プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◆ フェルメールと17世紀オランダ絵画展

2022年11月20日 | ◆美しいもの。
うーん。期待値よりかなり下だったなあ。

とにかく初めのパートに迫力がないよね。
とにかくね。こういうありがちな、曇り空の森みたいなのばっかり見てても
愉しくないんじゃ!この類は美術館の保管庫の奥深くにしまい込んで
外に出さないでいただきたい!

……などと乱暴なことを言ってますが、この類は全欧的に数がありすぎる。
せっかくお高い運賃と手間と保険料をかけて貸し出してくれるなら、
もう少し点数を少なくしてもいいから、似たようなのばっかりは止めて欲しい。
まあこういうの好きな人もいるかもしれないけど。

ありがちといえばありがちなんだよねー。
これは数合わせのために相手方から押し付けられたバーターなのではないかと思う。
根拠は全くないけれども。


正直、鑑賞時間は30分でいいかなという感じだった。
だが1000円以上も出して30分しか見ないというのももったいないという
貧乏性が発動して、ちょっと良かった絵を何回も見た。
そしたら1時間を大幅に越した。この時間感覚は謎だった。

とにかく見た甲斐があったのは2枚のみ!



ミヒール・ファン・ミーレフェルト「女の肖像」
自慢じゃないけど知らない画家だ。だがとてもきれいな肖像画。
三十前後の貴族の女。円形の大仰なレース襟とオランダ貴族の制服ともいうべき黒い服。
そのレースと布地の模様が達者。
いいと思うのはその眼差し。聡明そうな、まっすぐに見つめる瞳に惚れる。
目の清々しさ。

フェルメール「窓辺で手紙を読む女」
窓辺の柔らかい光を浴びる女をフェルメールは数多く描いている。
その中で、中の上くらいの作品だろうか。
とにかくわたしが惜しいと思ったのは、服のデザインですね。
この袖の黒部分が白いデザインだったら、その拡散された光が、
白を柔らかく輝かせたろうに。

フェルメールは見たままをしか描けない画家だったのだと思う。
絵の効果を計算して服のデザインを適宜変える、という技は使えなかっただろう。
そうでなければ何度も何度も同じ服を描くとは思わない。例の白テンのガウン。

この絵の最大の見どころは赤いベッドカバー。いかにもぽってりと厚く温かそうで、
質感が見事に出ている。その上にこぼれている果実が、なぜここにあるかは不明だが。
手紙の緊急性(心理的な)を表しているのか?

ガラスへの顏の映り込みは本物を見たからこそ目に留まった部分かと思う。
画集では気づけなかっただろう。
なお、フェルメールのこの作品をかなりの精度で模写している
ベントフェルトなる人の作品もあって、こちらにもちゃんと映り込みは
再現されていました。


あとは……ちょっと目に留まったのは、
レオナールト・ブラーメル「神殿で祈るソロモン王」
(切り絵的に盛り上がったマチエール)
アーレント・デ・ヘルデル「槍を持つ男」
(顔部分はぼやけているのに、槍の装飾部分のみ精密。
ピントが合っていると感じたので、カメラ・オブスクラを利用している?と思った)
レンブラントの「若きサスキアの肖像」も来てたけど、
これはそんなんでもないレンブラント。魔女的な笑いを浮かべる。


まあとにかくミーレフェルトとフェルメールのみでした。
でもこの2枚を見ることが出来たのは嬉しいので、行って良かった。
混んでましたね。近年になく。
もう少し空いているところで見られたらもう少し印象が良かったかも。


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