歌猫Blog跡地

漫画「鋼の錬金術師」と荒川弘について語るブログ。更新終了しました。

鋼FA12回

2009年06月23日 | ◆アニメのこと
果敢に原作再構築の回でした!
良かったよ!!

半ばまで見てCMんときに、あ、今回もしかして脚本、大野木さん?って思った。
エンドクレジット見てそのとおりで、やっぱりー!って思った!

だって、こんだけ改編した回って無いもん。
つまりこれは、「こんくらい変えちゃってもいいんだよ」って、メインライターからスタッフへのメッセージ。
やっぱり、ちょっと苦しそうだったもの、原作通りって。もちろん、今作は原作に沿って作るっていうのが大きな命題なんだと思うし、その命題に正面から挑む姿勢を心から応援してる。

それは、原作好きだから、だけじゃなくて。
オリジナル路線のがむしろ楽な面もあるってこと、例えば二次創作とか書いてる人は、知ってるよね。
だから、困難な道を敢えて選ぶ、その姿勢を私は応援してる。

でも、このまま行って大丈夫…?って心配もしてた。だって原作密度はこれからどんどん濃くなるし、話も複雑になるし…。

でも、今回。
「原作路線」の幅を、ぐっと広げた。
原作のメッセージを、自分の言葉で語っていいんだ、って示した。
子供向けに分かりやすくというコンセプト、を、ただ言葉を入れ替えるとかギャグを挟むとかだけじゃなく、作品解釈まで踏み込んで実践していいんだ、って。
ストーリーをシンプルにするために、その場にいたキャラを、消してしまってさえいいんだ、と。

もっと自由に、理解・分解・再構築をしていいんだ、って!

他の感想、ほとんど読んでないんだけど、きっと今回は非難もゴウゴウだろうと思う。
原作ファンがさー、あそこを変える必要はあるのか、なんであそこをカットした、どうして原作通りやってくれないんだ、みたいな。

そりゃあ、原作は、最高に面白いさ!
けど、それは唯一じゃーないんだよ。
もうひとつの、これも最高に面白い!へのチャレンジを否定するものじゃー無い。でしょ?

もー、ドコの場面がカットされたとかあのセリフが無いとかゆー感想は、読み飽きた!
見るべきは。語るべきは。
何を描かなかったか、じゃーないんだ。
何を描いているか、なんだよ!!
(と、私は思うのさ~。)

ええとつまり。
そういう、小煩ぇ原作ファンの非難を。
受けて立つ作り方、だったから、これはきっと大野木さんだろうと。そう思ったらその通りだったので、嬉しかったわけです!


さて。
内容の具体的感想と言うと…。

キャラ美麗度がダウンしてましたね!<そこからかよ!(笑)
前回・前々回となかなかに美人さんだったエドが、今回はフツウの少年アニメ絵でした(笑)
や、もー、これOKですよ!だって、大丈夫だもん。記憶はオイシイところだけ取捨選択して定着してくんだもん。
今回、アクションがアニメらしくて、よかったじゃん!?
イズミが便所スリッパでエドの顔面キックでどかーんって道の向こうまで転がって行くとことかさ!
アルはその大きさ重さを利用してごろんと転がすとことかさ!
こういう、イイ動きと、イイ絵の回の印象が混ざって、イメージが蓄積されてくんだもん。
どっちもあって、OKなのだ!

チビエドアルとトリシャママのオリジナル挿入話があって良かった!
子ども声と少年声の演じ分けがもう、上手いなあ~ほれぼれ~v

イズミ師匠登場場面、アニメらしく大袈裟になってて、良かった!

アイキャッチが、すげえ良かった!!!
マジ笑った!さすがはカーティス夫妻だっ!

そんでもって、メイスン全カットはびっくりした~。
ハクロ少将と同扱い?!とか思ったら、次回は出るのね。
てことは、イズミ夫妻と、エドとアル、この4人をきっちり描くために、第三者メイスンは敢えてカットしたんだ。うん、納得。ポリシーある改編は大歓迎だ!

ヨック島。
二人から、島の遠景へカメラが遠ざかる演出は、いいねえ!
島がどういった場所かを説明するとともに、ちっぽけで無力な二人、を表して、そして二度目の夜の場面での同じカメラは、全の中の一、を伝える意味も持ってる。いいな!

修行の二人の葛藤はシンプルになってて、まあこれはこれで…という感じ。
アルがちみっ子のくせしてエドより精悍な顔つきだったりして、元アルエドラーとしては萌えてしまいますよ全く!(笑)

錬金術=全は一=食物連鎖=生きること という、実に単純かつ明快な図式化は、びっくりした。
でも、うん。分かりやすい。
そんで、この図式はすごく単純だけど、脚本中でこう言い切るまでには、とてもとても逡巡があったと思う。一番の根幹は何か、どこまで削れるのか、このアニメで子ども達に伝えたいことは何か、それを真剣に考えて、出した答えだと、私は思う。
真剣に考えないと、シンプルな図式は生まれないんだ。分子や原子がどうのこうの、という小難しい話でウヤムヤにする方がずっと楽。
この、真っ直ぐさは本当に、鋼FAの、鋼FAらしさ、だと思う。

イズミの人体錬成のシーンの、分かりやすさ。内蔵を持っていかれた、が、ちゃんと分かる。悲劇が、ちゃんと分かる。
シグがイズミを抱きかかえて、イズミはそのまま反転して再び手を伸ばす、シグが抱き締める、この動き、すごくいい!
動きで、心情が伝わった。アニメだ、って思った。

イズミが槍を錬成してエドに斬りかかる場面のアクションも良かった!
咄嗟にエドが手パン錬成をする、というシチュで、ここでアクションがもたもたしてたら興醒めだったもの。
これからもこの勢いで頼むぜ!


あー面白かった!
鋼FAは、どんどんこなれて来てるよね?例えばリオールの回のぎこちなさと比べて。ね?
うん、どんどん面白くなってる!
これから先、脚本家さんは、任された回をもっと自由に描けるだろう。
何を捨てるかを考えるなら、ただ30分にどう組み込むか計算するより、もっと深く鋼を読むことになる。たぶん、人によっては読み違いも出てくる。この回をこうやるなんて、と、悔しくなる回もあるだろう。
でも、私は楽しみだ!生き生きと鋼を語る鋼FAを、これからはもっと期待できるんだ!

鋼FAは、真っ直ぐだ。そこが、大好きです。


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (conian)
2009-06-23 08:59:15
私も、今回の話で今後このアニメが向かっていく方向を見たような気がします。それが私にとって嫌な方向ではなかったので今後が楽しみになりました。

原作を準拠しつつもこのくらい大胆に変えてくれたほうが見ていて楽しいと思います。

自分で自信を持って上げた記事だったのに、世間様の嵐にちょっと凹んでいました。そんな時にこちらの記事に出会い、気持がすごく楽になった様な気がします。そんな訳で勝手ながらトラックバックさせていただきました。
ありがとうございます。
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コメントありがとうございます。 (歌猫)
2009-06-24 06:31:38
conian様こんにちは、初めまして!
ああ、やっぱり世間様の嵐は荒れておりますか・・・(苦笑 
私は鋼FAの真っ直ぐでちょっと不器用なところが、すごく愛しいんですけれど、そうでない人も大勢いますものね。
まあ、賛否両論はアニ鋼の宿命?みたいなものですもの。色々な意見がある方が、第三者の興味を引いて視聴者が増えるぞ、くらい、前向きに考えています♪
トラックバック&リンクご紹介、ありがとうございましたv
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はじめまして (karon)
2009-06-24 22:48:34
こんにちは、歌猫さま。karonと名乗らせて頂きます。

今回の話、すごーっく原作と違うストーリーになっていましたね。
原作が大好きなので、「ええ~メイスンいないのー!?」とかメニィの話が無くなっててショックだったのですが、
それでも、嫌な感じはしませんでした。少なからず鋼FAでは原作を求めていたので、私にとっては良い出来だった……ととって下さい;;
どんどん晴やか……というか、迷いがなくなって行ってるかのように思います。

メイスンが切られていた事に関しては、
ほら、イズミ夫妻とエドとアルが「ラッシュバレーで赤ちゃんを取り上げるの手伝ったんですよ!」って夫妻に言う時に、メイスンさんという第三者が夫妻を気にして言葉を発する、
という場面が人間らしくて気に入っていたのです。
なんというか、大人が、子どもであるエドとアルが傷つかないように、そしてイズミという大人が傷つかないようにと、とっさに行動した事だと思うんです。
この時点ではエド達はまだ子どもで、だけど無知すぎる子どもでもなくって……。もうちょっと子どもだったら、その思考に行き着いていないかもしれないし、もう少し大人だったら、それに気付いていたかもしれない。
メイスンの目がキョロキョロする感じが好きだったからかもしれませんが(苦笑

あとメニィについてですが、
周りの人達が死なない幼い頃に、「死」というのは当たり前でなくて、いざ大事なものが亡くなってしまった時に
「戻って」と願うのが兄弟やイズミだけではない、というのを読者の子どもに言ってる感じがしたんです。あ、これを最初に原作で読んだの12歳のころですね。その時「当たり前だ」って思ったから、切っても良いか、とは思わなかったんですよね。(年齢がバレてまう……笑

今回の鋼FA、妹はこれが「初めての鋼」なんです。
原作もチラッと読んだけで、「ちょっと難しい」と止めてしまったんですけど、
鋼FAは毎週私が録画したのを勝手に再生してみるまでになっています。
特に戦闘シーンより12回「一は全、全は一」が気に入った様で、ちょくちょく見ています(笑
やっぱりそうですけど、鋼を知らない人が鋼を楽しんでいる、というのは嬉しいですね。母も鋼FAの影響で(それか私の勧誘で笑)22巻まで一気に読んでました。

あ、こんな長ったらしく書いてしまってすみません!!
アニメの感想ってほんの少ししか書けてませんが、私、鋼FA応援してます……!

これからもちょくちょく通わせて頂きます^^
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こんにちは (サクラ桃)
2009-06-25 06:39:06
歌猫さん良いこと言いますね!

なんだか私が嬉しくなっちゃいます(^-^)v

大野木さんをはじめ、スタッフさん達頑張ってますよね。

原作好きだけど、FAも大好きです。
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コメントありがとうございます。 (歌猫)
2009-06-27 09:28:31
karon様、初めまして、こんにちは!
とっても素敵な感想を読ませていただいて、幸せになりましたv
メニィとチコのエピソードについても、なるほどな、って思いました。そうだ、トリシャやヒューズの死や、赤ん坊の出産より、もっと少年少女の読み手に身近な「生死」。うん。そこまで分かって、きっと荒川先生はあの場面を入れたんだ。
うん。鋼FAは「初めての鋼」の人に向けて作っているのだと思います。妹さんやお母様、すごくいいですね!
やさしめの入り口で、奥はすごく深い。それは原作も同じだと思います。シンプルな絵柄だからすいすい読める。のに、何度も読み返したくなる多様な伏線と深く力強いメッセージ。
妹さんもすぐ、ちょっと難しい、が、だから面白い!になるんじゃないかしら。だったらいいなv
お母様の視点はきっと、またKaron様と違うと思いますよ。好きな場面とかきいてみたら、楽しい会話になるかも!
ほかほか温かい気持ちになりました。素敵なコメント、ありがとうございました!

サクラ桃様こんにちは!
うん、がんばってますよね!この素直さ、インパクト無いかもだけど、これって魅力ですよね。
私も、応援してます、より、好きです、って思う気持ちのが大きくなってきて、自分でも面白いなあって思っていますv
明日も楽しみ~♪
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散歩 (蘭芳)
2009-06-28 21:13:28
こんにちは歌猫様。

私は、イズミの「もっと早くに話しておくべきだった」というセリフが入っていたのが…とても良かったと思いました。不覚にも涙が。ヒューズの葬儀でも泣かなかった私が…。

ストーリーは、目的地への大きな一本道さえずれなければ、脇道に入ったり近道したりするのは全く構いません(笑)むしろ、そういった散歩を楽しんで行きたいですよね。
もしかしたら、今まで見たことのない景色が広がっているかもしれないから…

今週のも、あれをこっちに持ってきたり、これとあれを繋げたりと、いろいろ頑張ってましたね(笑)
それでは失礼します。
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