つばさ

平和な日々が楽しい

安い輸入品と競うのでなく、よいものを高く売る

2013年11月28日 | Weblog
春秋
11/27付

 「ハーゲンダッツ」という名前は北欧風の響きだが、実は米国の会社である。お値段は普通のアイスクリームよりかなり高いけれど、おいしいから人気がある。仕事で何か良いことがあった日など、勤め帰りに「自分へのご褒美」と称して求める人も多いのではないか。

▼その味の秘密は原料の牛乳にある。群馬の工場にほぼ一手に供給しているのが、北海道の浜中町農業協同組合だ。組合長の石橋栄紀さんは「道東の暴走老人」を自称する地元の名物男。農協の全国組織や乳業メーカーの言うなりにならず、自分たちの手で牛の品種や飼料を徹底的に改良して最高品質の牛乳をつくり上げた。

▼餅は餅屋というべきか。「ハマナカ」の名は日本国内より乳業大国ニュージーランドでよく知られている。来日したグローサー貿易相は、東京での政官界の要人との面会もそこそこに道東に飛び、石橋さんと膝を詰めて「戦略会議」を開いた。乳製品の対日輸出だけでなく、日本の農家との共同事業を考えているのだろう。

▼所得が伸び食生活が豊かになると、仕上げにデザートが食べたくなる。中国や東南アジアで高級アイスの需要が伸びれば、浜中町の商機が海外に広がるのは間違いない。「安い輸入品と競うのでなく、よいものを高く売る」。組合員わずか220人。TPPをめぐる「聖域論」をよそに、世界を視野にひた走る農協もある。

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