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教育のことや子育て 不登校問題への対応等について、考えてみます。

問題の解決法 事例研究の大切さとやり方

2024-09-06 11:16:51 | 学校での活動について
こんにちは
また、よろしくお願いします。

今日は、前に記しました事例研究の仕方について補充的に触れてみたいと思います。

 事例研究の手順はある程度一定の手順が考案されています。その手順については、以前の投稿を見ていただければ幸いです。
 ここでは、事例研究の簡単な方法、筆者は自分では簡便法と言っています。いつでもどこでも、誰でも、一人でもグループでも集団でも、どのような課題を対象にしても、事例研究的な探求をできる方法という意味で言っています。

 この方法は、ある時、ある人の講演を聞いているときに、こんな方法もあるではないかと思って、いろいろなケース、場面で、個人でもグループでもやってみたらそれなりに機能して、しかも参加する人の負担も少ないし、日常的なこと、課題もすぐに検討できるので、本当にやりやすいと思ってやっていることです。

 個人としては、普段の生活の中で解決が必要な状況が生じたときにもこれに従って解決法を見つけるようにしていますし、職場でも、その他の場所でも工夫しながら使っています。
 簡便法による事例研究の手順は以下のとおりです。
1 個人でも集団でも、誰かが持っている課題を他の人に提示します。他の人とは一人の人でも周りの同職あるいは異なる職種のグループでも構わないと思います。とにかく課題になっていること、問題になっていることを提示します。相談しますといってもよいでしょう。
 学校なら、ぜんぜん勉強しようとしない子がいるのだけれどどう思う?や、休みがちになってる子が出たのだけれどどうしたらよいでしょうか、等でよいと思います。
 医療であれば、咳が止まらない患者がいるとか、熱がいつまでも下がらないでも、何でもよいでしょうし、もっと重症な場合もあると思います。
 他の組織であれば、組織内の日常的な課題でもその他でもよいかと思います。

2 これらを聞いた人は、はじめは、これは何の問題だろうか、何が問題だろうかと考えます。
 例えば休みがちな子のことであれば、休みが多くなってるということが問題と考えられます。
 勉強しないは学習意欲が下がってしまっているが問題かと思います。同様に他の職場等でも課題、問題を抽出できると思います。参加の人たちがいろいろと意見を出し合っていけば、問題・課題は見つけ出せると思います。特に専門職が集まっている所ではある程度簡単にできると思います。ここでは、解決すべき問題・課題をはっきりさせることが一番の目標です。問題の明確化という作業ですね。
 問題が明確化できれば、その解決に向けての活動が、個人でも集団・グループでも、相互理解・共通理解のもとに動きやすくなると思われますので、活動が一段階進むことにつながりやすいと思われます。
 ただし、この段階では、なぜその問題・課題が生じているのか、課題の背景に何が横たわっているのかはわかりません。問題を生じさせている条件、問題を継続させている事情が分かりませんので、具体的な活動はしにくいです。
 例えば、学習意欲の低下の例では、なぜ学習意欲が低下しているのか、背景がわかりませんので有効な手が打ちにくいと思われます。もともと知的能力が低く学習についていけないのか、先生の教え方が本人に合っていないのか、あるいは学校では見えないけれど、家庭で虐待的な状態に置かれているのか、大きくなれば家庭の経済状況の影響とか、様々な事情が影響していると考えられますので、検討に参加している人々が、自由に自分の感想や感じたこと、過去の事例で経験したこと等まで、表明を行います。
 すると、その子をめぐる学校内の事情や、分かる範囲ではありますが家庭的な事情等、様々な事情が明らかになってくると思います。
 これらの中から、背景要因の大きい部分が抽出されてくると思われます。専門職の集団では、検討の中で同じような意見や判断が多く出されることが多いと思います。そして、ある程度の要員を明確化できると思います。要因は一つではなく、重なっている場合の方が多いと思いますので、それはきちんと受け止める必要があると思います。子どもの意欲低下をすべて家庭の影響というようにしてしまうことはどうかなと思われます。家庭の要因が一番大きそうなのは経験的にも理解できそうなことですが、本人要因、学校要因もある場合はあると思いますので、そこは注意する必要があると思います。

 少し話がずれますが、事例研究を行うときに一番注意する必要があるのは、事例の提供者にいやな思いをさせないことだと思います。忙しい中で事例を出したのに、指導者・支援者が悪いのだとされたら、二度と事例研究は行わないということになるでしょう。
 事例をまとめて出していただいてありがたい、課題を考える貴重な機会になった、同様な事例の解決へのヒントになった、行動指針を得ることができた、等の感謝を表明することが本当に大切と思います。ただし「おべっか」ではなく、本当に自分が感じた素直な気持ちを肯定的に表現することが大切と思われます。

3 上記と重なる部分がありますが、問題の背景要因が明らかになったら、簡単に言えば、こうなっている事情、こうなっている理由がはっきりしてきたら、ではどうしたらよいかを考える、「第3の段階」になります。問題がはっきりすれば、状態を生み出している理由がはっきりしてきたのですから、対応は、状態を生み出す理由になっている行動をしないで、
 例の学習意欲の場合には、もともと本人の知的能力があまり高くなかった、集団内での指導は難しいかもしれない、家庭は、お母さんが一人で子育てしていて経済的にも大変なので、子どもにかかわる時間が少なかった、いわゆる子どもの承認欲求等が満たされていなかった等が明らかになるかもしれません。
 現実の中ではよくありそうな事例かと思われます。良くありそうな例ですが、それではこの問題に対する対応策を考える段階ですが、このようなありがちな問題・課題への対策を考えて行動するのはけっこう難しい面があります。
 担当者として、学校として、親としてできることをなるべく手順を追って、地道に行っていくしかないのが現実かと思われてしまいます。
 学校は、校内連携が一番大切かと思います。いわゆる「チーム学校」としての活動ですね。担当者・支援者、スクールカウンセラー、管理職等々が力を合わせるのが一番効果的と思われます。と言っても忙しい中での行動ですから、可能な限りでと言うしかないとは思われます。

 他の職場、組織でも同様なことが現状と思われます。現実は只々忙しくて、あたふたと時間が過ぎていくようです。組織の協力体制が保たれていれば、多少の安心感、安定感、精神的ゆとり等は得られると思われますので、それらの部分がポイントかと思われます。

まとめですが、
課題・問題が生じたら、何が問題だろう、何の問題だろう、何を解決すべきなのだろうと、まず考えてみる。

次に、なぜこのような状態、課題・問題が生じたのだろうか、生じているのだろうかと考えてみる。

つぎに、上のことを考えながら、何ができるだろうか、何をしたらよいだろうか、考えてみて、それを行ってみる。しばらくやって解決・改善につながらない場合は、再度検討してみる。

これらの過程をとると、考えやすく、動きやすくなると思います。
個人でも集団でも行えると思いますので、よろしかったら活用してみてください、

ブログを見ていただいてありがとうございます。今後も可能な限り継続してみたいと思っています。多くの方に見ていただくのが励みになります。
よろしくお願いいたします。では、また。