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子ども2人不登校でした

回想その6 〜苦しいからもう少し生きてみよう〜

毎朝、目が覚めると憂鬱だった。

目なんて覚さなければいいのに

朝、目が覚めずにそのまま死ねたらいいのにと思っていた。


学校へ行けば話せる友達はいた。

スクールカーストでいう3軍のグループ。

しかし友達にも恥ずかしくて悩みは話せなかった。


テレビをつければアナウンサーが喋るのを見て、どうして緊張せずに上手に喋れるのだろうと不思議で仕方がなかった。

クラスじゅう見渡しても私のように人前で異常に緊張する生徒はいなかった。

自分は欠陥人間だと思った。

高校や大学へ行っても、社会に出ても、人前で発表することは避けられない。

こんなことではこの先、生きていけない。

もう死んだ方がいいと思った。



『命の電話』というものがあることを知った。

死ぬ前にかけてみようと思った。

家の電話からかけたら逆探知されて身元がバレるかも知れない、それに電話中に毒子が突然帰って来たら困ると思ったので、自転車で電話ボックスへ行った。

命の電話にかけると、すぐに人が出た。

すがるように電話したのに、私は途端に頭が真っ白になった。

なんと言えばいいのか。

『人前で緊張するから死にたいです』と言ったら、相手は何と答えるだろう。

言葉が何も出なかった。

電話の向こうでは「もしもし、もしもし」と、優しそうな声がする。

(何か言わないといけない)

そう思えば思うほど焦って、何も話せなかった。


そのまま何分くらい経っただろう。

電話の向こうで相手が何か話してくれるのをじっと待ってくれているのを感じた。

(きっと私の気持ちなんて分かってもらえない。電話なんかしたって無駄だ)

結局一言も声を発することなく、無言のまま電話を切った。

ますます自己嫌悪に陥った。

最悪だ。私は人に迷惑をかけるだけの人間だ。



しかし、そんなことがあった後も家に戻ると何事もなかったように平静を装った。



学校の図書館である本を見つけた。

『苦しいからもう少し生きてみよう』

中身を読むことはしなかった。

タイトルだけで充分だった。

自分と同じような想いをしながら生きている人がいる

そう思うだけで救われた。

死にたいと思うたびにその本のタイトルを思い出した。

『苦しいからもう少し生きてみよう』

心の中で呪文のように唱えた。




そうして私は生き延びた。












コメント一覧

uparin
レイさん
そう言っていただいて嬉しいです。自分の気持ちの捌け口として始めたブログが誰かの役に立っているなんて。
子どもが不登校になった人にしか分からない気持ちってありますよね。
私もブログで同じような境遇の方々とつながれて救われて来ました。自分だけじゃないと思うだけで心が楽になるものですね。

私もレイさんの息子君や娘ちゃんのこと親戚の子みたいに身近に感じています。
まだまだ大変ですが、お互い頑張りましょ〜!!これからもよろしくお願いします🤲
Lei
uparinさん、私もuparinさんに救われている1人です。
息子が不登校になり、本当に苦しくて辛い時に、初めて目にしたのがuparinさんのブログ(何回も言ってますね)。
本当に、救われたんです。
私だけじゃないんだって。
そして、信じていれば、変わっていく事も教えてくれました。
得た物が沢山です。
だから、uparinさんが辛い人生を生き抜いて、今、生きていてくれる事に、私も感謝しています。
だから、私も今、頑張れていますから。
ニイト君の事も、会ってないのに、とても愛おしく思います。
お互い、これからも、励まし合い、愚痴りながら、頑張りましょ❤️
uparin
@tochika さん
コメントありがとうございます。
当時は本の著者がアナウンサーの鈴木健二さんとは知りませんでした。この本のタイトルだけ覚えていて、ググってみたら著者が鈴木健二さんと今初めて知りました😅

私は高校時代の友達とは今も交流しています。高校の時は悩みは話せませんでしたが、年齢を重ねてから心の悩みを話せるようになりました。学生時代って深刻な話をするとなんだか場を白けさせてしまいそうだったし、相手も悩みを受け止めるにはまだ若過ぎて相談されても困るだろうなと思って、それより何より恥ずかしいという思いが強かったです。
ブログにはニイト君のことも含めて周りに言えないことばかり書いています。職場ではニイト君は浪人生という設定にしてありますし…😅
ここに書いた回想の内容も、友達にも夫にも今まで誰にも話したことがないことです。
私はブログに気持ちを吐き出すことで精神状態が保てています。また、他の方のブログでもっと大変な状況の方がたくさんいることも知ることができて、ブログには感謝です。

とちかさん、衝動的に地下鉄に飛び込まなくて本当によかったです。
私もとちかさんに救われているひとりですよ😊
tochika
uparinさん、おはようございます。
悩みを話せる友達って中高生の頃はいませんでしたね。学生時代になってやっとサークル仲間の何人かが一生の友となりましたが「悩み」となると、社会人に出て各地バラバラに就職し、10年以上経って社会にもまれて初めてお互いに悩み苦しみを話せるようになりました。

私が心療内科に罹り始めたの30代後半。弟が精神病でしたが、まさか自分が「うつ病」にかかるとは思ってもいませんでした。その当時は毎日通勤するたびに地下鉄に飛び込みたい衝動がありました。「終わりにしたい」「楽になりたい」「弟を病院から連れ出して一緒に富士の樹海に入りたい」と思っていました。

そんな時、ある学生時代の友人にメールで現状を伝えてみました。返信されたメールを読むとその友人はもっと苦しい状況にあることを知り、自分だけではないのだと気づかされました。

自分の事ばかり書いてしまいました。

uparinさんは1冊の本で救われたのですね。
NHKの名アナウンサー鈴木健二さんの本、内容ではなくタイトルが心を打ったのですね。

本は人生に影響を及ぼすとも聞きます。あまり本を読まない暮らしをしていた私からすると、本好きな人に憧れます。
知り合いの一人は、高校生の頃に読んだ本が人生のバイブルになったと言っていたことを思い出します。
うつ病になってからやっと、少しずつ小説やエッセイなどを読む自分になりました。

私は、uparinさんが生き抜いてくれて感謝しています。そして助かっている一人です(#^.^#)
uparin
@camper さん
コメントありがとうございます。
私も中学時代にどくとるマンボウにはハマりましたよ!「30代になるまで…」というフレーズは読んだ記憶がありませんが。私も読んでいたら鵜呑みにしたと思います。
自分の経験から、思春期の自殺願望は一過性のものでその時期さえ過ぎてしまえば大丈夫だと思っています。だから中学生の自殺のニュースを聞くと本当に無念です。
わたしは鈴木健二さんに感謝しないといけません。本ってタイトルだけで人を救うことがあるんですね〜📖

生き続ける意味、歳を重ねるにつれ考えなくなりました。寿命がある限りは生きる。寿命が来たら終わり。それだけですね。
camper先生は充分に充実した日々を生きておられると思います。私も見習いたいです😆
camper
苦しいからもう少し生きてみよう:鈴木健二 って、全く知らないです。でも、良い題ですね。内容がサミングアップされているのでしょうね。
私は、「船乗りクプクプの冒険」や、「どくとるマンボウ航海記」などで中高校時代に熱烈なファンになった北杜夫さんが、30代になるまでは死なないで生きてほしい 生き死にを考えるのはそれからにしてほしいというようなことを書かれていたので、それをそのままうのみにして、30超えてから考えようと思って自殺願望を棚上げにした覚えがあります。
思春期と自殺願望は近しい存在ですよね。殆どの人が・・・危なっかしいけれども何とか塀の上を落ちずに渡るのですけれどねぇ・・・・
私は落っこちなくて良かったと思っているのですが・・・生きる事の意味、生き続ける事の意味、未だに見いだせてはいません。死にたくは無いから生き続けているだけの様に思います。
どうせ、いつか、必ず死ぬのにねぇ!!
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