つばさ

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今の北朝鮮の姿勢は、あの工作船の構造と二重写しになって見える

2013年02月18日 | Weblog
春秋
2013/2/18
 1990年に福井県美浜町の海岸に打ち上げられ、警察が押収した北朝鮮の小型工作船を見たことがある。普通なら耐久性が低いため使わないベニヤ板で作っていた。大小様々なサイズの木の杭(くい)も積んであった。船に穴が開くと、ちょうどあうものを選んで塞ぐらしい。
▼船底は平らではなく深いV字型。米国製のエンジンを3基もぎゅうぎゅう詰めにして並べていた。安定性よりなにより、とにかくスピードを出せればいい。そんな発想であろう。安普請の船体と大馬力のアンバランスな組み合わせ。時速100キロぐらいまで出たが、船体は長時間の航行に耐えられなかった、と警察はみる。
▼自国民が飢えようが、極寒に震えようが、まったく意に介さない。とにかくミサイルと核兵器を手に入れ、世界に力を示す。今の北朝鮮の姿勢は、あの工作船の構造と二重写しになって見える。瀬戸際外交とよばれるむちゃな振る舞いをなぜ、といつも不思議に感じるが、かの国の指導部の考え方は万事こうなのであろう。
▼暗闇に乗じ、悪天候をついて上陸を図った工作船は消波ブロックにぶつかり、大破する。近くの海からは乱数表や無線機などの七つ道具とともに、損傷が激しい2人の水死体が見つかった。身につけていた指導者親子の肖像画は波間に漂っていた。今の北朝鮮もこのままでは、工作船と同じ運命をたどりはしないだろうか。

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