goo blog サービス終了のお知らせ 

プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< 将軍家光の乱心 激突 >

2025年09月01日 | テレビで見た映画。
始まって3分くらい経って、突然話が……とっちらかったというか、キッチュになった
というか。矢の飛来の仕方に思わず笑っちゃったよ。こんなにばたばた死んじゃって。
そもそも建物の激近だけじゃなくて、離れたところも警戒しろよ!

時代劇だと思って見始めたんだけど、なんちゃって時代劇でした。
時代劇の皮を被ったキッチュ系アクション映画。
えー、流れとしては「新・里見八犬伝」とか「グリーンデスティニー」とかの系統だと思う。
まあ後者は本作の10年くらい後ですけど。

話はまあ、無視してください。
徳川家光が幼い息子を殺そうとして表の家来と裏の家来を動員して追い詰める、
という訳の分からない設定。主人公側は若様を守る山賊というか浪人というかの
寄せ集め集団で、その頭目が緒形拳。

ちなみに緒形拳は元々松方弘樹に仕えていた家臣で幼馴染、松方の妹を嫁にしていたんだけど、
松方弘樹が妹を家光に献上するために無理やり離縁させて、それに怒って離藩、
山賊?になったという……。
まあまあ、いいんです、ストーリーは。真面目に見てたら笑っちゃうから。


だがやっぱりアクションはすごかった。
わたしは全然アクション映画に詳しくないけど、SFXもCGも(多分)はるか前の時代、
人力でこれを撮れたのはすごい。というか、JACがすごい。
千葉真一は出演もしているけど、むしろアクション監督として力を入れていたらしい。
悪い言い方をすればJACのプロモーションフィルムか?と思うほどだが。

もうねえ、人がやってることが凄いのよ。
滝登りをしたり、崖から落ちたり、馬にも乗るし、落馬もするし、川に落ちるし、
ありとあらゆるアクション演技のカタログ。飛行機がないだけですね。
何もそんなにアブナイことをやらなくてもいいのではないか……と思うが、
今となっては危険すぎてもうやれないことだけに、このタイミングでこの危険な
アクションをフィルムに残してくれたのは、感謝していいことだと思う。

これを、千葉真一はまだわかるとして、緒形拳とか長門裕之とかもよく付き合う。
さすがに谷渡りのシーンは合成ですが、それでも演技として体力が必要だったでしょう。
当時50歳過ぎ。若く見えたけどねえ。50歳過ぎですか。えらい。

あと、特筆すべきは茂山逸平ですね!
当時10歳くらいだったようだ。役柄としては6歳だったかな?
まー、この人が演技してた!昨今達者な子役は数多いが、40年前ですからねえ。
この子役が演技できなかったら、全然話が深まらないところ、実に立派な演技でした。


一つ苦言を呈するならば、……やっぱり馬がかわいそうだったなー。
馬が転ぶシーンとか、至近距離で矢が飛んで来るとか、爆破されるとかあるんですよ。
後二者は出来れば編集で何とかしたものであって欲しいと願いつつ、
少なくとも転ぶシーンは実際にやってるんでしょうからねえ……

役者としての馬の訓練も積んでるんだろうが、いつも上手く転べるとも限らないし、
脚でも折ったら命にかかわりそうな気がするし、ハラハラして見てました。
当時の馬さん、がんばってくれてありがとう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

< 翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~ >

2025年08月29日 | テレビで見た映画。
テレビ視聴。

前作は映画館で見てかなり面白かったんだけど、こっちは迷いつつ、行かなかった。
わたしはこういうB級好きだと思っていたんだけどねー。
……やっぱりこのノリを2連続というのはきついのかもしれない。

作った人はがんばっていると思うんだけど、見ててきつかったなあ。
前回はこのこってり感を楽しめた。だが、いうたらなんだが、制作陣は前作の後追いに
なってしまってないかね?そういっては気の毒なのかなあ。
それはこちらの問題なのか。

役者たちもノってただろうか。……と言おうと思ったら、GACKTは病み上がりでしたか。
そして二階堂ふみはそんなに露出がなかった。この二人を下げるのは気の毒。

初登場の主要人物はかなりいい味出してましたよね。愛之助と藤原紀香。
しかもこんな役柄で……!紀香はオチにまで使われて……!でも健闘していた。

実は杏に気づかなくて。
見たことある人なんだけどなー。宝塚の誰かだったっけ?と思ってた。
そしたら後半に入った頃に「あ、これ杏か!」と。我ながら気づくのが遅くて崩れた。
けっこうハマっていて重畳。


内容は、面白いところは面白かったけど、そうでないところは多々あった。
どこがどうと言えるほど覚えてないが、雑にネタを放り込んだように見えたかなー。
映画館で見たらもう少し集中して見られて面白かったのかも。

いや、真面目に作ってると思うのよ。
思いついた面白いことを出来る限り盛り込んだと思う。でもやっぱりこういうのって
数ではないのかもねー。構成には慎重な運用が必要ということか。

二度も同じ話ではなあ。やっぱ話の根本を変えるべきだった。
三度目はないだろう。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

< 青春ブタ野郎はお出かけシスターズの夢を見ない >

2025年08月23日 | テレビで見た映画。
青春ブタ野郎シリーズは「ハイキュー!!」の声優が主役をやっているので、
見に行こうかどうしようか……と毎回迷って、結局今まで行ってない。
今回テレビ放映で初めて見た。

これ、シリーズの3番目みたいなんですよね。
そしてわたしは事前にこのシリーズについてほぼ何一つ知らない。
うっすらつかんでいたことは、一人、主役より年上の女の子がいて、
その子と恋愛関係…………?ということしか。

こんな状態で楽しめるわけないやろ、と自分でも突っ込みながら見始めたが、
意外なことにけっこう楽しめました。いや、意外に面白かった。全然不満はない。
そもそもハードルは低かったけど。

主役が出て来て、年上の彼女……彼女でいいのね。へー、この人は芸能人なんだ。
可愛すぎる妹が出て来るけど、妹と彼女が主人公をめぐって張り合う話ではなさそう。
なるほど、訳ありな家庭なのね。詳細はわからないけど。高校生と中学生だけで暮らしてる。

他の女の子たちと主人公の関係はいまいちよくわからないが、
前二作でいろいろあったんだろう。
なるほど。妹の訳ありが問題なわけだ。前二作のどっちかはその話なのか。

……と、見ていきながら必要最低限の情報は盛り込まれており、もちろん前二作を見てれば
面白さは段違いだろうが、今作だけ見ても嫌味なく、楽しめました。
こういうあっさりした話がいいんじゃないかね。もちろんこういう話で大名作!には
なりにくいけれども、全てのドラマが大名作を目指す必要もないわけで。
見た人に愛される作品になれば十分。
昨今の作品は設定が細かすぎるんじゃ。

登場人物は総じてテンションが低く、話も特に大事件が起こるわけでもなく。
でも主人公と彼女、主人公と妹、妹と彼女、その他大勢の人々の、さりげなく優しい
感情の交感が見てて安心する。表情を繊細に描いてますよね。
これは丁寧な仕事だと思う。創造だと思う。

そうねえ。ちゃんと1作目から見てあげるべきだったかもねえ。
ありていにいえば、劇場で料金を払ってみるべきかというと……そこは微妙だが。
でも今後、前二作も見たい気がしたね。無料であれば。



――こういうテンションの話なら、タイトル間違ってないんだろうか。
まあ原作ありだというから、主に原作に対していいたい。
「青春ブタ野郎」の話を読みたいかというと、わたしは特に読みたくない。
「バニーガール先輩」の話も別に読みたくない。
だが話としてはむしろ静かな、丁寧なものであるなら――そういう話が好きな層に、
このタイトルで届くんだろうか。疑問。

今回の話も「お出かけシスターズ」の話ではなかった。
キャッチーだからいいってもんでもない気がする。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

< 天河伝説殺人事件 >

2025年08月17日 | テレビで見た映画。
1991年公開。34年前。
……うっ。そんなに前ですか、これ。
タイトルが良かったので気になっていたんだけど、今回初見。
古めかしいですねえ。まあ34年前であれば、そりゃそうか。

榎木孝明かっこ良かった。
岸恵子は御年59歳でヒロイン役。きれいだった。
財前直見がすっごくかわいい!この人こんなに可愛かったんですか!顔変ったねえ。
大滝秀治は34年前でさえもすでに大滝秀治だった。
伊東四朗も若かった。
酒井俊也、斎藤洋介、若かったねえ。

だが実はわたしは浅見光彦シリーズ、あんまり好きじゃないのよね。まず原作が。
原作は2、3作読んで、話のあまりの薄さに辟易して。
ドラマも1、2作は見たけど、何しろ原作にそもそもそ感心してないんだから、
ドラマに感心するはずもなく。

でも「天河伝説」だけはプロモーションが良かったのよね。
中森明菜の主題歌も魅力的だったし。なので数十年経ってようやく見た。

ん-、まあね。面白くなかったとまではいわないね。だが積極的に面白かったかというと。
まあ普通。序盤の畳みかける事件の起こり方は期待感をあおったけど、
その後の話の展開は、まあいつものサスペンス……というような。


舞台だては良かったですよね。山深い天河神社。吉野のさらに奥ですから。
正直、こんなに奥でこんなに豪華な社殿なわけが……と思ったが、
検索した範囲でいうと、やっぱり立派な神社です。
実際の撮影はもう少し交通が便利な、滋賀県の神社で撮ったようだが。

でも奈良市から70キロそこそこだとすると、イメージよりは奥じゃないのね。
十津川村に準ずるような山深いところだと思ってた。

見てて完全に間違っていたのは、能の宗家の家が天河神社に近い場所だと思ってたこと。
吉野あたりにあるイメージだった。天河神社がもっと奥にあって、能の宗家はその手前だと。
あれは東京なんですね?たしかに吉野だとすると、能楽専業の人が多すぎるようだし、
舞の会の雰囲気とかは違うと思うが、なんか思い込んじゃったのよね。

そうすると、宗家の設えの趣が変わるなあ。豪華な障壁画も、重厚な和風の作りも、
旧家の邸宅だと思ってたからこそ趣深く感じたわけで、
単に(?)東京の宗家ってだけだと趣が減じる。

東京の宗家が天河神社とそんなに繋がりが深いというのも少々納得出来ないのよねー。
せめて京都辺りの設定なら何とか……。でもそうすると後継ぎの女の子が
東京をうろうろして伊東四朗の事務所に行ったりするのも整合性がとれないか。

岸恵子はきれいだったけど、そして実年齢にしては驚くほど若いけど、
浅見光彦が心惹かれるというのは無理がないか……。30歳くらい上ではないのか……。
まあ話の粗はいろいろ。


同時代で見ていたら全然感心しなかった可能性はあるが、制作から34年経って見てみると、
昔の雰囲気を楽しむという部分の面白みは増えるかも。
だが当然、その古めかしさがネックになる部分もあるので、
プラマイゼロくらいなのかな。

画は良かったですよね。かなり良かった。
だが、ここは暗くしなくてもいいだろう、というシーンが暗すぎたりしたのは
いまいちだった気がする。わたしは画面が暗いのは基本好きじゃないのでね。
宗家の内部が暗いのは納得出来るんだけど、その他の部分はもう少し明るめでいいと思った。

まあでもうっすらと気にかかっていた作品が見られたので良かった。
気にかかっていた最大の要因であるテーマ曲が聞けなかったのは肩透かしだったが。
それが聞けてればもっと満足度が高かっただろう。




実は本日、本ブログ開設7500日でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

< 日日是好日 >

2025年08月05日 | テレビで見た映画。
これ、「にちにちこれこうじつ」ですか。「ひびこれこうじつ」だと……
と、前にも思った気がするなあ。ひびこれこうじつの方が語調がいいと思うけど。

3、4年前の映画だと思っていたら、7年前の公開ですか。時間感覚が……
劇場に見に行こうかどうか迷って結局行かなかった。劇場に行ってたら
ちょい不満は持ったかもなあ。今回はテレビ放映を見て吉。

わたしは原作者の森下典子には「デジデリオ・ラビリンス」で好意をもっているが、
原作は読まなかった。
映画としては地味。かなり。そこを納得した上で見る分にはいいけど、期待が大きすぎると
退屈を感じるかもしれない。
でもじっくりお茶を描いてくれるのはありがたい。しかも実に一般人目線で。


高校生の時「お菓子が食べられるから」という理由だけで茶道クラブに入った。
部活ではなくクラブ。週に一回、時間割に組み込まれているヤツ。
なので、最初の最初の袱紗さばきなんかはごくかすかに覚えており、なつかしく見た。

わたしが茶道クラブに入ったと言ったら、父が妙に喜び、さっさと茶せんを買ってくれた。
茶せん以外の、最低限の茶道具は家にあった。――どうやら亡くなった祖母が若い頃、
お茶を教えていたらしいんです。

だからといってクラブでお茶の作法をちゃんと覚えるわけでもなく。
茶せんはごくまれに、てきとーに抹茶を泡立てて飲むのに使っていた。
抹茶は次第にバニラアイスクリームに混ぜて飲む量の方が多くなり、
何度か買って終わった。ここ何十年は全然買ってません。


というようなことを思い出させてくれる映画でした。
小学6年の時に亡くなった祖母は、茶道を教えてくれることはなかったけど、
茶道から派生したことをちょこちょこ教えてくれた。

いわく――煎茶の淹れ方。急須の持ち方から始まって、茶葉の量、どのようにして
(ポットから)お湯をいれるか、どのくらい待ってから湯呑に注ぎわけるのか。
均等に注ぎ分け、一滴も残さないように急須を置く。
湯呑の正面を相手に向けて、茶托に乗せて、両手で「どうぞ」
――これを幼稚園児相手に繰り返した。辛抱強く。ちょっとでも出来ると大きく褒めた。
祖母の友達や親戚が家に来るような時、わたしはいさんでお茶を淹れて、
「すごいねー」と褒められることを喜びとした。

いわく――美しいものはじっと見よ。
両手をついて、真剣に見入ること。「拝見しました」と感謝をもってお辞儀すること。

いわく――「あなたは美しいものが好きね」。
うかうかとその言葉に乗せられて、美術と花が好きな人生になった。

祖母はわたしの人格形成に良い影響を与えている。



わたしは黒木華が長らくうっすらキライで……。
最初の出会いが「真田丸」だったのが悪かった。
知らない地味な女優が大河のヒロイン!?ということに
強い拒否感を持ったようなんですよ。当時の自分は。
あとは名前の読み方もキライ。華をハルとは読まんやろ!読めるのがいい名前なのだ!

まあその後何年も経って、いい女優だと思うし、嫌いではなくなったが、
どうも最初の印象はかなり後をひいて、結局そんなには見てないかなあ。
出てきたら出て来たでうれしい女優ではあるんだけど、
主役ではどうも惹かれないというか。

がっつり出たので見たのは「ビブリア」と「下剋上球児」。……どちらも話があんまりね。
「重版出来!」も「凪のお暇」もこの人が主役じゃなかったら見ただろう。
難しいもんですね。

でもこの人に本作は合ってたね。森下典子のイメージとは違うけど、
まあそれはあんまり関係ないしね。
道具とか掛け軸とかを深く受け取っていたように見えた。嫌味なく。
最初の大学生役の時には年齢のせいかちょっとツライように見えたが。
30過ぎまでを演じるのなら相応だろう。実際年を重ねるごとに似合ってきて、
見やすくなっている。着物も似合ってたし。

多部未華子は好きな女優。最初、役柄は逆でもいいのでは?と思ったが、
やはり人生に悩むところは黒木華の方が座りはいいかなあ。
今となっては多部未華子と黒木華が一緒の作品に出るのは意外な気がしますね。

樹木希林が出ることで、伝説の先生的な扱いにするのかと思っていたら、
わりと(理念的なことは)何も知らなくて笑った。でもそういう造型にしたのが吉。
亡くなった後に見ると、この静けさが心に残りますねえ。

折々の小さな自然を丁寧に映してくれるのが良かった。
でもねー、これ実際にやると話の密度とは対立する部分だから、難しいのよねー。
見ていて満足出来る映像美に持ってきてくれてればいいが、
ただ自然を映していたからいいってもんじゃないしねー。
美しくても、それで話が薄いと感じれば物足りないし。
今回はありがたい方の自然描写でした。

映画館で見たら、わたしは物足りなかっただろうなー。ちょっとさりげなさすぎて。
なので、今回テレビ放映で見たのはちょうど良かったのではないでしょうか。
これを映画化しようと思ったのもある意味で驚きだが、結果は吉だったと思います。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

< ゴジラ ー1.0 >

2025年07月06日 | テレビで見た映画。
こないだ(?)見た「シン・ゴジラ」は面白くなく、
昭和29年制作の「ゴジラ」には感心し、
そして本作。――まあまあ面白かったですかね。後半はね。

冒頭から序盤にかけては、うーん……と思いながら見ていた。
モノクロかあ……。現代において白黒で作る意味がある作品になるのかね?
単に安易なオマージュ風になるだけだったりしない?
という不安が払拭されないうちに、御大ゴジラ登場。

このゴジラの登場の仕方がねー。ほんとにただ出て来ただけだったんですよね。
あっさり出てきやがって……、もとい、出ていらっしゃって、なんら期待感も特別感もない。
ファーストゴジラでは特撮の技術も何もなかったところで、
ひっぱってひっぱって、神秘性を高めてましたよ。ライティングを上手く使って。

今回のゴジラの登場は「はい、これがゴジラです~」という司会の声が聞こえんばかりの
あっさり具合。さらにその時のゴジラの動きがあまりに人間すぎてさー。
ゴジラをどういう存在にするのかというのは監督なり、脚本なりで作品ごとに異なるだろうが、
わたしは大自然の力・タタリ神という位置づけに納得しているので、
単にあっさり登場されても困るのよ。

怪物で怪獣で手に負えないほど凶暴、というのはそうなんだけど、
それに神性や神秘性、わずかにしても知性が感じられないと「ゴジラ」としては物足りない。
これが全然物足りなくて。
むしろ「なんであんなに雑に登場させた?」と不思議になるレベル。

その後も脚本的には疑問な展開が続き。
神木隆之介はあの時撃てないかねえ。撃てないという筋はわかるが、
演技としてというか、脚本の流れとして釈然としない。
もう少しイジればすんなり納得出来たと思うんだけど。
どこをどうイジれば良かったかはノーアイディア。

安藤サクラの反応もちょっと異常だと思った。
それなりに近所付き合いがあったお隣さんなんですよね?
いくら子供を3人失っているからと言って、戻って来たその場で神木を責めるか?
まずは「よく生きて帰ってきた」だろうと思うのだが……
まあ癖のある人柄を印象付けたいというのはあったのだろうが。

典子との出会いのシーンも陳腐すぎ。
血がつながってない子供をあの状況で育てるのも無理があるが、
それを丸抱えする神木の行動もねえ。
まあ当時の状況的に「ない」とは言い切れないのかもしれないけど、
そこにディテイルがほとんどないからなんかもやもやする。

ここらへんまででもやもやばっかりだったので、もう少しで視聴中止にしそうでした。
中止にしなかったのはほんとたまたまとしか言えない。
でも船に乗り組み始めたあたりからは普通に面白くなって最後まで見た。

ゴジラが銀座へ上陸した時の描き方は神性を感じられていいと思った。
もう少し攻撃力が少なくてもいいかな……とは思った。
そしてラジオ、新聞の記者たちのシーンはもう少し現実感がある方が良かった。

海上でのゴジラとの対峙とか、絶体絶命になった時の何だかっていう戦艦?
(でも武器を搭載した艦船って当時の日本にあったんですか?)
が駆けつけて救ったのはかっこ良かったが、……まあすぐやられちゃいますけどね。

元海軍軍人が集められたシーン、一番偉い人が腰が低いという演出は意外だった。
もっと勇ましく、威圧的に描くのかと思った。
勇気ある撤退をする一般人を入れたのも良かった。が、こんな人数が残るかなあ。
撤退が多数派になるんじゃないかなあ。

そしてこのシーンを見て、海外勢はどう思うんだろう。
そのヒロイズムに共感するんだろうか。それとも第二次世界大戦の日本の歴史に思いを
馳せたりするんだろうか。


吉岡秀隆はそんなに好きではない……そのドラマによって好きだったり嫌いだったりする
役者だが、今回はこの人が出て来ることでなんだか妙にほっとした。
はまってたもんね。この人が(わたしにとって)この映画を救った。

浜辺美波はところどころ上手いなあと思って見ていた。
この人と神木隆之介は「屍人荘」で共演してましたね。
その頃は可愛いなあと思うと同時に、その細さに恐れさえいだいたが、
今回は特にそういうことはなく。

青木崇高の役柄は最初と最後に上手に使われてたね。いい人で終わって良かった。
大団円は「いや、それはないやろ~」といいたくなるほどハッピーエンドでしたが、
まあそれでもいいよね。浜辺美波の復活まではやりすぎかとも思ったが。



ゴジラには今までほぼ興味がなく、本作含めて3作見ただけだが、他にこれを見るべき!
という作品はあるんだろうか。海外制作ではゴジラをどう描くかはちょっと気になる。
一番出来がいい作品は見てみたいが、どれがいいのかわからん。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

< スタンド・バイ・ミー >

2025年06月29日 | テレビで見た映画。
名作と名高い本作。いまさらの初見。
そして……ほぼ面白くなかったんですよ。むしろツライ。

何がいけないかというと、……道具立ての殺伐さですねー。
粋がって煙草を吸う子供たち。虐待を受けている子供たち。
不良の若者たち。車を盗むとか、ポストを無目的に破壊するとか、子供たちを脅迫するとか。
銃を持ちだす子供たち。本人たちはいいんだろうけど、口汚くののしりあうじゃれあい方。
死体を戦利品扱いする無神経さ。
もう全部見ててツライものばっかりで嫌悪感さえ抱く。
これは全然楽しくない。苦行でした。

今回すごいズレを感じるのは、
子どもたちってそれぞれすごい葛藤を抱えているわけじゃないですか。
ゴーディが「兄の代わりにお前が死ねば良かった」なんて言われており。
そんなの精神が危機に瀕するほどの虐待でしょう。(これは夢だったらしいけど、
そんな夢を見るほど追い詰められているのだから、本人にとっては現実とほぼ同じ)
テディだって、父への愛情と憎しみが激しく、とても正常な精神状態ではいられない。

クリスの苦悩も深いけれども、それは精神のバランスを崩すまではギリギリいたらない苦悩、
しかしゴーディとテディの苦悩はその何倍も危険な苦悩。に見える。

でもこの映画ではそこら辺を一緒くたに描き、友情が苦悩を救ったという話にするんだよね。
納得できないなあ。これは「ゴーディがクリスの友情によって救われた」という話であるべきで
「12歳の(少年時代の)友情って特別だよね」という一般的なノスタルジーの話に
するべきではない。

友情が救う話にしたかったのだったら、個々の少年が抱える苦悩は
もう少し軽いものであるべきではなかったか。そうして欲しい。

わたしは「少年時代の一夜の冒険が友情を深める」という話だと思っていたから、
全然違う話で違和感がすごかった。まさか本当に死体があって、死体を映して、
しかもそれをただの戦利品扱い……。ほんとデリカシーがないよね!

わたしはスティーブン・キングの作品は1冊しか読んだことがなくて、
その時読んだ「図書館警察」、は全然ピンとこなかったらしい。
後味というか、全体的に味が悪い。苦々しい思いを抱く。
ここらへんはこの映画と通底しているかもね。要はやりすぎなのよ。



感受性の部分で、わたしはアメリカ的なものとは相容れない気がしている。
これはもう昔から。子供のころからアメリカには親しみを感じない。

いわゆるアメリカ的なもので好きと言えるものは……
ディズニー映画の何本か(単なる「好き」ならもう少し増えるが)、
ハリウッド映画のいくらか(なんのかんのいってある時期は映画世界を牛耳ってましたよ)、
マクドナルドとKFCはそこそこ好き、なくなったら寂しい。ミスドってアメリカ?
……あとはティファニーのステンドグラスと、「風と共に去りぬ」、
――すごく限定的になってしまう。あと何かあるかな?
あ、「たんぽぽのお酒」は好きだな。

あとはジョニー・デップと。でもデップはアメリカ的に感じない。むしろイギリスな気がする。NBAは以前好きで見ていた。でもスポーツはアメリカ的というより何より、
強いのが面白いという側面もあるから、どっぷりアメリカであっても
それを「アメリカ的」というのは違和感がある。

アメリカのマッチョイズムがイヤなのかなあ、と分析しているのだが……
強さが正義と思うシンプルさ?というか、単にシンプルさ?なのか。
あまりにシンプルな考え方には共感出来ない。
でもそれもわたしの思い込み、ステレオタイプの可能性が大いにある。
だってわたしは「アメリカ」を知っているわけではないし。


ここ数年で初めて「E.T」を見たんだけど、あまり面白くなかったのよね。
この時代の映画が好きじゃないのかな。それとも時宜を得た視聴じゃないと
心に響かないってことかな。それはそうなのだろうけど。

うーん。この映画、わりと楽しみにして見ただけに、残念だった。




ずっと前に「宗教からよむアメリカ」という本を読んだことがあって、
これがいたく納得出来る内容だったのをかすかに覚えている。
この感想を書いてないわけはないのだが、検索にひっかかってこない。
gooブログが終了するに伴って不具合が出ているのか。
「プロテスタント」で検索してもほぼ引っかからないところから、
多分検索機能がもう効いてないんだと思う。

タイトルは「宗教としてのアメリカ」とした方が内容を表していたように思う。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

< ゴジラ >

2025年02月25日 | テレビで見た映画。
わたしは「ゴジラ」を誤解していた。

「ゴジラ ー1.0」を録画したので、その次の週にやった「ゴジラ」も録画したのよ。
しかしわたしはこれも派生作品だと思っていた。いっぱいあるでしょう。
そしたら、昭和29年製作のファーストゴジラでしたー!見始めて気づいた。

昭和29年の日本映画は見なくていいよね?と見ずに消そうとしていた。
しかしまあ、見るだけ見てもいいじゃないかと思い直し。
つまらなければその時点で止めればいいんだし。

そして最初に戻る。――わたしは「ゴジラ」を誤解していた。


「ゴジラ」って、子供向けの特撮映画だと思っていたんですよ。ウルトラマンのような。
そしたら全然違いました。大人向けの映画でした。
そして特撮映画ではなかった。いや、特撮ではあるんだけど、SF映画でした。

まー金も時間も手間もかけて撮っていらっしゃる!驚愕した。
これが昭和29年に作れたのってすごくないですか?
こてんこてんにやられた敗戦後、まだ9年ですよ?
食うや食わずの時期が、少なくても数年は続いた後でしょう。
この頃に映画にこんなに力をつぎ込む……。映画界は情熱があった。

話はごくゆっくり。なかなか進まないのでテンポが悪いと思う人もいるかもしれないが。
でもこんなに丁寧に撮ってくれてるとね。
テンポが悪いではなくて、じっくり描いていると感じる。

大量のエキストラ。細かい場面割。現代だったらたとえば3シーンで表現するだろうところ、
体感では倍以上かけてセットもたっぷり作って撮っている。すごく贅沢に感じる。

序盤の荒廃した島のセットとかも作ったんでしょう?
CGでごまかせたりしない時代。CGはCGでお金かかるんだろうけど、
リアルで壊れた家や石だらけの荒廃した島の風景を作る労力たるや。
ずーっと「うわ、これも作るんだ」「ここまで撮るんだ」と感心していた。

子供だましだろうと決めつけていたゴジラも、想像よりずっときれいだった。
闇夜に浮かぶ姿に照明を当てて、チープさが出ないようにしていた。
終盤、どう見ても人型だなー、人間が入ってるなーという場面はあったけど。
あの海にかかった大きな橋を破壊するところなんかはね。
でもそもそもの予想が「ウルトラマン」あたりの特撮感だったから、だいぶ凝ってました。
すばらしい。

昭和29年の風俗も楽しめましたしね。
「お父さま」が普通に使われていた時代。女性はたおやか。
女性議員と男性議員の口喧嘩も面白く、ゴジラに襲われて死んでしまうアナウンサーの
表現も時代が感じられて面白かった。当時のアナウンサーは誇りを持っていたんだなあと。

ゴジラが東京を火の海にした場面も、あれミニチュアを燃やしたんでしょう?
けっこうな量でしたよ。想像の3倍くらいの量。美術班、本当にお手柄。
まあちゃちっぽさが出ているシーンもなきしもあらずだが、それは昭和29年だもん、
仕方ない。車や電車のクラッシュはミニカーでやるしかないでしょう。

役者の区別はあんまりつかなかったが、それは許してもらおう。
ヒーローとヒロインとその父とその許嫁がわかっていればいいでしょう。
宝田明はかなりおじいさんになってからしか見たことがないので、若い頃を見ても
全然わからなかった。


いや、いいもん見せてもらいました。頭が下がる。
この初号機があって、後世の数々のゴジラに繋がっているんだなあ。
それを知っていて見るのと知らずに見るのとでは見方がだいぶ変わりそうだ。

だからといってつまらない映画が面白くなったりはしないが(「シン・ゴジラ」とかね)
でもあれだって子供向けと思っていたからこそ、作りが疑問だったが、
初号機からの流れを汲めば、肩書をやたらと並べる大人向けである必然性はあるし。

まあとにかく驚いた。当時の映画人の情熱と志を感じた作品でした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

< 劇場版 夏目友人帳 うつせみに結ぶ >

2025年01月29日 | テレビで見た映画。

ようやく「夏目友人帳」見られました。
有名だし、良さそうだから何度かチャレンジしてみたんだけど、どうも合わなくて
過去二回かな?シーズンのいくつかの1話を見ようとして挫折している。
今回は何とか最後まで行けた。

多分劇場版だったということが大きいだろうね。
1時間半で完結するということでわりあい話はまとまるし、若干許容範囲は広がるし、
途中脱落の危機は何度かあったが乗り越えた。

これは環境映像として見て吉かも。
あんまり派手なことは起こらないから、そして何よりわたしは最低限の設定しか知らないから、
話を味わえないんだよね。
友人帳そのものに関してはもう3回目だし、「それ知ってる」だけど、
主人公ともののけたちの関係性は、深いところはそんなに知らないし。
名取?シキ?(これは多分「式神」の式ですよね)とか途端にわからなくなる。

まあ今回はちっちゃいにゃんこ先生を堪能しました。カワイイ。
にゃんこ先生の声とイケボの斑の声、どちらも井上和彦なんでしょう?
さすがにやるわねー。


私事ですが、つい最近、近所の猫に撫でさせてもらえるようになり、
その子が8キロあってでかいんだけれども、にゃんこ先生(完全体)とシルエットがそっくり。
とするとにゃんこ先生もそのくらいだろうなあ。

しかし8キロの物体にいきなり飛び乗られたりなんだりしているわりには、
夏目の体がその影響を受けてない。
花もきれいに描いているけれども、背景をここまできれいに描くなら、
もっと現実の花をしっかり描いた方がいいんじゃないかとか、
きれいに描いた弊害というか、粗が若干気になってしまいました。

風景はきれいだよね。水も草も空も。うん。次は環境映像のつもりで見よう。
ちゃんと第1シーズンから見たら感情移入も出来て、この薄目な話でも
情緒が味わえるのかもしれないが、現段階ではそこまで行けない。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

< 今日から俺は! 劇場版 >

2025年01月17日 | テレビで見た映画。
うん、面白くなかったね。
極めて冷静に面白くなかった。

まあね。ドラマが2018年。劇場版の劇場が2020年。
さすがに今急にあの世界観を見せられても中に入り込むのは難しい。
ドラマはかなり好きだったんだけどねー。
ぐだぐだではあったけれども。まあそれは福田雄一だし。

今回、賀来賢人と仲野太賀の掛け合いはどんなシーンも面白かった。
あとはまあ……それなり。
あ、橋本環奈の振り切れた変顔(すでに変顔の域を超えてる)も良かった。
あとは清何とか菜名さんのアクションシーンと。

伊藤健太郎、わりとこのドラマで良かったんだけどなー。
これは来るだろうと思ったんだけどなー。
磯村勇斗は今の今までいそむらゆうとだと思っていたが、はやとなんですねー。
この人は順調にいろいろ出演中。もっと変な役をするようになるんだろうと思ってたが、
普通の役で出てますね。
柳楽優弥も例によっていい感じでした。

あー。いうたらなんだが今回のゲストの役者にもう少し面白みがあったら
だいぶ違ったかもしれないな。まあB級映画で若者が真価を発揮するのは
ハードルがものすごく高いと思う。B級テイストは遊びが全てですからね。

でも男の子の方はけっこう場数踏んでるなあ。
女の子の方は山本舞香。気づかなかったが、「ミタゾノ」で見てそこそこ好きだった。
だが、B級作品で自力で真価を発揮できるかというと難しいでしょう。
これは脚本・演出の責任だな。正直、もっと癖のある役者が必要だった。

福田雄一、好きなんだが……と思って作品一覧を見ると、
わたしは実はそんなに見てなかったです。わたしにしては見てる方だけど。
「勇者ヨシヒコ」で初めて見て、「ニーチェ先生」「今日から俺は!!」……
あれ?素直に好きなのはこの3つだけか?

「銀魂」「新解釈・三国志」「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」
「大洗にも星がふるなり」「明烏」は普通。
「変態仮面」と「斉木楠雄のΨ難」はいまいち。

まあB級はちょっとでもテイストがずれたら面白くないわけですから。
難しいジャンルですよ。

……そう考えると、「聖☆おにいさん」の映画はどうかなあ。
わりと楽しみにしているんだけれど、そもそもドラマがあまり面白くなかった。
そしてこの作品とか「新解釈・三国志」を見ていると少々不安……
やっぱりマンネリ化は避けられないのか。

三国志はかなりセットにお金をかけていて、それがチープな話を展開するギャップが
面白みを生んでいたんだけど、「聖☆おにいさん」は何しろその辺の東京の下町が舞台。
天界とか地獄で豪華さを出せる可能性はあるが、うーん。
「いつもと同じ」と感じてしまえばやはり退屈かなあ。

でもまあ映画館で見ると気が散らないから、テレビより面白く感じることもありますからね。
現時点では一応行く方向で。

(追記。口コミを見て、結局行くのを見送りました。)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする