お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

それぞれにユニーク

2010-11-23 | about 英語の絵本

Ling and Ting: Not Exaxtly the Same!

小さい頃はいつも「ふたごだったらよかったのになぁ・・・」と憧れていました。長じては「ふたごのお母さんになりたいなぁ」と思っていました。で、ふと考えてみたら・・・このブログではまだ『ふたご』が主人公の絵本を取り上げたことがありません。そこで、今日はふたごが主人公の絵本をご紹介します。

最初の絵本は「2はふたご(Two is for Twins)」。
ウェンディ・ルウィンソン(Wendy Lewinson)のお話にヒロエ・ナカタ(Hiroe Nakata)が絵を描いています。ふたごって楽しいよ! いつでもすぐにボール遊びができるし、シーソーに乗る時だって困らない。重い犬を乗せたワゴンを引っ張る時も、2人だったら簡単!

これは、最近『ふたご』のお母さんになった友人のお薦め絵本。彼女は出産祝いにこの絵本をいただいて、すっかり「ハマって」しまい、以来、知りあったふたごのお母さんというお母さんにこの絵本をプレゼントしている、と話してくれました。どこが好き?と聞いたら「なにしろ絵が可愛いのよ!」と即答。それからちょっと考えて、「あのね、たいていの絵本って『ふたご』がどんなによく似ているかっていうお話なの。でも、当たり前だけど『ふたご』もまったく同じってわけじゃないのよ。この絵本はそれがよく描けているの」 特にトドラー(toddlar:2-3歳児)にお薦め。

さて次は、今日のイラストになっている絵本、グレース・リン(Grace Lin)作の「リンとティン:そっくり同じというわけじゃないの(Ling and Ting: Not Exactly the Same)」です。

リンとティンはふたごの女の子。だから、いつでも二人一緒です。髪を切ってもらうときも一緒。本を読むのも一緒。手品をするときも一緒。餃子を作るときも一緒(そう!餃子!ふたりは中国人の女の子なんです!)。二人はいつも一緒で、お互いにとてもよく似ています。でもね、だからって『そっくり同じ』っていうわけじゃないんですよ。

リンはおとなしいけれどティンは腕白。髪を切ってもらう間さえもじっとしていられないで、床屋さんを困らせます。でもねティンはお箸は得意。餃子も器用にお箸で食べられるます。リンはお箸が苦手で、いつも餃子はフォーク。だけど、そそっかしいのはティン。リンにお使いを頼まれても、ちょっと気が散ると、すぐに忘れてしまいます。・・・というわけで、この絵本も、とてもよく似た『ふたご』の女の子の、だけど、それぞれにユニークな性格や行動を描いています。

アマゾンの読者レビューをのぞいてみたら「『ふたご』もそれぞれ違うということが描かれていてよかった」という投稿があり、私の友人のコメントとぴったり同じ。なるほど身近に『ふたご』を見ている人の実感とは、そういうものなのだな、と改めて認識しました。

ところで、作者のグレース・リンはアメリカ生まれの中国人(Chinese American)です。グレースは幼い子のための絵本だけでなく、もっと大きな子のための物語も書いていますが、主人公はみんな彼女と同じ、そして「リンとティン」と同じ、中国系アメリカ人の子どもたちで、子どもの姿だけでなく、中国系アメリカ人の暮らしぶりもしっかりと描かれています。

そんなバイカルチャラルな絵本や物語について、彼女は「私自身が子どものころに読みたかった本、探しても(当時は)見つからなかった本を書いているの」とエッセイに書いています。 Don't Judge A Book By Its Character (even if it is Chinese)

グレースは、白人ばかりのコミュニティに暮らすたったひと組の中国人家族の一員として育ちました。両親、おじいさん、おばあさん、それから彼女を含めた3人姉妹に犬と猫という大家族の、中国系アメリカ人のバイカルチャラルな暮らしは、いまでも楽しい思い出で、創作の源泉。「でも・・・」とグレースは書いています。「子どもの頃はときどき自分のアイデンティティがわからなくなって苦労しました。」

というのは、どこを見ても金髪で青い目の友達ばかりという暮らしだったグレースは、家に帰って鏡の中に黒い髪で褐色の瞳をした自分自身を見るたびに、驚いたり、がっかりしたりしていたというのです。実在の友達ばかりではありません。テレビを見ても、本を読んでも、当時は、主人公はもとより、ほとんどの登場人物が白人ばかりだったからです。

「私はどこにいるの?」と夢中で探しまわりましたとグレースは書いています。本、テレビ、映画・・・でも、どこにも自分と同じ中国系アメリカ人はいなかった・・・のです。子どもの頃のその経験が創作のエネルギーになり、テーマを成し、キャラクターを生みだしました。

グレースの楽しい絵本には「みんなの飲茶(Dim Sum for Everyone)」というのもあります。中国料理はアメリカ人も大好き! とりわけ飲茶は子どもたちにも大人気!







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする