お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

怖くないオバケ

2010-10-28 | about 英語の絵本


Lovable Ghosts

ハロウィンで一番簡単な扮装は? おそらく、シーツをかぶってオバケになること、です。超簡単!で、ちょっと見にはてるてる坊主みたいで可愛くもあるアメリカのオバケの出来上がり。オバケは、カボチャ、魔女、かかし、コウモリ等と並ぶハロウィーン定番のキャラクターです。コスチュームの準備がない飛び入りのゲストには、この手で急ごしらえの扮装を整えて「トリックorトリート」の仲間にして外に連れ出します。古い例になりますが、往年の大ヒット映画「E.T.」でも、ハロウィーンの夜にE.T.を表に連れ出す場面では、E.T.に頭からすっぽりシーツをかぶせていました。

そんなわけで、ハロウィンは誰でも楽しめるお祭りなのですが、一方で、悲劇の起りやすい夜でもあります。
1992年、「トリックorトリート」に出かけた日本人留学生が射殺された事件は、日米で大きな論争になりました。最近は聞かなくなりましたが、1990年代初めには、キャンディに劇薬を入れての無差別の毒殺事件が毎年のようにありました。以来、子どもたちは「もらってきたキャンディは、まずお父さん、お母さんによく見てもらってから食べましょう」と学校でもテレビやラジオなどのメディアからもかたく言い渡されています。だからハロウィンは、扮装だけでなく、お話だけでなく、実態もちょっと怖い、やや神経質になりながら楽しむ行事。子どもを連れ歩く大人たちは、皆リラックスしているように見えても、よく注意して子どもを見守っています。

さて、今日はオバケを主人公にした絵本をご紹介しましょう。いずれも小さな子にも"怖くない"お話で、とにかく"絵が素晴らしい"と評判の絵本です。

1冊目は日本人アーティスト(版画作家)の作品で、絵本は本書が処女作。版画家らしい輪郭のくっきりした絵に、黒とオレンジと白のハロウィンカラーだけをつかった上品できれいな絵本「わがやのおばけたち Ghosts in the House」です。  

町はずれの家に、少女が猫を連れて引っ越してきました。少女はその家がとても気に入りましたが、困ったことに……オバケ屋敷でした。初めてオバケに遭遇した少女は仰天。でも、大丈夫。心配いりません。少女はオバケの扱いを心得ていました。少女は次々にオバケを捕まえてはきれいに洗濯し、アイロンをかけて……それぞれに行くべき場所を見つけてあげます。そうして、猫も、少女も、オバケたちも、その家で、末永く幸せに暮らしましたとさ……(And they all lived happily ever after)というお話です。ですから、あどけない少女は、きっと魔女なのでしょう。そういえば、ちゃんと黒い猫も連れています。

この絵本は出版の年にニューヨーク・タイムズの書評で”sweet and beautiful” bookと絶賛され(2008年10月)、評者から「本書には『怯むな!意味のない恐怖にとらわれずに、淡々とやるべきことをやれ!』という隠れたメッセージがこめられている」と絶賛されましたが、アマゾンはじめ読者評は「ともかく絵が素晴らしい!」

2冊目はフランス生まれのイラストレータ、ジャック・デュケノイ(Jacques Duquennoy)作の「お化けの晩餐会(The Ghost Dinner)」です。オバケだけが登場する、まさにハロウィンにぴったりな絵本の一冊ながら、あまりに面白いので、ハロウィンだけではもったいない、一年中楽しめる絵本です。

お化けたちが集まってディナーを楽しみます。たくさんのご馳走が次々に出てくる豪華なフルコースのディナーです。ところが出てきたお料理を食べるたびに、お化けたちはお料理に影響されて色や形が変わってしまいます。グレープジュースを飲んだらぶどう色になり、トマトのスープを飲むとちょっと赤くなって……というふうに。そして最後にあるミルクを飲むと……? あぁ、結末も書きたいけれど……ここは読んでのお楽しみ!!!

ジャックは、この晩餐会のお話以外にも、可愛いお化けを主人公にした絵本をたくさん書いています。どれもハロウィンにはもちろん、一年中いつでも楽しめるお話です。合わせてお読みください。




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