お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

毎日が絵本の暮らし

2010-11-16 | about 英語の絵本

Corgiville Fair

秋にはいろいろな形容詞が似会いますが、その一つが「芸術の」秋。今月は"アーティストが創った絵本”を紹介しています。今日はタ―シャ・テューダ―(Tasha Tudor)作「コ―ギビルの村祭り(Corgiville Fair)」です。

ニューハンプシャーの西、バーモントの東に、小さな村がありました。村の名前はコーギビル。村には教会や旅館や郵便局や雑貨屋さんがあります。ここに住んでいるのはコーギ(犬)、猫、ウサギなどの動物たちと、いたずらな妖精ボガート・・・こんな、おっとりした語り口の説明が、見開きページいっぱいに丹念に描かれた風景画に添えられて、物語は始まります。コーギビル"Corgivill"とは文字通り「コーギ(犬)の村」。

コーギ―ビルはまさに「古き良き時代の」という形容詞がぴったりの、アメリカの田舎の小さな村です。村の最大のイベントは年に一度の村祭。そしてお祭の一番の呼び物はといえば、ヤギのレースです。ヤギのレースに出場するコーギたちは何カ月も前から準備に余念がありません。

さて、いよいよお祭の当日。ハプニングで始まったヤギのレースの手に汗握る展開!さまざまに飾り付けた馬車のパレード、パイ喰い競争、七面鳥を標的にした射的ゲーム、おいしそうなものがずらっと並んだ屋台の数々。

あちこち回って歩いて遊び疲れたら、夕方には木陰でピクニックしながら、暗くなるのを待ちます。待っているのはお祭りのフィナーレ。そう、もちろん、花火!「コ―ギビルの村祭り」は、こうして愉しく始まり、のどかにゆったりと暮れていく村祭りの一日を丁寧に描いた絵本です。

タ―シャはその個性的なライフスタイルで、日本にもファンの多い画家で絵本作家です。タ―シャの絵は本の挿絵はもとより、カードや、ポスターや、カレンダーになってアメリカ中の、世界中のファンを楽しませてきました。タ―シャの絵は、彼女の毎日の暮らしそのもの。描かれた子どもたちや動物たちは、毎日の暮らしの中にいる家族同様のペットたち。タ―シャのファンが憧れるのは、タ―シャのイラストだけでなく、実は、こうしたイラストに描かれるタ―シャの暮らしそのものです。でも、仕事人としてのタ―シャは、科学者以上に鋭い目と厳しい姿勢を持ったアーティスト。タ―シャのエッセイを読んでいると、庭で見つけたネズミやカエルを冷凍しておいて絵のモデルに使った・・・などとサラッと書いてあって、驚かされます。

絵本に描かれた村、コーギ―ビルの住人たちも、もちろんタ―シャの家族である動物たちがモデル。コーギ―犬もヤギも猫もウサギもみんなタ―シャが飼って一緒に暮らしている動物たちです。とりわけコーギ―犬はタ―シャのお気に入り。「コーギ―ビルの村祭り」の絵本の中扉には、モデルになったタ―シャの7匹のコーギ―犬たちがずらっと勢ぞろいして描かれています。こんなに表情豊かにユニークなの?と思わず叫んでしまいそうなくらい、それぞれに個性的で、賢そうで、かわいい!まずは中扉から、じっくりとご覧ください。

一生を通して、誰にも、何にもとらわれずに、自分らしさと自分好みのライフスタイルを貫いたターシャ。そのライフスタイルは「輝きの季節:タ―シャ・テューダ―と子どもたちの一年(The Time to Keep)」の絵本によく描き出されています。子どもたちと一緒に四季の移り変わりを楽しむ、田舎での豊かな暮らし。とりわけ、皆のお誕生日に、ろうそくを立てたケーキを庭の小川に流してお祝いする・・・なんて、想像するだにすてきですが、これ、実際にタ―シャと子どもたちが毎年繰り返していたことなんですって!



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