです。

殺人についても
他の作品ではストーリ上のものとして認知できますが
この作品は1巻読むごとに作者のダークな趣向が手に取るように伝わってきて
(その上、それをネタとしてギャグで楽しんでいる、、これが最も人として気持ち悪い、、)
気持ちわるい思いで投げ出したくなります。
というか投げ出してます。。これ以上は耐えられない、、17巻止まりです、、

>鋼は確かに面白い。けれどそこまで絶賛される内容とは思えない。」
>その通りだ。でも、詰めが甘いよ。

そうなのでしょうか・・
私にはそう思えません

>大人がたのしめる
>大人が子供にすすめたい漫画

そういった内容は他のサイトのレビューでもみたことがあります。

だけど、大人でも色々いますし、
私の両親もそうですし、私の友人もそうですが
表面的なもの(楽しさ)しか考えない人の方が多いように思えます。
逆に私のように細部をきにする人間は疎まれますので。。

大人?

大人の理論ってなんですか。

子供を持ったら大人ですか。

私の周りの成人式を終えた人間が「大人」と感じる人格や倫理を持っているとは
思えません。

遊びや、何かつるむ時は表面上楽しくできますが
細かい発言(時事や政治に関しては)突っ込んだら
押し黙ります。

軍事に関しては特にそう。

昔の友人は、有事の言葉の意味すらしらない状況でした。
勿論成人ですよ?

私は判らないのです。

みんな死体の腐臭がしないのか?
それとも、世間はこういう残酷で腐臭めいたのが好みなんでしょうか・・それが標準なのでしょうか・・

死体やら虐殺やら差別やら、、
それらをもじったギャグに笑い感動する。

時に読者に対する馴れ合いも感じる。

信じられない。

信じられないのです。


虐殺された写真や
差別され虐げられた記憶、
本当の死体(事故・殺人での)をブログ主さんは見た経験はおありでしょうか?
戦争での悲惨な状況、苦しさ、痛み、
戦争関連の書籍・資料・NHKのドキュメンタリーや戦争体験者の話しなどは伺ったことはおありでしょうか・

ハガレンはダイレクトに
その臭いがして気持ち悪い、、苦しい

公に、娯楽作品として置くべきものではないように思えるのです。楽しむべきものじゃないように思うのです。

私は、このハガレンを見ている自分と
普通にハガレンを楽しんでいらっしゃる方に
何かギャップを感じてしょうがないのです、、

少年漫画だから、本気でみてはならないと頭では
判ってます。

でも、この長年のハガレンの人気の高さから
どうしても
手放しに楽しんでいる方が
何か薄っぺらな部分しか読み取れてない気がするのです。

確かに娯楽作品だからそれで良いのですが、、

長々とすみません
正直こんな内容をここに書くことはブログ主さんのご迷惑だと思います。

ネットサーフィンしていたらたまたま上位ヒットしてしまったので伺わせて頂きました。
すみません。


最期に。
これだけはいわせて下さい。

私は昔平和教育という名の強制思想を植えつける授業をうけました。
小学生でした。

毎年、毎年、戦争の「せ」の字も判らない子供に
教師たちは無理やり自分の正義と主張のため
戦争のリアル映像を真っ暗な体育館で大画面で何度もみせつけました。
ワンワン泣き出す子もいました。
私の脳裏にも今でもその時の映像が焼きついて離れません。GHQの笑った顔、被災者の無気力で生きる望みを失ったあの目-。ボロボロで今にも死んでしまいそうな身体、、
何度も何度も夢で空爆され、自分の身体が粉々
になりました。自分の身体がズタズタにされるのは夢であっても恐怖以外になんでもないです。
今でも、「ヒュー」という長い風きり音がすると
爆弾が落ちてきたのではないかと、本当に恐怖を感じるのです。ゾッとしてます。判らない方には笑い事に感じるかもしれませんが、私には心が凍る程のトラウマなのです、、

ハガレンを子供に見せたいという大人。

私は、自分のトラウマに等しい体験からやめて欲しいと切に願います。
子供は大人より感性が敏感です。
戦争がなんなのか、軍隊とはなんなのか、
「物語」からではなく、国際社会や歴史を少なからず勉強してから教えてあげて欲しいです。

こういうのは大人が強制的に与えるものじゃないです。
小さい子にそういう事は絶対やめて下さい。。
それは、大人のエゴだと思う。
本当に本当に止めて欲しい。
正直、あの教師たちを恨んでます、、
あの教育のせいで、真実を直視するのに(トラウマを克服するのに)10年以上かかりました。


ハガレンでは良いことにはならないと思う。

ハガレンの戦争は、そもそも枠にはまった戦争でしかないです・・

以上。
感に触ったらすみません。
ありがとうございました。
返信する
コメントありがとうございます。 (歌猫)
2009-08-26 06:11:25
磔様こんにちは。
あなたがハガレンを嫌だと思う理由は、あなたの中にあるのであって、ハガレンにあるのではありません。
あなたがハガレンに「死体に似た臭い」を感じるのは、あなたがそれを嗅いでいるからです。
著者に会ったから作品を読まないと、という姿勢は立派だと思います。丁寧な文面からも、あなたが真面目な方だと感じます。
そして、あなたは強烈な疑問を持っていらっしゃる。
それはハガレンに対してですか?世間と自分の溝について?それとも無理やり押し付けられた平和教育に?
強烈な疑問。私にも覚えがあります。私は疑問の答えにたどりつく糸口を知っています。
それは、その疑問は誰とも共有できない、と自覚することです。
辛く、寂しいことです。
でも、理由は自分の内側にあります。だから、たかが少年漫画や、理解のない友人や浅はかな両親に当たったところで、何の答えも得られないでしょう。今までそうなのだから、これからだってそうです。
それと。
嫌いな漫画を我慢して読むことなんかありません。人生の無駄ってもんです。コミックなんか今すぐ捨てちゃえ。
ハガレンがあなたの目につくのは、あなたが私のようなオタクと同様、書店やネットといった屋内ばかりうろうろしているからじゃないかしら?外に出ればそんなもの、これっぽっちも目に入りませんよ。
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