つばさ

平和な日々が楽しい

すでに10万人が亡くなり、難民は200万人を超えるという。

2013年09月20日 | Weblog
春秋
9/20付

 せっけんは安土桃山時代に、南蛮人によって日本にもたらされたという。「しゃぼん」と呼ばれ、その名前が登場する最も古い記録とされるのが石田三成の書状だ。博多の豪商、神谷宗湛(そうたん)にあてたもので、当時珍重されていたこの舶来品をもらったお礼をつづっている。

▼今では暮らしに浸透したせっけん、実は発祥の地はメソポタミア地方だ。紀元前2000年とも3000年ともいわれる昔、木の灰の成分と油からせっけんの原形が生まれ、布の漂白や洗浄などに使っていた。その後ヨーロッパに伝わって品質が良くなり、各地に広がった。中東の古代文明の遺産を私たちは享受している。

▼本場では伝統が生きているのだろう。メソポタミアと地中海を結ぶシリア北部の都市アレッポは、せっけんが名産だ。オリーブや月桂樹(げっけいじゅ)の油を原料にし、添加物は一切使わないものが多い。「アレッポせっけん」として親しまれている。清潔好きが多い日本人にとって、遠いシリアが身近な国にみえてきはしないだろうか。

▼シリアの化学兵器を国際管理下で廃棄する方向になったが、うまくいくかどうかはこれからだし、内戦はいまだに出口が見えない。すでに10万人が亡くなり、難民は200万人を超えるという。それらの人たちの支援や受け入れている周辺国への協力に、日本はもっと力を入れるべきだろう。つながりが浅からぬ国として。

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