児童生徒 学級 学年 学校の取り扱い説明書

教育のことや子育て 不登校問題への対応等について、考えてみます。

事例研究方式を利用して進路指導を行う

2024-08-29 17:01:03 | 学校での活動について
お世話様です。

前回は進路指導の具体的な実践事例として、事例研究の方式を活用した進路指導の例をご紹介させていただきました。
少し理解しにくい部分もあったかと思いましたので、今回は、その補充的な意味で事例研究という活動の意味や意義について触れてみたいと思います。

事例研究はいろいろな場所で行われていると思います。いわゆるケーススタディーですね。
このような事例(ケース)の場合は、どのように対応したらよいのだだろうか、いろいろな面から考えてみてより良い解決法を探すというような活動だと思います。
医療や介護の面では、事例研究を行うことが必須のことでしょうし、教育の分野、特に学習指導、進路指導、生徒指導などの分野では、やはり行うことがとても大切なことと思っています。
企業活動の分野でも、各種の問題が日々生じることが多いでしょうから、その解決を目指しての活動として事例研究を行うことが大切だと思っています。

教育の分野では、児童・生徒のさまざまな発達上の問題が次々に生じて、日々解決を求められることばかりですので、やはり事例研究を十分に行って、似たような事例への対応を、ある程度マニュアル化できれば、対応がとてもやりやすくなるのではないだろうかと思っています。
事例研究を数多く、継続的に行っていれば、ある程度ではありますが、事例に対応するための共通項のようなものが見えてきて、例え違う生徒の違うような問題と思えても、対応方法は共通しているなと思える部分があって、とても対応しやすくなります。
と言いますか、事例研究が積み重なってくると、問題を意識した時点で、どのように対応していけばよいだろうかが自然と見えてくるようになりますので、やはり事例研究を継続的に積み重ねて行っていくことが一番大切なことと思います。

とは言え、現実の学校の中では、毎日の仕事の多忙さもあって、事例研究があまり行われないのも現実です。
と言いますか、我が国の教職員の育成課程にあっては、事例研究を実際に行って経験するプログラムがないので、教員になっても事例研究の言葉の意味も、意義や役割も、やり方もほとんど浸透していないのが現実かと思います。
従って、学校の中ではほとんど事例研究は行われません。一部では、進路指導、生徒指導等に関心を持っている教員が、個別の研修の過程で、事例研究の意義に気が付き、いわば仲間内で細々と行っている程度というのが現実かと思われます。

 教員は専門職であると位置づけられながら、専門職として必要な科学的知識も十分には身につけずに、心理学の知識も乏しい中で、人間である児童生徒を扱っているのが現実かと思います。
 ですので、いつまでたっても、教育活動の中から精神主義的な部分が抜けきれずに、経験主義的で、根拠の乏しいと思われる指導が引き続き行われていると思われます。

 話を戻しますが、事例研究はそんなに難しいものではないと思われます。やり方を身につければ、いつでもどこでも有効的に行うことができると思います。

 事例研究には、一定のステップあると思われるのですが、それは前回の中で触れておきました。しかし、そのような難しそうなステップを踏まなくても、もっと簡単できる方法として、簡便法、誰でもいつでもできる、個人で行うこともできるし、集団やグループで行うことでより効果が期待できる、簡単なやり方があると思って、従来から、簡単な事例研究の方法、簡便法を自分自身では活用してきました。
 ネットで紹介するのも今回が初めてです。丁度進路指導の内容でしたので、紹介してみるかと思って前回アップしたわけです。

簡便法ですから、誰でもできなければならないと思いますので、研究のステップを少なくしています。事例理解のための資料収集も最小限でできるようにしています。個人でもできます。しかし、グループ等でやればさらに多くの意見が出て内容が充実すると思いますし、良い解決法が見つかる可能性が高くなり、実践できると思います。

それから一つ記すのを忘れてきましたが、従来の事例研究法では、研究対象の事例を誰かが考えてまとめて出すことが求められています。事例をまとめ、文にするのは大変なことです。出す人は本当に気を使います。出したのはいいけれど、何か言われるのではないか、指導が悪いと思われるのではないか、自分の評価が下がるのではないかと思うと、ついつい事例研究はやりたくないと思ってしまいます。そのようにならないために、日常のどこにもありそうな問題を提起して、その背景や対応の方法を考えて、具体案を出す。そしてみんなで実践してみる。そんな意味での簡便法です。

事例の例は何でもいいです。こんな生徒がこんな状態です。例えば学習意欲の低い子がいて困る、欠席が多くなってきている生徒がいる、進路決定の時期が近付いているのに何も行動しない子が多い。等々、身近にあるものをその場で出せばいいわけです。
まあ少し事前に、ある人等に、口火を切ってね等と頼んでおけばいいかと思います。

それで、始まったら、次の手順で考えていきます。
1 この事例の問題は何か
 例えば学習のことなら、意欲が低い子がけっこう多くいる、進路なら進路が決められない、等
2 なぜそのような問題が発生しているか、問題の背景は何か、
 学習意欲なら、学習意欲が低いのはなぜか、進路が決められない背景は何か、等を考えてみる。
3 じゃあどうしたらよいだろうか
 状態を改善するために何かできることがあるだろうか。現実的に打てる手があるか、考えてみる。

以上の3つだけですね。問題は何か、なぜ問題は生じているか、対策は何か、これらを考えてみて、できることをやってみる、それでまた次回に事例研究をしてみる等で課題の解決に近づく。そんな感じの方法です。
個人でも、心の中で行っていくといいと思います。いろんなところに応用が利くと思います。

そんな感じで、事例研究の簡便法について触れてみました。
見ていただいてありがとうございます。またよろしくお願いいたします。
 


進路指導の具体的活動 3

2024-08-27 14:05:44 | 学校での活動について
台風が近づいてきましたが、暑さはまだ続いていますね。体調はいかがですか。
本当に毎日を過ごすことが大変な今年です。
お米の不足も著しいようで、私の住むところもスーパー等で在庫がほとんどありません。近くのスーパーは販売する日と時間を知らせてくれるので、それに合わせて行って買っているような現状です。
来年も同じようなコメの不足になるのでしょうか。

日本の国が潜在的に抱えている弱点がだんだんと具体的に表面化しているように思われます。
なるべく早くに国の姿をより良い方に変えていく必要があるのでしょうが、その動きも本当に鈍いようです。良い方がどのような方向かもわかりにくいのも現実ですね。本当に難しい時代です。
多くの人が、より頭を働かせて、しかも交流と対話を十分に行って模索していく必要があると思われるのですが、日本人はこれができるでしょうか。国全体が本当の実力を試されているようですね。

さて、本題に戻りまして、最近いろいろと触れている進路指導につきまして、その具体的な活動の一つを紹介してみたいと思います。
これは行うのは比較的に簡単で、その効果はとても多くあると思われますので、できれば実践してみてもらうのがよいのではないかと思われます。
活動の内容は以下に示します。
学級単位程度を対象にして行う進路相談の一種と考えればよいと思います。ただ、この活動は、進路だけでなく、学習指導でも、生徒指導でも、何にでも使えると思いますので、趣旨をご理解の上、活用していただければよいと思います。行うのに慣れるまでは、大変かなとも思いますが、慣れてしまえば簡単にできますのでトライしてみていただけると幸いです。

ここでは、中学3年生を対象にして進路の活動として行ったものを例示します。
資料を下に記しておきますが、これはすべて投稿主が考えて作成したものです。

進路の決定に際して発生すると思われる様々なことを、4から5名程度の班で話し合い、具体化しつつ、なぜそうなってしまったか、ではどうすればよかったかについて明確化することを目標とした活動です。



事例研究の簡便法を活用した進路指導の授業実践

1 事例研究の意義
 事例研究は、特定の個人やグループあるいは事象を対象として、様々な資料を収集分析し、個人やグループの行動あるいは事象の生起している背景にある要因等を明らかにして、以後の指導や援助、対応に役立てようとする研究法である。事例研究は、医学や心理学、教育など、多くの領域で用いられている。

2 事例研究の手順と簡便法
 事例研究の実施においては、定められた手順、標準化された手順が確立されているわけではないのが現実である。
 しかし、事例の理解を進め対応や手立てを考えていく上で、概ね一定の手順を踏んで研究を進めることが研究推進に効果的と考えられることから、経験的に概略的な手順に従って行われるのが通例である。
 ここでは、基本的に、事例研究の通例に沿いながら、指導者が、個人でも集団でも、いつでも、どこでもできる事例研究の簡便的な方法を考案する。
 さらに、その簡便法を活用して、中学3年生を対象にして、生徒自身が「ある生徒の進路に関する事例」について、生徒自身が討議検討し、自らの進路への取り組みを振り返ってみることをとおして、それぞれの生徒の進路指導に役立てる授業実践を行うこととした。

3 事例研究の簡便法の内容について
 本来的な事例研究が、①事例の選定、②事例の理解に必要な資料の収集、③事例の理解、④援助や指導の方針の立案、⑤実践、⑥実践の考察等の過程をたどって行われるのに対して、ここで考える簡便法では、次に示す項目について討議や検討をしながら、今後の活動を考える過程をとることを中心とするものである。
 検討・討議の具体的な過程としては、①事例の中の何が問題や課題であるかを考える、②なぜ問題が起こっているか背景を考える、③これからどうしたらよいか考える、の過程のみで事例研究を行おうとするものである。

4 本授業実践の内容
 本授業実践では、以下に示す(1)から(4)の過程を、手順に従って進むことによって事例の検討・討議を行い、今後の指針を得ることをねらいとして実践する。
(1)事例の選定
 中学校3年生A男の進路実現に向けての生活状態をまとめた内容を事例として選んで、その生徒の現在の状態について検討することをとおして自己の進路を考える手だてとする。
 事例の選定に当たっては、この時期の中学3年生の示しやすい状態を多く内包している事例を選んで生徒に提示することが大切であると考えられる。
今回は事例の選定については、指導者側が行い、その状態も指導者がまとめたものを生徒に示すこととする。
(2)問題(課題)の明確化
 事例検討の対象であるA男が示している行動や状態の、何がどのように問題であるか、どのような行動ができるようになれば問題が解決したと考えられるか、どのような状態になればよいか、問題(課題)の特性や内容をはっきりとさせる。

(3)事例の状況の背景を考える。(事例研究の中心的な部分)
 事例の示す状態には、必ず何がしかの背景要因が存在することが極めて多い。事例についての理解や今後の指針を考えることにおいては、状況の背景にあると考えられる要因を見つけ出すことが極めて大切であると考えられる。
 そこで、例えば、以下に示すような手順を追って、背景要因に近づくことが大切である。手順として考えられるのは、
 ①対象の個人は、今、どのような気持ちになっていると考えられるか。
 あるいは、今、どのような心理状態におかれているか、どのような気持ちが問題を生起させているか考えてみる。
 提示されている事例の資料の中で、A男の心の中の状態を類推してみることで、心の状態と今の状況に大きな関係があることに気づくように検討する。
 ②資料の中に見られた内容を基にしながら、A男の心の動きや行動を支えている仕組みを考えてみる。
 A男の行動の特徴や考え方を明らかにして、現在の状況に影響を与えていると考えられる要因を明らかにする。

(4)今後、どのようにしていったらよいかについて考える。
 上記の(1)~(3)の手順において、A男の持っている問題や課題をはっきりさせることと、A男の状況の背景にどのような事情があるか明確化することができたと考えられるので、それらを基に、A男は今後、どのような生活をしていくことが大切かについて討議や検討を行い、状況の改善のための指針を考え出します。
 考え出す際には、ただ、改善すればよいと言うような形骸化した指針ではなく、実際に今後の生活改善につながる、具体化された指針を見つけ出すことが大切であることを伝える。


検討事例

 A男は中学3年生である。高校への進学を希望している。志望校はある程度決まっているが、なぜその高校に進学したいのか、入学できたらどのような生活をしたいのかについては、あまりはっきりせず漠然としたままである。
 志望校に入学できそうもないとわかった時には、自分の力で入れる高校に進めばいいと考えている。また、高校卒業後のことについては、ほとんど考えておらず、大学に行けそうなら行くし、だめなら専門学校でもいいと考えている。将来の希望職種も決まっていない。
 A男は夏の大会までサッカー部に所属し、けっこう活躍していた。市の大会でも3位に入賞したので、もしかしたらスポーツ推薦に当てはまるのではないかとも考えて少し期待している。しかし、今は特に運動はしていない。
 現在の生活状況は、今までとあまり変わらず、ふつうの生活である。授業もふつうに受けているが、あまり好きではなく得意ではない科目の授業になると、何となくぼんやりしてしまって、集中して学習できない状態になってしまうことがよくある。
 体育や音楽は好きなのでよくやるが、美術とかは好きではないのでつい力を入れない状態になってしまうことがある。
家庭学習については、夏休み明けから、A男なりに1ヶ月ごとの計画を立ててやっているのだが、好きなテレビ番組等があるとつい見てしまうので、計画どおりに進んだことがない状態で、最近は計画を立てることもしなくなっている。
 机に向かって勉強する時間も決めてあり、始めるのだが、勉強法も今でもはっきりとせず、集中力も続かず、ついつい音楽を聴いてしまったり、関係ない雑誌を見たりしてしまっているのが現実である。
 A男の様子を見ている親は、特に母が心配して「勉強やってるの」、「もっとした方がいいんじゃないの」とか、「B君は○時間やってるそうよ」とか言うと、「うるさいなー、やるよ」とか「今からやろうと思ってたんじゃないか、ほっといてくれよ」とか言いながら自分の部屋に行ってしまう。しかし、勉強には手がつけられないことが多くなっている。
いよいよ受験の時期が近づいてきて、A男自身も、これからどのようにしていったらいいのかわからなくなって、不安な気持ちになってきているのが現在の状態である。


今回は具体的な活動を例示してみました。高校でも使えると思いますし、進路だけでなく他の分野、例えば学習の問題等でも使えると思います。事例は、よく見られる例をまとめることで作れると思います。実際の個人を例にすると問題が生じるかもしれませんの注意してください。

見ていただきましてありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。


























進路指導の具体的活動 2

2024-08-26 17:11:49 | 学校での活動について
お世話になります。前回は、一休みで閑話休題のテーマでしたが、また戻って進路指導にしたいと思います。

具体的活動と言いながら、具体的な活動のやり方等について触れてきませんでしたが、今回は、簡単にできる具体的な活動について触れてみます。

進路と考えるには、自分の特性を知ることが大事ですが、生徒は、経験の不足もあって、自分が持っている特性をある程度明確に自覚することは結構難しいようです。

そこで、これはいつでもできるものですが、特に高校3年の一学期等に行うと結構自分を知ることができるのではないかと思われます。
活動の名称は、TSTと言います。(Twenty Statements Test)
20の質問テストとでも言ってよいかと思います。以下のように、用紙に

私は、 
私は、
私は、

というように20個を書いておきます。
そしてそれに自分で思いついた言葉を続けて書いて文を作っていきます。短い文でも長い文でも構いませんし、内容の制限 
とかもありません。自由に書いていくことで構いません。時間の制限もないのですが、長すぎても困るでしょうから適度な時間でよいと思います。
家で個別に書かせてもよいと思います。
これは自己理解テストの一種で、きちんとした心理テストと考えられます。単純なテストですが、やってみると意外に効果があります。
また、これをいろいろに活用するのもよいかと思います。プライバシーの尊重を約束して、先生が集めて生徒理解に使うこともできるでしょうし、さらに厳重な注意の上で、仲の良い仲間であれば互いに見て感想を述べあう等もあるかもしれません。いろいろと工夫して活用法を考えてみてください。

書いてある内容も千差万別で、それぞれの生徒の個性がちゃんと出てきます。生徒の能力によっても書ける数が違ったり、文の長さや内容に大きな差があったり、具体的な事項しか書けない生徒に対して、すごく抽象的な思考ができる生徒等、大きな違いがあります。

20個全部書ける生徒は本当に少なくて、すごく少ない子もいます。生徒の能力が自然に表れてしまいます。それは能力の自己理解にもつながるので、自分で見るだけであればとても役に立つと思います。

書き終わったら、それを自分で見て、自己確認、自己理解の一助にするということです。

今日は時間が短かったので、本当に簡単にできる方法にしました。ご了解ください。
もっと詳しくは、 新自分探しの心理学 川瀬、松本編 ナカニシヤ出版を見てください。
また、他の方法も機会を見て紹介したいと思います。よろしくお願いいたします。

自分の強みを見つける質問

2024-08-25 17:01:00 | 学校での活動について
最近は進路指導のことを多く投稿してきました。今日は、それは一時休止ということで、タイトルのようなことについて記してみることにしました。
ネットから拾った記事をもとにしていますことを明かしておきます。

時間は有限、自分の弱さを克服しようとすることよりも、弱さはチームで補い合うことにして、強みに着目して活動する方が自分を伸ばせるということです。

自分の強みを知り、貢献を考えて行動する方が自分を伸ばせる。(ドラッカー)

強みとは、1 人よりうまくできること、 2 やるほどに活力が出てくるもの 3 成果を出せているもの、 これらがそろっていることだそうです。

この中で大切なのは、活力を感じることだそうです。

強みを発見するための3つの質問
1 今の仕事で、またはプライベートで(または過去に)、人よりうまくできる(た)と感じる  ものはありますか。複数も可

2 その中で、やるほどに「面白さ」「楽しさ」を感じるものはありますか。複数も可

3 その中で、仕事に生かすことで成果を得られているものはありますか。

すぐに思いつかないかもしれませんが、少し長い時間でも考え続けてみると思いつくかもしれません。そういえばこれが自分の強味かも等と思えるものが出てくるとよいと思います。一つではなくいくつかあることもあるでしょうね。 

見つけることのできた強みはさらに伸ばしていく。レベルアップを積極的に目指して、職場や会社でトップになれるように努める。
または、自分以外の横にいる人に伝えるように努める。あるいは、手順書のような形にでもまとめて、他の人も便利に使えるようにする等のことも考えられるでしょう。

今はたくさんの情報が流されていますので、取捨選別が難しいようにも思えますが、そんなに難しく考えないで、ちょっと活用してみようかとの思いでいるのがよいと思います。

生徒に多様で多種の、教育的に役立ちそうな情報を提供してみるのもよいことかなと思われます。


進路指導について 具体的活動

2024-08-22 17:14:41 | 学校での活動について
 前回の続きを記してみます。
 進路指導の根本は、生徒の将来への意欲化を図ることと同じであると考えてみました。意欲の低い場合は、真剣に将来を考えることができにくいですね。
 ですので、学校では、やはり意欲を持たせる指導を行うことが大切ですね。でも、すべての生徒の意欲化を図るのも結構難しいことが現実ですね。そこで創意や工夫や指導者の態度とかが大切になると思います。この点はいつか触れたいと思います。

 まず先に進路指導の6つの活動について、ある程度具体化して考えてみようと思います。
 以前に記しましたように「進路指導の6つの活動」は以下の通りです。

1 個人資料に基づいて生徒理解を深める活動と、生徒に正しい自己理解を得させる活動
2 進路に関する情報を得させる活動
3 啓発的経験を得させる活動
4 進路に関する相談の機会を与える活動
5 小食や進学に関する指導援助の活動
6 卒業者の追指導に関する活動

 1番については、漠然とですがこれまで触れてきたつもりです。生徒の自己理解は、生徒が様々な経験をすることと、一生懸命にいろいろなことに励んでみて、自ずから自分について知ることが一番強い、と言うか、本人が納得して進路選択に活用できることだと思います。
 また一番については指導者が生徒の能力や特性、興味や関心、目指している嗜好性をきちんと知ることが大切であることを意味しています。若い子たちは、存在するだけで可能性の塊ですから、その気になれば何にでもなれるのですね。なる気持ちも持っていることが多いのですね。ただ、経験不足で、その可能性をどのように伸ばしていったらよいのかについては知らないことが多いのですね。そこに指導者の行うべき役割があるのですね。指導者は優れた伴走者である必要がありますね。一緒に走っていて、本人が必要としたときには、「何をどのようにしたらよいか、本人の可能性はどこにあるか、きちんと具体的に、いつでも示すことができる」ことが大切ですね。
 昔聞いたことですが、あるオリンピックの金メダリストがいて、そのコーチの人は、普段は何も言わないのだそうです。しかし、選手が迷ったりしてコーチに尋ねた時には、一から十まで、理路整然と十分納得できるように話してくれたということでした。
 やはり優れたコーチはその選手の特性や能力、心の中の動きまですべてわかっていて、あるいは無言でもわかるように努力していて、選手が必要になった時には話すことができる、そのようにしていたのでしょうね。
 この話を聞いた時には、指導者・支援者の在り方の一番良い姿を聞いたようで、少し感動的であったことを思い出しました。指導者・支援者は、なんでも言えばよいということではないのでしょうね。相手に一番伝わりやすい時と場所を選んで、しかも納得できて相手の身になるようにサポートできることが大切なのですね。
 伴走することは本当に大切なことと思われます。学校の中では、生徒が主役ではなく、学校自体や先生の都合で生徒を動かしているような部分があるように思われます。主役は生徒の考え方がない、弱すぎると生徒は自身の力で育つことがないと思います。
 それは意欲化につながらないので真摯で真剣な学びや生活にはつながらないことが多いかもしれませんね。現在の学校は、そんな特性が出ている部分もありそうな感じがしています。それでは、優れた進路指導にはつながらないかもしれませんね。

 生徒各本人を正しく知ることは学校の活動の基本だと思います。知らないと進路指導も必要な形での実施が困難になると思われます。成績だけで、あいまいな意思で、社会的に人気のある進路を選ぶことが多くなるのも、そして上級学校を卒業した後の離職につながりかねないのも、本人の特性等を明確にして、その上で本人の志向も加味して進路を決めていくという活動の不十分な点が影響しているかもしれません。
 
 人を良く知るためには、相手の人との交流が十分に行われることが必要だと思います。生徒のような若い子どもたちであっても、本人なりに本音もあって、それはなかなか表面化しない部分が多いと思われます。先生に対しても表面的なことだけを話して、心のうちは見せないようにする子どもたちも多くいると思います。
 相手を信頼できないと、心を見せることは難しいかと思われます。先生が単なる役割として進路指導を展開しているようでは、なかなか本来的な充実した進路指導にはつながらないようにも思えます。

 先ほどのコーチの話ではありませんが、選手のすべてのことを知ろうとして、さまざまな活動を地道に行っているこーちが、優れた支援ができるのだろうと思います。
 そのコーチは、選手をどのように何を見るか、キチンと視点や観点がわかっているのでしょうね。いわゆる観察のポイントがはっきりと明確化されているのだろうと思います。
 観察のポイントがとても大切とも思っています。
 生徒理解のための観察のポイント、上司が部下を育てるための観察のポイント、支援者が被支援者をきちんとサポートするためのポイント、これらは皆同じような点を持っているようにも思われています。次にはそれに触れてみようかなとも思うところです。
 今回はここまでにしたいと思います。見ていただきましてありがとうございます。またよろしくお願いいたします。


進路指導と生徒の自己理解

2024-08-19 22:16:25 | 学校での活動について
暑い日が続いています。皆さんお元気でお過ごしでしょうか。
私は少しばて気味です。でもまた、続けてみたいと思います。

進路指導の活動の中に、生徒理解と生徒理解のための活動がありますが、生徒自身が自分のことをよく知ることと、先生が生徒のことを知るための活動を十分に行うことが必要であることを意味していると思います。

 日本の学校では、主流は、生徒は先生からいつも一方的に教えられる、あるいは与えられることが多くて、自分で考える、試行する等の活動はかなり少ないのが現実かと思います。なので、与えられることを吸収する活動が中心で、各種のトライする時間や場所はかなり少ないと思います。放課後も部活等が中心ですから、自分一人で考えて行動してみる機会はほとんどないといってもよいかと思います。決められた枠の中での活動では何かに気づく機会は少ないと思います。
 社会の在り方等に関することにも興味や関心を持ってきちんとよく見てみる機会も少ないですし、そもそもそのようなことに関心を持つような時間的余裕がないのも現実かと思われます。

 ですので、生徒自身の自己理解が進みにくくて、例えば学習成績は良いが、何の職業を選べばよいのかがわからないという生徒も出るわけです。成績の良い生徒の多くが志向する学部をとりあえず選ぶというようなあいまいな選択が多くなりがちです。
 進路の決定においても、学習成績を一番大切にする、あるいは学習成績から行けそうなところを感覚的に選択するような場合が多いように思われます。学校も、上級学校見学や一日体験等を行っているとは思いますが、やはり表面的なことだけでは十分な理解は進まずに、適性に合わないところに進むことも多いようです。
 自分の特性を客観的に理解していない生徒が、少しの経験で選ぶのですから、ミスマッチも起こりやすくなるのも仕方ないかとも思われます。

 学校かいわいで、7・5・3と言われることがありますが、7は、中学校を卒業してすぐに就職した場合、3年以内に7割が離職するということだと思いますが、高卒でも大卒でも新卒者の3年以内の離職がとても多くなっていることを意味していると思います。
 離職が悪いことかと言えば、必ずしも悪いことではないでしょうが、あまりにも多くの生徒が離職するということになると、それは社会的にも大きな問題をはらんでいると思われます。転職がすぐにできればいいのですが、スムーズに進まなくてさまざまな不都合な状態になることもあることでしょうし、場合によれば、その後への大きな影響も生じるかもしれません。

 進路実現に関して、多くの生徒は自分の力でそれなりに選んでいるようですが、やはり課題も多く含んでいるのが現実かと思われます。
 進路をきちんと考えることができるのも、意欲的に将来を考え、様々な条件を合理的に判断して選択し、実際にその後も可能な限り適応状態を作り出して継続していくことがよいと思われますので、進路選択においても、それぞれの生徒が持つ前向きな生活力が一番の力になるのだと思われます。
 教育はその生活力を育てることが一番の目標であると常々思うところです。クラスの中にいる様々な状態の個々の生徒に対して、その特性をきちんと見抜くとともに、本人の希望や志向性を大切にしながら進路を練り上げ、その実現に向かって「共に進む」ことが一番ポイント化と思われます。

 学習にもその他の学校内の活動にも、学校外の活動であっても、本人なりに適切に、しかも一生懸命に取り組むことが、本人自身の適性を自分で発見することにつながるのではないかと思っています。
 可能な限りやってみると、自分ができることできないこと、あっていることあっていないこと等も自然に感じて気づくことができると思います。
 そして、一生懸命やってみて、それに結果もついてくるようであれば、後は本人の考えや願望・希望で進路を決められると思います。
 自己決定ができれば、それは継続的な将来へのモーチベーションとなって、本人の生活を支えるものになると思われます。そのような意欲的な姿勢を持つ生徒を育てることが大きな意味では進路指導につながると思われます。
 自己肯定的な自己イメージを持つことができる生徒、自己肯定感をきちんと持つことができている生徒を育てることが一番必要なことと考えています。
 ただ、学校の中には、どうしても肯定感やイメージを持てない生徒がいるのも現実で、そのような生徒にどのように対応していくかという大きな課題も現存しているのが現在の学校ということかと思われます。
 今回はここまでにしたいと思います。ありがとうございます。 




進路指導について 続き

2024-08-16 15:32:46 | 学校での活動について
お世話様です。
前回は、9月の活動について記してみましたが、また進路指導のことに触れます。進路指導の意義と6つの活動について触れていますので、今回は、さらに進路指導の全体的なことについて触れてみます。

進路指導は、将来のあり方や生き方に関する指導のことでした。
現在の社会状況の中で自分の将来を自分の力で切り開いて、社会への理解と自己の能力、適性、志向性、希望などの各要素を理解し、それに合わせて充実した生活につながる進路をイメージ(明確化)できるようにすることでよいかと思います。

学級の中の具体的な生徒を見ると、学校生活への適応状況に大きな差があるのも現実と思います。適応状態もよく、意欲的に生活できている生徒は、大まかな印象ですが、20%程度とも感じられます。60%程度は普通の適応状態で、20%程度はあまり意欲的ではなくて適応状態も低調の場合の生徒も存在します。但し、この数値はあくまでも印象的なものです。科学的な根拠はありません。

将来を考えることができるためには、本人が情緒的に落ち着いていて、生活へのエネルギーや意欲を持っていることが必要と考えられます。従いまして、進路指導を進めるにあたっても、他の支援と同様に、生徒の心的健康や意欲を育てることが基本になると考えられます。将来への見通しや夢を持つことができるのは、健康や安定を基盤としたものと考えられます。

教育の活動では、生徒に対して、その実情に応じて、さらに伸ばす開発的な活動が必要ですし、落ち込みを防ぎつつ開発を行う予防的な指導も必要ですし、様々な事情で落ち込んでいる場合には、校内外との連携も図りながらですが、治療的な指導を行うことも必要と思います。

「人の問題は人によって発生し、人によって解決に至る」ことができる。という言葉をふと思い出しました。そうですね、人は人によって傷つけられることが多くあり、またその傷も人によって癒されることも多いですね。
先生と生徒の関係の中でも、親と子どもの関係の中でも、人間関係は本当に微妙ですね。
特に学校の中での先生と生徒の関係は微妙で、先生がなにをどのように考えているか等は、すぐに生徒に見破られてしまいますね。特に課題を多く持っていると思われる生徒、例えば不登校や不登校気味の生徒、非行傾向のある生徒等の場合は本当に敏感ですね。自分が先生からどのように思われているか等は過敏すぎるのではないかと思われるくらいに敏感です。なので、先生は、自分の言葉が相手にどのように聞かれる可能性があるのかをきちんと意識して、話す必要があると思います。自分の存在をどのように見てくれているのか、見てくれるのかということを気にかけていますので、本当に注意位して話す必要があると思います。
どのような状態にある生徒でも、まずは冷静に対応して、可能な限り受け入れる気持ちになって、と言うか受け入れて、相手の気持ちを推し量りながら共感的に話をしたり聞いたりして、そして何か良い点はないか、何か生かせる点はないか、何か認められる点はないかと探しながら、肯定的にかかわっていくことが一番大切と思われます。相手を否定的な存在として、心の中で思うとそれはすぐに相手に感じ取られてしまって、うまくいかない場合が多くなるように思われます。
進路の話から思わぬ方向に行ってしまいましたが、今回はここまでとさせていただきます。
次回は6つの活動の中での具体的な活動で、学校の中でもできそうな活動の例を話させていただこうかと思っています。よろしくお願いいたします。

9月の活動について 

2024-08-12 08:53:32 | 学校での活動について
こんにちは。いつも見ていただいてありがとうございます。

このころは、進路指導について触れていましたが、ふと気づいてみれば、8月も半ば近くになってきましたので、進路のことの前に、9月の活動について記してみたいと思います。

進路指導もその他の活動もそうですが、生徒が前向きな考えや姿勢を持っていないと進路のこともその他のことも進みませんので、やはり生徒の姿、姿勢が一番大切だと思います。意欲をもって取り組む姿勢を育てることが一番大切なことと思われます。
教育におけるすべての活動が、生徒の意欲を育てることに主要な目標があると思います。
進路指導に関しても、一応、全体的な様子について触れましたので、個々の活動は、また次の機会にして、今回は、9月の活動について記してみたいと思います。

初めに二学期全体のことについて触れます。二学期は、進化と深化の時期です。学校生活の時間も一番長いし、季節的にも各種の活動に適していて、活動しやすいので生徒の成長を促すのに適した時期と思います。
一学期に、生徒との関係もある程度できていると思いますし、生徒の特性理解も進んでいると思います。それらのことを基盤としながら、実態に合わせていろいろな指導や援助を行い、学校生活の充実を促すとともに意欲化を図ることが目標になると思われます。
 学級全体に対しては、構成的なグループエンカウンターの活動や、ソーシャルスキルトレーニングを行ったり、生徒の表現力や対人関係能力等の基本的な能力を育てることが大切と思われます。(グループエンカウンターやソーシャルスキルトレーニングは本当に有効な活動と思っています。機会があれば、後に具体的に触れてみたいと考えています。)
 一学期からの生徒観察で、個別の援助や指導が必要と判断される生徒に対しては、生徒の活用できる良い点を生かしながら、継続的にかかわり、使える技法も使って意欲化を図るとともに、本人の課題への気づきと克服への取り組みを促していきます。全体指導も大切ですが、個別指導を生徒に即して充実させることは、さらに大切なことと思われます。個別指導を地道に継続的に行っていくことが、開発的・予防的・治療的ないずれの活動にも大きな影響を与えると考えられます。
 学年や学校全体では、教育相談係とも連携して、事例研究会を行ったり、生徒理解に基づく校内連携による指導や援助を継続的に行っていきます。生徒の成長を促そうとする姿勢は、きちんと生徒にも伝わりよい影響を与えていくと考えられます。

9月の活動

 1学年
 長い夏休みの後の9月は再スタートの指導が大切です。1学期に行った適応指導をもう一度行うくらいの気持ちをもって取り組むことが必要と思われます。
 生徒は、新鮮な気持ちが薄らぎ、目標も持ちにくい状態にあると考えられますので、やはり再スタートの指導を丁寧に行います。
 今後の目標や学校生活の意義を考えさせる機会を持ちます。また、友人関係の中断等もあると思いますので、何か、機会を見てグループワーク活動でも行い、関係の回復を促します。そして、なるべく早くに基本的生活習慣を取り戻して生活できるように促します。
 不登校の生徒が出やすくなりますので、悩み調査を行ったり、各生徒の学校生活への適応状況を丁寧に見ていく必要があります。
 生活に落ち着きがなく、ふわふわしている感じがあったら、なるべく早くに個別指導を行う必要があります。その時には、生徒にきちんと先生の思いを話して、生活に改善が見られないと先が厳しいかもしれないので、きちんと話を聞きたいと説明して、聞くことが大切と思っています。聞き方がおかしくなければ、生徒は肯定的な反応を示すと思います。但し、時間はあまり長くしないで短時間にし、必要があればまた聞きますと伝えておくことでよいと思います。積極的にかかわりを持つことが大切と思われます。

 2学年
 一年同様の指導援助を行いながら適応状態の回復のための活動を行います。2年の2学期からが学校生活の中心的な時期になることをきちんと意識させます。また、学校全体の各種活動の担い手になることも伝えておきます。
 自立的に生活ができている生徒には、学期の目標を明確化し、到達目標も設定できるように支援します。不適応傾向のある生徒には、やはり個別指導も行いながら、再適応への支援を行います。
 中学にしても高校にしても、2年の2学期が変化の起点になることが多いと思われます。自立的・自律的な生徒は、自分の目標も自覚でき、能力も発揮して自力でも伸びていくことができるようになりますし、不適応傾向の生徒は伸びることができずに、低調あるいは停滞の傾向を見せることがありますので、サポートや支援が必要になることがあります。
エネルギー切れの様子を示す生徒も出てくるので、それらの生徒への対応も行います。この対応は遅れれば遅れるほど大変になりますので、なるべく早くに始める必要があると思われます。
担任だけの活動では難しいと感じる場合には、今は学校にスクールカウンセラーが配置されていたり、教育相談に詳しい先生がいたりすると思いますので、校内での連携を図って支援を行うことが必要と考えられます。
 2年の2学期以降は、生徒の自己表現力が大切になってきます。自分を言葉で表現できないと入試等でもうまくいきにくくなります。集団での活動の中で、適切な自己表現を促し、対人関係能力を育てることも、とても大切な活動です。

 3学年
 いよいよ受験の時期が来ます。就職の場合も同じです。不安や焦りの気持ちが生じて高まりやすい時期ですので、強すぎる孤独感や孤立感を抱かないようにすることが大切です。生徒間の交流がなくなってしまわないように、「受験は団体戦」というような意識も持たせて、相互に情報交換や交流を行うように促しましょう。「相互扶助の精神」が受験を乗り切る一つの手段だと思いますので、学級や学年のよい雰囲気づくりに努めることも大切なことと思われます。
前に少し触れましたが、この時期に「ワイド相談」の活動等を行うことも有効な活動と思われます。
学習が軌道に乗らない生徒も出ると思われるので、やはり個別指導も必要と思われます。

今回はここまでにします。次回はまた進路に戻るかしてみたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。




 




9月の活動
 9月は、長い夏休みの後で、二度目の新入学や進級の時期ともいえるかと思います。