つばさ

平和な日々が楽しい

700キロというのは提灯としては破格の重量であろう。

2013年11月20日 | Weblog
春秋
11/20付

 おばあさんの皺(しわ)のよりかたにもいろいろあるらしい。縦の皺なら唐傘。縦横なら縮緬(ちりめん)。そしてもっぱら横だと提灯(ちょうちん)ばあさんと言うんだという。昭和の名人古今亭志ん生なら「そんなこたあ学校で教えてくれませんな」とやりそうだが、最近聞いた落語のなかの話である。

▼金を無心にきたと勘違いされた若い衆が「金貸してくれの提灯のってわけじゃねえ」と啖呵(たんか)を切るのも落語で耳にした。こうなるともうなぜ提灯なのかも判然としない。ともかくも、提灯が暮らしの身近にあった名残である。いま、飲み屋の赤提灯と並んで気を吐くのが、東京・浅草寺雷門の大提灯ということになろうか。

▼一昨日お披露目されたのが6代目。高さ3.9メートル、直径3.3メートルの巨体をつくったのは京都の老舗、京都・丹波の竹や福井県の和紙を材料にした工芸品でもある。「提灯に釣り鐘」といえば、重さが違いすぎることから縁談などが釣り合わないときに使うたとえだが、700キロというのは提灯としては破格の重量であろう。

▼病気快癒のお礼に松下幸之助が寄進したことに始まるというこの大提灯、今回もパナソニックが奉納した。ただ、はめ込まれた銘板にはこれまで通り旧社名の「松下電器」とある。どちらでもいいようでも、「松下」のほうが由来が分かるし、和風だし宣伝臭さがない。提灯を持ちたくはないが、持たなくてもそう分かる。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿