お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

SF ジャイアンツ 優勝!勝利のもたらす経済効果は?

2010-11-03 | from Silicon Valley


サンフランシスコ・ジャイアンツがワールドシリーズに優勝し、全米チャンピオンになりました。全米チャンピオンですが、ワールドチャンピオンと呼びます。このあたり、実になんともアメリカらしい、でしょ?

シリーズ最終戦の昨夜は対戦相手のテキサス・レインジャーズのスタジアムでの試合でしたが、優勝が決まった瞬間にはサンフランシスコ中がどっと沸き立ち、興奮したファンがジャイアンツのホーム球場であるAT&Tパークに続々と押しかけ、球場周辺は夜の9時過ぎには押すな押すなの人の波で埋まり、まるで独立記念日の花火見物か、大みそかのカウントダウン。サンフランシスコ中の警官が繰りだして警備体制をしく騒ぎになりました。

最後のバッターを空振りで打ち取って、勝利を決めたのは"おさえ"のウィリアムズ。先発投手はリンスカムでした。個性的なキャラのウィリアムズは"あごひげ”自慢の人気投手で、今年のハロウィーンではダントツの一番人気。ハロウィーンを前に先週はパーティグッズやコスチュームショップには軒並み「"あごひげ”は売り切れです」の張り紙が出ていたほど。売り切れは、実はハロウィーンよりも前から球場に応援に行くファンの間で"あごひげ"がブームだったせいでもあります。一方のリンスカムは、やわらかいウェーブのかかった長髪の、野球選手というよりも、むしろピアニストとでもいう方が似合いそうな風情。性格ももの静かでウィリアムズとは好対照なユニークなキャラで、これまた人気は抜群。彼の背番号55番がついたユニホームも早々に売り切れでしたから、ベイエリアに限っては昨年のマイケル・ジャクソンを圧倒的にしのぐ人気で、経済効果もかなりのもの。

AT&Tパークは連日のように満員札止め。ふだんは考えられない『立ち見』券まで売りだしても、これも完売する勢いで、チケット代は尻上がりにウナギ登り。ワールドシリーズの初戦前に、グラウンド近くのシートに10万ドル近いプレミアがついて売られているというまことしやかな噂がありましたが、誰も否定できない雰囲気でした。

ダッグアウト・ショップにもファンが詰めかけ、レジスターはいつも長蛇の列。一試合勝つたびに新しいデザインのグッズが発売され、その都度ファンが並びましたから、売り上げもばかになりません。グッズの値段も、チケット同様、勝つたびに高くなり、話題をふりまきました。ついに優勝が決まった昨夜は、選手たちがワールドチャンピオンの公式デザインのTシャツや帽子やウィンドブレーカを着てシャンペンを掛け合ったり、インタビューに答えていたので、目ざといファンは次に買うべきグッズも既にテレビでしっかりチェックしたはず。一方、昨夜のTVニュースでは、地元の印刷工場が徹夜の突貫作業で優勝記念Tシャツをプリントしている様子が放映されていましたし、今朝の新聞には地元のスポーツ用品店が「本日午前7時開店!」という広告をうち、老舗デパートのメイシーズも負けじとスポーツブランドと組んだ同店限定の優勝記念グッズを売り出すとの全面広告を出していましたので、昨夜球場に詰めかけたファンは、今朝はスポーツ用品店やデパートにも駆けつけたはず。時ならぬ買い物客のラッシュです。

さて、ワールドチャンピオンの優勝パーティは明日の午前11時から始まります。選手たちは揃ってダウンタウンの目抜き通りをパレードし、市長からサンフランシスコ市の『鍵』を受け取る予定。ところがこの時、彼らが着てくるTシャツは、特にパレードのためだけの公式デザイン。もちろん優勝記念とは別のデザインで、既に今日から売り出されています。さぁ、そうなると、パレードを見に行くには必携?必着?というわけで、ファンの財布は当分開きっぱなしになりそうです。

お金を使っているのは球場に詰めかけるファンばかりではありません。サンフランシスコのダウンタウンを始め、周辺の街のスポーツバーも試合のたびに満員御礼! 住宅街の小さなショッピングセンターにある、普段は比較的静かなバーでも、試合のある日は駐車場に停めきれない車が周辺の路上にあふれるという社会現象を生みました。確かにスポーツ観戦は、いくらハイビジョンの大型スクリーンTVが自宅にあっても、ひとりで観ているだけでは盛り上がりません。「打った」と言っては隣の人とハイファイブで手をうちならし、「打たれた」と言っては皆で大声でブーイングを飛ばす、まさにその臨場感が楽しいもの。わぁーっと盛り上がったら、勢いで隣の子とキスできるかも?!の下心のある人もない人も、シングルたちはこぞってスポーツバーに出かけます。また、ちょうど夕食時にあたる週末の試合には、親子で出かけてゲームを見ながらハンバーガーやポテトにかぶりつくのも、球場に行くのとは別の手軽な楽しみ。・・・というわけで、ジャイアンツ優勝の余波は、周辺の街にも時ならぬ活況をもたらしています。

21世紀のマーケティングは、マス広告でモノを売るのではなく、魅力的なコンテンツ、語るに足るストーリー、そして興奮を分かち合える経験の共有が大事。それらのキラ―コンテンツのまわりに消費機会をちりばめろと言われていますが、確かに・・・スポーツは音楽や美術と並ぶ強烈なキラ―コンテンツだと、まさに実感です。

ここはもう是非とも勝者ジャイアンツにツキを呼び込んでもらい、ついでに優勝パレードで不景気風も吹き払ってもらいましょう。




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