2 023年下期の直木賞受賞作品。
これで受賞するのはなー。正直にいうと納得感が低い。
あんまり「これぞ万城目!」って作品ではないですよね。だいぶあっさりしてるし。
むしろ読みやすさを評価して、そういう作品を直木賞に選ぶことで販促を狙ったのか……
と、うがったことを考えてしまう。
この人は基本的に変な話を書く人ですね。そして全般的にはもう少しこってりです。
今回のこれは、短いし、話としてもあっさりめ。おかげで手軽に読めましたが。
しかし「八月の御所グラウンド」というタイトルで、最初に全然関係ない短編、
次に「八月の御所グラウンド」という中編。これで1冊、という作り方はいいのか。
短編の「十二月の都大路上下ル」は女子駅伝の話。これはこれで面白かった。
面白かったが、……わたしはこの話を1冊分読むつもりで読んでいたので、
唐突に終わってしまった時は驚いた。ええ?これ短編だったの?っていう。
目次もそんなに目につかないし、中表紙も章扉だと思ったし、
これ順番逆の方が普通なんじゃないかな。どうしてこの順番にしたんだろう。
わりとこの二作、仕掛けは同じ。短編の方は正直、仕掛けにあまり意味を感じないが。
まあこれはこれで、軽めの話ってことであまりうるさく言わなくていいんだろう。
そして中編の方は、仕掛けにちゃんと意味があったしね。
万城目学ならあそこで終わらせないで、もっとシツコク書くのが本領という気がするけど。
あれはあれでアリなんだけど、どーも万城目学っぽくない。
もっと足掻くイメージがある。良くも悪くも。
でも基本的には読みやすい、いい話でした。
ということは「六月のぶりぶりぎっちょう」も同じ仕掛けの話ってことですかね?
……もしかしたら、今後12か月分書いていって、全部を合わせてみたところで
何か大きな絵が浮かび上がるということですかね?
いやー、万城目学ならそれくらいのことはしてくれるかもしれない。して欲しい。
「ヒトコブラクダ層ぜっと」を書いた万城目学なら出来るはず!
期待。