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プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< 青春ブタ野郎はお出かけシスターズの夢を見ない >

2025年08月23日 | テレビで見た映画。
青春ブタ野郎シリーズは「ハイキュー!!」の声優が主役をやっているので、
見に行こうかどうしようか……と毎回迷って、結局今まで行ってない。
今回テレビ放映で初めて見た。

これ、シリーズの3番目みたいなんですよね。
そしてわたしは事前にこのシリーズについてほぼ何一つ知らない。
うっすらつかんでいたことは、一人、主役より年上の女の子がいて、
その子と恋愛関係…………?ということしか。

こんな状態で楽しめるわけないやろ、と自分でも突っ込みながら見始めたが、
意外なことにけっこう楽しめました。いや、意外に面白かった。全然不満はない。
そもそもハードルは低かったけど。

主役が出て来て、年上の彼女……彼女でいいのね。へー、この人は芸能人なんだ。
可愛すぎる妹が出て来るけど、妹と彼女が主人公をめぐって張り合う話ではなさそう。
なるほど、訳ありな家庭なのね。詳細はわからないけど。高校生と中学生だけで暮らしてる。

他の女の子たちと主人公の関係はいまいちよくわからないが、
前二作でいろいろあったんだろう。
なるほど。妹の訳ありが問題なわけだ。前二作のどっちかはその話なのか。

……と、見ていきながら必要最低限の情報は盛り込まれており、もちろん前二作を見てれば
面白さは段違いだろうが、今作だけ見ても嫌味なく、楽しめました。
こういうあっさりした話がいいんじゃないかね。もちろんこういう話で大名作!には
なりにくいけれども、全てのドラマが大名作を目指す必要もないわけで。
見た人に愛される作品になれば十分。
昨今の作品は設定が細かすぎるんじゃ。

登場人物は総じてテンションが低く、話も特に大事件が起こるわけでもなく。
でも主人公と彼女、主人公と妹、妹と彼女、その他大勢の人々の、さりげなく優しい
感情の交感が見てて安心する。表情を繊細に描いてますよね。
これは丁寧な仕事だと思う。創造だと思う。

そうねえ。ちゃんと1作目から見てあげるべきだったかもねえ。
ありていにいえば、劇場で料金を払ってみるべきかというと……そこは微妙だが。
でも今後、前二作も見たい気がしたね。無料であれば。



――こういうテンションの話なら、タイトル間違ってないんだろうか。
まあ原作ありだというから、主に原作に対していいたい。
「青春ブタ野郎」の話を読みたいかというと、わたしは特に読みたくない。
「バニーガール先輩」の話も別に読みたくない。
だが話としてはむしろ静かな、丁寧なものであるなら――そういう話が好きな層に、
このタイトルで届くんだろうか。疑問。

今回の話も「お出かけシスターズ」の話ではなかった。
キャッチーだからいいってもんでもない気がする。


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◇ 連城三紀彦「造花の蜜」

2025年08月20日 | ◇読んだ本の感想。
初連城三紀彦。

ん-ん-ん-。
ネタバレをするので、今後、連城三紀彦作品を読むかもしれない人は、
わたしの轍を踏まないように、以下の文章は読まないでください。




























よ。




この作品を、わたしは「最後の最後のどんでん返しが!」というような文章を見て、
どんなどんでん返しなんだろうと興味を持って読んでみたんですよね。

――だが、よく考えてみれば、「どんでん返しがある」と知って読んでいては、
そのどんでん返しを楽しむことは出来ないのだ!!盲点でした。
なので、どんでん返しについては全然知らない状態で読むのが正解です。
(余談だが、「もうてん」を変換すると最初に「蒙恬」が出て驚いた。)




実は連城三紀彦って、わたしがあんまり好きなタイプのスタイルじゃないんじゃないかと
思いながら読み始めたんですよね。

実際、全体的なスタイルはあんまり好きではない気がする。
でも上巻については、意外にもすごくテンポが良く、謎の出し方が非常に上手で、
これは面白いなと思った。好きにはなれないかもしれないけど面白いと。
一気に読んだ。

だが、文庫本で下巻に移ったとたんに恐れていたことが起こってしまった。
……悪く言えば2時間サスペンス的な雰囲気になって来たんですよね。
じめっとしてて、無理があって、ありきたりなの。

上巻は謎や伏線をポンポンと出してて、それだけで楽しめた。
だが下巻は、半分くらいまではある登場人物とある登場人物の関わりだけを述べるので、
しかもそれがお定まりの「ファム・ファタルにのめりこんでいく若者」という話だから、
読んでて退屈だった。

いろいろ無理があるんだよなあ。
まず出会いがさー。わざと交通事故を仕掛けて知り合いになるんだよ。
しかも若者のみならず、我が子が乗った車に当て逃げするの。
厳密には女の車の方がひかれた形になるんだけど、そんな上手く小さい事故で済むわけあるか!

いや、小さい事故で済む可能性もあるけど、まかり間違ったら大きな事故になる。
女が自分の運転にどれだけ自信があったとしても、相手の反応もあるし、
ちょっとの違いが大きな違いになるし、
――要は、単なる出会いにそこまで大きなリスクを取る理由がないのだ!

面倒なのでいちいち言及しないけれども、とにかくいちいち大なり小なり無理がある。
ここまで状況をドラマティックにする必要はない。というか、ここまでいじると
嘘くさくなる。その嘘くささが受けいれられない。
だってここまでアレコレ出来るのなら、女は超巨大な犯罪組織の長ですよ。

この作者はいろんなところをドラマティックにするのが好きなんだろうなあ。
だがそれが無理を生む。この無理が平気な人は平気だろうけど、わたしは無理。
多分これはこの人の全作品的な傾向だろうと思う。

そして、登場人物の誰をも好きになれないフィクションも好みじゃないのよね。
キャラクターはあんまり魅力的じゃない。共感出来る人物がいない。
上巻くらいのテンポの良さなら、キャラクターが好きじゃなくても面白いが、
下巻になるとじめじめ感が辛くなる。

そして最後のどんでん返しは、たしかに……知らずに読んでいたら、やられた!と
思ったかもしれないが、待ち構えているとちょっと中粒に感じた。

そうねえ、話の骨格はすごく考えられてていいんだけれど、そこに肉付けしていく過程で
不満を持つなあ。無理が。やはり無理が気になる。


あと「戻り川心中」を読んでみるが……代表作の一つだろうし。
でもタイトル的にこれもじめっと系ですかね。たくさん書いた人だし、好きなら
たくさん読むのにやぶさかではないが、現時点ではこの2冊になりそう。

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< 天河伝説殺人事件 >

2025年08月17日 | テレビで見た映画。
1991年公開。34年前。
……うっ。そんなに前ですか、これ。
タイトルが良かったので気になっていたんだけど、今回初見。
古めかしいですねえ。まあ34年前であれば、そりゃそうか。

榎木孝明かっこ良かった。
岸恵子は御年59歳でヒロイン役。きれいだった。
財前直見がすっごくかわいい!この人こんなに可愛かったんですか!顔変ったねえ。
大滝秀治は34年前でさえもすでに大滝秀治だった。
伊東四朗も若かった。
酒井俊也、斎藤洋介、若かったねえ。

だが実はわたしは浅見光彦シリーズ、あんまり好きじゃないのよね。まず原作が。
原作は2、3作読んで、話のあまりの薄さに辟易して。
ドラマも1、2作は見たけど、何しろ原作にそもそもそ感心してないんだから、
ドラマに感心するはずもなく。

でも「天河伝説」だけはプロモーションが良かったのよね。
中森明菜の主題歌も魅力的だったし。なので数十年経ってようやく見た。

ん-、まあね。面白くなかったとまではいわないね。だが積極的に面白かったかというと。
まあ普通。序盤の畳みかける事件の起こり方は期待感をあおったけど、
その後の話の展開は、まあいつものサスペンス……というような。


舞台だては良かったですよね。山深い天河神社。吉野のさらに奥ですから。
正直、こんなに奥でこんなに豪華な社殿なわけが……と思ったが、
検索した範囲でいうと、やっぱり立派な神社です。
実際の撮影はもう少し交通が便利な、滋賀県の神社で撮ったようだが。

でも奈良市から70キロそこそこだとすると、イメージよりは奥じゃないのね。
十津川村に準ずるような山深いところだと思ってた。

見てて完全に間違っていたのは、能の宗家の家が天河神社に近い場所だと思ってたこと。
吉野あたりにあるイメージだった。天河神社がもっと奥にあって、能の宗家はその手前だと。
あれは東京なんですね?たしかに吉野だとすると、能楽専業の人が多すぎるようだし、
舞の会の雰囲気とかは違うと思うが、なんか思い込んじゃったのよね。

そうすると、宗家の設えの趣が変わるなあ。豪華な障壁画も、重厚な和風の作りも、
旧家の邸宅だと思ってたからこそ趣深く感じたわけで、
単に(?)東京の宗家ってだけだと趣が減じる。

東京の宗家が天河神社とそんなに繋がりが深いというのも少々納得出来ないのよねー。
せめて京都辺りの設定なら何とか……。でもそうすると後継ぎの女の子が
東京をうろうろして伊東四朗の事務所に行ったりするのも整合性がとれないか。

岸恵子はきれいだったけど、そして実年齢にしては驚くほど若いけど、
浅見光彦が心惹かれるというのは無理がないか……。30歳くらい上ではないのか……。
まあ話の粗はいろいろ。


同時代で見ていたら全然感心しなかった可能性はあるが、制作から34年経って見てみると、
昔の雰囲気を楽しむという部分の面白みは増えるかも。
だが当然、その古めかしさがネックになる部分もあるので、
プラマイゼロくらいなのかな。

画は良かったですよね。かなり良かった。
だが、ここは暗くしなくてもいいだろう、というシーンが暗すぎたりしたのは
いまいちだった気がする。わたしは画面が暗いのは基本好きじゃないのでね。
宗家の内部が暗いのは納得出来るんだけど、その他の部分はもう少し明るめでいいと思った。

まあでもうっすらと気にかかっていた作品が見られたので良かった。
気にかかっていた最大の要因であるテーマ曲が聞けなかったのは肩透かしだったが。
それが聞けてればもっと満足度が高かっただろう。




実は本日、本ブログ開設7500日でした。
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◇ 塩野七生「ローマ人の物語 3 勝者の混迷」

2025年08月14日 | ◇読んだ本の感想。
2はポエニ戦争について。次がおそらく三頭政治。
なので今回は若干小粒な、谷間の雰囲気がなきにしもあらず。
とはいえ、ちゃんと知識があれば面白い時代なんだろうけどね。
まあ知識がなくても読んでいれば面白い。記憶にはなかなか定着しないけれども。

今回の登場人物は以下の通り。

グラックス兄弟。
マリウス。
スッラ。
ポンペイウスの若年時代。

「プルタルコス英雄伝」はとにもかくにも一度は読んだから――スッラの名前くらいは
かろうじて覚えていたけど、内容はまるで覚えていない。まあ数十年前だしね。

なかなか面白かった。地味ではあったが。
グラックス兄弟の人生は悲劇的だと思ったし、マリウスには軍事と政治の能力は
やはり別物だよなあと(ごくごく当たり前のことを)思ったし、
スッラはもう少し謙遜する心があればより上手く行っただろうと思ったし、
ポンペイウスは、次からがおそらく真骨頂だろうから、それほど強烈な存在には
まだなっていない。


だが、ここらへんになると、やはりほころびが見えて来る。古代ローマに。

やはり任期がなし崩しになってしまったのが明確なつまづきだと思うなあ。
権力は結局は腐敗する。連続任命の禁止はそれに対する唯一の対抗策ではないかと
現代のわたしも思うのだが、何度かの(例外としての)緊急時の連続任命を経験すると、
「例外適用が常態」になってしまう。やはり前例というのは厄介なものです。

気分とか勢いというものもあるしねえ。こういうののタイミングってほんとにぬるっと
いってしまうのよね。気分で法律が運用されることがないように、
ブレーキ機関をちゃんと設定しておかないといけないが、
設定していてさえ、ブレーキとなり得るかは不確定。
やはり民衆の「気分」に対抗するのは大変な勇気を必要とする。
下手すると血祭りに上げられないとは言えない。

あと、やっぱり一度登った国家は停滞する。弛む。
この時期の古代ローマはまだ停滞というには早いかもしれないが、
やはり青春時代と比べれば少し緩んでいる。理想を追う時期ではなくなっている。
上り坂の時には相当無理がきくものだと思うけど、それは永遠には続かない。
日本で言えば、明治時代が青春時代だろう。

というか、永遠に同じシステムが通用しないんだよね。政治は。
時代により、規模により。周囲の国も興亡し、同じ相手ではない。経済も移り変わる。
それに合わせていける国が栄える。というより、偶然合っている時代だけ繁栄する。

まあ結果的にローマは合わせられたんでしょうけどね。
なにしろ東ローマ帝国まで含めればおよそ2000年――くらいですか?
続いたんだから。まあ東ローマ帝国は別物か。

考えてみれば、これまでのところ、けっこうエジプトの存在が空気ですね。
もう少しエジプトについての言及があってもいい気がするけどなあ。
当時も大国だったんだろうし。
あと20年くらいでクレオパトラとカエサル、アントニウスといろいろあるエジプトは、
もっとローマと影響を与え合っていたのではないか。

ヌミディア王国とか、パルティア王国とかが脇役ながら印象的ですよね。
まあここらへんも書こうと思えば塩野さんはたっぷり書けたんだろうが、
きりがないから「まあここらへんでカンベンしといてやろう」と思ったのかな。

次が古代ローマのメイン、塩野さんが大好きなカエサル。

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< 坂の上の雲 (全26回) >

2025年08月11日 | ドラマ。
2009年のドラマ。今回初めて見た。

見始めて、ああ……。と胸を突かれた。
金も手間も時間もかけてる。いい頃のドラマだ。
この頃。本木雅弘もかっこ良かった。阿部寛もかっこ良かった。
菅野美穂も可愛かった。香川照之も……不祥事のはるか前でいい役者だった。
見ててしみじみとした。良かった頃のドラマ。

ものすごく質がいいドラマなことは間違いないとして、
わたしはこの時代を描いたドラマが基本苦手。
いや、前半はいいのよ。正岡子規の死くらいまでは。
子規の死はツラいけれども、歴史上の出来事として捉えられるしね。

だが後半の戦争部分になると、……だめだー。近代戦争の映像化は苦手。
ぎりぎりで戊辰戦争。いや、戊辰戦争も前はドラマで見たけど、今はもう見たくないな。
戦国時代の戦くらいまでなら見るけど。時間的に距離があるから、そこまで切実感がない。
でも戊辰戦争あたりからすごく現実に近くなってきて嫌だわ。

今回の日露戦争が辛かった。特に二百三高地。特に旅順港封鎖作戦。
前者は乃木希典が、後者は広瀬少佐がいたわしくていたわしくて。
そして駒として死んでいく人々の数。
もしあんな場所に自分がいたら気が狂うと思います。

なので、第17回以降から最終回26回までたどり着くまで長かった……
見るのに気力が要った。
本来は90分のドラマを半分にして放送した。元々は全13回。
90分だと見る気力が湧かなかったと思うので、良かったと思う。


……なんか、半年以上かけて見た気がするので、前半の感想はなくなっちゃったなあ。
最終盤の細部だけ言っても仕方ないし。
主役の皆さんの演技とか、豪華な顔ぶれとか、もうそういうのは当然で。
とにかく「いい頃のドラマ」というのが感想。あまりに大雑把すぎますけど。

しかしドラマの丁寧な仕事ぶりにはちゃんと感心している。相当に感心している。
こういうドラマを、……今後も見られればいいんだけど、熱意も、予算も、技術も
なくなってきているような気がする放送業界には、もう無理なんじゃないかな……


※※※※※※※※※


軍人を美しく描くフィクションは。複雑。
戦う人は基本的に美しいのよ。人間、遺伝子から戦士に美を感じるように出来ている。
理念として戦争が否定されている近代以降は、スポーツ選手に人気が集まるでしょう。
が、戦争はなくならないだろう。利害関係の解決は結局武力で決めるしかないんだろう。

アメリカが9.11以後にイラクへ攻め込むまでは、「世界は戦争を繰り返しながらも、
その規模は縮小し、数は減っていく」という希望をわたしは持っていた。
人類は少しずつ利口になっていけると。
だがあの安易なイラク侵攻を見て、それは無理なことなのだとわかった。
国連なんか何の歯止めにもならない。多数決は、世界平和は、利害に勝てない。

そして今は当時よりもさらに戦争が身近になっている。
平和であると信じられている日本でさえ、ロシアとウクライナの戦争の影響を
市民生活のレベルで受けているし、北朝鮮のちょっとしたさじ加減でいつミサイル攻撃を
受けるかわからない。
世界はわたしが思っていたよりもっとずっと容易に戦争を始める。

その時頼りになるのは自衛隊しかないだろう。憲法違反の存在である自衛隊に。
無抵抗主義は肉食獣の中では獲物になるだけだろう。
国を失う覚悟が出来なければ、頼るのは自衛隊しかないのだ。
そして本格的に戦争になった場合は、戦場に出るのは自衛隊員だけではないだろう。

生存闘争は我々の遺伝子に刻まれた――武器か呪いかであるけれども、
しかし、その本能にあらがって戦争をしない理想を求めなくてはならない。
そうでなければ人間が歴史を積み重ねてきた甲斐がない。


※※※※※※※※※


辛かったけど、質の高いドラマでした。

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◇ 赤瀬川原平「少年と空腹 貧乏食の自叙伝」

2025年08月08日 | ◇読んだ本の感想。
赤瀬川さんが亡くなってからもう10年以上経ったのか……
わたしが(図書館で借りて)読み続けてきた著作もあと7、8冊。昭和は遠くなりにけり。

これは1993年頃に連載されたエッセイのようですね。
私見だが、2000年代以降の赤瀬川さんはわりと内容が薄くなるので、
発行年代順に読んでいて、近年そんなに面白いエッセイはなかった。
でもこれには内容を感じた。ブンガクだった。

だが、読んでてツライ内容だった……。
いつもの赤瀬川さん、ほわほわでのんびりしていて、笑える内容の少年時代のエッセイかと
思いきや、けっこうシビアなんですよねえ……。いうたら犯罪告白になってる。
犯罪も、こどもの頃のガム1個とかお菓子1個とかどころじゃないですよ。

青年になってからの食パン4本と大瓶のチョコ1瓶分。
定期券の偽造3ヶ月?4カ月?
隣の友人の米・味噌複数回窃盗。

その他にも、なかなかエグいテーマも多くて、前半3分の1くらいは引いてました。
後半は素直に面白く読めるんですけどね。


しかし昭和12年生まれの戦後食糧事情はかなり厳しい。
しかもこの人は兄弟が5人か6人で……まあこの年代だとそれほど珍しいことでもないが、
食べ盛りが5人もいたら、それは食べ物がいくらあっても足りないですよ。
そして、ないんだからね。食べ物が。
お腹が空いて、お腹が空いて、どうしようもない時代の思い出。
ユーモアの皮をかぶっているとはいえ、痛ましいのだ。

あと珍しく、妻と娘の姿をスケッチしている一篇もあって、珍しいと思った。
妻は若干出て来るけど、娘はエッセイを読んでいてもほとんと出て来ない。
意識して出さないようにしていたんだと思う。気を遣う人だし。
一度書いて出してしまったら、なかったことには出来ないからね。


ちなみにこの本の解説が久住昌之。そうか、そういえば赤瀬川さんの弟子筋だったねえ。
この人も美味しかったと言っているけど、赤瀬川さんのエッセイに
度々出て来る「りゅうきゅう」はわたしも食べてみたいなあ。

多分大分へ行けばどこかの店で食べられるとは思うが、
書いてある通り、コンニャクのりゅうきゅうがなさそうなのよね。
作るしかないか。そんなに面倒ではなさそうだが、ずーっと作ろうかどうしようかと
迷ったまま作ったことがない。作らないままのような気がする。


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< 日日是好日 >

2025年08月05日 | テレビで見た映画。
これ、「にちにちこれこうじつ」ですか。「ひびこれこうじつ」だと……
と、前にも思った気がするなあ。ひびこれこうじつの方が語調がいいと思うけど。

3、4年前の映画だと思っていたら、7年前の公開ですか。時間感覚が……
劇場に見に行こうかどうか迷って結局行かなかった。劇場に行ってたら
ちょい不満は持ったかもなあ。今回はテレビ放映を見て吉。

わたしは原作者の森下典子には「デジデリオ・ラビリンス」で好意をもっているが、
原作は読まなかった。
映画としては地味。かなり。そこを納得した上で見る分にはいいけど、期待が大きすぎると
退屈を感じるかもしれない。
でもじっくりお茶を描いてくれるのはありがたい。しかも実に一般人目線で。


高校生の時「お菓子が食べられるから」という理由だけで茶道クラブに入った。
部活ではなくクラブ。週に一回、時間割に組み込まれているヤツ。
なので、最初の最初の袱紗さばきなんかはごくかすかに覚えており、なつかしく見た。

わたしが茶道クラブに入ったと言ったら、父が妙に喜び、さっさと茶せんを買ってくれた。
茶せん以外の、最低限の茶道具は家にあった。――どうやら亡くなった祖母が若い頃、
お茶を教えていたらしいんです。

だからといってクラブでお茶の作法をちゃんと覚えるわけでもなく。
茶せんはごくまれに、てきとーに抹茶を泡立てて飲むのに使っていた。
抹茶は次第にバニラアイスクリームに混ぜて飲む量の方が多くなり、
何度か買って終わった。ここ何十年は全然買ってません。


というようなことを思い出させてくれる映画でした。
小学6年の時に亡くなった祖母は、茶道を教えてくれることはなかったけど、
茶道から派生したことをちょこちょこ教えてくれた。

いわく――煎茶の淹れ方。急須の持ち方から始まって、茶葉の量、どのようにして
(ポットから)お湯をいれるか、どのくらい待ってから湯呑に注ぎわけるのか。
均等に注ぎ分け、一滴も残さないように急須を置く。
湯呑の正面を相手に向けて、茶托に乗せて、両手で「どうぞ」
――これを幼稚園児相手に繰り返した。辛抱強く。ちょっとでも出来ると大きく褒めた。
祖母の友達や親戚が家に来るような時、わたしはいさんでお茶を淹れて、
「すごいねー」と褒められることを喜びとした。

いわく――美しいものはじっと見よ。
両手をついて、真剣に見入ること。「拝見しました」と感謝をもってお辞儀すること。

いわく――「あなたは美しいものが好きね」。
うかうかとその言葉に乗せられて、美術と花が好きな人生になった。

祖母はわたしの人格形成に良い影響を与えている。



わたしは黒木華が長らくうっすらキライで……。
最初の出会いが「真田丸」だったのが悪かった。
知らない地味な女優が大河のヒロイン!?ということに
強い拒否感を持ったようなんですよ。当時の自分は。
あとは名前の読み方もキライ。華をハルとは読まんやろ!読めるのがいい名前なのだ!

まあその後何年も経って、いい女優だと思うし、嫌いではなくなったが、
どうも最初の印象はかなり後をひいて、結局そんなには見てないかなあ。
出てきたら出て来たでうれしい女優ではあるんだけど、
主役ではどうも惹かれないというか。

がっつり出たので見たのは「ビブリア」と「下剋上球児」。……どちらも話があんまりね。
「重版出来!」も「凪のお暇」もこの人が主役じゃなかったら見ただろう。
難しいもんですね。

でもこの人に本作は合ってたね。森下典子のイメージとは違うけど、
まあそれはあんまり関係ないしね。
道具とか掛け軸とかを深く受け取っていたように見えた。嫌味なく。
最初の大学生役の時には年齢のせいかちょっとツライように見えたが。
30過ぎまでを演じるのなら相応だろう。実際年を重ねるごとに似合ってきて、
見やすくなっている。着物も似合ってたし。

多部未華子は好きな女優。最初、役柄は逆でもいいのでは?と思ったが、
やはり人生に悩むところは黒木華の方が座りはいいかなあ。
今となっては多部未華子と黒木華が一緒の作品に出るのは意外な気がしますね。

樹木希林が出ることで、伝説の先生的な扱いにするのかと思っていたら、
わりと(理念的なことは)何も知らなくて笑った。でもそういう造型にしたのが吉。
亡くなった後に見ると、この静けさが心に残りますねえ。

折々の小さな自然を丁寧に映してくれるのが良かった。
でもねー、これ実際にやると話の密度とは対立する部分だから、難しいのよねー。
見ていて満足出来る映像美に持ってきてくれてればいいが、
ただ自然を映していたからいいってもんじゃないしねー。
美しくても、それで話が薄いと感じれば物足りないし。
今回はありがたい方の自然描写でした。

映画館で見たら、わたしは物足りなかっただろうなー。ちょっとさりげなさすぎて。
なので、今回テレビ放映で見たのはちょうど良かったのではないでしょうか。
これを映画化しようと思ったのもある意味で驚きだが、結果は吉だったと思います。



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◇ 丸島和洋「図説 真田一族」

2025年08月02日 | ◇読んだ本の感想。
真田氏・武田氏についてちょっとまとめて読みたいなーと思って
(「真田丸」を見終わった後だから、2017年くらいに課題図書リストに入れた)
関連の本をこの1年くらいで10冊内外読んだ。

その中だとこの人の著作が面白い気がするなあ。
特にこれは図説だからね。読みやすい。
図説で有名なのは「とんぼの本」「ショトルシリーズ」などがあるけど、
あれはあれでいいけれども、内容の密度はやや薄目。そこがいいんだけどさ。
これは読みでがあって、ちゃんと歴史について書いてあって満足。

これはシリーズになってるのかね?戎光祥出版という出版社で、
あんまり聞いたことなかったんだけど。クオリティ高いと思いました。
これシリーズだったら読むかも……と思って出版社のHPをチェックしたら、
一応シリーズはシリーズみたい。
でも「図説シリーズ」と「図説 日本の城郭シリーズ」があるのよね。
合計して、現行おそらく45冊で、……さすがに45冊読むのはちょっと……。

テーマもちょっとマイナーで面白そうなんだけどね。
「佐竹一族」「中世島津氏」「常陸武士の戦いと信仰」……微妙なところを抑えてる。
ちょっと面白そう。だがちゃんとリストアップするにはギリギリ及ばないという
ほんとーに微妙な範囲。
まあとにかく、いい仕事だと思いました、丸島和洋さん、戎光祥出版さん。
シリーズものとしてのネーミングをちゃんと考えたらいいのではないか。


それはさておき。

真田昌幸の前二代、真田幸綱、信綱についてもしっかり書いてあるのが良かった。
全体の3分の1くらいがこの2人。4分の1か。
昌幸の事象が一番ボリュームがあったな。それは時代的にいろいろあったということ。
何しろ武田が滅び、上杉と北条と徳川と織田の間で永遠にわちゃわちゃやっていた頃だから。
この辺りのことは本当に面倒なので、この本だけでは正直言ってカバーできないと思う。
もしくはこの本くらいのボリュームであっさり読むのもあり。

幸村といいたくなる信繁については期待よりは若干少なめなのだが、
何しろこの人は表に出ていた時期が短いからね。仕方ないね。
信繁の娘が伊達家家老の片倉重長の妻になった話を、地方史の本で読んだばかりだから、
重長に乱取りされた説があるという話を読んで、えーっ!と思ったが。
どうなんだろうか。信繁が戦場であいまみえた重長を見込んで託したという話は素敵だが、
やはりそれはそれで無理があるように思う。

信繁が幼少で、木曽義昌に人質に出されていた時(!)親族の男性に書いた手紙は興味深い。
信繁の生年がはっきりしていないから、書いた正確な年齢はわからないが、
11歳、12歳のころではないかという手紙。
内容が興味深いのではなく、ほぼひらがなで書かれているのが面白い。

信之が「天下の飾り」と称された話は好きだ。
大河ドラマに影響を受けたイメージだが、自由奔放な父と弟に翻弄された苦労人……
という気がして。まあ人生の最後まで苦労続きだったようだが、
「天下の飾り」とまで言われれば、周りからそれなりのもてなしも受けただろうし、
若干むくわれたのではないか。



あと3冊くらいこの著者の本を読んで、武田氏・真田氏の関連本は終了ー。


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< ケヴィン・サリバン脚本作品の赤毛のアン(1989年) >

2025年07月30日 | ドラマ。
この作品を特定出来る名称っていうとこうなりますかね?

わたしはたしかこの映画を映画館で見たような気がする。
そして見た後に、元々はテレビ映画として作られたもので、だいぶカットされたものだと
聞いて、なーんだと思った記憶。今回は前後編を3時間でやってくれたから
多分完全版でしょう。見たことのないエピソードが多々出て来たから。

――わたしはコレは認めるのよ、ケヴィン・サリバン。
で、たしか「アンの青春」も……若干「ん?」とは思ったけど(知らない人が出て来たし)
ん-、まあ原作もこの部分は地味と言えば地味だから仕方ないかなあ、と納得したのよ。
それはひとえに「赤毛のアン」への評価が高かったから。

だが、それ以降のアン作品は「一体どこがアン???」といいたくなる
……いいたくなるだけではなくて、怒髪天を衝いてサリバンを正座させて
詰めたくなるほどヒドイ出来。なので、サリバンを赦しているわけでは全然ないが、


――しかしこの「赤毛のアン」作品だけは大好きですねえ。
ほんとに、これこそアン!といいたくなる。
この作品を作れる人が、どうして次回作以降あんな作品を作ってしまうんですかねえ。
そこに愛はないのか?

主役の子は少し実年齢が高かった、というのを当時パンフレットで読んだ気がする。
引き取られた時、アンはたしか11歳くらいだったっけ?
それを実年齢15歳くらいの女優が演じたはず。
でも映画の終盤では15、6歳になっているはずだから、結果的にはちょうど良かったかも。
続編がそこから何年もあとに2作作られるんだから。

ミーガン・フォローズで良かった。魅力的なアンになってた。
わたしは小説以外の派生作品はこの映画しか見聞きしてないが
(宮崎駿のアニメ版すら見てない)もうこれ1作で十分に満足している。

なにしろ全てのキャラクターが完璧。
……まあそれは言い過ぎかもしれない。ダイアナもちょっと年上感があったし、
一番イメージが違うのはリンド夫人。マリラとリンド夫人は、体型的にも性格的にも
真逆というのが一つのミソだったはずなのよね。
演じた人は役者としては文句はなかったけど、原作のイメージとは違った。

だが、マリラとマシューが完璧……!
アンとマリラとマシューがこれだけ良ければ、他に多少難があっても文句はいえませんよ。
コーリーン・デューハースト。厳しくて、塩対応で、しかし心の底にあふれるほどの
愛情を湛えている。そんなマリラを見事に演じた。
マシュー役の俳優は名前を覚えるには至らなかったけど、あの優しい、明るい目が
言葉よりも雄弁に愛情を語っていた。

ギルバートも好きだったな。高校の時好きだった先輩に似てて。
原作を読んでてもそうだけど、映画を見ても、
「アンはそろそろ許してやれよ……」と思います。
この役者は10年前に若くして亡くなってしまったんですよね……

そして何よりも。
プリンス・エドワード島の美しい自然が美しく撮られているのが良かった。
天国的な美しさ。海も森も草原もすべて美しかった。
昔は、いつかは行ってみたいと思っていたなあ。今は行き先を厳選する必要性から
多分行けないと思うけど。

「続・赤毛のアン」も連続して放送されたので、録画はしてあるんだけど
疑問点も多々あることから、見て満足出来るかどうか……
まあ見るんですけどね。そのうち。



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東北大学交響楽団 第184回定期演奏会

2025年07月27日 | その他映像関連。
どこでかは忘れたけど、たしか店頭でポスターを見たのよ。
ふーん、大学のオケねー。女性ゲスト指揮者か。ハープがソロか。(※注・嘘)
ほほー、チケット代1500円?安いねえ。1500円なら多少音がピーとかプーとか
いっても気にならないなあ。

で、結局1000円のA席を買って行きました。
わたしは出来る限りスマホを購入ソースとして利用したくないので、
ネット購入時にはパソコンを使うのですが、ここでは紙印刷が出来ない様子。
そうかーそうかー。スマホ表示かー。もし表示されなかったらどうしよう。

だがわりと平和にチケットまでたどり着けました。
入口でも問題なく表示出来て重畳。

でも中に入って席までたどり着けない。問題がどこにあるかというと、
……ここ、ステージ自体が「2階」なんです。それをちゃんと意識してないと混乱する。
いや?2階席だが?1階に席がないが?わたしは2階に行くべきなのか?

萩ホールは相当前に2回くらい来ました。東儀秀樹と古澤巌のコンサート。
ここってとてもいいホールなんだそうですよ。演奏している本人たちが
「いやー、このホールは本当に音がいい!」って高揚していて、ノリノリでした。
それ以来の萩ホール。……違うな、その間に萩ホールのカフェに一度来てるな。


閑話休題。



※※※※※※※※※



驚いた。その音に。

最初に、今回の演奏曲じゃなくて、東日本大震災への追悼として「祈りの演奏」から始まる。
この時は拍手なし。あの時の記憶に思いを致して、風化させないよう――ということで、
毎回ここから始まるらしい。

その最初の音を聴いた時。

おおお、きれいな音!と驚いた。おやおやおや。ピーだのプーどころじゃないですよ。
予想したよりレベルが3段階くらい上の音を出している。
この曲はウィリアム・バードという人の「3声のミサ曲」に基づき、
元副指揮者(高橋信雄という人)が作曲?編曲?した「追悼曲(祈りの音楽)」らしい。
優しい、柔らかい曲調と音がどちらも気持ちいい。

これは定演のたびに演奏しているから上手いのか?と思ったが、
1曲目の「ウィンザーの陽気な女房たち」もそのままの流れできれいな音。
2曲目のグリーグの「交響的舞曲」は、もうちょっとテンポ早い方がいい部分と
ボリュームが欲しいなーと思う部分がなかったわけではないけど、十分堪能した。

3曲目が知っている曲だったのでテンションが上がった。
……だがしかし!!わたしは「新世界より」といえば、「家路」だと思っていたのだが、
第3楽章ってあれだったんですか!第4楽章もあれなんですか!知らなかった!

わたしはクラシックをまれに聴かないではないんですが、曲とタイトルが覚えられなくて。
得意な覚え方として、文字で覚える・図で覚える・耳で覚えるの3タイプがあるでしょう。
わたしは耳で覚えるのがすごく苦手。そして、音楽は耳でしか覚えられないから
(いちいち楽譜を見て覚えられるかというと疑問だが)定着しないのよね。
そして現時点で多分第4楽章とホルストの「惑星」のどれかがごっちゃになっている……。

「新世界より」は全体の音のボリュームも十分。
やっぱり生音はいいですよ。音波が心をマッサージしてくれている感じ。
これは心理的な面だけじゃなくて、音波という物理も作用している気がする。
いいですねーいいですねー。テンション上がるわー。

クラリネットの人が――上手だったですね。音がまろやかでとても幸せ。
音が歌っていた。

盛り上がったまま、フィナーレを迎える。拍手が鳴りやまない。
でも今回はアンコールはなかったのよね。近年、アンコールがないコンサートは
珍しいくらいだと思うので、1曲くらいして欲しかった気がする。




と、勝手なことを書いたが、大変楽しく聴けて幸せでした。
学業と両立させている学生さん、他校から通ってきている学生さん、OB、OGとして
参加されているみなさん、裏方の人もサポートの人も。
心から。ありがとう。

12月に次の定演があって、行きたいんですが、覚えてられるかどうかが問題なのよねー。
まあアドレスを登録しておくという方法があるのだが……
そういえば、ずっと前に東北大学邦楽部の存在を知った時に演奏会聴きに行きたいと
思ったけれども、その後思い出さずに未達なのよね。

コンサートプログラムのデザインが可愛くて良かった。プラハの水彩画。
こういうもののセンスがいいって珍しい気がする。

そういえば、今日左の上腕部がうっすら痛くて、昨日なんか重いもの持ったっけ?と考えたところ、
一所懸命拍手をしたからであることに思い至りました……
というよりも、この程度で筋肉痛になる軟弱さよ。

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< 薬屋のひとりごと 第2期(25話~48話) >

2025年07月24日 | ドラマ。
これの前の話が第2期までだと思っていたら、今回のが第2期だったようです。
2023年の10月から2024年3月放映までが第1期。24話。
2025年1月から6月までが第2期。24話。たっぷり。

うん。前回に引き続いてなかなか面白かった。
だが、言っていい?
……そんな2年近く前の話なんか忘れちゃうのよー。
第1期の前半に出て来たキャラがどんなんだったかなんて、覚えてられないのよー。

興味を持続している層は折に触れて前に見た内容も思い出すだろうから、
関係性とかエピソードを忘れることはないかもしれないが、
テレビの録画を見ている30分しかその世界に触れてないわたしにとって、
今まで細かく張った伏線の話を最後にまとめてされてもわからなさすぎる。

怒涛のラストを見て、これ、覚えていられれば相当に面白かったんじゃないかなあ……
と思いましたよ。あの人とあの人が同一人物なんて、すごく驚いたもの。

あと中国物は、音だけで聞いても名前が定着しなくて困る。
主人公の猫猫や壬氏はさすがに音でも字面でも見るから定着するとして、
かろうじてガオシュンと玉葉と楼蘭と阿多妃も何とかなるとして、
それ以外の人の名前が定着しないのだ~~。
先帝と現帝との関係性もいまいち理解できなかった……。

まあそれは、定着するまでの興味を持てないわたしの責任だが。ながら見だしね。
でも出来れば、本筋の話をもう少し詰めてくれればなーと思ったな。
本筋以外の、毎回一話完結の話を見て、これはそういう感じで見ればいいんだろうと思ってた。
「名探偵コナン」でいえば、毎回起こる事件を楽しんでればいいんだろうなと考えていたのに、
実は黒の組織に関わる本筋もありました、みたいな。

なので、出来れば2時間くらいのスペシャルとか、映画とかでまとめてくれると
わたし向きかもしれませんね。まあないだろうけど。

実はこの第2期までで原作小説2巻分なんだってね。そして現行16巻刊行済み。
ここまでじっくりやったんだから、今後も1巻1期のペースでしっかり作って欲しいですね。
……わたしはハイキュー!!でそれをやって欲しかったけど。
映画も面白かったけど、なにせアニメの尺と比べると全然違うから、アニメの長さで
じっくりやって欲しかったのよね。今さらだが。



3期が決まっててね。いつから放映するかは未定なのかもしれない。
今から作るとしたら、最速でも来年1月あたりですかね。その次くらいですかね。
楽しみにしてますよ。でも最初の振り返りは丁寧にやってね。わたし忘れるからね。


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◇ R.C.ウィルスン「時間封鎖 上下」

2025年07月21日 | ◇読んだ本の感想。
この話はなかなか面白かったんだ け ど 。
でもSFってやっぱりわたしには向かないな、と思った。この期に及んで。

大人の読書を星新一、新井元子、平井和正(と田辺聖子と永井路子の歴史もの)から
始めたわたしとしては、SFが苦手だと告白することは正直しのびない気がする。
だがたまに読んでも好みの合わなさを感じるのよねー。
特に海外SFがね。年に1、2冊がんばって読むんだけど、いつも読むと苦労する。

SFは究極の「設定厨」のジャンルだからなあ。
設定が8割。ストーリーが2割。キャラクターはほぼ0。というイメージがある。
わたしはストーリー7割、キャラクター2割、設定1割くらいのフィクションが好きかな。
ストーリーと設定は不可分ではあるけれども。

それに加えて、特に海外SFは新概念の単語の訳が致命的なんだろうなー。

今回の作品でいえば「仮定体」。原文の単語でいえばsubjunctive presenceとか
そんな感じ?知らんけど。
でも日本語で「仮定体」と読んでイメージできるものがないでしょう。
存在としては宇宙文明としての先行者、みたいな感じで始まるんだけど、
結局この存在がなんなのかというのが最終的なテーマ(の半分)だから、
重要なキーワードすぎるのよね。このキーワードが「仮定体」ではツライ。
日本語であまり恣意的に訳するのも違うんだろうし、結末にも大きく関わるし、難しいわ。


でもこの作品は、他のSFに比べて、ストーリーとキャラクターの部分に
なかなか力を割いていた。
なので面白かった。まあストーリーは全体的に苦難に耐えるもので、多分こういうところが
わたし好みじゃないところなんだろうけど。
もう少しユーモラスというか、可愛げがあるストーリー展開なものが好きだ。

数ある海外SFにはそういうものも当然あるんだろうけど、翻訳される作品は、
評価の定まったものが多くなるのは仕方ないし、評価が定まったものは壮大になりがち。

本作は大設定が秀逸。
ある夜、突然夜空から星が消えて、――それは宇宙のどこかの誰かが他の宇宙と地球を
隔てる「膜」を人工的に張ったから。そしてその「膜」の中と外は時間の流れが変わる。
この時間差がものすごく、地球での数年が地球以外での数億年に相当するすさまじさ。

ここから、2つの面白い展開があるわけですよ。
1.太陽があっという間に巨星化し、地球の滅亡が迫る。
2.それに対する対策として、火星を何とかテラフォーミングして、有機物の種を送る。

有機物は数億年をかけてあっという間に知的生命体に進化し、人間型の文明を築き、
(だがある時間が経ったところで火星も「膜」に覆われて、時間の流れは地球と揃う)
火星人の代表が一人、地球にやってくる。地球よりも高度な文明を築いたあとの。

太陽が膨張して地球が呑み込まれそうになって絶体絶命、というシチュエーションは
何百作品も書かれてきただろうが、そこに時間の流れを絡ませたアイディアが秀逸。
そこから火星との関係性もうまく物語を複雑にしている。



だが、言っちゃっていい?












結局エンディングはご都合主義にはなっていると思う。
文庫本350p×上下巻の話で、残り50pくらいまではサスペンスフルだが、
あとはゆるやかにエンディングに向かう。
これがきっちり収束するというよりは、まあ不満はないけど……的な結末。
なので、なるほど!という爽快感はない。

キャラクターもなかなか立っている。関係性もストーリー性がある。
でもみんな辛い思いをする人たちだから……結局そこがね。
楽しい、きれい、コミカル、という話が好きなわたしには合わない。
SFとしては面白かったけれども。


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< 謎解きはディナーの後で >

2025年07月18日 | ドラマ。
これは原作をずーっと昔に読んで、その後に出た実写ドラマを見て、
そして今回アニメで見た。ついでに同時期に実写ドラマ版がテレビで再放送されてたので、
それも見直した。……見直した、というか見直してる途中。
平行して見ているとネタバレをくらいますね。
まあネタバレどうこういうものではないですが。

大変にキャラクター数が少ない。省エネのアニメでしたね。
こういうの嫌いじゃない。ヘタに無駄に大人数が出て来るよりよほど良い。
だが世界的な財閥のおうちで、執事以外の使用人が一人も出て来ないのは
実写にしてもアニメにしても、むしろホラー。

今回のアニメで、梶裕貴はちょっと見直した。あんまり好きな声優じゃないけど、
この執事は良かった。
宮野真守はこれ以上ないほどはまり役。なんなら実写として目に浮かぶ。
花澤香菜は本人はかなり好きなんだけど、いかにもアニメ的演技しか見たことないので
演技的には少々苦手。でも今回の刑事パートの演技は落ち着いていていい。

これはそのうち続きますかね?どうとでも出来るようにふわっと終わりましたね?
多分原作はまだまだ分量があるだろうから、他に作品のネタがなくなれば
都合よくひっぱりだしてこれる素材だろうなあ。
まあ声優が豪華だから、スケジュールを押さえておくのが大変だろうが。

次もあったら見る。



実写ドラマの方は……なんでこの役に櫻井翔?とは当時から思っていた。
でも軽いドラマだからミスキャストだろうとなかろうと、そんなに気にならない。
北川景子は後年の一分の隙もない外見よりはまだ隙があって、可愛らしかった。
でもこの人はお化粧しなかったら別人なんだろうなあ。




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◇ 塩野七生「ローマ人の物語Ⅱ ハンニバル戦記」

2025年07月15日 | ◇読んだ本の感想。
カルタゴ関連の話は、どっち側から見るかによって、いつも気持ちが変わる。

世界帝国になりつつあった軍事大国ローマが、カルタゴを滅ぼして街に塩をまいた、
なんてエピソードにはカルタゴへの憐憫の情が増すし、

ハンニバルが強くて強くて強かった頃には、ローマの無力さが気の毒になるし、

といって若いスキピオが台頭してきて、ハンニバルが追い込まれていくのは憐れだし、
ハンニバルが本国カルタゴの支援を十分に受けられなかったのも憐れ。

大カトーのイチジクのエピソードも、最初読んだ時は「継続は力なり」の
ポジティブな印象を持ったが、なんかだんだん粘着質のしつこさを感じて嫌いになってきた。

――というようなことを、今回初めて時間軸に沿ってまとめて読ませてくれたのが価値。


前作でも思ったけど、「ローマ人の物語」はけっこう平易に書いてくれてるよね。
こういう戦いの記録、しかも戦術も書くのは面倒だと思う。
でも正直、図は必要最小限だし、文章で説明されているところは多いし、
文章の説明はありがたいんだけど、悪いけど映像で(配置図を)見たいなあとは思った。

カルタゴのテレビ特番はごくまれにあったりするけど、
ポエニ戦争についてがっつりというのは多分見たことがない気がする。
これ、2時間くらいで作ってくれたら面白いだろう。
まあ今ポエニ戦争を取り上げるきっかけは特にないかもしれないが。

塩野さんにしては珍しく、ハンニバルの「人間」について書いてた気がする。
めったに台詞を使わないイメージだったが、ちょこちょこ出て来たし。
これは史料にあるからだろうね。

平易でありながら詳しく書いている弊害なのか、前半3分の2くらいはうっすら退屈。
これを2分の1くらいの分量で書いてくれたらちょうどだったのではないか。


スキピオが好きかハンニバルが好きかというのは一概には言えないが、
とにかくハンニバルがカルタゴからの支援を十分に受けられないのは気の毒だよねー。
あんな戦上手、ちゃんと支援してたらローマは敗れて帝国にはなってなかったかもしれない。
あと象がひたすら気の毒。

この作品の書き方だと、パックス・カルタゴーナ(ナをつければいいというものではない)が
実現したとは思えないから、ローマが勝って良かったのかもしれないが。
まあねえ、塩野さんが書くと、ローマがかっこ良すぎるのよ。
そんなに良かったか?というのは時々思う。贔屓だから仕方ないけどねえ。



政治がまったく機能してない日本が、この成長期のローマを参考に出来ないかといつも思うが、
参考にするも何も、そもそも政治家が何かを参考にしようなんて向上心を
持ち合わせてないだろうというのが絶望的ですね……



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< 対岸の家事 >

2025年07月12日 | ドラマ。
今期唯一見てたドラマ。他は途絶した。

テーマは大して興味なかったが、多部未華子好きなので。
まあまあ好きだった橋本環奈、永野芽郁と次々にスキャンダルで倒れていく中、
多部未華子にはスキャンダルを起こさずにガンバって欲しいものです。

江口のりこがこういう普通の役なのも新鮮ー。うれしー。
朝ドラでもいいお母さん役をやってるし、役幅が広がっていっぱい出られてアリガタイ。
ディーン・フジオカは微妙に嫌いめではあるのだが、役柄によっては好きですね。
今回のこれははまり役。ものすごくはまり役。いい役でした。

そして、わたしは今回は一ノ瀬ワタルを推したいです!
「アンナチュラル」「エール」「そろばん侍」で見ているんだろうが、
ちょい役だと覚えてないよね。……ちょいじゃなくても覚えてない可能性もあるのに。
この人、今後も見たいなあ。こういうがっつりコミカルな役で。
こんなヤツおらんやろ~!と思いつつ、「いちごぉぉぉぉお!」の再々の絶叫に
心が洗われていた。

全体的に話は、いい話なんだけど……ちょっと無理がない?という作りではあった。
多部未華子が聖人過ぎ、正義過ぎ。再現性がないというか。
まあ、必ずしも再現性を求めているわけではないんだけど、「これで話が済むなら
警察はいらねー」的にも思える。全体的に多分に安易。

でも気持ちのいい話だったから、見ててまあ良かったけどね。
あと多部未華子と江口のりこが好きだから。一ノ瀬ワタルと。

あ!いちご役の子役がすごかったね!2歳くらい?3歳くらい?
最近の子役はみんな達者だが、さすがにここまで小さい子でこんなに出番があって、
立派にやり遂げるとは……えらい。本人もスタッフもお母さんもがんばった。

最終話を見て、そういえばコロッケが食べたいなと思い、そのうち作ろうと思いました。
めんどうだからめったに作らないけど。こないだジャガイモ安かったから買ったんだ。


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