白金、横学大の選手たちが、アップをしているコートサイドでは、
先程試合を終えたばかりの神奈川体育大学の選手がいた。
誰よりもコートを睨みつけるのは、湘北出身の宮城リョータ。
神体大1年生である。
「牧・・・。」
やはり、注目しているのは、帝王・牧紳一。
(ゆっくり観察させてもらうとするぜ。)
「いくぞ!宮城!観戦はミーティングのあとだ。」
「ちっ。了解っす。ダンナ。」
宮城がダンナと呼ぶ男は、博多商大附属出身、徳永、牧瀬とともに、選抜準優勝に輝いた新庄雄銀。
深津世代のジュニア選抜のスタメンPFでもあった。
反対のコートサイドには、名稜大学の選手もいる。
「面白い試合になりそうだ。」
コートに向かってつぶやいたのは、名朋工業出身、IH制覇メンバーの里中悠介だった。
-----------------------------------------------------------------------
<<回想>>
準々決勝 第2試合
神奈川体育大学 × 名稜大学
1部リーグでは、名稜大が2位、神体大が3位と凌ぎを削っている、
いわば打倒深体大に燃えるライバル的な両大学。
5月に行われた関東大学バスケットボールトーナメントにおいても、準決勝で顔を合わせたカードであった。
名稜大学は、アーリーオフェンスを得意とするチーム。
そのため、ラン&ガンを得意とする京都洛安からPG小関一志、C瀧川譲次を獲得し、
名稜スタイルをより強固なものにし、上級生のバックアップを強化した。
これだけではない。
千葉県からは千葉の朝日こと、世代を代表するSG市原朝日が推薦で入学する。
さらには、名朋工業からIH制覇メンバーのPF里中悠介を、
福島県の白松高校からエースプレーヤー鴨川をも獲得し、補強は大成功といえた。
そのため、今大会における深体大の対抗評価は、ゆるぎないものであり、
全員2年生で出場する名稜大の新人戦への意気込みは、他大学と比較できないほど、大きいものであった。
【名稜大学】 関東2位
PG…#16 小関 一志 179cm/2年/洛安
SG…#17 市原 朝日 185cm/2年/浦安工業
SF…#18 鴨川 太一 187cm/2年/白松
PF…#19 里中 悠介 194cm/2年/名朋工業
C…#20 瀧川 譲次 198cm/2年/洛安
「ぜってー勝って、諸星を倒すぞ!!」
と市原。
「おいおい。慶徳との試合は神体大に勝ってからだ。
しかも、慶徳が勝ち上がってくるとは限らんぞ。」
たしなめるのは、瀧川。
「間違いない。諸星は勝ち上がってくる。この俺と対戦したいがためにな。はっはっは。」
「相変わらずだな。こいつ。」
呆れるのは小関。
「神体大の要注意人物は、なんといっても新庄。そして、SGの松本だ。
イン、アウトの要の選手だ。」
冷静に話をするのは、PF里中。
名朋時代、ジャンプシュートを得意とする選手であり、内外問わず点の獲れる頼れる選手であった。
「新庄は里中に任せるぞ。」
「あぁ。」
「鴨川は、松本を抑えてくれ。」
白松出身の鴨川は、手足の長さを利用し、ディフェンス能力は名稜大の中でもトップレベルにあった。
「さぁ、いくぜ。俺たちのラン&ガンで、神体大の、深体大の度肝を抜いてやろうぜ!!」
「おう!!」
「俺たちが、この大会を制するんだ!!!」
「おう!!」
一方、反対のコート。
神体大の選手たちがミーティングをしている。
「名稜は、得意のアーリーオフェンスで仕掛けてくるだろう。
しかも、全員2年チームとチームワークもいいはずだ。」
「真っ向勝負といきますか!スピードなら、負けやしませんぜ。」
「いや、うちはハーフで手堅く確実に攻める。」
「あぁ、俺も同意見だ。」
新庄と松本の作戦は一致している。
「ミスを減らし、確実にゴールを奪う。相手にペースを握らせない。それが、神体大のバスケだ。」
「あぁ。」
「はい。」
「松本、負担は大きいと思うが、バックコートは任せたぞ。」
「あぁ、それは新庄も同じだろ。」
「ふっ、確かにな。だが、こんなところでつまずくわけにはいかない。」
「もちろんだ。」
「宮城は、いつでもいける準備をしとけ。流れが変わったとき、一気に叩きかける。
そのとき、お前のスピードが武器になるはずだ。」
「OKっす!早い出番になることを祈ってますぜ。新庄のダンナ。」
【神奈川体育大学】 関東3位
PG…#34 源 正美 173cm/2年/常誠
SG…#11 松本 稔 184cm/2年/山王工業
SF…#45 大石 克巳 185cm/1年/名朋工業
PF…#7 新庄 雄銀 198cm/2年/博多商大附属
C…#26 杉本 学 196cm/2年/愛和学院
-----------------------------------------------------------------------
アップ中の牧を睨みつける宮城。
(牧。勝負はお預けだ。俺が倒すまで、ぜってー負けるんじゃねぇぞ。)
宮城は、言葉を飲み込み、ロッカールームへと歩いていった。
手には、アップで使う神体大のボールを持っている。
宮城の準々決勝 出場時間。
わずか、3分。
0P 1A
これが、宮城にとって、ほろ苦い大学公式戦デビュー戦であった。
と同時に、神体大の新人戦は終了した。
神体 79
名稜 85
続く。
先程試合を終えたばかりの神奈川体育大学の選手がいた。
誰よりもコートを睨みつけるのは、湘北出身の宮城リョータ。
神体大1年生である。
「牧・・・。」
やはり、注目しているのは、帝王・牧紳一。
(ゆっくり観察させてもらうとするぜ。)
「いくぞ!宮城!観戦はミーティングのあとだ。」
「ちっ。了解っす。ダンナ。」
宮城がダンナと呼ぶ男は、博多商大附属出身、徳永、牧瀬とともに、選抜準優勝に輝いた新庄雄銀。
深津世代のジュニア選抜のスタメンPFでもあった。
反対のコートサイドには、名稜大学の選手もいる。
「面白い試合になりそうだ。」
コートに向かってつぶやいたのは、名朋工業出身、IH制覇メンバーの里中悠介だった。
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<<回想>>
準々決勝 第2試合
神奈川体育大学 × 名稜大学
1部リーグでは、名稜大が2位、神体大が3位と凌ぎを削っている、
いわば打倒深体大に燃えるライバル的な両大学。
5月に行われた関東大学バスケットボールトーナメントにおいても、準決勝で顔を合わせたカードであった。
名稜大学は、アーリーオフェンスを得意とするチーム。
そのため、ラン&ガンを得意とする京都洛安からPG小関一志、C瀧川譲次を獲得し、
名稜スタイルをより強固なものにし、上級生のバックアップを強化した。
これだけではない。
千葉県からは千葉の朝日こと、世代を代表するSG市原朝日が推薦で入学する。
さらには、名朋工業からIH制覇メンバーのPF里中悠介を、
福島県の白松高校からエースプレーヤー鴨川をも獲得し、補強は大成功といえた。
そのため、今大会における深体大の対抗評価は、ゆるぎないものであり、
全員2年生で出場する名稜大の新人戦への意気込みは、他大学と比較できないほど、大きいものであった。
【名稜大学】 関東2位
PG…#16 小関 一志 179cm/2年/洛安
SG…#17 市原 朝日 185cm/2年/浦安工業
SF…#18 鴨川 太一 187cm/2年/白松
PF…#19 里中 悠介 194cm/2年/名朋工業
C…#20 瀧川 譲次 198cm/2年/洛安
「ぜってー勝って、諸星を倒すぞ!!」
と市原。
「おいおい。慶徳との試合は神体大に勝ってからだ。
しかも、慶徳が勝ち上がってくるとは限らんぞ。」
たしなめるのは、瀧川。
「間違いない。諸星は勝ち上がってくる。この俺と対戦したいがためにな。はっはっは。」
「相変わらずだな。こいつ。」
呆れるのは小関。
「神体大の要注意人物は、なんといっても新庄。そして、SGの松本だ。
イン、アウトの要の選手だ。」
冷静に話をするのは、PF里中。
名朋時代、ジャンプシュートを得意とする選手であり、内外問わず点の獲れる頼れる選手であった。
「新庄は里中に任せるぞ。」
「あぁ。」
「鴨川は、松本を抑えてくれ。」
白松出身の鴨川は、手足の長さを利用し、ディフェンス能力は名稜大の中でもトップレベルにあった。
「さぁ、いくぜ。俺たちのラン&ガンで、神体大の、深体大の度肝を抜いてやろうぜ!!」
「おう!!」
「俺たちが、この大会を制するんだ!!!」
「おう!!」
一方、反対のコート。
神体大の選手たちがミーティングをしている。
「名稜は、得意のアーリーオフェンスで仕掛けてくるだろう。
しかも、全員2年チームとチームワークもいいはずだ。」
「真っ向勝負といきますか!スピードなら、負けやしませんぜ。」
「いや、うちはハーフで手堅く確実に攻める。」
「あぁ、俺も同意見だ。」
新庄と松本の作戦は一致している。
「ミスを減らし、確実にゴールを奪う。相手にペースを握らせない。それが、神体大のバスケだ。」
「あぁ。」
「はい。」
「松本、負担は大きいと思うが、バックコートは任せたぞ。」
「あぁ、それは新庄も同じだろ。」
「ふっ、確かにな。だが、こんなところでつまずくわけにはいかない。」
「もちろんだ。」
「宮城は、いつでもいける準備をしとけ。流れが変わったとき、一気に叩きかける。
そのとき、お前のスピードが武器になるはずだ。」
「OKっす!早い出番になることを祈ってますぜ。新庄のダンナ。」
【神奈川体育大学】 関東3位
PG…#34 源 正美 173cm/2年/常誠
SG…#11 松本 稔 184cm/2年/山王工業
SF…#45 大石 克巳 185cm/1年/名朋工業
PF…#7 新庄 雄銀 198cm/2年/博多商大附属
C…#26 杉本 学 196cm/2年/愛和学院
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アップ中の牧を睨みつける宮城。
(牧。勝負はお預けだ。俺が倒すまで、ぜってー負けるんじゃねぇぞ。)
宮城は、言葉を飲み込み、ロッカールームへと歩いていった。
手には、アップで使う神体大のボールを持っている。
宮城の準々決勝 出場時間。
わずか、3分。
0P 1A
これが、宮城にとって、ほろ苦い大学公式戦デビュー戦であった。
と同時に、神体大の新人戦は終了した。
神体 79
名稜 85
続く。