プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< ブラック・ジャック >

2024年08月26日 | ドラマ。
Tverで見たんですよ、めずらしく。録画がなぜか3分しか出来てなかったので。
しかもそれに気づいたのが14日の22時過ぎ。
あらー、見たかったなーと思い、Tverでやってるか?と確認したところ、
14日の23:59までの視聴。あと2時間ないじゃないですか!
94分のドラマで。ぎりぎり滑り込みで見ました。


ドラマはねえ……。
高橋一生のブラック・ジャックのビジュアルが98点くらいだったことを除けば、
期待よりはだいぶ下だった。
話が面白くなかったんですよね。

井之脇海パートの話の結末は上手いことは上手かったけど、
話として面白かったかどうかとはまた違うことですよね。
あれではただ単に種明かしにしかならない。終盤に早口で説明するのは
昨今よく見る手法だけれど、話にちゃんと載せないとつまらないんじゃないかなあ。

で、後半急に獅子面病?の話になるのが違和感があった。
キリコって人の存在がいかにもつけたしなんだよねー。突然出て来られても困る。
マンガは子供の頃にだいぶ読んだけど、通して読んでたわけではなく、思い入れもさほどない。
あれは石橋静河だったんか。気づかなかった。

最後は後味悪くてねえ……。ブラック・ジャックのドラマなら、
最後余裕で去っていくブラック・ジャックの後姿を映してこそじゃないかと思うが。
なんであんな慌てふためくラストにしたのか理解に苦しむ。


楽しみにしていた井之脇海は、うーん、可もなく不可もなく。
今回はそんなに見るべきものは感じなかった。次に期待。

高橋一生だって、岸辺露伴をやっちゃってるから若干ブラック・ジャックと被るんだよね。
そして岸辺露伴の方ががっつり役も作っていて面白い。
なので、今回の役には感銘を受けることはなく。

あとねー、あんまり子役に言いたくはないけど、ちょっと役者不足と感じたんだよね。
昨今上手い子役が山ほどいるからハードルが上がっている。
……と言おうと思ったが、「ブラッシュアップライフ」に出てた子ですか。
あの子は上手かったよね。
とすると、ピノコの台詞回しのハードルが高すぎたんだろうか。
こういう役の時には、大人の声優(役者)のアフレコって手もありだと思う。

けっこう楽しみだったんだけど、のれないまま終わってしまったドラマだった。
怒りは感じてないが、そこまでも達しなかったんだと思う。
せっかくのスペシャルドラマだが残念でした。


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< 広重ぶるう >

2024年08月23日 | ドラマ。
役者も画もいいんだが、どーも話が食い足りない。
ほんの少し。あと一歩。旨味を出せなかったもんかね?

しかし歌川広重は有名なわりに、フィクションが作られてこなかった人である気がするから、
そもそもドラマティックな人生が伝えられてないんだろうな。
北斎、写楽はけっこう作られてるが。
なので、ああいう風に「つまらない人生」と作るしかなかったんだろうけど、
そう言われちゃうとなあ……と感じる。

まあさわやか路線の話ではあったんですけどね。
奥さんがあまりにも犠牲になっているのを別とすれば。
これは史実なんですかね?奥さんのことが不詳だったら、死なせないで、
むしろみんな幸せに暮らしましたの方が満足感があったのかもなあ。

Wikiによれば子供はいたようだし。ドラマでは子供がいなかったけど。
保永堂との関わりをもっと掘り下げれば面白かったんじゃないかな。
どうせ創作で埋めるしかないなら、もっと詰められた気がするよなあ。

優香は、決していい女優さんというわけでもないと思うが、いい役を選ぶよね。
今回のこれも、前回の「ちかえもん」……2016年のドラマだが、の役も好きだった。
阿部サダヲはなんでも出来る人だから。今回も文句なし。

高嶋政伸は相変わらずコワイのであった。
いい設定だったのに、それほど関係が深まらず、急に店を畳んじゃうのはつまらなかったな。
原作小説があるというが、どの程度の再現度なんだろう。

吹越満の国貞は、味があっていい人間だったが国定自体の事象を知らないので、
そこまで話に重みは与えられなかった。


あ、でもね。ドラマには明確に文句をつけたい点があった。
絵をねー。もっと上手く使って欲しかったのよねー。

たとえば「のだめカンタービレ」の何が良かったって、音楽を誠実に描いたこと。
それがドラマをしっかり支えた。
だとすれば、このドラマでは絵と(スタッフ側が)誠実に取り組まなければならなかった。
が、いかにも足りなかったよね。取り組み方が。

不誠実ではないんだけど、単にきれいな絵でしかなかったからね。
道中でささっと描くべきスケッチも、夜なべして夢中になって描いた絵も、
「単に丁寧で上手い絵」でしかなかった。
「人を描くんだ!」と目覚めて描いた優香の絵だって、それまでとどこが変わったのか
わからない絵だったんだもの、このドラマを全然支えない絵だった。

これは描いた人の責任ではない。そういう指示を出せなかった演出が問題。

あんな上品な線の一種類で描くわけがないのだ。下手な人ならまだしも。
状況によって、題材によって、線の元気さには差があるはず。
生き生きした線が全然見られなかった。描かれた絵も含めて役者でなければ。
この点、残念でしたねえ。


なーんか、もう少し話を練れば格段によくなったドラマだろうしもったいない。
くだらないというほどではないが、食い足りない。
わたしの心の本棚のドラマ部門には入らないわ。
役者が良かったなんだから、もう少し動かしてみたらよかったのに。
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◇ 岩下壮一「カトリックの信仰」(ただし80ページまで)

2024年08月20日 | ◇読んだ本の感想。
8年くらい前に「いま大人に読ませたい本」という本を読んだのよ。
これは谷沢永一・渡部昇一の共著で、――彼らを決して読んでいるわけではないが、
まあ有名だからというスケベ心。
そこに出ていた本、多分10冊くらい興味を持って課題図書リストに入れたなかの1冊が本作。

だが、これはわたしが求めていた内容ではなかった。
わたしは、キリスト者が理性的に信仰を解説してくれる本を求めていて。
キリスト教の神を信仰する「理由」を書いてくれていたら嬉しいなと思ったのよ。

しかしそもそもこれは「公教要理」(=カテキズム=教理問答etc.訳語がいっぱいある)を
解説したものらしい。なので、教義の解説≒説教のようなんだよね。
なので、内容はすっぱり信仰。わたしが読みたいのはここではない。

緒言の部分には、「そうそう、これについて話して欲しいのよ~」と思ってた見出しも
多々あったのだが、
(例えば「信仰と理性との関係」とか「正しい信仰と迷信」とか)
本文をわりと丁寧に読み進めて行っても、どうもそこについて納得出来る内容が
読めそうもなかった……まあ読んだの80ページですけど。


   要するに信ずるというのは、ある事柄を理性が承認することであって
   証明することではない。

   

ここの、「理性の承認」の部分を詳しく!と思ったが、それには言及されない。
すぐあとにはこんな文章が続く。


   君を信ずるという時には、貴方が虚言を言わぬとか、あるいは間違ったことをしない
   ということを認めるということであって、果たして相手が絶対に確かなものであるか
   否かについて、明らかな証拠を掴んだというわけではない。


この例えではなあ。友達と比べられても……という気がする。

この本には例えが多用されているが、元々の文章が書かれたのは昭和初期、
第二次世界大戦の前だから、例えが古くて現在の(わたしの)価値観ではピンとこない
ことが多い。つまり納得感がない。
納得感が低いことについて文庫で1000ページ近い本を読むのはちょっと厳しい。

それでも100ページは読もうかなと思ったが、80ページも100ページも
変わらないですよね。これで中止とする。  
内容について読み込んではいないので、要約などは出来ない。
興味のある方は自力でご一読を。




キリスト教が(歴史的に)強いのはなぜなのか、という疑問を前々から持っている。
まあそれなら、そういうことについて書いてある本をたくさん読めという話だが、
テーマとして重いので、あまりダイレクトに読みたくはない。
ごくまれに、かすってるかかすってないのかわからないラインの本を
ちょこちょこ読んでいきます……

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< 始皇帝 天下統一 1~4話 >

2024年08月17日 | ドラマ。
わりとするすると視聴できているのが意外。
1、2話、3、4話と続けて見た。正味45分がわりとあっという間に終わってうれしい。

面白いかっていうと、……登場人物が多すぎてツラいんですが。
こないだの「大秦帝国」もツラかったけど、これもツラいねえ。
何しろ1話で情け容赦なく30人くらい名前付きの人が出てくる。
中国の人はこの数平気?たしかにわたしより歴史の基礎知識は多いに決まってるけど、
NHKの大河ドラマでも1話で30人出て来ていたらツライでしょー。


そしてわたしの知っている子楚の話と違う……
わたしは多分、平均的日本人よりは多少中国の歴史を読んでいる。覚えてるかは別として。

日本で子楚っていうと、わりとおぼっちゃんおぼっちゃんした、
人は良さそうだけど、上手いこと呂不韋に使われる立場の人で、
呂不韋の愛人を好きになって譲ってもらったはいいが、その時愛人の趙姫は
呂不韋の子を身ごもっていたのかも……?だから政は呂不韋の子どもかも……?
っていうのがのちのち政と呂不韋の確執を生むって流れでしょ?

最初の時点で趙姫にはそんな背後関係があったことは言及されないし、
普通に趙姫を妻と呼んでいるし。もう政も5歳くらいにはなってるし。

わりと呂不韋はいい男っぽく描かれてる。役者は珍しくいい男。若干金城武似?
子楚と呂不韋の関係性も、そんなに利害を前面に出さずに描いていくんだよなあ。
利害はあるにしても、人間としての繋がりもあるように描く。
そんなにいいヤツだったか、呂不韋。

ロウアイも1話?2話から出て来てるの。え、ここから出しとく意味ある?
これがきれいな顔のおにいちゃんで、わたしのロウアイのイメージとは違う……

まあ日本は中国史が歴史的に好きだったし、いろいろいろいろ書いた結果、
わたしの目に触れる頃には内容がフィクションになった可能性だってゼロではないしね。
呂不韋はこのまま良心的な人として描かれるんだろうか。

1、2でおろおろしっぱなしで覇気のなかった子楚も、3,4話で戦争交渉に行って、
けっこう大口叩いて帰って来るしね。あなたそんなキャラだっけか?
あ、そうそう、呂不韋の暗殺を身をもって止めたりね。むしろ豪胆な人?

なのであまり難しいことを考えずにぼーっと見ている。
「え、こう書く?」とか考えてるとなかなか胸に落ちて行かないもの。
描かれたものを受け入れようと。まあ中国人が中国のことを書いているんだから、
わたしの生半可な知識よりはまともなんだろう。おそらく。
このドラマではどんな話に連れていってくれるのか、まずは静かに見守ろう。


※※※※※※※※※


だがトマス・ロックリー。お前は駄目だ。
あなたがしたことは大変に恥ずべき、研究者の良心を疑う行為だ。
……いや、研究者じゃないんだろうな。
元々は鳥取県の英語の指導助手。現在は日本大学の法学部の語学の准教授。
それなのに歴史家の肩書で歴史ノンフィクションを出してるんだよね?

どの資料を参照してんの?古文書を読めるの?
日本語で書かれた研究書をそれなりの量精読できるの?
論文には査読というシステムがつきものだと思っていたが、機能してないんですかね?
あれは論文じゃなくて一般書だから、チェック機能はないんですかね。

当該本の出版社がアヤシイニオイがするのよね。太田出版はけっこうヤバイ内容の本を
出しているようで……正しさとか妥当性とは関係ない本を出すのに躊躇しない。
それ自体はありかと思うが、本になったといってもそういう傾向の出版社だというのは
知っておいてもいい話。

ここのところ弥助問題で気分が暗いです。
なんかもうパンドラの箱を開けた気がして。「ある」は証拠としてわかりやすいけど、
「ない」は永遠に確定しない状況証拠だからね。

これははるかあとまで根が残りそう。「ない」といっても「資料を隠しているに
違いない」と信じている相手に何を言えよう。
すっぱり気持ちよく解決する方法はないんじゃないでしょうかねえ。

ネットで流布している背後関係が全て正しいかどうかは何ともいえんところだが、
一連の流れというか動きがすごく不気味。歴史を乗っ取られることが、
現代のネット社会では、一個人の思惑でこんなに簡単に出来るのかと思うと。



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◇ 池澤夏樹個人編集世界文学全集Ⅲー1 フラバル「わたしは英国王に給仕した」

2024年08月14日 | ◇読んだ本の感想。
わりと期待していたんだが。ユーモラスだっていうし。
が、つまんなかったですねー。短めだから一応最後まで読んだけど。
読んだというほどではない。後半はパラ見に近い。

「ブリキの太鼓」がかなり面白かったのに、こっちがつまらなかったのはなぜだろう。
文章にそんなに中身がないから――っていう言い方は悪意がありますか。
書いてある内容が、わりとドタバタナンセンス的なんだよね。
そこに面白みを感じられる人はもっと楽しめるんだろうけど、
わたしはそこが全然響かなかったので、すでに面白みは半減。

ストーリーでちょっと響いたのは、当時のチェコでドイツ人の元体育教師、
今はナチスの組織の一員として(?)働いてる美女との恋愛部分。

彼女の初登場のシーンで「え?やばいこと言ってない?」という台詞があった。
見ていただいた方がいいと思うので引用する。


   「あなたのおっしゃる通りだわ、プラハは昔からドイツ帝国の領土で、
   わたしたちがプラハの町を歩き、自分たちの慣習にもとづいた服を着るのは
   譲ることの出来ない権利なの。世界中がそのことに無関心だけれども、総統が
   この状況をそのままにはしておかないでしょうから、すべてのドイツ人を
   シュマヴァからカルパチアまで解放する時がかならず来るはずよ……」


おやおやおや。わたしはこの頃のチェコ(スロヴァキア)とドイツの関係を
詳らかにはしないが、それでもプラハでドイツ人に対する反感が吹き荒れてる時期に
こんなことを普通の顔で言っちゃう女性はまずいですよね?

でも主人公は、その内容には特に触れずに彼女の背の低さに恋に落ちてしまう。
(主人公は自分の背が低かったから今まで女性と上手くいかなかったのだと考えている)
そしてなぜかその美女の方も主人公を好きになる。

うーん。ここまで読んで来て、ばりばりナチスの女性隊員が恋に落ちるほどの魅力を
主人公に感じなかったのだが……。
でも女性受けは良かったって本人が言ってるから、実はモテてたのかな?
主人公はチェコ人なんだけど、苗字をドイツ語読みして、先祖がドイツ系だと捏造する。
主人公はドイツ側の土地に引っ越して、そこで肉体検査を受けた上で美女と結婚するが……

美女は人気者だけれど、自分はその付け足しにもならず、ほとんど透明人間のように扱われる。
握手の手を差し出しても無視され、乾杯のグラスも合わせてもらえない。

そして、自分が美女と結婚するために検査を受けているまさにその時期は
ドイツ保護領になったチェコで、ナチスに反対する人々が裁判を経ずに処刑されている
時期と同じだった。そのことに主人公は衝撃を受けるが、
……本人の心情はともかく、現実としてはドイツ人女性と結婚し、
優生学的に優れた子供を儲ける……
あれ?子どもいたかな?いた気がするけど。ごめん、面倒なので読み直さないわー。

戦争後、どさくさに紛れて奥さんが手に入れた(合法か非合法かは不明)
切手(多分コレクターズアイテム)を売りさばいてホテルオーナー、お金持ちになる。
奥さんは戦争終盤で死んでいる。



……なんか、一応主人公の人生を若い頃から老年期まで描いているんだけど、
あっさり進むというか、一人称の小説のわりに語り物の寓話的なのよね。
なのであまりストーリーは深まらない。

1.給仕人として働いていた時代
2.美女との恋と結婚と戦争
3.戦後のホテルオーナーとしての疎外感

話は多分この3つに分けられると思うんだけど、そんなに深みを感じるわけではなく。
深みはなくてもいいんだけど、面白みも感じなかった。まあこういうのは好みですよね。


そもそもわたしが純文学を愉しんで読める確率が低いんだから。
次に期待しよう。次に。


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< 鬼滅の刃 柱稽古篇 >

2024年08月11日 | ドラマ。
とにかく先に、最終回のラストにだけ言及させて。

――その場にいない人にまで落とし穴を仕掛けることが可能なら、
とっとと一人ずつ柱や鬼殺隊を無限城に強制連行して、何百年も前に殲滅させとけ!

――しかもまとめる意味がないだろう!たとえ柱や隊士の力量を侮っているとしても、
一度に10人の相手をするのと、30人を相手にするのは手間が違う。
その場にいた柱たち(と炭治郎)だけが落とし穴に落ちるならまだしも、
わざわざ伊之助とか何とかさん、モブまで集める!?

……って思いました。


柱稽古篇はとにかく繋ぎの部分だろうから、大した話にならないのは予想出来た。
一人ひとりの過去話も興味深くはあったけど、やっぱり設定語りなんだよなー。
「鬼滅の刃」はある程度面白い。だが、昨今の通弊である
「設定=ストーリーだと勘違いしている」を免れてはいないな、と。

面白かったのは炭治郎が作ったお食事をみんなが喜んで食べているところ。
こういうんでいいだよ、と思った。まあこれだけでいいわけではないけど。
情報密度が低いから。

全然背景が語られてなかったヒメジマさんの背景がようやく出てきたと思ったら、
ストレートな語りだけで、うっすいうっすい。
あれは15分くらいの尺でしたか?
マンガでもあの程度しか語られてないんでしょうな。だって全23巻しかないもの。

わたしは大人気のマンガを23巻で終わらせた、作者及び出版社の英断を評価したい。
昨今人気があるからって永遠に続くマンガも多いようですからね。

……でも正直、設定を考えるだけ考えて、それを話として見せるのには失敗している
のではないかと推測してるのよ。マンガは上手く見せているのかもしれないけど。
アニメは物足りないなー。


炭治郎の悲劇から説き起こして……って、立志編と無限列車編と遊郭編は
そこまで設定語りばっかりとは思わなかった気がするんだけど(多少は気になった)、
刀鍛冶編と柱稽古篇は疑問でしたね。

あとは最後の戦いを描くだけで、柱の背後関係とかはスルーなんでしょう?
柱の背後関係をこの程度で描くのなら、柱はせいぜい5人くらいにして
それぞれをもっと詳しく……と思うなあ。設定語りではなく話として見たかった。

そしてかなり疑問なんだけど、禰豆子が柱稽古篇に全然出て来ないのは?
禰豆子が太陽を克服したのはこの全体の話の中ですごく重要な要素であるはずだけど、
そこはちゃんと説明されるんだよね?

内容のあまりない柱稽古篇なんかはその説明にぴったりのタイミングなのに。
というか、ここで説明しないとむしろ説明するところなくならない?
それとも最後に明かされる最大の秘密ってことなのだろうか。
うーん。疑問。

あと、実川弟が鬼を喰ったエピソードなんて、そんなインパクトのあること、
そこは描かなきゃダメだろうと思うんだけど、描写はないよね?
ここ深掘りしないんだー、不思議ーと思っている。


次は映画なんですね?
わたしは劇場まではいかないだろうと思う。テレビ放映を待つ。
三部作になるんでしょうか。そうなると最低足掛け3年ですか?
ちょっと長すぎる気がするけど。
でも無限城編がコミックスで16巻から23巻までとなると、やっぱり3作くらい要るか。

ただ、3作全部戦闘シーンってことにならないかね。
何しろすでに無限城におびき出されているんだし。回想多めに挟むとしても、
始まりから終わりまでずーっと戦いだったら、ストーリーとしてちと飽きそう。
それこそ戦闘シーンと回想語りばっかりだったら旨味がないですよ。
どうするんでしょうか。




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< 9ボーダー >

2024年08月08日 | ドラマ。
女性の生き方とか恋愛のドラマは基本的に嫌いなのよ。

……嫌いなら見るなという話だが、木南晴夏が好きで。
その他の顔ぶれも嫌いじゃなさそうなので、しょーがないから見てみた。
むしろすっぱり面白くなくて、1話で視聴中止出来たらありがたかったのだが。

このドラマは個々の部分はなかなか面白かったんだけど、全体の話が疑問だったね。
全体というか、後半か。
弟の話は要らなかったよなー。全然要らなかった。
ここをまるまる無くして、神戸に戻った松下コウヘイ(変換が面倒……)と、
再開発の話を厚くすれば良かったんじゃないかなあ。

だって再開発の話って最終話で突然出てこなかった?
さすがにラス2だった?でもいずれにせよ、全然深まらないで始まって終わるんだよね。
「ぶっこむなあ……」と思いながら見ていた。

なんだったら再開発の話も要らなかったよ。
もう少し別れと撚りを戻すエピソードが深く描けていれば……。
でも全体が決して深い話じゃなかったから、単にテンポが悪くなっただけで
終わったかもしれないけど。


部分部分はけっこう好きだったんだが。
三姉妹の関係性も(長女と三女の20歳差は、お母さんが出て行ったことを考えれば
フシギでしかないのだが)、明るいご近所さんも、イケメンの幼馴染も、
いつもこんな役をやるYOUも、このドラマではいい加減なお父さんだけど憎めない
高橋克実も見てて楽しかったよ。

一番見てて楽しかったのは木南晴夏と井之脇海の関係性。単純に可愛かった。

井之脇海も弱小会計事務所に入社して、何ヶ月か勤めてやっぱり海外に戻りたいと
放りだし、あまつさえ生計も立てられるかどうかもわからないのに、
社長である木南晴夏を海外に一緒に連れて行こうとしているトンデモな奴だが、
まあフィクションですからねえ。まあフィクションだからと言って、
我慢が出来るラインと出来ないラインは厳然としてありますけどねえ。

状況だけなら「なんだこいつ」でしかないのだが、井之脇海が可愛かったから許す。
この人、面白い役者になりそうだな。
とはいえ、今まで「直虎」「俺の家の話」「帝一の國」で見ているはずなのに、
そこまで目には留まっていない。でも癖のある役を好演しそうな気はするなあ。
「ブラックジャック」は録画しているので、気にして見てみましょう。

川口春奈と松下コウヘイの話は美男美女で目の保養だったと思うが、月並みですかね……。
前半は悪くはないけど、後半の話が怒涛の詰め込みになったことで
どんどん魅力が減じて行った。
残念だ。

銭湯をリニューアルして、ファミリー層とインスタ映えとインバウンドと
地元のお客さんの満足を全部満たすのは不可能なのよー。あんな短時間で。
そんな簡単に行くはずないのよー。

わたしは、見た目に対しておそらく常識のレベル以下で冷淡なので、
お客さんにお金を出させてかっこいい店とかこじゃれたカフェとかのコンサルをする
川口春奈の仕事は虚業だと感じて印象が良くない。
銭湯を立て直しをする過程で前の会社を介在させる金銭的余裕があるかなあ。
それこそ今までの知識と経験を活かして、お金を節約する部分ではないのか。

そういうところも見ててテンションが下がった部分。

まあドラマとしては川口春奈とくっつく結末しかないだろうが、
実際だったら、あんな会社の御曹司はほっぽり出せないと思う。
1億超えの貯金通帳の時点で「どっかの御曹司だったらベタだろ……」と思っていたが、
ほんとに御曹司でしたね。まあ悪人にしないためには仕方ないか。

今から思えば、その正体をサスペンス風に展開させるというストーリーなら
もっと興味が持てたかもなあ。多少の、マイルドなサスペンス。
弟と大庭湯と再開発の話を抜かして、正体探し→御曹司判明→あれこれ→ハッピーエンドの
流れで良かった。その分話を深めて欲しかった。


とはいえ、2024の春ドラマでは、これが唯一面白かったといえるものだったかなー。
他は「アクマゲーム」しか見られなかったもんなー。
「366」「VRおじさんの初恋」「6秒間の軌跡」「イップス」は軒並みギブアップ。
ドラマもわたしのチョイスはだいたいは面白くないので、嫌なら見るなと思うが、
見ないと出会えて良かった!と思うドラマにも出会えないんだよね。


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< 大秦帝国 全51話 >

2024年08月05日 | ドラマ。
今年の1月に1話を見始めた。約半年で51話を見終わったんだから、
なかなか勤勉に見られたってことだな。つまり、つまらなくはなかったということ。
1話を見た時は51話まで見る自信はまったくなかったわけだが。

でも面白かったかというとなー。そういうわけではなかった。
主にセットを楽しんで見ていた。

何せ商鞅の癖が強い。偏屈すぎて、行動原理が共感出来ないんだよねー。
もう少し優しくても、もう少し人当たりが良くてもいいんじゃないかというシーンばかりで。
全方位的に偏屈というのは、現実の人間的にはそりゃそうだろうが、
フィクションの偏屈は、可愛げがないと飽きるんじゃないだろうか。
ちょっとやりすぎ感。

商鞅に共感出来なかったのに対して、君主様はいいキャラクターだった。
情理を兼ねた。商鞅に好き勝手やらせるのではなくて、最終的にこの人がバランスを
とっていたらもっと国が安定したのではないかと思わずにはいられない。
このドラマでは孝公があまりにも商鞅のサポートに徹しすぎて……。
言いなりになっているように見えるんだもの。


面白かったのは、魏との戦のところくらい?
軍略を練って、相手を騙して、してやったりと勝つのは気持ちがいい。
でも51話の中で、そういうすっきりした部分ってほとんどなくて、
君主様とともに新法施行に取り組む商鞅だけど、ずーっと地味で面白くないんだよなあ。

だが、それだけなら「地味なドラマだったなー」で済んだのだ。
こっちだって墨家のことなんて何も知らなかったもんね。諸子百家っていうから、
単に思想家の派閥だと思っていたよ。宗教組織のような武装集団だったとは驚き。

百里奚についても知らない。なんかうっすら読んだことがあるような気はするけど。
なので君主様の大きなリアクションにいま一つピンとこない。
というように、わたしが楽しめなかったのは、中国の歴史に精通してないということも
あるだろう。


しかし。君主様の死去以後の展開は一体なんなのか。
たしかに君主が死ぬのは大きな潮の変わり目だ。その時に権力争いが起こって、
旧勢力が盛り返すとか、恨まれていた商鞅が失脚するのはおかしくはない。

でもその流れがさあ。
商鞅は君主に恩を感じているなら、全力で息子をサポートしてもいいんじゃないの?
もし自分がしゃしゃり出るマイナスを感じているのなら、信頼できる重臣を
推薦するなりしてもいいんじゃないの?

それなのに商鞅は新君主を突き放す。職を辞するとか領地に引っ込むとか、
ぐずぐずして「自分のやりたいようにやればいい」といって助けようともしない。
それは旧勢力が勢いを盛り返しますわー。

そもそも君主様も、息子をないがしろにしすぎ。
君主様と商鞅の友情は美しく描かれていたが、あんなに「我が息子不肖ならば、
商君がとって変われ」と言い続ける必要はないだろう。
あんなに何度も聞かされれば、そりゃ息子は心は傷つくし、疑心暗鬼になるし、
商鞅を見殺しにしたくなるよ。

死ぬ間際に息子ではなく商君の手を握って死ぬなよ。
むしろ生前、位を商鞅に譲っていればまだましだっただろう!
それを君主も息子への当てつけのように繰り返し、ぐだぐだだよ。

あとさー。20年も何をやっていたんだ、旧勢力は。
20年経って息を吹き返すのがあり得ないとはいわない。
が、51話もあって、旧勢力側の人間がまったく描けてませんよね。
あのおじいさん以外は全然人間としての魅力がなく、単に愚かな悪人として描かれている。
旧勢力には旧勢力の言い分と暗躍があるべきだった。

おじいさんも、20年前の段階でけっこうよぼよぼだったのに、
20年経って君主が死んだら、途端にぴんしゃんしますからね!
そして旧勢力が「商鞅罪人!商鞅を殺せ!」と叫んで、商鞅に近い人々も、
全然それに対応せずに見殺しですからね!上大夫とか、何してるんだ。

そして君主の庶兄が平気で生き返ったのにも驚いた。
鼻そぎの跡まで映したのにー。しかもそんな極秘事項を宮中に引き取られた娘に
へろっと言わせる。周囲の人も生きていたことに驚くわけでもなく。
君主の庶兄はなかなか味のあるキャラクターだったのに、生き返ってからは
すらっと悪人ですからね。もっとうまく使えるキャラだと思うがなー。

新君主は一体何であそこで商鞅に会いに行くかね?
商鞅が牢に入っている姿は途端に年老いていて、前話を見逃したかと思ったよ。
「商君亡き後」って何度言ったか。この時点ではまだ罪は確定してないんだけど?
ってか、本人にいうかね?

まさかこれで、「商鞅は新君主が旧勢力を駆逐するための人柱になった」ってことに
するつもりじゃないでしょうね?
商鞅と新君主が腹の底で通じ合ってるわけないですよね?
過去にはいろいろあったし、父からは虐げられているし、君主になってからも
助けてくれないんだよ!

そして処刑の時になんで白雪が来る?罪人の処刑時に?
わたしはてっきり死の直前の幻だと思ったのだが、実際にお酒を差し入れてるもんね。
なんでそうなる。

納得できない。他にもいろいろ納得出来ない。
それは中国史を知っていれば納得できる部分なのか?
ながら見で見ているわたしがいろいろ見落としているのか?(←それはそう)
謎すぎる。


このドラマって2006年製作なのね。
20年近く前となると、作劇法なんかもだいぶ変わってるだろうなあ。
中国ドラマはおそらくほぼ初めて見るんだけど、兵士たちの声の合わせ方とか、
物珍しさを感じていた。中国の時代劇はこういうアクションをするのかと思っていたが、
時代的なものの可能性もあるのね。

あと、聞くたびに面白いなあと思っていたのが「はい!」。
直観的には「拝」だろうと思っていて、これが日本語の「はい」の元である可能性もある?と
わくわくしていた。
まあWikiによると、「はい」が使われ始めたのは江戸時代ということで、
大秦帝国の時代とは相当離れてますけどね。

あ!太后は役柄も女優さんも良かった。
君主と太后の2人だけが見てて納得出来た役だった。


見始めの時はとても51話は見切れないだろうと思っていたが、
最後まで(ながら見ながら)見られて重畳。

……そして「大秦帝国」が見終わったと思ったら、「始皇帝」が始まる……。
これなんか70数話あるらしいんですよ。
録画しているのをこれから見るが、正直1話から面白くなくて視聴中止に出来ることを
望んでいる。いくらなんでも70話はツラいだろう……。


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◇ 朝井まかて「実さえ花さえ」

2024年08月02日 | ◇読んだ本の感想。
相当期待して読んだ1冊。
面白かったが、ちょっと小骨が多いか……と感じた。

読む前に、時代小説だと思いすぎたのかもしれない。
わたしにとって時代小説は、いわば上善如水。するすると読めるをもって良しとする。
そのするする具合を軽く見てしまう偏見もたしかにあるのだが。
時代小説が連作短編で長く長く続きがちなのも、内容の薄さが利していると思う。

本作の場合は時代小説として読んだことがむしろマイナスに働いたかもしれない。
予想よりも内容が濃かったんですよね。
薄いよりも濃い方がいいのではあるが(濃すぎるのも駄目だけれど)、
でも時代小説にこの濃さは必要か?とつい感じてしまった。
先入観に囚われてしまった典型例。


花師(育種家)の話で。
植物のことが美しく丁寧に書いてある。
文章自体も美しい。滅多に見なくなった単語にいくつかお目にかかれて嬉しかった。
人物も上手に書けている。これがデビュー作とは信じられないほど。

ただ、1冊の前半はうっすら細かい部分の不満もあったかな。
ちょっと情報を勿体ぶりがちですかね。一、二、三、四、五と書けば素直なところを
一、二、……三、四、五だったり、一、二、四、三、五と書いたりすると感じた。

あと一番盛り上がってすっきりするだろう部分を省略しがち。
たとえばテングサに植えた桜草の披露は描かれない。披露した瞬間の「おお……」という
どよめきこそ読みたかった気がする。

そういうことが前半部分は目について、若干気になった。
しかし今気づいたが、これは別に連作短編ってわけじゃなかったんですね。
そうすると前半と後半の濃度が違っても別にいいのか。
いろいろ読み方を間違ってたなあ。

後半の濃度は好みであった。好みではあったが、理世の行動が納得できなかった。
わざわざ誰もいない場所で会ってるんだから、ストレートに言ってやれよ。
「希少種を使うな」だけじゃなくて。
そして結局寝るんかい!このきれいな話で、一度だけ肉体関係を持ってあとは
すっきり、ってどうなんだ。わたしは納得できない。

まあでもクライマックスは好きでしたよ。
とにかく吉野大夫が(終盤で突然出て来て大変いい役でまとめるけれども)かっこ良かった。
――「ご隠居様、どうぞ頭をお上げなんして。そして、一人で育ったつもりで
有頂天になっていたわっちをどうぞお笑いなんして」――
このセリフは凡百には書けないと思うよなあ。泣いた。

とはいえ、「有頂天」がはまるかどうかは疑問。わたしの有頂天は夢中で喜ぶことで、
得意の絶頂という意味はあまりイメージにない。まあ得意の絶頂はあってもいいが、
夢中で喜んだ上での得意の絶頂というのがイメージなので、
普通に「天狗になっていた」とかの方がいい気がした。ワードチョイスちょい凝りすぎ。

わたしがこの人を課題図書リストに入れたのは、知人がすごくファンで、
サイン会にも行くほどだって言ってたからなんだよね。
デビュー作でこれならかなりの完成度だし、上手いと思うが、
面白いより上手いが勝っちゃうかな。わたしの好みと若干方向性が違う。
2作目はそこまでハードルを上げないようにして読みましょう。


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< うる星やつら シーズン2 >

2024年07月30日 | ドラマ。
シーズン2の前半は1と比べてだいぶ面白いなーと思いながら見ていた。
が、後半はちょっとぼやけましたかね。最後のエピソードはまあまあだったけど。

シーズン1は「薄いと感じた話が60%くらい、面白かったのが30%くらい、
残りの10%はなんとなく不明」って感じだったが、それに倣えば、
シーズン2は「面白かったのが50%くらい、薄いのが30%、不明20%」かな。

前半の方はだいたい忘れているのだが、
まあとにかく、最後のエピソードでルパの役を中村悠一がやっていることに驚いた。
こんな軽い役をやってるところなんて初めて見たよ!
普通に軽みも出るんですねえ。しかも方言の役。
多少役不足感さえある。もっと若手でも良かった気はするが。
まあ売れてることはいいことです。

その他、話としてはあんまり面白くなかったけど、
渚役に村瀬歩を持ってきたのにもひっくり返った。
それはぴったりじゃん!……とはいえ、さすがに女の子の声には無理があって、
「この下手な声優は誰だ?」と思って調べて村瀬歩だと知ったのだから、
ぴったりとは言えないのか。ふだんは決して下手ではないと思う村瀬歩、
でもほぼ完全に女の子として演じるのは無理があった。
もう少し低音にしても良かったと思うなあ。

「うる星やつら」、あと2シーズン続くんでしたっけ?
多分来年?再来年?けっこうな長丁場ですねえ。
豪華な声優陣や懐かしアニメとしては楽しめるけど、純粋に現代日本のアニメとしては
そんなに面白くないかなー。正直なところ。
まあ次も見ますけど。
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◇ 丸島和洋「戦国大名武田氏の家臣団 信玄・勝頼を支えた家臣たち」

2024年07月27日 | ◇読んだ本の感想。
この人の、こないだ読んだ本が面白かったんだよね。
なので、この本も期待を持って読んだ。

本論の武田氏に入る前に、前史として関東地方の公方状況を書いてくれてるのよね。
公方とは、時代によって変遷した言葉だけれど、とりあえず室町時代の公方は
関東圏内にあった武家政権の出先機関の長としての呼称。
関東公方、鎌倉公方、古賀公方とかは聞いたことがあったけど、
堀越公方、小弓公方という聞いたことない名前も出てくる。
Wikiを見ると他にも5つ6つの呼称があったらしい。なかには郡山市や須賀川市、
越中市、大阪府堺市で成立した泡沫公方もいたようだ。

しかしまあこの公方状況についての説明が冒頭の正味1ページ半くらいなんだけど。
ほんっとにややこしかった!たった1ページ半なのに内容が全く頭に入らない!
ゆっくり読んで、わけはわかったけど、それが記憶できる気が全くしない!

今後おそらくこんな機会もないので、武田氏前史である関東地方の公方状況について
理解できる限りにおいてメモっておく。


室町幕府は関東を直接統治せず、鎌倉公方を置いていた。
初代は足利尊氏の四男、基氏の血統。
しかし代々の鎌倉公方は京都の征夷大将軍の位(名実共のナンバー1)を狙い続ける。

それに歯止めをかけていたのが、鎌倉公方の補佐役である関東管領家である上杉氏。
補佐役というよりお目付け役というべきかもしれない。管領の任命権は幕府にある。

第4代鎌倉公方・足利持氏が室町幕府に反乱を起こした。(永享の乱)
その反乱は鎮圧され、持氏は死亡。その結果、鎌倉公方の権力は便宜的に上杉氏に与えられた。
それに関東の豪族たちが反発し、持氏の遺児・成氏が第5代鎌倉公方として任命される。

が、永享の乱で幕府側として戦い、持氏を死に至らしめた上杉氏は新公方にとっては親の仇。
公方と管領という立場で並び立つはずもない。
新公方は上杉氏の当代を謀殺し、上杉氏の勢力範囲であった鎌倉から、
支持豪族の多い下総古河(茨城県)へ移り、以降古河公方となった。

この混乱に対処するために、八代将軍・義政は自らの庶兄・政知を鎌倉公方として派遣する。
が、結果的にはこれが悪手。
義政と古河公方・成氏の間で最終的には和睦したために、政知が宙に浮いてしまった。
当然政知は不服で、しかし鎌倉に入ることは禁じられ、その手前の伊豆堀越で足止め。
その後は堀越公方(ほりごえくぼう。この語は初めて見た)として存在する。
しかし公方とは言っても実権はない。

堀越公方である政知は、実力行使で鎌倉入りし、正当な鎌倉公方となろうとしたらしい。
だが実際に動き出す前に本人が病死。

以上が、武田氏前史としての公方状況の第一段階。まあまあわかりました。
結果的には鎌倉公方が争いの結果として古河へ移り、本来必要のない堀越公方という
存在が出現し、権力争いがさらに複雑化した。



第二段階。
政知の死亡により、堀越公方家では末子と庶長子の跡目争い勃発。
結果的には庶長子側が勝ち、末子側は殺される。庶長子側には関東管領が味方したらしい。


第三段階。
武田氏は位置関係的にも堀越公方家と関係が深い。
それゆえ、堀越公方家のお家騒動の影響を受けた可能性がある。
信玄の曽祖父・信昌と祖父・信縄が末子と庶長子側に分かれがゆえに内紛が起こったのかも。



……というのが武田信玄以前の関東の状況らしいです。
武田氏については各論だから、まあ覚えられれば程度だけれど、
第一段階である古河公方と堀越公方の発生、その際の関東管領上杉氏の立場というのは
覚えておくべきかも。

しかし関東管領家も、(山内)上杉氏の他に扇谷上杉氏がいてその関係性は知らないし、
初耳だがさらに他に宅間と犬懸がいて、上杉四家というらしい。
これについては混乱するので、今後縁があったら後日……



まあこの点だけでも覚えられれば、1冊読んだ甲斐があるというものですよ。
最初の1ページ半の内容だけで満足されては著者はがっかりするだろうが。

その後、曽祖父、祖父、父と信玄、四代にわたっての武田氏と、
近隣大名の同盟・敵対・和睦・婚姻が永遠に繰り返される。
これが頭に入るとは全く思わん。いるんでしょうねえ、好きな人の中には覚えてる人も。

そして信玄の事績、勝頼の事績と武田氏の滅亡。ここまででおよそ4分の1くらい。
手際良くまとめましたね。ややこし~いところを。著者えらい。


それからが本題である武田家家臣団の各論。
まず個人個人の事績を主に描いて、職掌などが後半になってから説明されるので、
普通は書き方逆だろうと思ったが、読み終わってみれば、個人のキャラクターを
うっすら掴めた後に職掌の説明が読める方が頭には入るかもしれない。
わかりやすかったように思う。
しかしわかったことと、それを記憶し続けれらるかどうかは別問題だが。

武田家家臣団を説明するのは大変です。
御一門衆と親類衆、譜代家臣と外様国衆――とすっきり分かれていれば簡単だが、
その他にも別な区分も存在するし、職掌でも違うし、何代か経るうちに家の立場が変わったり、
親族と姻族で扱いが違ったり、まあ当然なんだけれども本当にややこしかった。
ほとんど個別状況なんだもの。

そこらへんをうまく書いていた著者えらい。
読んで良い本。内容を説明は出来ないので読んでください。



――武田氏家臣団は「信長の野望」で若干目に親しいところ。
多分かなり初期の「信長の野望」だな。プレイ方式からして戦国群雄伝だったか。
信長でプレイするより武田信玄でプレイする方が
有能な武将が目白押しで楽だったまであった。
武田信繁。山県昌景。馬場信春。戦闘力も高ければ内政力も高く、大好きだったなー。
数十年の時を隔てて、彼らを教養書で読む。なかなかにエモいことである。


歴史好きを標榜するわたしでも、室町時代のことはほんっとうによく知らない。
考えるに、室町時代には軸がない。大和時代・奈良時代は天皇を軸とし、
平安時代は藤原氏を軸とし、戦国時代は有力武将を軸とし、江戸時代は徳川将軍家を
軸と出来るのに対して、室町時代は室町幕府の影が薄すぎて軸に出来ない。
みんな各地でわちゃわちゃしすぎやねん。

まあそういえば鎌倉時代のことも全体的には知らないのだが、
源頼朝関連はまあまあ知っていることと、元寇についてうっすらと知っていることで
知っているつもりになっている。


武田氏関連書を数冊読んで来た気がするが、とにかく近隣大名のわちゃわちゃが
乗り越えられないなあ。覚えられない。
むしろ信玄の小説を読んでみた方がいいのか?そっちの方がとりあえずの線は
頭に残るのかもしれない。



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< 沈黙 サイレンス >

2024年07月24日 | テレビで見た映画。
シリアスな映画は苦手なのよ。見た後に気分が下がるから。
明るい、コミカルな気軽に見られる作品が好きだ。

なので、まあとりあえず録画はしたけど、見ようかどうしようかはちょっと迷った。
見始めてからも最初の3分くらいは止めて消そうかどうしようかちょっと迷った。
――その後は最後まで見入ってました。

正確には、途中で中断して2日に分けようか迷った。
何しろ長いですからね。160分。2時間40分ですか。
このくらいの長さになるとさすがに途中で集中力が途切れます。
でも何とか一度で最後まで完走して。まあ一度で見た方はいいよね。
中断すると、その後は余生になるからね。


※※※※※※※※※


見ながら舌を巻いていた。
いやこれ、すっごいバランス。

そもそも原作からして難しい話だと思う。
10年くらい前に読んだのよね。
日本人として、日本人キリスト者の書いた信仰についての小説――しかも書き手は
自分の信仰に悩んだ過去がある――を読むのもバランスが大変だと思ったが、
それを映画にするということは、

そういう複雑な背景を持つ原作を、
(多分)もともとキリスト教の背景を持つ外国人の監督が翻訳を経て読解する。
その読解をどこの立場に立って見せるのか。
西洋のキリスト者、日本のキリスト者、一般の日本人。

しかも時間的にもそれなりに距離がある話ですからね。400年。
時間的な距離については個々人の感覚も相当違う。
そのバランスはほんとに微妙。違和感に収まる幅がほんとに狭い。

わたしはこの映画で違和感はほとんど感じなかったから、そのこと自体に驚いた。
まさかそんな見事なバランスで見せてくれることは期待していなかった。

翻って考えると、キリスト教の西洋はこの映画をどう見たんだろうと気になりました。
お手軽にamazon.ukでDVDの評価を見ると、★4でしたね。
もっと簡便に海外感想を知る手段としてyoutubeがあることに気づき、
予告編のコメントを見てみると、英文での感想でポジティブな意見が多かった。
わざわざトレイラーを見てコメントをする人はこの映画を好きであろうし、
ネガティブ意見が削除されている可能性もあるけれども。



構図がきれいでしたね。どんなシーンもかっちりと決まっていた。日本画みたい。
台湾でロケをしたなんて、言われるまで気づかなかった。
九州あたりの人なら植生に違和感があったりするのかもしれないが、
こちら東北からすると、みっしりした植生にも五島列島はこんな風かと納得するし。
セットもかなり上手に作っていると思った。
建築物で違和感はなかった。

唯一あるとしたら、お白洲と刑場は同じ場所にはならんだろうなということくらいで。
他は海外が作ったものとしては再現度はかなり高いと思ったなあ。
「ラスト・サムライ」のなんちゃって感を思い出すと余計。

まあ最大の相違――日本には当時あんなに英語を喋れる人はおらん、というのはあるが、
それをいえば主人公たちがポルトガル人なのに全部英語を喋るというのがあるしね。
本当は来日した外国人はまず意思の疎通に相当に苦労したはずだが、
それを描いていると、多分10時間経っても映画が終わらん。

それにしてもみんなちょうどいい英語を喋りましたね。
すごく流ちょうなカタカナ英語。ぎりぎり、理解できるかどうかわからないくらいの
ジャパニーズイングリッシュ。もう少しカタコトにする方法もあったかもしれないが、
言語については矛盾には目をつぶることにしたんだろうな。
それよりも内容、表現を深めることを採った。それは正しかったと思う。

海の処刑は、あれ本当に撮った?CGでは出来ないよね?
満潮に沈む十字架の磔。俳優が無事かどうかはらはらした。
(無事じゃなければ映画は公開されてないだろうが……)
半死半生のか細い体。しかも肉体労働者らしい、筋肉の名残りはある。
あれ体を作るのが大変だっただろうね。すごい……

拷問の描写が多すぎる、という批判はあるらしい。まあなあ……。
たしかにもっと減らせたとは思う。が、これでもか、と迫害のシーンを並べることで、
やっぱり主人公の追い詰められ感が違うもんね。必要な分量だったといえる。


日本側の描き方も絶妙。
悪役なのか。迫害側なのか。しかしイッセー尾形はごく微妙に人間味も見せる。
「形だけ見せとけばええやん」ともいう。
しかし本当に形だけ見せればいいのかというと……。
その部分も、人によって場合によって違う。そのばらつきは史実でもあったものだと思う。

この映画ではほぼ完全に信仰の部分だけにフォーカスしているのだけれども、
日本人としては政治的な理由も考えないわけにはいかないし。
(そこを考えると、主人公が英語を喋るのがもやもやするが)
実際の信仰も、もっと深浅というか、行き違い、変形、変容があって難しいものだったろう。

終盤でフェレイラが登場してからはっきり言及されるが、日本のキリスト教は
本当にキリスト教だったのか。そこをもっとわかりやすく描いてくれた方が良かった。
わたしはわかりやすい話の方が好きだから。
あの程度だと難しかった気がする。匂わせ程度というか。

あとはキチジローの描き方が難しい。現行はちょっと物足りない気もする。
もっと上手く使えたような立場の人。この人を軸にするんだろうと思っていたが、
思ったよりは出てこなかった。

最後の最後、あれは可能かなあ。
奥さんの心づくしだろうけど、葬式まで見張られていたと説明されたあとだと
リアリティというより、実現不可能だろうという気がした。

そういえば、終章に突然出てきたカピタン?がナレーター役になるのは違和感があった。
もう少し説明してくれないとうまく繋がらないように感じた。
それで最後まで行っちゃうから、少々不満が残る。



とはいえ。見事な作品であったと思う。
スコセッシの作品は「シャッターアイランド」と「ヒューゴの不思議な発明」しか見てないな。
どちらもそれほど感銘を受けた作品ではなかった。今回のこれは見事。
が、こういうシリアスな映画はそもそも見る気にならんという重大な問題が……。

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◇ 吉田修一「パレード」

2024年07月21日 | ◇読んだ本の感想。
……だと思ったのよ、吉田修一!

吉田修一作品はこれで5冊目かな?ここ1年くらいおっかなびっくり読んでいた。
何がおっかなびっくりかというと、この人の作品は後味悪い系ではないかと……
ところが今まで読んできた4冊は、案に相違してけっこういい話。
あれ?間違ってた?こんな気持ちいい話を書く人?

そしたら5冊目で本性が出ましたねー。これはまさに後味悪い系でした。
あ、この5冊というのはわたしが読んだ5冊目であって、吉田修一作品としてはかなり初期。
もしかして初期作品は後味悪いとかあるのかなあ。

ちなみに今まで読んで来たのは「横道世之介」「続 横道世之介」「国宝」「路」。
これらはいい話でした。好きだった。


本作は、それぞれ悩みながらもぼんやり生きている5人の若い男女。
シェアハウスをしている。危うい人生ながらもけっこう楽しそうに生きてて、
最後までこの薄ら明るさを維持して終わるのかなーと思ったのにさー。

ネタバレですが、最後はほんとに落ちますからね。
まあ前振りはされているわけだが、今までほの明るかっただけにその明るさがツライ。
ここをこう持ってくるか……。と凹む。恨めしい。

というわけで、こういう後味悪い系にぶつかるのが怖いから、
あとは「永遠と横道世之介」上下を借り出せるようになったら読んで吉田修一は
終わりにします。
少し前は予約が20人くらいいて借り出せなかったけど、そろそろ空きが出そうです。

今年中に読むくらいかなあ。横道世之介もほの明るい系なので、
最後の最後に落として終わるのは本当にやめてください。
正続がほんのり終わって、完結編で落とされたらダメージが大きい。

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< 沈黙のパレード 探偵ガリレオ3 >

2024年07月18日 | ドラマ。
へあっ!!?2022年の公開作品なの?
それはずいぶん……最近だなあ。そう考えると福山雅治の変化のなさには驚くが。
ここ数年、福山もさすがに年をとったなあと思うことがあったから、
この映画は7、8年前だと思っていたよ。

そこそこ面白い映画だったと思います。
ドラマ由来の映画は薄っぺらいことになりがちだが、まあまあしっかり作っていたよね。
しっかり作りすぎて最初の部分、ちょっと間延びを感じた。

パレード自体は尺が長すぎたと思う。もしかしたらあの部分でいろいろな犯行の姿を
チラ見せしているのかもしれないが、わざわざ見直しはしないしね。
必要以上に思わせぶりに見せてしまった気がする。


そして、湯川先生の行動に疑問が……。
ああいう地元感たっぷりの定食屋を行きつけにするかどうかというところから
違和感があり、その定食屋に集まる仲間に入る性格ではないだろうと思い、
行きつけの定食屋の娘とともにパレードに見に行くなんてほぼないだろうと思い、
パレードの動画をご機嫌で撮りまくるなんて絶対ないだろうと断定する。
どうしちゃったかね?湯川さん。

おかげでガリレオの話ではなくなった。数式もほとんど出てこなかったし。
今回は草薙の話でしたな。それはそれで面白かったからいいんだけれども、
久々のドラマでこんなにガリレオみを薄くさせる必要があったのかは疑問。
草薙にフォーカスするためにはやはり湯川先生の影を薄くさせなきゃならなかった?


あと歌手の卵の子のキャラがぶれまくってますよね。
え~~~、そんなこと言っちゃう?というか、あのタイミングであんな台詞を言わせるのは
ちょっとどうなの。無理やりじゃないの。

湯川先生がどうやって瑠美にたどり着いたのかとか、
まあいろいろあるんだけれども、他の同種の映画と比較すればかなり良かった。

あとやっぱり柴咲コウよねー。吉高由里子は嫌いなのよ。
北村一輝もさすがの(濃い)演技。

次の映画もあったら(テレビで)見るだろうけど、だが特に新作を求めてはいない。
東野圭吾は面白い小説を書く。やたらと書く。……どうも売れるメソッドに従って
作品を書いている気がして、面白いんだがなんだか白ける。
なので特に読みたくならない。原作よりは映像作品の方が気軽に見られる分
多少食指は動くが、それでも地上波放映で十分だもんな。



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◆ 大航海時代へ マルコ・ポーロが開いた世界

2024年07月15日 | ◆美しいもの。
仙台市博物館で8月25日まで特別展開催中。

どうかなーと危ぶみながら行った。地味は地味だろうなと。
普段なら行かないかもしれないけど、何しろ宮城県美術館が長期閉館中ですからね。
というわけでハードルは下がっていた。それが良かった。

展示の仕方の勝利だったと思う。
最初にきれいなモノを見せてくれたんだよね。例の夜光杯っぽいのとか唐三彩のらくだとか。
見て楽しめるものを集めてくれたので、眺めて楽しい。入り込める。
これが最初から資料系を持ってこられてたら多分入り込めなかった。

次に古書ですかね。主に「東方見聞録」を数多く並べてくれた。
正直言って並んでいるだけではそこまで楽しくはないのだけれど、
系統を説明してくれていたのが興味深かった。
Wikiによると7系統に分かれるそうだね。そして最初期の系統は
たしか2系統×2代くらいあるらしく、しかもそれらは現物が残ってないらしい。
残ってないものの、系統はまだしも代目なんてどうやって判断するんだと思うが、
地道に研究してくれている人の存在に胸熱。

あと世界地図と。
こないだ読んだ地図の本が面白かった。
……よく考えてみれば、こないだでもなくて2年前だが。

歴史的な世界地図って面白いんですよね。現代の地図も面白いが。
だが、目の悪いわたしにはあの展示物の距離だと細かい文字が見えなくて興味半減。
もう少し手前に展示してくれないかといつも思う。
ガラスケース内の位置を変えてくれるだけでいいんですけどね。まあ多少は面倒だろうが。

「イタリア古写図」ってのがあって、1600年頃の制作となっていたけど、
この地図の正確性のレベルがすごかった。いや、こんなに詳しい?この年代に?
イグナシオ・モレイラ。Wikiによると、この人、ヴァリニャーノ、天正遣欧少年使節とともに
来日して、薩摩から京都まで踏破して地図を作ったらしいよ!
知らなかった!なんて面白い!……と思ったが、今回の弥助騒動でwikiの脆弱性が
目に見えてしまったので、残念ながらテンションが上がらない。

そしてその弥助ですが、展示物の中にも2、3弥助にかするものがあった。
「信長記」もあったから。江戸時代前期の写本だそうが。

わたしは「南蛮図屏風」を丁寧に見た。今回の弥助騒動の派生で。
大型の屏風で六曲一双。詳細は不明。賑わう港町の喧騒と異国船。
南蛮屏風は数々あれど、今回のエキシビのは天理参考館から来ているもの。

描かれた人数は300人超らしい。
その中で黒人と見える人物は30人弱かと見えた。装束は様々ではあるが、
300人のほとんどがきれいな衣装を着ている。その中で黒人のお洋服も普通におしゃれ。
船員は多分全部が黒人。ほかに荷物を持っている人々の割合は半分くらいだろうか。
いいお召し物を着て、商人かと見える黒人も多い。神父の一人が黒人であるように見えた。

この屏風の成立年代は17世紀らしい。場所が架空なのか、どこかの港町の風景なのか。
相当数の黒人が来日していたのは間違いない。それは当然だと思うが、
屏風の中の1割前後が黒人として描かれるのは、日本人と南蛮人の割合がおそらく
半々くらいだと考えると、かなり割合が高い。そこは意外だった。

それが現実を反映しているのか、それとも絵画的に取捨選択があったのかは不明。
多少の取捨選択があったと考える方が自然。
でもそこまで描き手がこだわった部分ではないだろうな。

弥助はここ10年くらいで知って、魅力的な存在だと思ったのに、今回の件で
完全にみそがついた。残念だ。
当該本もいずれ読もうと思っていたが。もう読む気にはならないだろう。
フラットには読めない。



エキシビはけっこう丁寧に見て1時間半くらいだろうか。
後半は説明文を読むのがメインになるから、字を読むのが好きではない人は
少々飽きるかもな。でも説明文は平明に書いてくれているし、実物があった上で
その説明だから説得力があって面白かった。

何にせよ、ハードルを上げすぎないことがエキシビを見る時のコツですね。


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