コートでは、第3試合の横浜学芸大学(2部)×白金学院大学(1部)の試合が、今まさに行われようとしていた。
「お楽しみ中のところ悪いが、俺もいることを忘れるなよ。牧。」
「ふっ。三井か。」
「鼻で笑うな!部の違うお前とこんなに早く対戦できるとは思ってもいなかったぜ。
IHの借りはここできっちりと返させてもらう!」
「昔の話を持ち出すとは、根に持つタイプのようだな。」にこ。
「うるせー!!」
「随分とデカく出たとのは、そいつのおかげか。」
「あぁ、最高のパートナーを得たんでな。」にや。
「ふっ。それは、うちも同じだ。」にこ。
『ペコ。』
といって、仙道は頭を下げた。
同じく。
「どーも。」
微笑みながら、頭を下げたのは神であった。
言わずと知れた、海南大附属出身の名シューターである。
「神。お前にも負ける気はねぇからな。」
「楽しみにしてますよ。」
-----------------------------------------------------------------------
<<回想>>
2年前の冬。
白金学院大学のバスケットボール部部室。
「西野さん。長い時間猶予をいただきありがとうございました。
俺は白金に進学することを決めました。
これから、ご指導のほどよろしくお願いいたします。」
深々と頭を下げる牧。
「礼をいうのはこっちだ。ありがとうな。これで俺の夢も現実となる。
高頭監督にもお礼を申し上げねばなるまいな。」
細く微笑むのは、白金学院大学の監督の西野新太郎。
17年前、海南の神奈川初制覇時のキャプテン・スタメンPGであり、
打倒深体大にむけ、新しいチーム作りを掲げている若き指導者である。
傍らでは、土屋も嬉しそうに微笑んでいる。
『ガシ。』
『ガシ。』
3人は、固い握手をした。
「西野さん。いや、監督。」
「んっ、なんだ?」
「俺の目指すところは学生チャンピオンのみ。中途半端はいりません。」
「あぁ。もちろんだ。」
「はっきりいいます。打倒深体大のため、チーム作りにご協力していただけませんか?
3年後、いや2年後に、頂点に立つべくベストなチームを作りたいと思っています。」
「ふっ。貪欲に先を見据えているお前のことだ、そういうと思った。
これからは、お前を中心としたチームを作るつもりだ。」
「助かります。でも、俺の考えも考慮していただきたいと・・・。」
「牧・・・。」
(ほんまにいいよったで。)
西野に神獲得を直談判すると聞いていた土屋であったが、
物怖じせず堂々と発言する牧の言葉に、やはり多少の驚きはあった。
『ガサッ。』
「えーと。どこいったっけ・・・。」
机のファイルをあさる西野。
「おっ。これだ。」
緑色のファイルを見つけた西野は、牧に渡した。
「再来年、大学に進級するであろう選手たちのリストだ。俺が全国を飛び回り、眼を付けた選手たちだ。
悪いがお前たちの試合も見せてもらっていたんだぞ。
特に、神奈川は予選のときから見ていた。高頭監督からいい選手が大勢いると聞いてな。」
「そうやったのか。」
「ということは・・・。」
『バッ。』
ファイルをめくった。
「やはり・・・。」にこ。
「牧!こいつは。」
土屋が驚いた表情で牧に声をかけた。
そして、西野も口を開く。
「そいつは、絶対に獲得するつもりだ。例え、今年全国に出場できなくてもだ!
俺の全てをかけて獲得する。お前も納得の選手だろ!?」
「監督・・・。こいつは・・・。こいつは、今年も全国にいきますよ。
なんといっても、俺が常勝海南を託した男なんですから。西野監督が後輩たちに託してきたように。」
「あぁ。俺もそう思うぞ。」
牧の西野の構想は一致していた。
そこには。
神宗一郎の名前があった。
「神の推薦の件、是非ともお願いいたします。」
そして、おもむろに、牧は次のページをめくった。
「!!!」
驚く牧。
「誰やこいつ。」
「そいつは、全国出場こそないが、俺は世代トップレベルの逸材と見ている。
どうだ、牧、お前もそう思うだろ?」
「はい。こいつは、いずれ日本中が驚愕する選手となるでしょう。
できれば、今年も大人しく県予選で敗れて、うちがひっそりと獲得したいところですが、
そうもいかないでしょうね。」にこ。
「牧、誰や。」
「沢北栄治と並ぶ実力を持ち合わせている神奈川が誇るスーパープレーヤーだ。」
「そっそんなやつが、神奈川におるんか?」
「あぁ。沢北が日本にいない現時点では、日本の高校生でNo.1プレーヤーかもしれない。」
「ほんまか・・・。この男が・・・。湘北の流川よりもか?」
「あぁ。総合的には、流川よりも数段上だ。」
土屋が覗き込むそのファイルには・・・。
仙道彰のプロフィールが書かれていた。
「牧、次のページのそいつはどうだ?」
『パサ。』
「ふっ。監督もさすがですね。隅々までチェックしている。
ボール際の粘り、ボールへの執着心は凄まじく、オフェンス能力は高い。
ですけど、ディフェンスに問題がある選手ですよ。」
「ブサイクなやっちゃな。」
「どうだ、使えるか?」
「ええ。監督の指導によりますが。」にこ。
「俺次第か。生意気な。」にこ。
(牧も神奈川の選手のほうがやりやすいだろう。
神、そして仙道と福田、3人とも話を通してみるか。)
-----------------------------------------------------------------------
「仙道。うちを断って横学大にいくとはな。」
と牧。
「!!!」
「!!!」
「そうなのか!?仙道!!」
何も知らない三井が驚いた表情を見せる。
「牧さん、いったでしょ。打倒牧さんは、神奈川県出身者の合言葉だって。」にこり。
「ふっ。そのおかげでこうしてまた対戦できるんだけどな。」
「お手柔らかに。」
海南コンビ撃破に、名乗りをあげた三井・仙道の神奈川異色コンビ。
果たして、湘北の天才と陵南の天才は、海南コンビを倒すことができるのか。
続く。
「お楽しみ中のところ悪いが、俺もいることを忘れるなよ。牧。」
「ふっ。三井か。」
「鼻で笑うな!部の違うお前とこんなに早く対戦できるとは思ってもいなかったぜ。
IHの借りはここできっちりと返させてもらう!」
「昔の話を持ち出すとは、根に持つタイプのようだな。」にこ。
「うるせー!!」
「随分とデカく出たとのは、そいつのおかげか。」
「あぁ、最高のパートナーを得たんでな。」にや。
「ふっ。それは、うちも同じだ。」にこ。
『ペコ。』
といって、仙道は頭を下げた。
同じく。
「どーも。」
微笑みながら、頭を下げたのは神であった。
言わずと知れた、海南大附属出身の名シューターである。
「神。お前にも負ける気はねぇからな。」
「楽しみにしてますよ。」
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<<回想>>
2年前の冬。
白金学院大学のバスケットボール部部室。
「西野さん。長い時間猶予をいただきありがとうございました。
俺は白金に進学することを決めました。
これから、ご指導のほどよろしくお願いいたします。」
深々と頭を下げる牧。
「礼をいうのはこっちだ。ありがとうな。これで俺の夢も現実となる。
高頭監督にもお礼を申し上げねばなるまいな。」
細く微笑むのは、白金学院大学の監督の西野新太郎。
17年前、海南の神奈川初制覇時のキャプテン・スタメンPGであり、
打倒深体大にむけ、新しいチーム作りを掲げている若き指導者である。
傍らでは、土屋も嬉しそうに微笑んでいる。
『ガシ。』
『ガシ。』
3人は、固い握手をした。
「西野さん。いや、監督。」
「んっ、なんだ?」
「俺の目指すところは学生チャンピオンのみ。中途半端はいりません。」
「あぁ。もちろんだ。」
「はっきりいいます。打倒深体大のため、チーム作りにご協力していただけませんか?
3年後、いや2年後に、頂点に立つべくベストなチームを作りたいと思っています。」
「ふっ。貪欲に先を見据えているお前のことだ、そういうと思った。
これからは、お前を中心としたチームを作るつもりだ。」
「助かります。でも、俺の考えも考慮していただきたいと・・・。」
「牧・・・。」
(ほんまにいいよったで。)
西野に神獲得を直談判すると聞いていた土屋であったが、
物怖じせず堂々と発言する牧の言葉に、やはり多少の驚きはあった。
『ガサッ。』
「えーと。どこいったっけ・・・。」
机のファイルをあさる西野。
「おっ。これだ。」
緑色のファイルを見つけた西野は、牧に渡した。
「再来年、大学に進級するであろう選手たちのリストだ。俺が全国を飛び回り、眼を付けた選手たちだ。
悪いがお前たちの試合も見せてもらっていたんだぞ。
特に、神奈川は予選のときから見ていた。高頭監督からいい選手が大勢いると聞いてな。」
「そうやったのか。」
「ということは・・・。」
『バッ。』
ファイルをめくった。
「やはり・・・。」にこ。
「牧!こいつは。」
土屋が驚いた表情で牧に声をかけた。
そして、西野も口を開く。
「そいつは、絶対に獲得するつもりだ。例え、今年全国に出場できなくてもだ!
俺の全てをかけて獲得する。お前も納得の選手だろ!?」
「監督・・・。こいつは・・・。こいつは、今年も全国にいきますよ。
なんといっても、俺が常勝海南を託した男なんですから。西野監督が後輩たちに託してきたように。」
「あぁ。俺もそう思うぞ。」
牧の西野の構想は一致していた。
そこには。
神宗一郎の名前があった。
「神の推薦の件、是非ともお願いいたします。」
そして、おもむろに、牧は次のページをめくった。
「!!!」
驚く牧。
「誰やこいつ。」
「そいつは、全国出場こそないが、俺は世代トップレベルの逸材と見ている。
どうだ、牧、お前もそう思うだろ?」
「はい。こいつは、いずれ日本中が驚愕する選手となるでしょう。
できれば、今年も大人しく県予選で敗れて、うちがひっそりと獲得したいところですが、
そうもいかないでしょうね。」にこ。
「牧、誰や。」
「沢北栄治と並ぶ実力を持ち合わせている神奈川が誇るスーパープレーヤーだ。」
「そっそんなやつが、神奈川におるんか?」
「あぁ。沢北が日本にいない現時点では、日本の高校生でNo.1プレーヤーかもしれない。」
「ほんまか・・・。この男が・・・。湘北の流川よりもか?」
「あぁ。総合的には、流川よりも数段上だ。」
土屋が覗き込むそのファイルには・・・。
仙道彰のプロフィールが書かれていた。
「牧、次のページのそいつはどうだ?」
『パサ。』
「ふっ。監督もさすがですね。隅々までチェックしている。
ボール際の粘り、ボールへの執着心は凄まじく、オフェンス能力は高い。
ですけど、ディフェンスに問題がある選手ですよ。」
「ブサイクなやっちゃな。」
「どうだ、使えるか?」
「ええ。監督の指導によりますが。」にこ。
「俺次第か。生意気な。」にこ。
(牧も神奈川の選手のほうがやりやすいだろう。
神、そして仙道と福田、3人とも話を通してみるか。)
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「仙道。うちを断って横学大にいくとはな。」
と牧。
「!!!」
「!!!」
「そうなのか!?仙道!!」
何も知らない三井が驚いた表情を見せる。
「牧さん、いったでしょ。打倒牧さんは、神奈川県出身者の合言葉だって。」にこり。
「ふっ。そのおかげでこうしてまた対戦できるんだけどな。」
「お手柔らかに。」
海南コンビ撃破に、名乗りをあげた三井・仙道の神奈川異色コンビ。
果たして、湘北の天才と陵南の天才は、海南コンビを倒すことができるのか。
続く。