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教育のことや子育て 不登校問題への対応等について、考えてみます。

アドラーの心理学を活用して

2020-09-22 15:49:11 | 教育相談
今回は、以前に作成した記事ですが、アップしてみようと思います。

 アドラーによれば、子どもの不適応行動には4つの目的があるとしていました。その目的は、①人の注目を集めるため ②自分が強いことを誇示するため ③仕返しや復讐をするため ④無気力の状態を示すため でした。
 今回は、どのようにして子どもを勇気づけるか、その具体的な視点や方法について考えてみたいと思います。

◎勇気づけのための基本的な視点について。
 子どもの言動や行動は、周りの人からの、子どもへの接し方に対する反応として行われていることが大変多いと感じられます。従って、子どもを元気づけ、良い方に向けようとすれば、まず始めに、親や周りの人が子どもへの接し方を振り返って、良いものにすることがとても大切だと考えられます。
 親や周りの人が、子どものことに関心が薄かったり、構ってあげないようなことがあると、子どものやる気は弱くなって不適応行動につながる場合があります。
 また、子どもの悪いところばかりを指摘したり、非難や批判を多くしていると、子どもはやる気を失い不適応を示します。
 大人が子どもへの接し方を点検して、上のような点がないか確認し、ある場合には接し方を変えていくことが大切になると思います。

◎具体的な行動を考える。
(1)良いところをさがす。
 親はともすると、子どもの悪いところを指摘して、直させようとすることが多いと思います。そのやり方がすべて悪いというわけではないのですが、いつもそのようなことをしていると、子どもへの「勇気づけ」にならずに、勇気くじきになってしまうことがあります。どの子もその子なりに良い点(資源、資質・能力)をたくさん持っていますので、ダメ出しではなく、「良い点をたくさん指摘してあげる」ことが良いと思われます。
(2)プロセス(過程)を重視する。
 今の社会では、数字で示される結果等が必要以上に重視されることがあります。子どもは、成長の過程にある存在ですので、結果ばかりでなく、行いの過程もきちんと見てやることが大切と思われます。結果に至る過程の中で、大切なことが行われていた場合には、きちんと見てあげて、認めてやることが大切と思われます。認められることで意欲も高まると考えられます。
(3)協力原理を重視する。
 協力原理の反対に競争原理があると思います。競争の原理を必要以上に重視すると、子どもに気持ち的なゆとりがなくなり、それが重なると、子どもによっては勇気がくじかれてしまう場合があると思われます。子どもの成長過程では、将来、周囲の人と協力していろいろなことを行っていけるように、コミュニケーション能力を高めることが大切です。
そのためにも、子どもが協力してくれたこと、協力できたことを、積極的に認めてあげることが大切と思われます。
(4)失敗も認める。  
 子どもの失敗行動も受容し認めてあげることが大切と思われます。失敗を非難する、特に感情的に非難することで、子どもの繊細な心が傷ついてしまって、勇気がくじけてしまう可能性があります。失敗でも、それはそれとして受け止めてあげて、その後を冷静に子どもとともに考えることが大切と思われます。
(5)聴き上手になる。
 子どもに対して大人は指導者的な立場になることが多く、どうしても話をすることが多くなります。それも大切なことですが、「聴き上手」になって子どもの心の中の感情をきちんと聴きとめてあげることの方がもっと大切と思われます。
 子どもが話すことで、事柄のいきさつをきちんと整理することができたり、気持ち(感情)を表現して、その感情を和らげたり、感情にキチンを向き合うことができたりすると思われます。「聴くこと」は、「話すこと」よりも何倍もの大きな力を持っていることがあります。