プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 片桐はいり「もぎりよ今夜も有難う」

2021年10月06日 | ◇読んだ本の感想。
著者は女優。そう、あの片桐はいりです。
好きな方の女優だ。が、作品としてがっつり見たのは
「小野寺の弟、小野寺の姉」くらいかな……。
好きな映画だったイメージがあるけど、今読んだら話はだいぶ忘れています。
なんか久々に見たくなったな。


演技者として個性派であることは間違いない。
しかし文章だとそのユーモアが上品に丸まり、読んでいて非常に快適。
内容も濃いし、組み立ても上手だし、文章もちゃんと表現。
著書は3冊しかないようなんだけど、もっともっと書いていい人だなあ。
書いて欲しいよ。

片桐はいりは学生時代に映画館でもぎりのバイトをしていた。
その経験を主に書いたのが本書。
本のタイトルがもじりなのは驚かなかったけど、
中のエッセイ、三十数編のタイトルもみな映画のタイトルのもじりなのは驚いた。
この縛りはけっこうきつかったのではないか。

キネマ旬報に寄稿したエッセイをまとめたらしい。
時代としては三昔前くらいの話ですかねえ。まだのんびり働けた時代の話。
もぎりたちの生態。いいねえ。古き良き時代。

感心したのは、個人的に地方の古い映画館をまめに訪れていること。
好きでなければやらないことですねえ。
紀行としても面白いし、表現が上手くて映画館のひなびた匂いまでするようで、
書き手として感心した。
これを独立の企画にして1冊作ればいいのにと思った。

あと、変わった人だなあと思ったのは、もぎりが大好きで、
女優として一本立ちしてからも辞めずに二足の草鞋を履いてたんだってね。
そして、自分が出た映画がかかって(けっこう中どころの役)、
映画を見終わった客がもぎり嬢をやっている片桐はいりを見て二度見する。
そんなことがあって、泣く泣く止めたそう。

……止めたけれども、実は今でも家の近所の映画館のもぎりを時々やっているという。
なにそれ?と思うよねー。そんなにもぎりが好きなんだそうだ。
気まぐれにもぎりをやれる映画館を3館ほど確保し、
まるで実家のように通っているらしい。
世の中には変わった人がいる。変わった人は面白いね。

他の2冊のエッセイも読んでみる。
本書が最初の著作かと思ったんだけど、これが3冊目だって。意外。


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