お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

11月になると・・

2010-11-02 | about 英語の絵本

In November

11月最初の絵本は、タイトルもそのまま「11月には・・・"In November"」です。11月になると・・・木の葉が鮮やかに色づき、やがて舞い落ちて・・・その落ち葉の下では小さな動物たちがそれぞれの冬支度に忙しくなります。空気はだんだん冷たくなり、やがて本当に身震いするほど冷え込んで。寒くて暗い季節は、でも、家族や親せきが集まって、皆で一緒にご飯を食べたり贈り物を交わす、外の寒さとのコントラストで、そんなあったかさがいっそう嬉しい季節でもあります。

美しい絵本です。ジル・カストナー(Jill Kastner)のイラストは晩秋のようすを描いているのに実に色彩豊か。上品な色遣いで丹念に描かれたイラストを眺めるだけで、ページを繰るのが楽しい絵本です。また、シンシア・ライラント(Synthia Rylant)のテキストは、いつもながら素朴で且つ上品。短いけれどニュアンスに富んでいて、まるで全体が一篇の詩のよう。ジルとシンシアのコンビは絶妙で、丹念でカラフルなイラストは、でも、決して饒舌過ぎず、テキストを邪魔だてすることなく、逆に、短いテキストの表現が小さな子にも十分に伝わるように、テキストを引き立てています。寒さの描写を読んでもらいながら絵を眺めていると、本当にだんだん寒くなってきてぶるっと身震いが出そうなほど。まさに読み聞かせにぴったり!の絵本です。ですから、テキストも絵もじっくり味わえるよう、意識的にゆっくり丁寧に読んであげてください。

一年中が比較的穏やかな気候のベイエリアでも、11月になるとさすがに「ほんとうに秋になったなぁ・・・。もう、すぐ冬だなぁ・・・」と感じます。急に気温が下がった朝には、街路樹のカエデがたった一晩で驚くほど鮮やかに紅葉します。夏にはのんびり走り回っていたリスたちも、わき目ふらずせっせと食糧探し。あんな小さい体であんなに食べるのかと思うほどせっせと食べて冬に備えています。

まだ夏の気配が空気に色濃く漂うなかで学校が始まって「あ、もう秋!」と自覚させられる9月。それでもまだTシャツやショーツでいる日が多いのも9月です。そのうち学校の宿題が増えて、新学期と同時に始まるスポーツの試合も毎週末のスケジュールを埋めるようになって・・・それらを忙しくこなしているうちに、引きずっていた夏の気分の尻尾も消えてゆきます。
10月になると、どんどん日が短くなって、朝夕の気温がぐんぐん下がって・・・日差しからも空気からも夏の名残りが消えていきます。
そしてハロウィン。ここでサマータイムが終わり、本格的な冬支度を始める秋になります。北カリフォルニアでは冷たい雨が降りつづく季節のはじまりでもあります。でも冷たい雨の冬には、寒いからこその楽しみがあり、寒いからこそぬくもりが嬉しい。夜が暗くて長いから、暖炉のそばで絵本を読んでもらう時間が長くなって嬉しい・・・という子もいるでしょう。もっとも、最近の私たちの暮らしには、そんな季節の移り変わりをじっくり味わうゆとりがなくなってきているような気がしますね。ハイテクなライフスタイルは、暑さも寒さもしのぎやすくしてくれましたけれども、その分季節感も薄れているのでしょう。

「11月には・・In Novemmber」を書いたシンシアは、山の多い田舎で育った自身の子ども時代の体験を童話や絵本に文学作品として昇華させている作家です。気取りのない、実感あふれる、暖かな語り口の文章には、"古き良き時代のアメリカ”(Good Old America)の、貧しいけれども愛情にあふれ、助け合いと勤勉の精神に満ちた暮らしを彷彿とさせる力があります。シンシアは以前、このブログでも紹介した「親戚がやってきた!"The Relatives Came"」の作家でもあります。是非、合わせてお読み下さい。








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