つばさ

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プラトンはレスリングを理想の国にふさわしいスポーツとして奨励した。

2013年02月14日 | Weblog
春秋
2013/2/14
 古代ギリシャの名家に生まれたアリストクレス少年は、肩幅が広くがっちりした体格の持ち主だった。そこに目をつけた体育教師が授けた愛称が「広い」の意味にちなむ「プラトン」。大哲学者はこの名で今にまで知られることになった(村川堅太郎「オリンピア」)。
▼体格どおりの文武両道だったプラトンはレスリングが得意で、大会で優勝したこともあったらしい。彼が生きた紀元前5~4世紀、4年ごとに欠かさず行われていた古代オリンピックでも「人類最古の格闘技」といわれる競技に人は興奮し、チャンピオンはスターだった。そのレスリングが五輪から姿を消しそうだという。
▼日本のお家芸じゃないかという悔しさはおいておこう。ただ、国際オリンピック委員会(IOC)理事会の決定がストンと腑(ふ)に落ちないのは、「なぜか」が分からぬからである。近代五輪でも第1回から実施している。まさかの油断から、ロビー活動でライバル競技の後塵(こうじん)を拝した。そんな解説が当を得ているのかどうか。
▼「オリンピア」によれば、プラトンはレスリングを理想の国にふさわしいスポーツとして奨励した。鍛え抜いた体と体の大技のかけ合いが魅力だったのだ。さて、今日の五輪にふさわしいスポーツを決めるのは。残念ながら理想の五輪を思い描く哲学者ではなく、種々雑多な思惑がからまりあう国際舞台の力学なのだろう。

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