苦楽の彼岸 山あるき 森あるき

こんにちは!umebocです。
主に近畿の山々をうめ子と2人で歩いています。

【14】プリズンホテル〈2〉秋 (集英社文庫)

2008-11-05 | 
血湧き肉踊る超絶バイオレンス極道小説・・・の作家が主人公。
語り部は主人公であったり、他の登場人物であったり。
舞台は主人公木戸こうのすけの叔父の経営するホテル。
そこは任侠団体専用のホテルだった。

今回、季節は秋。
・・・文句なく面白い。
男心をくすぐる?いやumeboc心としておこう。
なぜ、浅田次郎はこういう表現ができるのか?
不思議でたまらない。小説家は偉大だ。
わざとらしく物語の中(とくに主人公)の口を借りているとしても、
「やがてぼくの醜い体、汚れた肌は湯の中にとけだし、ぼくが一粒の真珠になる」
「風にたゆとうくちなしの花のように淋しげに笑った」
とりあえず、このような文がポンポンと出てくる。
それは主人公のてんでバラバラな言動、行動を反映し、滑稽にするための技でもあるのだろうけれど、
例えば、
「…~物語はあたかも即グソのごとく溢れ出る」
「…~物語は寝起きの即グソのように溢れ出る」
なんてことが書かれて、極端に流麗な世界と下品な世界とを行き来し、面白い。

今回はとくに、警察の御一行、大曽根一家のかち合わせ。さあいち大事。
そこで繰り広げられる笑い、ケンカ、男のテーゼ。せつなさも有り。
ほんとうに面白い。このドタバタ劇は読めば読むほど面白い。

プリズンホテル〈2〉秋 (集英社文庫) /浅田次郎 umeboc好み度 ★★★★☆


これは、ほんとうに面白い。まだ「冬」と「春」がある。楽しみ。