うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#357 【牧×仙道】

2010-09-09 | #12 大学 新人戦編
コートでは、第3試合の横浜学芸大学(2部)×白金学院大学(1部)の試合が、今まさに行われようとしていた。



「お楽しみ中のところ悪いが、俺もいることを忘れるなよ。牧。」

「ふっ。三井か。」

「鼻で笑うな!部の違うお前とこんなに早く対戦できるとは思ってもいなかったぜ。
IHの借りはここできっちりと返させてもらう!」

「昔の話を持ち出すとは、根に持つタイプのようだな。」にこ。

「うるせー!!」


「随分とデカく出たとのは、そいつのおかげか。」

「あぁ、最高のパートナーを得たんでな。」にや。

「ふっ。それは、うちも同じだ。」にこ。



『ペコ。』

といって、仙道は頭を下げた。



同じく。



「どーも。」

微笑みながら、頭を下げたのは神であった。

言わずと知れた、海南大附属出身の名シューターである。



「神。お前にも負ける気はねぇからな。」

「楽しみにしてますよ。」



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<<回想>>

2年前の冬。

白金学院大学のバスケットボール部部室。



「西野さん。長い時間猶予をいただきありがとうございました。
俺は白金に進学することを決めました。
これから、ご指導のほどよろしくお願いいたします。」

深々と頭を下げる牧。


「礼をいうのはこっちだ。ありがとうな。これで俺の夢も現実となる。
高頭監督にもお礼を申し上げねばなるまいな。」

細く微笑むのは、白金学院大学の監督の西野新太郎。


17年前、海南の神奈川初制覇時のキャプテン・スタメンPGであり、
打倒深体大にむけ、新しいチーム作りを掲げている若き指導者である。


傍らでは、土屋も嬉しそうに微笑んでいる。



『ガシ。』


『ガシ。』


3人は、固い握手をした。



「西野さん。いや、監督。」

「んっ、なんだ?」

「俺の目指すところは学生チャンピオンのみ。中途半端はいりません。」


「あぁ。もちろんだ。」

「はっきりいいます。打倒深体大のため、チーム作りにご協力していただけませんか?
3年後、いや2年後に、頂点に立つべくベストなチームを作りたいと思っています。」

「ふっ。貪欲に先を見据えているお前のことだ、そういうと思った。
これからは、お前を中心としたチームを作るつもりだ。」

「助かります。でも、俺の考えも考慮していただきたいと・・・。」


「牧・・・。」

(ほんまにいいよったで。)


西野に神獲得を直談判すると聞いていた土屋であったが、
物怖じせず堂々と発言する牧の言葉に、やはり多少の驚きはあった。



『ガサッ。』


「えーと。どこいったっけ・・・。」

机のファイルをあさる西野。


「おっ。これだ。」

緑色のファイルを見つけた西野は、牧に渡した。


「再来年、大学に進級するであろう選手たちのリストだ。俺が全国を飛び回り、眼を付けた選手たちだ。
悪いがお前たちの試合も見せてもらっていたんだぞ。
特に、神奈川は予選のときから見ていた。高頭監督からいい選手が大勢いると聞いてな。」

「そうやったのか。」

「ということは・・・。」



『バッ。』


ファイルをめくった。



「やはり・・・。」にこ。


「牧!こいつは。」


土屋が驚いた表情で牧に声をかけた。



そして、西野も口を開く。


「そいつは、絶対に獲得するつもりだ。例え、今年全国に出場できなくてもだ!
俺の全てをかけて獲得する。お前も納得の選手だろ!?」

「監督・・・。こいつは・・・。こいつは、今年も全国にいきますよ。
なんといっても、俺が常勝海南を託した男なんですから。西野監督が後輩たちに託してきたように。」


「あぁ。俺もそう思うぞ。」

牧の西野の構想は一致していた。



そこには。



神宗一郎の名前があった。



「神の推薦の件、是非ともお願いいたします。」



そして、おもむろに、牧は次のページをめくった。



「!!!」

驚く牧。



「誰やこいつ。」


「そいつは、全国出場こそないが、俺は世代トップレベルの逸材と見ている。
どうだ、牧、お前もそう思うだろ?」


「はい。こいつは、いずれ日本中が驚愕する選手となるでしょう。
できれば、今年も大人しく県予選で敗れて、うちがひっそりと獲得したいところですが、
そうもいかないでしょうね。」にこ。

「牧、誰や。」



「沢北栄治と並ぶ実力を持ち合わせている神奈川が誇るスーパープレーヤーだ。」



「そっそんなやつが、神奈川におるんか?」

「あぁ。沢北が日本にいない現時点では、日本の高校生でNo.1プレーヤーかもしれない。」

「ほんまか・・・。この男が・・・。湘北の流川よりもか?」

「あぁ。総合的には、流川よりも数段上だ。」



土屋が覗き込むそのファイルには・・・。



仙道彰のプロフィールが書かれていた。



「牧、次のページのそいつはどうだ?」



『パサ。』


「ふっ。監督もさすがですね。隅々までチェックしている。
ボール際の粘り、ボールへの執着心は凄まじく、オフェンス能力は高い。
ですけど、ディフェンスに問題がある選手ですよ。」

「ブサイクなやっちゃな。」


「どうだ、使えるか?」

「ええ。監督の指導によりますが。」にこ。

「俺次第か。生意気な。」にこ。


(牧も神奈川の選手のほうがやりやすいだろう。
神、そして仙道と福田、3人とも話を通してみるか。)



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「仙道。うちを断って横学大にいくとはな。」

と牧。


「!!!」


「!!!」


「そうなのか!?仙道!!」


何も知らない三井が驚いた表情を見せる。


「牧さん、いったでしょ。打倒牧さんは、神奈川県出身者の合言葉だって。」にこり。

「ふっ。そのおかげでこうしてまた対戦できるんだけどな。」


「お手柔らかに。」



海南コンビ撃破に、名乗りをあげた三井・仙道の神奈川異色コンビ。


果たして、湘北の天才と陵南の天才は、海南コンビを倒すことができるのか。








続く。

#356 【白金×陵南】

2010-09-06 | #12 大学 新人戦編
コートでは、第3試合の横浜学芸大学(2部)×白金学院大学(1部)の試合が、今まさに行われようとしていた。


センターラインを境に並ぶ10名の選手。

選手同士、見慣れた顔が多い。


最初に口を開いたのは、白金学院のPG、帝王こと牧紳一(2年)

「仙道、まさか再戦がこんなに早くなるとはな。」

と笑う。


『ペコリ。』

「その節は、どーも。」

軽く頭を下げる仙道。



牧は、1年次より、白金学院のスタメンPGとして、リーグ戦や各大会に出場。

チーム成績や貢献度により、リーグ戦の新人賞こそ深体大の河田に譲ったが、
その評価はほとんど変わらないものであった。


そして、今年初め。


牧と仙道は、天皇杯という大きな舞台で顔を会わせていた。



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<<回想>>

東京体育館。

天皇杯 第1回戦 試合会場。



コート上でアップを続ける神奈川県私立陵南高校。

IH優勝枠として、天皇杯に出場していた。


ベンチでは、腕を組む田岡が、苦渋の表情を浮かべている。


(1回戦から白金学院とは、この田岡茂一。己のくじ運のなさを恨むぞ。)




シュート練習をしている仙道。

視線を感じて、振り向くと牧と眼があった。


(お手柔らかに。)

と合図を送る仙道。


(どこまで成長したか。見させてもらうぞ。)

という表情を浮かべる牧。



「山岡さん。あれが、牧さんですよね。」

「うん。そうだよ。」

「大学1年生とは思えない貫禄ですね。帝王と呼ばれているのがわかる気がします。」

「まぁね。」

上杉の問いに苦笑して答える山岡。




かたや。

「牧、あいつが仙道ちゅうやつか。」

「あぁ。俺が知っている仙道よりもかなり成長していると思うがな。」

「早く手合わせしたいもんやな。」

「仙道の相手は俺がする。土屋は、あいつを任せる。」

「ぬっ。ホンマブサイクなやっちゃな。」

「福田吉兆。オフェンスだけなら、高校でもトップレベルの男だ。」

と微笑む牧。


「そうやったな。監督も評価しているようやったし、いっちょ試させてもらうで。」

「総合的に見れば、お前との差は歴然だが、あなどるなよ。」

「もちろんや。」




白金学院大学と陵南高校で行われた天皇杯第1回戦 第3試合。


第2Q終盤、20点の大差をつけて、白金学院大学がリードしていた。



(つっ強い。)

(これが、大学1部の実力。)

陵南選手からは諦めの表情が見られる。



(ふーー。思ったよりも離されたな。)

仙道にも同様の表情が見られたが。


(まだ負けたわけじゃない。)


試合を捨ててはいない。



「確実に1本ずつ取り返していこう。」

選手らに声をかけた。


『コク。』

「はい。」


その一言が、選手たちに力を与える。



仙道には、牧がマークしていた。

ここまで、互いに素晴らしいディフェンスを見せ、オフェンス力を封じあっていた。



仙道を欠いた陵南、牧を欠いた白金学院。

その結果が、今の得点差になっていた。



(このままじゃ。)


「植草。頼む。」


仙道は、植草にボールを預けた。



(来るか。)

牧が微笑む。



(このまま終わらせるわけにはいかない。)


仙道のオフェンスのギアがチェンジした。



『キュ!』


『バッ!!』


「!!!」


「!!!!」


『ザッシュ!!』



牧にマークされながらも、強引にシュートを沈めた仙道。



(さすが。やるな。)


(これからですよ。)



両者の眼が言葉を投げつける。



「牧!気をつけろ。」

「はい!!仙道は、俺が責任を持って止めます!!」

「任せたぞ!!!」

先輩からの檄が飛ぶ。




『ザシュ!!』



『シュパ!』 



PG牧を欠いても点が入る白金のオフェンス力。


打倒深体大を胸に虎視眈々と狙う強豪大学に穴はない。



かたや。


牧の渾身のディフェンスにより、ポイントゲッター仙道を欠いた陵南は、攻め倦んだ。

かろうじて、福田から得点を奪うことができたが、それは単発に終わった。



第4Qからは、牧以外の主力選手をベンチに下げた白金。

余裕をうかがわせる。

2、3番手の選手たちが、コートに足を踏み入れた。


その中に、土屋の姿もあった。



(いくで。)


仙道によって、オフェンスへの参加が限られていた牧だったが、土屋の出場により、大きく変わった。


土屋は、積極的に仙道へスクリーンをかけ、牧のフリーを演出する。


息の合ったコンビプレー。


時には果敢にリングを攻め、時には絶妙なパスを出す。



(巧いな。この人。)


それは、仙道をも納得させるバスケを知り尽くしていた、まさしくチームの潤滑油のような動きであった。


当然、福田がその土屋をとめることはできず、点差は開くばかり。


試合終了のブザーがなったときには、実に37点の大差がついていた。



(福田吉兆か・・・。磨けばもっと光りそうだが、まだ先やな。)



土屋は、福田の可能性を感じていた。




陵南 68
白金 105




仙道 彰  23P 5A 6R

牧 紳一  15P 8A 4R



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「あのときは惨敗でしたが、今日はそうはいきませんよ。」

「フン。惨敗か。スタッツはお前のほうが上だったが。」

「そうでしたっけ?」

微笑む両者。


「今日は最初から行かせてもらいますよ。
三井さんのおかげで、本気で牧さんを超えてみたいと思っていますから。」

「望むところだ。全力で来い!仙道!」

「ええ。」

仙道は力強く答えたのであった。








続く。

#355 【神体×名稜】

2010-09-03 | #12 大学 新人戦編
白金、横学大の選手たちが、アップをしているコートサイドでは、
先程試合を終えたばかりの神奈川体育大学の選手がいた。


誰よりもコートを睨みつけるのは、湘北出身の宮城リョータ。

神体大1年生である。



「牧・・・。」

やはり、注目しているのは、帝王・牧紳一。

(ゆっくり観察させてもらうとするぜ。)


「いくぞ!宮城!観戦はミーティングのあとだ。」

「ちっ。了解っす。ダンナ。」


宮城がダンナと呼ぶ男は、博多商大附属出身、徳永、牧瀬とともに、選抜準優勝に輝いた新庄雄銀。

深津世代のジュニア選抜のスタメンPFでもあった。




反対のコートサイドには、名稜大学の選手もいる。


「面白い試合になりそうだ。」

コートに向かってつぶやいたのは、名朋工業出身、IH制覇メンバーの里中悠介だった。



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<<回想>>

準々決勝 第2試合 

神奈川体育大学 × 名稜大学



1部リーグでは、名稜大が2位、神体大が3位と凌ぎを削っている、
いわば打倒深体大に燃えるライバル的な両大学。

5月に行われた関東大学バスケットボールトーナメントにおいても、準決勝で顔を合わせたカードであった。



名稜大学は、アーリーオフェンスを得意とするチーム。

そのため、ラン&ガンを得意とする京都洛安からPG小関一志、C瀧川譲次を獲得し、
名稜スタイルをより強固なものにし、上級生のバックアップを強化した。


これだけではない。


千葉県からは千葉の朝日こと、世代を代表するSG市原朝日が推薦で入学する。

さらには、名朋工業からIH制覇メンバーのPF里中悠介を、
福島県の白松高校からエースプレーヤー鴨川をも獲得し、補強は大成功といえた。


そのため、今大会における深体大の対抗評価は、ゆるぎないものであり、
全員2年生で出場する名稜大の新人戦への意気込みは、他大学と比較できないほど、大きいものであった。




【名稜大学】 関東2位

PG…#16 小関 一志 179cm/2年/洛安
SG…#17 市原 朝日 185cm/2年/浦安工業
SF…#18 鴨川 太一 187cm/2年/白松
PF…#19 里中 悠介 194cm/2年/名朋工業
 C…#20 瀧川 譲次 198cm/2年/洛安




「ぜってー勝って、諸星を倒すぞ!!」

と市原。

「おいおい。慶徳との試合は神体大に勝ってからだ。
しかも、慶徳が勝ち上がってくるとは限らんぞ。」

たしなめるのは、瀧川。

「間違いない。諸星は勝ち上がってくる。この俺と対戦したいがためにな。はっはっは。」

「相変わらずだな。こいつ。」

呆れるのは小関。


「神体大の要注意人物は、なんといっても新庄。そして、SGの松本だ。
イン、アウトの要の選手だ。」

冷静に話をするのは、PF里中。

名朋時代、ジャンプシュートを得意とする選手であり、内外問わず点の獲れる頼れる選手であった。


「新庄は里中に任せるぞ。」

「あぁ。」


「鴨川は、松本を抑えてくれ。」


白松出身の鴨川は、手足の長さを利用し、ディフェンス能力は名稜大の中でもトップレベルにあった。


「さぁ、いくぜ。俺たちのラン&ガンで、神体大の、深体大の度肝を抜いてやろうぜ!!」

「おう!!」

「俺たちが、この大会を制するんだ!!!」

「おう!!」




一方、反対のコート。

神体大の選手たちがミーティングをしている。


「名稜は、得意のアーリーオフェンスで仕掛けてくるだろう。
しかも、全員2年チームとチームワークもいいはずだ。」

「真っ向勝負といきますか!スピードなら、負けやしませんぜ。」

「いや、うちはハーフで手堅く確実に攻める。」

「あぁ、俺も同意見だ。」

新庄と松本の作戦は一致している。


「ミスを減らし、確実にゴールを奪う。相手にペースを握らせない。それが、神体大のバスケだ。」

「あぁ。」

「はい。」


「松本、負担は大きいと思うが、バックコートは任せたぞ。」

「あぁ、それは新庄も同じだろ。」

「ふっ、確かにな。だが、こんなところでつまずくわけにはいかない。」

「もちろんだ。」


「宮城は、いつでもいける準備をしとけ。流れが変わったとき、一気に叩きかける。
そのとき、お前のスピードが武器になるはずだ。」

「OKっす!早い出番になることを祈ってますぜ。新庄のダンナ。」




【神奈川体育大学】 関東3位

PG…#34 源 正美 173cm/2年/常誠
SG…#11 松本 稔 184cm/2年/山王工業
SF…#45 大石 克巳 185cm/1年/名朋工業
PF…#7 新庄 雄銀 198cm/2年/博多商大附属
 C…#26 杉本 学 196cm/2年/愛和学院




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アップ中の牧を睨みつける宮城。


(牧。勝負はお預けだ。俺が倒すまで、ぜってー負けるんじゃねぇぞ。)


宮城は、言葉を飲み込み、ロッカールームへと歩いていった。

手には、アップで使う神体大のボールを持っている。



宮城の準々決勝 出場時間。


わずか、3分。


0P 1A


これが、宮城にとって、ほろ苦い大学公式戦デビュー戦であった。



と同時に、神体大の新人戦は終了した。



神体 79
名稜 85







続く。

#354 【深体×拓緑】

2010-09-01 | #12 大学 新人戦編
コートで、第3試合の横浜学芸大学(2部)×白金学院大学(1部)の試合が行われようとしているころ、
観客席では、数時間前対戦していた深体大と拓緑大の選手らが話をしていた。



「お前らも、観戦か?」

と振り向きざまに河田が尋ねた。


「彼らは、俺の友人でもあるからな。」

爽やかに答えたのは、翔陽出身の花形透(2年)であった。

高校2年次に、全国出場を果たしていた花形は、河田らと面識があったため、言葉は軽い。


「荻野さんは、俺の先輩でもありますから。」

次に答えたのは、愛和学院出身愛知の虎こと織田虎丸(1年)であった。


続いて。

「品川は、俺のパートナーだったしな。」

長髪を頭の後ろで結んでいるのは、東京都の秋月高校出身のミスタートリプルダブルこと大和統であった。


「どいつもこいつも熱心だねぇ。」

徳永が微笑む。


「ふっ。お互いにな。」

花形が答えた。



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<<回想>>

準々決勝 第1試合 

深沢体育大学 × 拓緑大学



断然の優勝候補に挑むのは、2部リーグにて1部昇格を狙う拓緑大学。


花形は、翔陽の指定校として、推薦入学を果たした。


その花形にパスを供給し、得点を重ね、リバウンドをも奪うのは、ボール臭覚に優れたSF大和統。

一昨年の選抜で海南を脅かした東京都秋月高校出身のミスタートリプルダブルと呼ばれた才能溢れる男である。


そして、今年、愛知から進学してきたのは、愛和学院のPG織田。

3年次、同じく愛和学院のSF今村翼、そして、名朋Cの森重とともに、愛知県を国体優勝に導いた指折りのPGであった。



【拓緑大学】 関東10位

PG…#33 織田 虎丸 179cm/1年/愛和学院
SG…#35 新山 千秋 185cm/1年/青森酒田
SF…#13 大和 統 185cm/2年/秋月
PF…#10 花形 透 197cm/2年/翔陽
 C…#21 勝沼桃太郎 196cm/2年/甲延



「深津さんと勝負できるなんて、ドキドキしますよ。」

と珍しく興奮を隠し切れない織田。

「深体大とうち。1部と2部との実力差を計るには、申し分相手だな。花形。」

「あぁ。高校時代、1度も倒すことができなかった彼らを倒すチャンスをもらった。
このチャンス、生かすぞ!」

「おう!」



第1試合が開始された。



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「で、花形はどっちを応援するんだ?」

河田が問いかけた。


「俺たち神奈川県の目標は、打倒牧。その想いは、今も変わらない。
だが、牧には簡単に負けてもらっても困る。」

「つまり、白金派というわけだな。」

と徳永。


「2年後、頂点に立つ牧を、俺たち拓緑が倒す。」

「んっ。それは、聞き捨てならないケロ。」

「あぁ。やけにとげとげしいな。」

「はっはっ。深津、徳永、気分を害したなら申し訳ないな。軽く流しておいてくれ。」

と笑う花形が続ける。


「俺たちは必ず1部へあがってみせる。
そしたら、お前たちともまた勝負するときが来るだろう!
そのときは、うちが勝たせてもらう!」


「あぁ。いつでも、リベンジを待っているよ。ただ・・・。」

「2年後も俺たち深体大が学生チャンピオンであることは変わらない。うしっ!」

河田の言葉に、深体大選手は、自信の笑顔を見せるのであった。



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<<回想>>

準々決勝 第1試合 

深沢体育大学 × 拓緑大学



試合終了間際。

深体大、拓緑大ともに、主力選手で戦い抜いていた。

外、中とリズムのいいオフェンスを繰り出すのは、チャンピオン深体大。



『バチィン!!』


河田が、この日5本目のオフェンスリバウンドを奪う。


牧瀬がそのリバウンドに合わせ、ノーマークを作り出す。



「牧瀬来るぞ!外だーー!!」


大和の言葉に、意識が外に集中。



その瞬間。



『クルッ。』



河田がインサイドをこじ開けた。



だが。



河田の動きを読んでいた花形が、冷静に体を寄せる。

そして、C勝沼が加わり、ダブルチームで、河田を抑える。



「うはっ。」


余裕をうかがわせる河田の表情。



『ビィ!』


ノールックのパスが、逆サイドに供給された。



「深津!!」

「3Pケア!!」



『バッ!!』



深津は、詰める織田をあざ笑うかのように、中に放り込む。



高次元で行われる完成されたパスワーク。



そこに。



拓緑コートを真っ二つに割るように徳永が切り込んできた。



「ナイスパス!深津!」


「打たせるか!!」


大和がチャージングを狙い、一瞬にして徳永のコースに入った。


大和もまた、高レベルのディフェンスを見せる。



(甘いよ。)



『シュ。』



徳永は、ボールを軽く真上に放った。



『ダン。』



「うらぁーー!!」


気迫のこもった大きな声とともに。



『ガシャン!!!!』



空中でボールを掴んだ男は、それ以上の大きな音を立て、拓緑リングにアリウープを炸裂させた。



「ぶしぃ!!!」



そして、試合の終了を告げるブザーが鳴り響いた。


冷静な大和、花形を中心に整ったチームワークを見せた拓緑であったが、
大胆かつ堅実な深体大は、その遥か上をいっていた。


拓緑大と深体大の差は、想像以上に開いていた。




深体 103
拓緑 61



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続く。